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2018年10月19日 ENOG53/JANOG42.5にて発表
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1.
スクラム開発に取り組んでみた - ENOG53 Meeting
- 2018/10/19 Yasuyuki Kaneko Twitter: @yyasuyuki
2.
はじめに 自社インフラサービス基盤の運用開発(DevOps)を推進するた め、スクラムの手法を導入してみました 人的資源が極めて限られる地域事業者の中で、スクラムに取り組 んでみた実例とその所感をお話ししたいと思います ちょっと、いやだいぶ、恥ずかしいのですが・・・ 2
3.
スクラムとは何か 3
4.
すべてのきっかけ 『カイゼン・ジャーニー』 市谷聡啓/新井剛 著 https://kaizenjourney.jp/ JANOG会長の平井くんに オススメされて早速購入 ストーリー仕立てでスクラムが 学べる めっちゃ熱い!! 4
5.
Twitterで感想書いたら、 著者の市谷さんから コメントもらいました! ありがとうございます!! 5
6.
スクラムとは アジャイルソフトウェア開発手法のひとつ スプリントと呼ぶ短い開発期間を何度も繰り返す チームメンバーの密なコミュニケーション・一体感を重視 予測不能な変化に対して素早く柔軟に対応することができる 6
7.
7 アジャイルソフトウェア開発宣言 私たちは、ソフトウェア開発の実践 あるいは実践を手助けをする活動を通じて、 よりよい開発方法を見つけだそうとしている。 この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。 プロセスやツールよりも個人と対話を、 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、 契約交渉よりも顧客との協調を、 計画に従うことよりも変化への対応を、 価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを 認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。 Kent Beck Mike Beedle Arie
van Bennekum Alistair Cockburn Ward Cunningham Martin Fowler James Grenning Jim Highsmith Andrew Hunt Ron Jeffries Jon Kern Brian Marick Robert C. Martin Steve Mellor Ken Schwaber Jeff Sutherland Dave Thomas © 2001, 上記の著者たち この宣言は、この注意書きも含めた形で全文を含めることを条件に自由にコピーしてよい。 http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html
8.
アジャイルのマインドセット プロセスやツール < 個人と対話 包括的なドキュメント
< 動くソフトウェア 契約交渉 < 顧客との協調 計画に従うこと < 変化への対応 8 対話を重視、適応的・漸進的アプローチ
9.
スクラムの定義 複雑で変化の激しい問題に対応するた めのフレームワークであり、可能な限 り価値の高いプロダクトを生産的か つ創造的に届けるためのものである。 スクラムは、これまでのプロダク ト管理や仕事のテクニックの相対的な有 効性を明確にして、プロダクト・ チーム・作業環境の継続的な改善を可能 にする。 9 スクラムガイド™ スクラム公式ガイド: ゲームのルール 2017 年 11
月 Developed and sustained by Scrum creators: Ken Schwaber and Jeff Sutherland 日本語 版 | Japanese https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf
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Scrum Framework 10 チーム、役割、イベント、作成物、ルールを規定 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Scrum_Framework.png
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スクラムに取り組む 11
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背景となる状況と課題 少量多品種生産、柔軟で親切な運用 手作業が多く、完全にシステム化されていない 顧客数が増加、作業数も増加 個別設定調査、脆弱性対応、障害対応、などなど 対象の洗い出しや構成情報把握が大変 そして業務は破綻に向かう 台帳の氾濫、情報の不整合、記録より記憶? 12
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運用開発の取り組み 運用改善のため、業務システムの開発を推進 運用担当は開発経験がなく、日常業務に忙殺されている ソフトウェアエンジニアを1名確保、運用開発担当に 運用部隊へのヒアリングからスタート 今の運用課題を解決するツール・システムを! 軽量システム、疎結合がキーワード 13
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運用開発の取り組み もちろん、そう簡単にはうまくいかない・・・ 14
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運用開発の取り組み 何かが違う・・・ そもそも運用担当が、欲しいものを明確にイメージできていない 開発側が忖度してシステム実装、実物を見てダメ出し スケジュール通りに進まない・・・ 開発者が一人だけ、リソースが足らない 相談相手不在でモチベーション維持が困難 やるべきことよりやってみたいこと(技術的興味) に気が向いてしまう 15
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スクラムで打開しよう! チームを組むことで、開発者を孤独にしない 短い開発期間で、小さくとも確実なアウトプットを目指す 失敗や手戻りはある程度織り込み済みで 柔軟かつ継続的な開発を志向してみる 16
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スクラムチームの結成 チームメンバーは3名 (もう一人ぼっちじゃないよ!) 17 かねこ プロダクトオーナー 部門統括マネージャー たかつ 開発チームメンバー 運用開発エンジニア さとう 開発チームメンバー 運用担当エンジニア ※スクラムマスターはいません
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スクラムチームの結成 教科書(スクラムガイド)によれば 開発チームに最適な人数は、小回りが利く程度に少なく、1つのスプリン トで重要な作業が成し遂げられる程度に多い人数である。 メンバーが3人未満の場合は、相互作用が少なく、生産性の向上につなが らない。スキル不足が原因でリリース判断可能なインクリメントを届けら れない可能性もある。 メンバーが9人を超えた場合は、調整の機会が多くなってしまう。経験的 プロセスが複雑になり、有益ではなくなる。 18
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スクラムチームの結成 教科書(スクラムガイド)によれば 開発チームに最適な人数は、小回りが利く程度に少なく、1つのスプリン トで重要な作業が成し遂げられる程度に多い人数である。 メンバーが3人未満の場合は、相互作用が少なく、生産性の向上につなが らない。スキル不足が原因でリリース判断可能なインクリメントを届けら れない可能性もある。 メンバーが9人を超えた場合は、調整の機会が多くなってしまう。経験的 プロセスが複雑になり、有益ではなくなる。 19 教科書どおりじゃなくても気にしない! やらないよりやったほうがマシ!!
