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図書館の自由宣言の想定射程距離
    :図書館雑誌からみえてくるもの
                      (1952-1954)
                    図書館情報学学習会
                    於 京都府立医科大学附属図書館




                           @yuki_o
                        京都・図書館情
1      2010/07/15        報学学習会
注意
     勉強会のスライドが元になってい
      ます
     議論の流れをすこしいじってます
     サーベイ不足を指摘された「恥」
      のスライドです
     一面的な物言いに過ぎないので,
      引用等の水準には耐えません

    そこんところよろしく
2010/07/15  京都・図書館情報学学習会
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アジェンダ
     図書館の自由宣言の成立過程
       – 研究の背景
       – 図書館の中立性
       – 図書館憲章と図書館大会

     まとめ




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本題
   「図書館の自由に関する宣言」
    の
    成立過程について,
    調べたことをおはなしします

   なぜ?
    – 選書論に興味を持ったから
       – 疑似科学図書と図書館の問題
            これもKu-Librariansで.
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                                    4
図書館の自由に関する宣言
    図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由を
    もつ国民に、資料と施設を提供することを、もっ
    とも重要な任務とする。この任務を果たすため、
    図書館は次のことを確認し実践する。

       –   第1 図書館は資料収集の自由を有する。
       –   第2 図書館は資料提供の自由を有する。
       –   第3 図書館は利用者の秘密を守る。
       –   第4 図書館はすべての検閲に反対する。

    図書館の自由が侵されるとき、
    われわれは団結して、あくまで自由を守る
                 (日本図書館協会 1954年採択,1979改訂)
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                               5
図書館の自由宣言について
     素晴らしい綱領!


     でも個人的な不満がある
       –   進歩を妨げている可能性
              例:貸出履歴の活用に反する動き
              「原理主義」的な独善性がしゃくにさわる
             (笑



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                                6
自由宣言支持をめぐって


     疑わない姿勢はもちろん大事

              でも疑う技術のない
             「疑わない姿勢」はきけん



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内心…


   ヽ( `Д´)ノ

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で?
     むやみやたらに疑うと泥沼
     でも疑わないのも不健全

    …じゃあ成立過程に立ち戻ってみよう.
    →今回の調査をやってみる原動力に

    本当は
    「これまでの「図書館の正義」の話をしよう」
    …ってタイトルにしたかった



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図書館雑誌


    言わずと知れた日図協による逐次刊行物
    明治40年(1907)創刊
    日本文庫協會の手によるもの


      図書館の自由宣言は本誌を舞台に成立した



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教科書では?
    植松貞夫ら(編)『図書館概論』樹村房.2005
     日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣
      言」では,「図書館は,国民の知る自由を保
      証する機関として,国民のあらゆる資料要求
      に答えなければならない」として,「資料収
      集の自由」「資料提供の自由」「利用者の秘
      密保持「検閲の反対」を唱えている.

    これだけ?
     →そう,ほとんど,これだけなんです
    他の書籍でもそれほど言及はない
         (『図書館史近代日本編ですら…』)

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じゃあ実際にたどってみよう


       図書館法制定:1950年
       当時の図書館雑誌は「誌上討論」が盛ん
        –   「自由論壇」コーナー


               我々がBlog,Twitter等で
                しゃべってるノリ?




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当時の背景
     1952年(昭和27年)
       – 講和条約発効,GHQが廃止される
       – 吉田首相「自衛のための戦力は憲法に
         違反しない」→取消
       – 破防法可決,公布
       – 流行語:
              「火炎瓶」「エッチ」
             「ヤンキー・ゴー・ホーム」「風とともに
             去りぬ」

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図書館雑誌 Vol.46 No.6(1952)
       山形県立図書館接収を解除
       中井正一(日図協理事長,国会図書館副館長)急
        逝

