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データジャーナリズム
―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
赤倉優蔵
2013年12月14日
自己紹介
• 通信社 システムエンジニア
– 記者・デスク向け情報システムの設計・開発
– データを活用したウェブサービスの設計・開発
• 日本ジャーナリスト教育センター 運営委員
– ジャーナリスト向けワークショップの企画・運営
2013/12/14 2データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
トピックス
• 最新状況
• 事例研究
• 実践のための基礎知識
• 実践レポート
• ディスカッション
2013/12/14 3データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
最新状況
2013/12/14 4データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
データからニュースを発見し
分かりやすく伝える手段
2013/12/14 5データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
データジャーナリズムとは?
<事例紹介>
変わらなかった?
「銃」社会
2013/12/14 6データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
米銃規制法案をめぐる報道
• 2013年初頭、アメリカでは銃規制法案をめぐ
る報道が過熱
• データを駆使した様々な報道が展開されるも、
最終的には廃案となる
2013/12/14 7データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
銃に囲まれた生活
(lohud.com)
2013/12/14 8データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
銃の使われ方
(The Washington Post)
2013/12/14 9データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
銃が奪った人生
(The Guardian + Periscopic)
2013/12/14 10データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
それでも動かなかった「議会」
(ProPublica)
2013/12/14 11データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 12
データジャーナリズムは
ニュースに
イノベーションを起こしている
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14
Data Journalism Awards 2013 Finalists
- Data journalism awards 2013: get the full shortlist | The Guardian -
13データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
Data Journalism Awards 2012
- DATA JOURNALISM AWARDS 2012 DNA | GEN -
2013/12/14 14データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 15
MOOC Data-Drive Journalism Course 2013
- Visualizations: Nationality of students attending the MOOC as of 22-08-2013 -
Anguilla(1)
Antigua & Barbuda(1)
Benin(1)
Bermuda(1)
Brunei(1)
Burundi(1)
Cuba(1)
El Salvador(1)
Estonia(1)
Fiji(1)
Gambia(1)
Guam(1)
Guyana(1)
Haiti(1)
Honduras(1)
Iran(1)
Jersey(1)
Kuwait(1)
Latvia(1)
Macedonia(1)
Oman(1)
Qatar(1)
Rwanda(1)
Reunion(1)
Samoa(1)
Serbia(1)
Sierra Leone(1)
Slovakia(1)
Vanuatu(1)
Yemen(1)
Iraq(2)
Liberia(2)
Maldives(2)
Moldova(2)
Myanmar(2)
Nicaragua(2)
Palestine(2)
Saudi Arabia(2)
Somalia(2)
Togo(2)
Virgin Islands(2)
Zambia(2)
Kyrgyztan(3)
Lithuania(3)
Paraguay(3)
Puerto Rico(3)
Sri Lanka(3)
Trinidad & Tobago(3)
Uzbekistan(3)
Austria(4)
Azerbaidjan(4)
Cameroon(4)
Dominican Republic(4)
Ethiopia(4)
Ghana(4)
Israel(4)
Jamaica(4)
Madagascar(4)
Malawi(4)
Tanzania(4)
Tunisia(4)
Uruguay(4)
Zimbabwe(4)
Bahrain(5)
Bangladesh(5)
Bulgaria(5)
Cambodia(5)
Georgia(5)
Hungary(5)
Kazakhstan(5)
Morocco(5)
United Arab Emirates(5)
Algeria(6)
Armenia(6)
Afghanistan(7)
Indonesia(7)
Jordan(7)
Norway(7)
Slovenia(7)
Thailand(7)
Belarus(8)
Greece(8)
New Zealand(8)
Bolivia(9)
Mozambique(9)
Panama(9)
Poland(9)
Romania(9)
South Korea(9)
Uganda(9)
Czech Republic(10)
Ecuador(10)
Lebanon(10)
Malaysia(10)
Denmark(11)
Ireland(12)
Nepal(12)
Taiwan(12)
Singapore(13)
Switzerland(14)
Sweden(16)
Costa Rica(18)
Belgium(19)
Pakistan(21)
Ukraine(21)
Guatemala(23)
Peru(23)
Portugal(23)
Nigera(25)
South Africa(26)
Philippines(27)
Vietnam(27)
Egypt(28)
Kenya(28)
Russia(28)
Chile(29)
China(30)
Hong Kong(30)
Venezuela(30)
Finland(32)
France(35)
Colombia(38)
Japan(45)
Argentina(47)
Italy(48)
Netherlands(57)
Australia(76)
Germany(80)
Mexico(91)
Spain(95)
Canada(120)
India(131)
United Kingdom(148)
Brazil(257)
USA(1361)
135 Countries,
3,564 People.