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スクラムサイクルの決定 スプリント期間は4週間 少人数チームでインクリメントを出せるギリギリの期間と考えた 20 1 スプリント01 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11 12 スプリント02 スプリント03 6/18 7/23 9/37/13 8/24 スプリント プランニング スプリント プランニング スプリント プランニング 0 リリース リリース
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スクラムサイクルの決定 スプリント期間前後に1週間のインターバルを設定 小休止、スプリントプランニングに十分な時間を割けるように スプリントが終了できなかった場合のバッファとしての意図も 21 1 スプリント01 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11 12 スプリント02 スプリント03 6/18 7/23 9/37/13 8/24 スプリント プランニング スプリント プランニング スプリント プランニング 0 リリース リリース
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スクラムの道具 基本は Trello (https://trello.com/) カンバンとして利用 スプリントごとのボードでスプリントバックログと進捗を管理 スクラムチームのボードでプロダクトバックログを管理 バーンダウンチャートは作っていません 日々のコミュニケーションはSlackが中心 スプリントの記録は簡単ににまとめてwikiに残す 22
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デイリースプリント 毎日12時00分から15分間のデイリースプリント 15分きっかりで終わらせるよう、昼休み開始15分前に予定を固定 執務室の打ち合わせコーナーに集合して進捗確認 23 業務時間 業務時間 8:45 12:00
13:00 17:3012:15 昼休み デイリースクラム 15min
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スクラムで開発したプロダクト 24 管理対象機器 踏み台サーバ サーバ(Linux、Windows) ルータ、スイッチ、FW等 IPアドレス管理 構成情報管理 Ping疎通確認 逆引きホスト名確認 Ansible実行 構成情報取得 構成情報取得指示 実行結果格納 構成管理DB IPアドレス台帳管理 構成情報確認 変更履歴管理 状態変化通知 運用エンジニア
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スクラムで開発したプロダクト 25 管理対象機器 踏み台サーバ サーバ(Linux、Windows) ルータ、スイッチ、FW等 IPアドレス管理 構成情報管理 Ping疎通確認 逆引きホスト名確認 Ansible実行 構成情報取得 構成情報取得指示 実行結果格納 構成管理DB IPアドレス台帳管理 構成情報確認 変更履歴管理 状態変化通知 運用エンジニア IPアドレス台帳 脱 Excel 実機の情報は 常に正しい 状態変化通知により 登録漏れや隠れたミスを検知 様々な機種・環境に 一元的に対応可能 エージェントレスで実現 再利用性が高い仕組み 変更履歴管理 いつ誰が何を変更したか 実機から取得した 情報を格納
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スプリント01のインクリメント 26 管理対象機器 踏み台サーバ IPアドレス管理 構成情報管理 Ping疎通確認 逆引きホスト名確認 Ansible実行 構成情報取得 構成情報取得指示 実行結果格納 構成管理DB IPアドレス台帳管理 構成情報確認 変更履歴管理 状態変更通知 運用エンジニア IPアドレス台帳 社外IPアドレスの取り込み 個別の接続方式・認証方式に対応 ネットワーク機器の情報取得に対応
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スプリント02のインクリメント 27 管理対象機器 踏み台サーバ IPアドレス管理 構成情報管理 Ping疎通確認 逆引きホスト名確認 Ansible実行 構成情報取得 構成情報取得指示 実行結果格納 構成管理DB IPアドレス台帳管理 構成情報確認 変更履歴管理 状態変更通知 運用エンジニア IPアドレス台帳 U/I見直し、検索機能強化 運用者がより使いやすく、わかりやすく サーバ情報取得機能強化 真に必要な情報を能動的に取得
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スプリント03のインクリメント 28 管理対象機器 踏み台サーバ IPアドレス管理 構成情報管理 Ping疎通確認 逆引きホスト名確認 Ansible実行 構成情報取得 構成情報取得指示 実行結果格納 構成管理DB IPアドレス台帳管理 構成情報確認 変更履歴管理 状態変更通知 運用エンジニア IPアドレス台帳 プライベートIPアドレスの取り込み・管理移管 Excel台帳は廃止に! ネットワーク機器情報取得機能の強化 ファイアウォール等対象機種追加
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そもそもにしてスクラムをはじめてよかった スクラムは良かった、いつでも相談できるし軌道修正できる スクラムをやったこと自体は良かった、目標と期限が明確になる デイリースクラムは徐々に集中力が落ちてきた、進捗管理も甘くなった やっている間に到達点がぼやけてくるので、繰り返し意図的に確認したほうがいい ゴールの認識合わせをもうちょっとしっかりやりたい 高津だけでなく金子や佐藤も手を動かせるようになれば・・・ 高津に任せっきりだった、もっと手伝えることはないだろうか リリース後の状況確認も必要、使われているのか?追加要望は? 運用課のフィードバックがうまく取れていなかった、より活用してもらえるための仕掛け作り スプリント01 振り返り 29 スクラムやってよかった! ゴールを明確にしよう! みんなが手を動かそう! もっとユーザと会話を!