       座談会「占領は日本の館界にプラスであったか」
        –   出席者:
                有山崧(ありやまたかし):
                 日図協事務局長.後に日野市長.
                雤宮祐政(あめみやすけまさ?)
                 –   東京医科歯科大学図書館事務長.後に山梨英和短大?
                武田虎之助(たけだとらのすけ)
                 –   東京学芸大学講師,50年頃図書館雑誌編集長
                加藤宗厚(かとうしゅうこう)
                 –   国会図書館支部上野図書館長,富山県立図書館長も経験
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図書館雑誌 Vol.46 No.6(1952)
       「占領は日本の館界にプラスであったか」

        –   有山「それが過去があらうと皆文部省に関係した人で,これは
            偶然にそうであつたので,別に作為はありませんから,今日は
            ひとつ昔の経歴を別にしてアケスケに大いに喋ってもらいたい
            と…」(強調:発表者)

        –   武田「図書館法は占領中の立法なのでいろいろ批判が起こると
            思う.内容的に向こうから押し付けられた点は無いか.こちら
            の意図に反して法の中にもらざるを得なかつた部分は無いか.
            又はぜひ入れたかつたものが,当時の事情でやむを得ず伏せて
            あるといった点はないか…」




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図書館雑誌 Vol.46 No.7(1952)
       第6回日本図書館協会総会
        –   議事録あり
                分会がいくつか
                図書館司書は15単位で尐なすぎる!という議論あり
                図書館のうたを作りましょうという提案あり

        –   公共図書館部会:
                「神戸では人夫がやつてきて小説をかり,ひるねをしてい
                 る」
                「一人10円ずつだしてもらつて」
                「反対である.貧乏な日本人をいよいよ貧乏にする」




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図書館雑誌 Vol.46 No.7(1952)
    Editorial Forum(編集後記)
     すべてはここからはじまった…


       –   有山「九州大会の折,「破防法について緊急動議
           を出して大会決議によって「反対」を図書館とし
           て表明したらどうだ,という話が内々交わされて
           いたそうだ」


       –   有山は基本的にこの動議に反対する



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有山の論
     破防法は政治問題
      –   図書館はインフォメーションセンター
      –   インフォメーションセンターは客観的な資料
          を
          提供するところ
          :中立のため一切の政治や思想から離れるべ
          き
      –   図書館の使命は情報提供にとどめ,国民の
          判断に供する

     有山「ここに図書館の新しい近代社会想
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破防法
       昭和 27年法律 240号。
        しばしば破防法と略称される。占領下において
        制定された団体等規正令が講和後廃止されるの
        に伴い制定されたもので,その目的は,
        (1) 「団体の活動として暴力主義的破壊活動を
        行なった団体に対する必要な規制措置を定め
        る」とともに,
        (2) 「暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を
        補整」し,もって「公共の安全の確保に寄与す
        る」ことにある。(……)
        言論,出版,集会,結社の自由を侵害するもの
        ではないかとの批判もあり,本法の適用につい
        て裁判所は慎重な態度を持してきている。
                       (ブリタニカより)

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図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)

     特集「図書館と中立についての討
      論を提案する」




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図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)

     特集「図書館と中立についての討
           問題は,誰が.何に対して
             中立であるか,という具体
      論を提案する」  的なことであろう


             (アメリカであったこと)
             暗黒世界のボスからその社
             会を暴露した本があった場
              合図書館員はどうすべき
                  か?



               一切の沈黙を守ることが中立で
               あり得るのか?選挙に関する公
               示事項のみの大衆への提供が”中
               立”を意味すれば,図書館の活動
                 の活動の冬眠を意味する

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図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)

     特集「図書館と中立についての討
      論を提案する」
  「私は,ちゆう         閲覧表の官憲による提示
  ぶらりん,でい         の要求事例があったら?
  たいのである」
  と言いつつも,
  結局橋に解決を         アカハタ
  求めざるを得な
  かつた,いわゆ
  る“徳田要請”に
  からまる管証人
  事件を思い出し
  ていただきたい
      …



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                           22
徳田要請問題
     徳田要請問題(とくだようせいもんだい)