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 16
MOOC Data-Drive Journalism Course 2013
- Visualizations: Nationality of students attending the MOOC as of 22-08-2013 -
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 17
MOOC Data-Drive Journalism Course 2013
- Yuzo Akakura | Wordle -
45
2203
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
広がりの背景
• データの激増 (多様化/巨大化)
• データ処理能力の向上
• 分析・可視化ツールの普及
2013/12/14 18データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
海外メディアの動向
• ここ1〜2年で急速に普及
• 既に報道の現場にとって「取り組まざるを得
ない手法」となりつつある
• 世界各国のメディアが試行錯誤しながら実績
を作っている
– 2012年米大統領選報道
– 2013年米銃規制法案に関わる報道キャンペーン
– データジャーナリズムアワード
2013/12/14 19データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
国内メディアの動向
• メディアによるデータジャーナリズムへの取り
組みは「はじまったばかり」
– 朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、NHKなど、大手
メディアが着手
– 地方紙は「未着手」
• “参院選2013” の取り組み
– Twitter分析:毎日新聞、朝日新聞、NHK
– 獲得議席数予測:Yahoo!JAPAN、niconico
2013/12/14 20データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
事例研究
“Toxic Waters”
2013/12/14 21データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ジャーナリストだけでは
実践できない
2013/12/14 22データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
データジャーナリズムの特徴
2013/10/21 23
“Toxic Waters”
(汚染水域)
• NYTによる、全米の水質に関する2009年の調
査報道
• 政府に対する500回を超える情報開示請求に
より取得したデータと、実際の水質データを
比較、政府が水質を把握していなかったこと
をスクープ
• 水質データを地図にマッピングすることで、汚
染水を垂れ流していた企業・施設を特定
2013/12/14 24データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 25
10 Articles +
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ニュースアプリ?
—伝統的ニュース—
2013/12/14 26
へぇ、そうな
んだまぁ友達に
も勧めてお
くか
今回はいい記事かけ
たぞ! たくさんシェアさ
れるといいな♩
<読者><記者/デスク>
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ニュースアプリ?
—ニュースアプリ—
2013/12/14 27
家の近くは
どうなのか
しら?
実家はどう
なのかしら?
友達にも勧
めよう!
なるほど!
読者の興味はここに
あるのか!
記事に反映させよう!