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スプリント02 振り返り 最初のスプリントプランニングが重要、ゴールをしっかり固めてからスプリントに入るべき 最初のスプリントプランニングでしっかり決めきれなかったのが反省 デイリースクラムは15分で収まらない日も多かったが、コミュニケーション面でうまく機能した 前回は高津に開発をお任せだったが、今回は金子・佐藤も手を動かすことができたのが良かった スキルにあった作業分担が出来ていたと思う。自分は製造に集中することができた。 運用課との調整、コミュニケーション、フィードバックループにはまだ改善の余地がある 台帳類の整理、運用がどう変わるかなど周りを巻き込んでの準備が足りてなかったように思う。 大まかな機能はリリースできているが、細かい使い勝手やU/Iまで目が行き届いていない 開発した成果物に対してドキュメントが残っていないのが課題 30 プランニングが甘かった! たくさん会話したね! みんなが手を動かせたよ! もっともっとユーザと会話を!
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スプリント03 振り返り 今回は無事4週間のスプリント期間を守ることができた 当初から4週間を意識して作業ボリュームを抑えめにしたゴール設定が功奏した 細かい部分での割り切りは、比較的はっきりできたと思う デイリースクラムを15分に収められた回が比較的多かった デイリーの中で確認した事を、作業中に迷って再度確認するような場面があった。 デイリー以外でのコミュニケーションが足らなかった、もっと丁寧に受け渡しを 後半レビューが遅れ、気になる部分を相談することが難しかった。 終盤のスケジュール管理(リリース前後で何をやるか)が毎回雑なのを改善したい 終盤は別件障害に手を取られて、スクラムに貢献ができなかったのは申し訳ない 途中、障害対応でほとんど何もできなくなったのが無念 31 プランニング勝利! コミュニケーションにまだ課題がある! 終盤の実行計画が甘い! 別件業務で手が取られてしまった!
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今後のスプリント予定 現在は「スプリント04」が進行中 今回は構成管理DBとは別のテーマに取り組み中 その内容は、また別の機会があればお話しするかも? 構成管理DBもさらなる進化を検討中 他のシステム・ツールとの連携(顧客管理、監視システム等) 機器設定情報の自動収集保存機能 各種設定の一括投入機能 32
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スクラムのススメ 33
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やってみてわかったこと スクラムの真髄はコミュニケーション!? スプリント期間中は、必ず毎日顔を合わせて話すことになる それだけで、チームとプロダクトに良い影響が出る すぐに相談、すぐに確認、すぐに軌道修正 チームの相互理解、熟成度が上がる 34
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やってみてわかったこと スクラムはスプリント(短距離走)!? 短い期間で、明確な目標に向かって 目前のゴールに向け、全力で走り切る たくさん話して、たくさん考える めっちゃ疲れるけど、達成感も半端ない!! 35
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やってみてわかったこと スクラムは継続的改善!? 継続的な問題発見と解決のフレームワーク プロダクトだけでなく業務プロセスも継続的に改善 問題を発見しやすい、発見したらすぐ取りかかれる アジャイルなマインドセットで!! 36
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私からのメッセージ 騙されたと思って、スクラムやってみよう! どんな形であれ、やれば得るものがあるはず 弊社はまだまだ不完全、もっと進化させたい みなさんの経験も、ぜひ教えてください!! 37
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みなさんもぜひ!! 『カイゼン・ジャーニー』 市谷聡啓/新井剛 著 https://kaizenjourney.jp/ 改めて、本当にいい本なので、 ぜひ読んで! 越境を目指し、楽しい旅を!! 38
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39Special Thanks: いらすとや
https://www.irasutoya.com/ Thank you !!
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