         1950年2月ソビエト連邦のシベリア抑留か
      ら帰還した引揚者の一部が、自分たちの帰国
      が遅れたのは日本共産党書記長であった徳田
      球一の要請によるものだと主張した事件。3
      月から4月にかけて衆議院と参議院の各委員
      会で当事者が証人喚問され、証言者が遺書を
      残し証言翌日に自殺したことで話題となった。
      「徳田要請」「徳田要請事件」とも呼ばれて
      いる。
    (Wikipediaより.まともな情報ソースじゃな
      くて
      すまん)
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図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)

     特集「図書館と中立についての討
            我々の欲する
                   と欲せざると
      論を提案する」      にかかわらず
                   日本はいまあ
        ことしの図書館
                   きらかに軍国
        大会を持つた九
                   主義化してい
        州の地は,“日本
                      る
        の南端”であると
        同時にまた世界
        でもつとも朝鮮
         に近い土地で
           あった              あきらかに昼は,その手でロ
                            ケット弾の発射ボタンを押し
                            たと思われるその手が,夜,
                            われわれと同じ血を持つ女性
                            にたわむれかけられるのを見
                            なければならない土地で日本
                            の図書館界の発展は論じられ
2010/07/15                        た
中立とは何か?

     座して待つのが中立なのか?
       –   (有山はそっち派)
     それとも積極的活動主義なのか?
       –   (編集部)

     基本の枠組みはこれで
       ほぼ完成しているといってよい

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図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)
       提起ページの次頁に…

     「自由論壇」豊橋市立図書館,中村光雄による投書
     偶然な話から若し思想問題について
       警察が閲覧証を調べに来たときにどうするか?
    いくつかのパターンの想定:
        –   昔は見せた
        –   見に来れば見せる
        –   見せるために閲覧証を保存すべきでない
        –   絶対に見せるべきではない


       中村「私はこう思います「絶対見せてはいけない」.若し見せ
        たとすれば私達は職権を乱用して基本的人権を侵したという罪
        を負うのです…」…「しかし破防法が成立すればこういう事の
        起る可能性はますます. [ママ]大きくなります.できることなら
        JLAで取り上げ…」
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                                   26
図書館の中立についての議論




       (発表時には当該ページのコピーを
       配布しました)



     匿名(ペンネーム)による議論多し



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TimeLine(1)
       1952年8月
        –   図書館と中立についての論議の提起
        –   8/15を狙ったという編集部の発言
       9月
        –   阿羅巌「中立を守る権利がある」
        –   諸尾露夫「平和擁護と図書館」
       10月
        –   中村光雄「民衆への自主的な中立を」
        –   らいぶらりあん生「編集者への手紙」
        –   K生「図書館の自由と責任」
        –   鳥羽省三「中立とは正確な現實把握の態度である」
        –   安藤政信「再軍備資料の不買を
        –   南諭造「公共図書館と中立性」
        –   宮原賢吾「閲覧証について」
        –   片山良爾「閲覧証をめぐる問題の解答」


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Timeline(2)
       11月
        –   大西博「図書館と中立について」
        –   永芳弘武「中立についての立場」
        –   雲野散歩「図書館と中立」
        –   宮原賢吾「自主性と使命」
        –   雤宮祐政「図書館と中立について」
        –   石川捨治郎「官憲と図書館」
       12月
        –   そうや生「図書館の主體性が根本問題」
        –   伊藤旦正「図書館倫理要綱について」
       1953年1月
        –   編集部から再度の原稿募集の再提案



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Timeline(3)
       1953年2月
        –   前年11月に朝日新聞誌上で行われた図書館の中立性論争の再録
       3月
        –   図書館法改正の議論噴出(6月近くまでその議論ばかり)
        –   佐藤晃二「世論形成に図書館は利用されるな」
        –   池口勝三「中立について」
        –   裏田武夫「図書館人の客観性が根本問題」
       4月
        –   植岡信夫「問題となったボストン公共図書館の“中立性”」


       ここから9月くらいまで図書館法改正の議論が専ら行われ
        る


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それぞれどういう議論がなされたのか?