<ユーザー>
<多様なスキルを持ったチーム>
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
反響
• [読者] 2,000を超えるコメント
• [社会] 規制強化につながる (社会を変えた)
• [報道] IRE Medalを受賞
2013/12/14 28データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 29
実現したのは「異業種チーム」
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 30
データ・エンジニア
アプリ・エンジニア
アナリスト デザイナー
記者/編集者
2013/12/14 31
体制 @NYT
<News Room (about 1,200)>
編集チーム
C.A.R.チーム
(6-7)
グラフィックチーム
(about 30)
インタラクティブニュースチーム
(about 20)
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 32
体制 @Traditional
<編集部門>
編集チーム
グラフィックチーム
システム部門
ネット部門
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 33
http://marijerooze.nl/thesis/graphics/?paper=NYT
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 34
読者に届ける工夫 @NYT
• コメント欄の活用
• ソーシャルメディアの利用
• ロケーション情報の利用
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ジャーナリストの役割
by Derek Willis, NYT
• データジャーナリズムの全てをできる必要は
ない (できない)
• 大事なのは「ニュースを届けるより良い方法
を知っていること」
• エンジニア、デザイナー、アナリストに「これは
できるか?」「このツールは使えるか?」と問
うことができるのが重要
2013/12/14 35データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
進むコラボレーション
• データジャーナリズムの専門チームを設置
• “ハッカー” の採用を促進
• 外部協力者 (研究者・専門家) の拡充
• 同業/異業種間のコラボレーション
2013/12/14 36データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 37
実践のための基礎知識
-エンジニア編-
2013/12/14 38データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
コストをかけず
小さく実践
2013/12/14 39データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
実践の肝
「3種の神器」
• OSS
• Google
• Cloud
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 40
基本プロセス
1. 企画
2. データ手配
3. データ分析 (ファクト抽出)
4. ファクト活用
5. インタラクション
2013/12/14 41データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
(1/5) 企画
プロジェクトの企画を立案する
– 仮説の設定
推進体制を組織化する
– チームビルディング
2013/12/14 42データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
(2/5) データ手配
必要なデータを集める
– インターネットに公開されているデータ
【ScraparWiki】
– “公開されているはず” のデータ
– “あるはず” のデータ (情報開示請求)
集めたデータを整形する
– 構造化
【Excel】【Google Spreadsheet】
2013/12/14 43データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
(3/5) データ分析
整形したデータを分析し、ファクトを抽出する
– “ビッグデータ分析”
【PAAS】
– 複数のデータセットを組み合わせた高度な分析
【R】【Tableau】【MySQL/PostgreSQL】【Ruby】
– データ可視化 (一覧化、グラフ化、地図へのマッ
ピングなど) による傾向の分析
【Google Maps】【Google Fusion Table】
2013/12/14 44データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
(4/5) ファクト活用
抽出したファクトを、読者にとって分かり易い、
読者の興味を惹く形式に変換する
– 抽出したファクトをもとにニュースを書く (ストー
リーテリング)
– 抽出したファクトをビジュアライズ (可視化) する
– 抽出したファクトをもとにニュースアプリを構築す
る
【jQuery】【D3.js】【Google Charts】
2013/12/14 45データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
(5/5) インタラクション
2013/12/14 46データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
読んでもらう、使ってもらう
– 配信して終わり、ではない
– いかに読んでもらうか、いかに使ってもらうかを考
え、そのための仕組みを用意する
【Twitter】【Facebook】
2013/12/14 47データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
本日のまとめ
• データジャーナリズムとは?
– データからニュースを発見し、分かりやすく伝える
手段
• データジャーナリズムの特徴
– ジャーナリストだけでは実践できない
• データジャーナリズム実践の肝
– コストを掛けず、小さく実践
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 48
実践レポート
2013/12/14 49データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ジャーナリストキャンプ
• 2013年5月4日、福島県いわき市にて
• 取材の腕を競い合うイベント
• 会社・職種の枠を超えた15人が参加
• データジャーナリズムを結成して挑戦
2013/12/14 50データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 51データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
データジャーナリズムチーム
• 新聞社デスク from 東京
– 主に記事執筆担当、影のデスク
• 新聞社若手記者 from 大阪
– 主に取材担当
• 大学教員(アナリスト) from 大阪
– 主にデータ分析担当
• 通信社エンジニア from 東京
– 主にデータ可視化担当、デスク
2013/12/14 52データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
テーマ
データに反映されたファクトから
「福島」に関する新たなニュースを
見つけられないか?