     阿羅巌:「図書館は知らせる権利を持った」,破防法への警戒
     諸尾露夫:「主観をまじえない客観などありえない」,再軍備
      への警戒,破防法への言及
     中村光雄:「図書館から民衆が離れることは図書館の敗北」,
      民衆へのサービス
     らいぶらりあん生:「中立について態度を決めることは「戦
      争」と「平和」の問題をいかに考えるかと同じこと」
     K生:戦時中の新聞の過誤と「占領軍にたたきこまれたプレス
      コード」,「私はわれわれの「図書館倫理要綱」を作つてみた
      いと考える」資料収集,保存の広汎な自由を要求
    →図書館の自由宣言の萌芽に!

       植岡信夫「問題となったボストン公共図書館の“中立性”」:
        マッカーシズムについて報告


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大雑把にここまでをまとめると

       「中立」討論とでも呼ぶべき討論

       『図書館雑誌』が媒介
        –   「中立とは何か」の議論
             論争ほどではないか…
        –   破防法,冷戦,再軍備,マルクス主義,
            図書館法改正の時代背景
        –   新聞の倫理綱領の影響



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Timeline(4)
       1953年9月
             –   男沢淳「「マッカーシー旋風」をどうする」

       10月
       図書館憲章(委員会案)提出
             基本的人権の一つとして,知る自由を持つ民衆に,資料と施
                設を提供することは,図書館のもつとも重要な任務である.
             われわれ図書館人は,その任務を果たすため,次のことを確
                認し実践する.
             1. 図書館は資料収集の自由を有する
             2. 図書館は資料提供の自由を有する
             3. 図書館はすべての検閲を拒否する.
             図書館の自由がおかされる時,われわれは団結して抵抗し,
                関係諸団体との協力を期する.


2010/07/15                京都・図書館情報学学習会
                                     33
貸出履歴


     このあたりで
      貸出履歴問題について出てくる
     「記録しなければ見せようがない」


                       …でもこれ
             「もしポリ公がきたら?」という
                 「思考実験」なんだぜ?


2010/07/15       京都・図書館情報学学習会
                            34
閲覧証問題
Vol.46 No.10(1952)
片山良爾「閲覧証をめぐる問題の解答」

「…それならば閲覧証を保存しなかつたらどう
 なるかを考えていただきたい.ポリ公が来よ
 うが,家で息子の父親が来ようが,ボスが来
 ようが,無いものは無いので見せようがない
 .ちょうど私に借金する時みたいに無いもの
 は貸せないのです.至つて簡単なことです」
2010/07/15   京都・図書館情報学学習会
                        36
図書館憲章委員会とその背景

     佐藤忠恕(当時50歳?)が委員長

    ALA採択:「図書館の権利宣言」
    (1939年版はLibrariy’s Bill of Rifgts,1948年以
      降Library Bill of Right)
    ナチの検閲,
    スタインベック『怒りの葡萄』への検閲への反
      対



2010/07/15             京都・図書館情報学学習会
                                  37
図書館憲章の提案とその反応

       1954年1月以降反応あり

        –   福岡県公共図書館協議会
              民衆を公衆におきかえる

        –   大分県立図書館職員,鹿児島県図書館協会
            など:賛成
        –   草野正名:代案によって補足,賛成




2010/07/15            京都・図書館情報学学習会
                                 38
図書館雑誌 Vol.48 No.2(1954)
       彌吉光長「図書推薦者の態度-その批判と改
        善のために-」
        –   直接的な自由宣言とは関係ないが,彌吉の引用は
             その当時の空気を伝えている

        –   推薦図書自体への忌避感が当時存在した
             「戦時中…「文部省推薦」「○○推薦」というレッテルをはられ
              た図書の中に,どの位下らぬそして人迷わしのものがあつた
              かを,実に煮え湯をのまされるようなおもいで経験してい
              る.」
        –   マルクス主義の影響
             「アメリカのデモクラシーと自由との原則を支持する文献のほ
              かにマルクシズム[ママ]のドクトリンの権威ある展開をしたもの
              がなければならない」

2010/07/15               京都・図書館情報学学習会
                                    39
図書館雑誌 Vol.48 No.4(1954)

    目次に注目
    もくじ:
        –   公共図書館奉仕の発展 –IFLA
        –   農村における図書館奉仕の起点 –栗林正夫
        –   大学図書館における参考業務と学生指導 -村上清造
             …               実際のページにおいて
                             は見出しではないし,
                             ましてや特集ですらな
        –   資料室                   い

        –   教育の中立性に関する資料     わざわざ目次立てした
                               編集部の意図…
                        教育の中立性論争と
                       横糸でリンクしていた?

2010/07/15            京都・図書館情報学学習会
                                 40
図書館雑誌 Vol.48 No.5(1954)

       ジョン・J・ボル「ALAと知的自由」
        (裏田武夫訳)の登場

       Library Bill of Right採択にいたるまでの道の
        りの紹介論文
       翻訳論文が載るのは戦後初?




2010/07/15             京都・図書館情報学学習会
                                  41
そして…

             1954年
              5月
              28日
2010/07/15    京都・図書館情報学学習会
                         43
1954年5月28日


     第7回全国図書館大会
             (最終日?)

     第8回日本図書館協会総会

    この日のログはVol.48 No.7にて可読



2010/07/15             京都・図書館情報学学習会
                                  44
この大会の特徴
       異常にアツい!
        –   ログ読んでるだけで感動する


        –   総会の参加者:120名
        –   白紙委任状:115通
        –   記名委任状:158通
        –   合計で393名

       ただし当時の会員数は1864人
        –   …実際の参加者は1/10以下だった?

2010/07/15            京都・図書館情報学学習会
                                 45
採択までの経緯



     全会一致には程遠い
       –   委員長が挙手を数える程度


     再論・再々論が当然行われていた
       …


2010/07/15       京都・図書館情報学学習会
                            46
アツさを伝える議事録
   ここから開始




            まだまだ喋るよ!
アツさを伝える議事録(2
)

 まだまだ喋るよ!


            ここでおしまい
一読した感想



     図書館の自由に関する宣言は
      完全に「難産」だった!



2010/07/15   京都・図書館情報学学習会
                        49
お約束



 発表時にはΩ Ω Ωがいましたが
 大人の事情により削除
図書館の自由に関する宣言をめぐって



     ぶっつづけで議論していたらしい


     全国図書館大会:
       –   日図協の名前で出すことを条件に
           総会に委任



2010/07/15        京都・図書館情報学学習会
                             51
第8回日本図書館協会総会


      演説者多し
      大議論多し
      文面についてのチェック多し

             これは燃えるぞ!

2010/07/15   京都・図書館情報学学習会
                        52
主要な論点
       「抵抗する」の文言をめぐって
        –   無駄な刺激を与えないか?という危惧
        –   「子どもじみた」という発言


       「各方面への協力」
        –   図書館界内部で完結すべきものでは?

               もちろんそれ以外にもいろいろ論争



2010/07/15          京都・図書館情報学学習会
                               53
もう一度委員会案を振り返る
    基本的人権の一つとして,知る自由を持つ民衆に,
     資料と施設を提供することは,図書館のもつと
     も重要な任務である.

      われわれ図書館人は,その任務を果たすため,次のこ
         とを確認し実践する.
      1. 図書館は資料収集の自由を有する
      2. 図書館は資料提供の自由を有する
      3. 図書館はすべての検閲を拒否する.


    図書館の自由がおかされる時,われわれは団結し
     て抵抗し,関係諸団体との協力を期する.

2010/07/15      京都・図書館情報学学習会
                           54
結果…
       第1 図書館は資料収集の自由を有する。

       第2 図書館は資料提供の自由を有する。

       第3 図書館はすべての不当な検閲に反対する。

    図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結
     して、あくまで自由を守る。

                       …こうなった
2010/07/15       京都・図書館情報学学習会
                            55
あれっ?


   第三   「利用者の秘密」がない
   ぞ?

   「すべての不当な検閲」ってな
   に?