2013/12/14 53データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
活動概要
• 2013年4月結成
• キャンプ前はメール、オンライン会議 (Google
ハングアウトやSkype) でコミュニケーション、
この段階ではテーマは決まらず
• キャンプ中にテーマを「風評被害がないことを
データで証明すること」に決める
• キャンプ後、100通を超えるメールのやりとり
• 7月8日、記事を配信
2013/12/14 54データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 55データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 56
特設サイトを用意
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
活用したデータ
• 東京都中央卸売市場の農産品卸売データ
• 福島県が公開している農産品シェアに関する
データ
• いわき市が公開している農産品消費に関す
るデータ
• 消費者庁が公開しているアンケートデータ
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 57
活用したツール
• データの分析
– Microsoft Excel
• データの可視化
– Google Public Data Explorer (無料!)
– Google Charts (無料!)
• データの公開
– Google Spreadsheet (無料!)
• 特設サイトの構築
– Twitter Bootstrap (無料!)
2013/12/14 58データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
読者の反応①
2013/12/14 59データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
読者の反応②
2013/12/14 60データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
読者の反応③
2013/12/14 61データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える― 62
2013年12月27日!
ご清聴
ありがとうございました
2013/12/14 63データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
事例集
2013/12/14 64データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14
先進事例
65データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 66
http://www.nytimes.com/newsgraphics/2013/08/18/reshaping-new-york/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 67
http://www.nytimes.com/projects/2012/snow-fall/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 68
http://www.theguardian.com/world/interactive/2013/may/26/firestorm-bushfire-
dunalley-holmes-family
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 69
http://connectedchina.reuters.com/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 70
<事例紹介>
行政を動かした
1枚の地図
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ワシントン州のメタドン薬害禍
-概要-
• 英題“Methadone and the Politics of Pain”
• 米シアトルタイムスのスクープ
• ワシントン州が医療費を節減するため安価な
一方で副作用の強い合成鎮痛剤「メタドン」を
多用、貧困地域を中心に8年間で2000人以上
が亡くなっていた事実を掘り起こした
• 最終的には行政を動かした
2013/12/14 71データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ワシントン州のメタドン薬害禍
-経緯-
• 2010年末、医療関係者から「メタドンの副作
用で死亡するケースが多い」とのタレこみ (端
緒・テーマ設定)
• 公共機関が公開している複数のデータセット
及び文書の調査を開始 (データ収集・分析)
• 調査結果を元に100人以上の関係者へインタ