    (現在のかたちになるには1979年改定を待つ
2010/07/15    京都・図書館情報学学習会 56
図書館の自由宣言の青臭さ
     有川浩インタビュー「『自由宣言』は勇まし
      い!」
             (『ず・ぼん』2007年11月)
      →まあそりゃそうだろ


   なんであんなに青臭いの?

     有山崧「そしてその執筆者の多くは30前の青年であ
      る.…時代が変わつたのか,今更青臭い議論を一緒
      になって出来ないと思うのか,何れにせよその館の
      強いては館界の動向を実際的に決定する地位にある
      館長・ベテランの連中が意見を出さない…」
2010/07/15       京都・図書館情報学学習会  57
まとめ
       図書館の自由宣言には
        「中立」とはなんぞや論が背景

       若手が中心として活動した可能性
                (総会中の発言)「私も若いので…」


       破防法,朝鮮戦争,マルクス主義
        …といった時代背景がある!
       羹に懲りて膾を吹く?
         <こういうのはヤヴァいかも
2010/07/15                京都・図書館情報学学習会
                                     58
そこで…
       戦前の図書館が思想善導機関であったのは
        間違いない
       その反省……ではあるんだけど,
        当時ならではのイデオロギーがあったのは
        間違いなさそう

       昔の「若手」がつくったのがポイントでは?

    (ちなみに図問研は1955年に成立)


2010/07/15       京都・図書館情報学学習会
                            59
フルボッコ覚悟でいうけど

    もしかして:
          現代の
    「図書館の自由に関する宣言」って
        成立時の文脈が
      ほとんどすっぽ抜けてね?


2010/07/15   京都・図書館情報学学習会
                        60
大人の事情により(ry

※イラストが入ってました
なので…

    ぼくは「○○すべき」とはいわない
    (思想史・社会学ゼミ出身だから)

             でも成立過程については
              おさえておきたいよね



2010/07/15        京都・図書館情報学学習会
                             62
今後の課題



     いまやってるネタなので
       いちおー,秘密に.




2010/07/15   京都・図書館情報学学習会
                        63
ながながと…


     ご清聴ありがとうございまし
           た!

             Twitter:@yuki_o




2010/07/15          京都・図書館情報学学習会
                               64
おまけ      Vol.46 No.9(1952)
       「言いたいこと」という投書
       竹田平:横須賀市立図書館長

       「図書館は社会教育の中心機関である」てな愚にも
        つかぬお題目…
       「あの頃の図書館員はひどくみじめなものだつた.
        社会的には全然問題にされず人一倍骨の折れる仕事
        に従事しながら而も待遇は半人前でなおその上に聖
        人君子ででもなければとてもつとまらないような高
        度の人間的素質を要求される.ちよつと背骨のある
        人なら,逃げ出さないではおれないようなバカバカ
        しいところだつた.だから残ったのは屑ばかりであ
        る.」


2010/07/15          京都・図書館情報学学習会
                               65
なにそれこわい
おまけ(2)             「外食」のススメ
    自分で資料を電子化するのを自炊といいますが…
    (ROM等を「自ら吸う」ので自炊らしい)

        –   今回の資料は京大図書館でコピー
        –   コピーをさらに縮小コピー(ScanSnapに入るように)
        –   ScanSnapで全自動PDF化
        –   ばんざーいばんざーいばんざーい


       写真撮影が許されない場合,図書館資料をコピー
         →電子化は研究者としてはとてもありがたい!
       解像度的・旧仮名的には
         OCRはまず無理だけどあるだけマシ

2010/07/15              京都・図書館情報学学習会
                                   67

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図書館の自由宣言の想定射程距離

  • 1. 図書館の自由宣言の想定射程距離 :図書館雑誌からみえてくるもの (1952-1954) 図書館情報学学習会 於 京都府立医科大学附属図書館 @yuki_o 京都・図書館情 1 2010/07/15 報学学習会
  • 2. 注意  勉強会のスライドが元になってい ます  議論の流れをすこしいじってます  サーベイ不足を指摘された「恥」 のスライドです  一面的な物言いに過ぎないので, 引用等の水準には耐えません そこんところよろしく 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 2
  • 3. アジェンダ  図書館の自由宣言の成立過程 – 研究の背景 – 図書館の中立性 – 図書館憲章と図書館大会  まとめ 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 3
  • 4. 本題  「図書館の自由に関する宣言」 の 成立過程について, 調べたことをおはなしします  なぜ? – 選書論に興味を持ったから – 疑似科学図書と図書館の問題  これもKu-Librariansで. 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 4
  • 5. 図書館の自由に関する宣言 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由を もつ国民に、資料と施設を提供することを、もっ とも重要な任務とする。この任務を果たすため、 図書館は次のことを確認し実践する。 – 第1 図書館は資料収集の自由を有する。 – 第2 図書館は資料提供の自由を有する。 – 第3 図書館は利用者の秘密を守る。 – 第4 図書館はすべての検閲に反対する。 図書館の自由が侵されるとき、 われわれは団結して、あくまで自由を守る (日本図書館協会 1954年採択,1979改訂) 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 5
  • 6. 図書館の自由宣言について  素晴らしい綱領!  でも個人的な不満がある – 進歩を妨げている可能性  例:貸出履歴の活用に反する動き  「原理主義」的な独善性がしゃくにさわる (笑 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 6
  • 7. 自由宣言支持をめぐって 疑わない姿勢はもちろん大事 でも疑う技術のない 「疑わない姿勢」はきけん 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 7
  • 8. 内心… ヽ( `Д´)ノ 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 8
  • 9. で?  むやみやたらに疑うと泥沼  でも疑わないのも不健全 …じゃあ成立過程に立ち戻ってみよう. →今回の調査をやってみる原動力に 本当は 「これまでの「図書館の正義」の話をしよう」 …ってタイトルにしたかった 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 9
  • 10. 図書館雑誌  言わずと知れた日図協による逐次刊行物  明治40年(1907)創刊  日本文庫協會の手によるもの  図書館の自由宣言は本誌を舞台に成立した 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 10
  • 11. 教科書では? 植松貞夫ら(編)『図書館概論』樹村房.2005  日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣 言」では,「図書館は,国民の知る自由を保 証する機関として,国民のあらゆる資料要求 に答えなければならない」として,「資料収 集の自由」「資料提供の自由」「利用者の秘 密保持「検閲の反対」を唱えている. これだけ? →そう,ほとんど,これだけなんです 他の書籍でもそれほど言及はない (『図書館史近代日本編ですら…』) 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 11
  • 12. じゃあ実際にたどってみよう  図書館法制定:1950年  当時の図書館雑誌は「誌上討論」が盛ん – 「自由論壇」コーナー 我々がBlog,Twitter等で しゃべってるノリ? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 12
  • 13. 当時の背景  1952年(昭和27年) – 講和条約発効,GHQが廃止される – 吉田首相「自衛のための戦力は憲法に 違反しない」→取消 – 破防法可決,公布 – 流行語:  「火炎瓶」「エッチ」 「ヤンキー・ゴー・ホーム」「風とともに 去りぬ」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 13
  • 14. 図書館雑誌 Vol.46 No.6(1952)  山形県立図書館接収を解除  中井正一(日図協理事長,国会図書館副館長)急 逝  座談会「占領は日本の館界にプラスであったか」 – 出席者:  有山崧(ありやまたかし): 日図協事務局長.後に日野市長.  雤宮祐政(あめみやすけまさ?) – 東京医科歯科大学図書館事務長.後に山梨英和短大?  武田虎之助(たけだとらのすけ) – 東京学芸大学講師,50年頃図書館雑誌編集長  加藤宗厚(かとうしゅうこう) – 国会図書館支部上野図書館長,富山県立図書館長も経験 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 14