ビューを実施 (裏取り)
• 調査結果を公開 (発表)
2013/12/14 72データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 73データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 74データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14
世界に広がる
データジャーナリズム
-DJA2013から-
75データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
議員の出費の可視化
@アルゼンチン
• アルゼンチンの新聞社 (LA NACION) によるプ
ロジェクト
• 膨大な量の紙 (PDF) に記載されていた議員
の出費に関するデータを抽出し、データベー
ス化
• データ分析結果をもとに、二重請求や、高額
出費をスクープ
• DJA2013データ駆動調査報道部門賞 (大規模
メディア部門) を受賞
2013/12/14 76データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 77
http://blogs.lanacion.com.ar/ddj/data-driven-investigative-
journalism/argentina-senate-expenses/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
全高校の学力の可視化
@コスタリカ
• コスタリカの新聞社 (La Nación) によるプロ
ジェクト
• 国内にある全ての高校の学力を、国内最高
の大学 (UCR) への進学者数をもとに可視化
• 調査を進め、私立学校と公立学校、都市部と
地方の進学率の差を数値で示した
2013/12/14 78データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 79データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
福島原発事故による避難者を可視化
@スイス
• スイスの新聞社 (Neue Zürcher Zeitung) によ
るプロジェクト
• 福島県と東京電力から取得したデータをもと
に、福島県からの避難者数と避難先を可視
化
• 避難者のインタビュー記事も掲載
2013/12/14 80データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 81
http://fukushima.nzz.ch/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
南海トラフ地震の影響を可視化
@日本 (朝日新聞)
• 南海トラフ地震が発生した際に予想される津
波の高さや、人的被害・建物被害の規模を可
視化
• ニュースアプリも用意され、住所を入力するこ
とで、特定地域の被害予想も確認できる
2013/12/14 82データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 83
http://www.asahi.com/special/nankai_trough/
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
ProPublica
• アメリカの調査報道専門のNPO
• 設立から5年でピューリッツアー賞を2度受賞
• “テクノロジーを活かした” 取り組み
– Tools & Data
– MuckRead
– Nard Blog
– P5 (The ProPublica Pair Programming Project)
2013/12/14 84データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
2013/12/14 85
体制 @ProPublica
<News Room (37+)>
編集チーム
C.A.R.チーム
(2)
ニュースアプリケーションチーム
(4)
フェロー
(3)
データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
進むコラボレーション
• データジャーナリズムの専門チームを設置
• “ハッカー” の採用を促進
• 外部協力者 (研究者・専門家) の拡充
• 同業/異業種間のコラボレーション
2013/12/14 86データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―
<ご参考> リンク集
<事例紹介> 変わらなかった銃社会
■ 銃に囲まれた生活 (lohud.com)
http://www.lohud.com/interactive/article/20121223/NEWS01/121221011/Map-Where-gun-permits-your-neighborhood?gcheck=1
■銃の使われ方 (The Washington Post)
http://www.washingtonpost.com/sf/feature/wp/2013/03/22/gun-deaths-shaped-by-race-in-america/
■銃が奪った人生 (The Guardian + Periscopic)
http://guns.periscopic.com/?year=2013
■それでも変わらなかった議会 (ProPublica)
http://projects.propublica.org/guns/
<その他参考リンク>
■データジャーナリズムアワード
http://www.globaleditorsnetwork.org/dja/
■ハンスロスリング氏の動画
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jbkSRLYSojo
■インフォグラフィックのデータベース「visual.ly」
http://visual.ly/
■シアトルタイムズによる薬害禍報道 (データジャーナリズム実践事例)
http://seattletimes.com/flatpages/specialreports/methadone/methadoneandthepoliticsofpain.html
■最近の凄い事例① Reshaping New York by The New York Times
http://www.nytimes.com/newsgraphics/2013/08/18/reshaping-new-york/
■最近の凄い事例② Snow Fall by The New York Times
http://www.nytimes.com/projects/2012/snow-fall/
■最近の凄い事例③ Firestorm by The Guardian
http://www.theguardian.com/world/interactive/2013/may/26/firestorm-bushfire-dunalley-holmes-family
2013/12/14 87データジャーナリズム ―異業種のコラボレーションがニュースを変える―

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データジャーナリズム―異業種のコラボレーションがニュースを変える― (2013年12月)

Hinweis der Redaktion

  1. ・15年選手
  2. ・伝統的なジャーナリズムでは、ニュースソースは「政治家」「官僚」「研究者」に対する記者会見やインタビューなど、人がメインだった ・データジャーナリズムでは、「データ」がニュースソースとなる ・主戦場はネット
  3. ・事例を一つ、ストーリー形式でご紹介
  4. ・銃の保有者を地図にマッピングしたもの ・ネットで話題となった ・地図を利用した手法は、「わがこと」としてとらえて貰うために良くつかわれる ・lohud.comは米雑誌会社「ガネット」が運営
  5. ・人種別に銃の用途を可視化 ・「黒人は他者を傷つける目的で銃を使う傾向が高い一方、白人は自殺目的で銃を使う傾向が高い」「白人に比べて黒人の方が銃規制の要望が強い」「地方よりも都市部の方が銃規制の要望が強い」「州別の銃による自殺・他殺の割合」といったファクトが可視化されている
  6. ・「銃で死亡した人がもし生きていたら」を可視化したもの ・一本一本のラインが人生を表している ・銃で死亡した時点が、オレンジと灰色の境となっている ・2013年6月の時点で4088人が死亡し、179483年の時間が奪われた、ことがわかる ・これもネットで話題となった
  7. ・銃規制法案に対する各議員の立ち位置を可視化したもの ・最終的には廃案となったが、誰が賛成し、誰が反対したのかが一目瞭然 ・これは今も残っている ・次回以降の選挙にどのような影響を与えるか、注目したい
  8. ・2012年3月ごろからデータジャーナリズムに興味を持ち、事例を研究したり、実践を試みたりしてきた ・感じたのは「ニュースにイノベーションが起きている」ということ ・データジャーナリズムは、メディアと読者の関係をかえはじめている ・後ほど、ひとつ、事例を紹介する
  9. ・どのような国、どのようなメディアがイノベーションに取り組んでいるのか、みてみたい ・これはデータジャーナリズムアワード2013のファイナリスト「73」を国別に並べたもの。300を超える応募があった、今年2回目 ・日本からの参加、2012はなかったが、今回はあった。朝日新聞による「南海トラフ地震の被害想定」 ・メディア別ではGuardianがトップ。ProPublica、BBCが続いている
  10. ・ちなみにこちらは昨年のデータジャーナリズムアワード2012への応募状況を可視化したインフォグラフィック ・ヨーロッパ、北米だけでなく、南米、アフリカ、アジア、オーストラリアなど、51カ国から、286作品の応募があった
  11. ・8月のMOOC、データジャーナリズムのオンライン講義 ・受講していた方、いらっしゃいますか? ・「やろうとしている人」も世界各国に広がっている、135カ国から、3564人が参加した ・ところでこれ、見難いですよね?
  12. ・受講者の一人が作成したインフォグラフィック ・アメリカが圧倒的なのがわかる ・ただ、ここにいるひとにとって、もっと分かりやすくしたかったので、自分で作ってみました
  13. ・それがこれです ・日本人を対象に、データジャーナリズムに取り組んでいる人たちの多様性を伝えたかった ・主催国であるアメリカが多いのは当然なので、なくした ・どうでしょうか?ブラジル、イギリス、カナダ、メキシコ、オーストラリア、スペイン、インド、オランダが頑張っているのがわかる ・右上の数字は、アメリカをのぞいた受講者に占める日本人の数 ・英語開催でこの数字はそれほど悪くないように思う(実際に受講したかどうかは別ですが)
  14. <データの激増> ・政府・自治体、企業などによるデータ公開の推進 ・ツイッターやブログをはじめとする、ソーシャルメディアの浸透 ・多様なネットアプリの出現 ・センサーデータも利用されはじめている <データ処理能力の向上> ・PC処理能力の向上 ・クラウドサービスの普及 <分析・可視化ツールの普及> ・データを取り扱うためのハードルを下げる
  15. ・時事も遅ればせながら実践しています <毎日新聞の取り組み> ・参院選2013において、ツイッター分析を軸にした報道を展開 ・現場記者がチームを組織し、率いた ・専門家との協業 ・デザイン会社との調整 ・社内調整 (編集・広告・システム部門)
  16. ・これまでの報道手法と大きく異なる部分
  17. ・9月にNYへ取材に行った ・NYTのシステムエンジニア、デレク・ウィリス氏、に対応していただいた。44歳、iPadを利用する7歳の娘がいる ・MOOCのデータジャーナリズムコースで講師を務められた ・前職はワシントンポストでデータ分析、ウェブサイト構築に従事 ・6年前にNYTへ転職、データのユーティライズ(使いやすくする)や、ウェブアプリの構築を担当
  18. ・「これまでで最もエキサイティングなデータジャーナリズムプロジェクトは?」との問いにデレクさんが挙げたのがToxic Warters、邦題は「汚染水域」 ・デレクさんはこのプロジェクトでデータの収集とユーティライゼーション(データ可視化、データ分析、アプリ構築しやすくする)を担当した ・記者、デザイナー、アナリスト、他のエンジニアと連携、ハブのような存在
  19. ・記事は10本、これに、データを活用した多角的な報道が合わさった、まさに「データジャーナリズム」といったプロジェクト ・データ量がものすごかった。例えば、調査データは2000万件を超えた、データを可視化して届ける必要があった ・読者にニュースを身近に感じてもらうための工夫がものすごい ・グラフィックは読者の理解を助ける ・ニュースアプリ、自分の住むエリアに汚染源があるか、検索できるようにした。 ・ニュースはこれまで一方通行だった。ニュースアプリは双方向になる。「さらに知りたい」に応える ・動画によるインタビューは印象に残る。NYTには映像のディレクターもいる ・これはもう、ジャーナリストだけでは実現できない ・エンジニアとしてはニュースアプリに興味があった、少し詳しくみてみる
  20. ・これは伝統的なスタイルのニュース。ネットもそうだが、テレビや新聞もこのスタイル ・ネットであれば、公開後は見てもらうことが勝負
  21. ・ニュースアプリは「機能を持ったニュース」、公開してからが勝負 ・「読者」ではなく「ユーザー」、「記者/編集者」ではなく「多様なスキルを持ったチーム」 ・ニュースの発信側と受信側の関係を変えた、イノベーション。ニュースアプリは、これからの報道の鍵となるとみている
  22. ・読者の反響、大きかった ・「これは報じられなくてはなりません」「続報が読みたい」「この記事が行政に変化をもたらすことを期待します」 ・社会も動いた ・成果も認められた ・IRE Medalは優秀な調査報道に授与される
  23. ・汚染水域の報道は、紙面でも展開された
  24. ・データを扱うには、ジャーナリストだけでは難しく、チームによる実践が欠かせない ・NYTのデレクさんはデータ・エンジニア、データジャーナリズムで肝になる ・調査報道チームにエンジニアのデレクさんも名前を連ねている、これはまれなこと、きいたことがない
  25. ・Toxic Wartersのような素晴らしいプロジェクトが生まれた体制を見てみたい ・1200人体制のニュースルーム、ほとんどはジャーナリストだが ・グラフィックスチーム、30名程度 (グラフィック、写真、映像のプロ)、グラフィックスのほか、写真、映像を担当、紙の時代からある ・ネットの充実とともに、拡大してきた ・C.A.R.チーム 、6〜7名 (アナリスト)、データ分析専門チーム、約20年前に設立 ・インタラクティブニュースチーム、20名程度 (ソーシャルエディタ、エンジニア)、ユーザとのインタラクション、ニュースアプリの作成を担当、7年前に設立 ・D3.jsを作成したマイクさんもインタラクティブチームにいる ・一人が複数のプロジェクトに関わる
  26. ・伝統的な編集体制、セパレートされている ・この体制でデータジャーナリズムは難しい ・恐らく、ネットの活用そのものが難しいのではないか
  27. ・NYTのイノベーティブな報道はまだまだある ・NYTとガーディアンのグラフィックを活用したニュースをまとめたサイト ・NYTのイノベーティブなニュースの数々は、先ほどのような体制から生まれてきた ・このサイトのリンクは後ほどイベントページにアップしておきます
  28. ・データジャーナリズムの範疇をこえるが、読者に見られる工夫を聞いてきた ・手間暇かけたデータジャーナリズムのニュースを見てもらうために、重要だとデレクさん ・コメント:反応の善し悪しをみる。記事に反映 ・ソーシャルメディア:スーパーユーザーを特定し、アプローチ ・ロケーション情報(どこからアクセスしてきたか)の活用:先月のニューヨーク州知事選挙から、トップのレイアウトがかわる ・たゆまない「読者に届ける工夫」がある ・ジャーナリストだけではできない
  29. ・ニュースルームでジャーナリストと協業し、見続けてきたデレクさんが語ったデータジャーナリズムにおける「ジャーナリストの役割」 ・「プロに任さればよい」という言葉が耳に残っている
  30. ・エンジニア、アナリスト、デザイナーなど、これまで編集現場に関わっていない人たちをいかにして巻き込むかに注力している
  31. ・ここで紹介した事例は記事としてもまとめています ・私は取材と構成を担当、記事は記者の方に書いていただきました
  32. ・試される技術力
  33. <OSS> ・D3.jsを筆頭としたjQueryライブラリ ・R ・ProPublicaやNYTは自社で作成したものをOSSとして公開している ・Code for AfricaやAmericaも協力 <Google> ・Spreadsheetを筆頭に、Charts、Trends、Fusion Table、Mapsなど多数 <Cloud> ・ビッグデータ解析に利用、Amazon AWSがよく使われている <その他> ・プログラミング言語としてはRuby/Rails、JavaScriptがメイン ・使ってもらう、あるいは利用のハードルを下げるための手段として、ソーシャル連携もよく見られる
  34. ・既存の手法では利用したデータをオープンにしよう、とはならない ・オープンなデータを使うだけでなく ・オープンになっていないものをオープンにするのもデータジャーナリズム
  35. ・昨年のデータジャーナリズムアワードに出品された作品は、平均4人のチームで取り組まれていた ・取り組み期間の平均は5ヶ月 ・「8時間」というのもある。まずは小さく実践してみることが重要、そのための環境は整っている
  36. ・居場所がばらばらでも「データ」を共有していれば協業できる
  37. ・東大で原子力の研究をされている早野教授 ・福島第一原発以降のメディアの報道には非常に厳しかった ・その方からこうした反応をいただけたのは素直にうれしい
  38. ・こちらは阪大の平川准教授からの反応 ・平川准教授の専門分野は科学技術社会論、ということで、こちらも素直にありがたい反応
  39. ・ツイッター上では読者からの反応が多く、また、多様だったこともあり、こうしたまとめページも作られた ・まとめページ自体もよく見られている
  40. ・ブルームバーグ市長の「12年」を可視化したプロジェクト
  41. ・雪山遭難事故を可視化したプロジェクト ・「ドキュメンタリー1本分の資本をつぎ込んで」つくられた ・地理データや気象データなど、ありとあらゆるデータを駆使
  42. ・NYタイムズの「Snow Fall」に触発されたガーディアンによる渾身のプロジェクト ・オーストラリアで発生した大規模な山火事の被害状況を可視化
  43. ・複雑怪奇な「中国の政治」を分かり易く可視化したプロジェクト ・ロイターの社員も「ツール」として利用
  44. ・緑の色調は世帯所得を表す ・色が濃いほど所得が高く、色が薄いほど所得が低い ・低所得者が済む地域に被害が集中していることが、はっきりとわかる
  45. ・「教育」は生活者にとって非常に身近なトピック ・そのため、こうした取り組みはコスタリカの他、イギリスやアメリカ、フィンランドなど、世界各国で実施されている
  46. ・データ、可視化は言語を超える
  47. ・私が尊敬している報道機関、報道に対する真摯な態度を持っている ・組織の規模は小さいが、やっていることはものすごい ・少ない人員でもレバレッジをきかせようとする工夫がものすごい、メディア間コラボ、読者とのコラボ ・NYTもそうだが、伝える技術をオープンにしている、報道機関の義務だと話す ・「ニュースアプリ」専用のプログラマを養成するP5 ・技術取り込みに貪欲、技術移管する姿勢も素晴らしい ・もはやテクノロジー企業
  48. ・37人と、インターンシップ ・プロパブリカには8名(うち2名はフェローシップ)で構成される「ニュースアプリケーションチーム」、2名で構成されるC.A.R.チームがある ・先ほどあげたチャレンジは、アナリスト、エンジニアとの連携があってはじめて実現した
  49. ・エンジニア、アナリスト、デザイナーなど、これまで編集現場に関わっていない人たちをいかにして巻き込むかに注力している