  • 15. 図書館雑誌 Vol.46 No.6(1952)  「占領は日本の館界にプラスであったか」 – 有山「それが過去があらうと皆文部省に関係した人で,これは 偶然にそうであつたので,別に作為はありませんから,今日は ひとつ昔の経歴を別にしてアケスケに大いに喋ってもらいたい と…」(強調:発表者) – 武田「図書館法は占領中の立法なのでいろいろ批判が起こると 思う.内容的に向こうから押し付けられた点は無いか.こちら の意図に反して法の中にもらざるを得なかつた部分は無いか. 又はぜひ入れたかつたものが,当時の事情でやむを得ず伏せて あるといった点はないか…」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 15
  • 16. 図書館雑誌 Vol.46 No.7(1952)  第6回日本図書館協会総会 – 議事録あり  分会がいくつか  図書館司書は15単位で尐なすぎる!という議論あり  図書館のうたを作りましょうという提案あり – 公共図書館部会:  「神戸では人夫がやつてきて小説をかり,ひるねをしてい る」  「一人10円ずつだしてもらつて」  「反対である.貧乏な日本人をいよいよ貧乏にする」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 16
  • 17. 図書館雑誌 Vol.46 No.7(1952) Editorial Forum(編集後記)  すべてはここからはじまった… – 有山「九州大会の折,「破防法について緊急動議 を出して大会決議によって「反対」を図書館とし て表明したらどうだ,という話が内々交わされて いたそうだ」 – 有山は基本的にこの動議に反対する 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 17
  • 18. 有山の論  破防法は政治問題 – 図書館はインフォメーションセンター – インフォメーションセンターは客観的な資料 を 提供するところ :中立のため一切の政治や思想から離れるべ き – 図書館の使命は情報提供にとどめ,国民の 判断に供する  有山「ここに図書館の新しい近代社会想 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 18
  • 19. 破防法  昭和 27年法律 240号。 しばしば破防法と略称される。占領下において 制定された団体等規正令が講和後廃止されるの に伴い制定されたもので,その目的は, (1) 「団体の活動として暴力主義的破壊活動を 行なった団体に対する必要な規制措置を定め る」とともに, (2) 「暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を 補整」し,もって「公共の安全の確保に寄与す る」ことにある。(……) 言論,出版,集会,結社の自由を侵害するもの ではないかとの批判もあり,本法の適用につい て裁判所は慎重な態度を持してきている。 (ブリタニカより) 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 19
  • 20. 図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)  特集「図書館と中立についての討 論を提案する」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 20
  • 21. 図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)  特集「図書館と中立についての討 問題は,誰が.何に対して 中立であるか,という具体 論を提案する」 的なことであろう (アメリカであったこと) 暗黒世界のボスからその社 会を暴露した本があった場 合図書館員はどうすべき か? 一切の沈黙を守ることが中立で あり得るのか?選挙に関する公 示事項のみの大衆への提供が”中 立”を意味すれば,図書館の活動 の活動の冬眠を意味する 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 21
  • 22. 図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)  特集「図書館と中立についての討 論を提案する」 「私は,ちゆう 閲覧表の官憲による提示 ぶらりん,でい の要求事例があったら? たいのである」 と言いつつも, 結局橋に解決を アカハタ 求めざるを得な かつた,いわゆ る“徳田要請”に からまる管証人 事件を思い出し ていただきたい … 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 22
  • 23. 徳田要請問題  徳田要請問題(とくだようせいもんだい) 1950年2月ソビエト連邦のシベリア抑留か ら帰還した引揚者の一部が、自分たちの帰国 が遅れたのは日本共産党書記長であった徳田 球一の要請によるものだと主張した事件。3 月から4月にかけて衆議院と参議院の各委員 会で当事者が証人喚問され、証言者が遺書を 残し証言翌日に自殺したことで話題となった。 「徳田要請」「徳田要請事件」とも呼ばれて いる。 (Wikipediaより.まともな情報ソースじゃな くて すまん) 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会23
  • 24. 図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)  特集「図書館と中立についての討 我々の欲する と欲せざると 論を提案する」 にかかわらず 日本はいまあ ことしの図書館 きらかに軍国 大会を持つた九 主義化してい 州の地は,“日本 る の南端”であると 同時にまた世界 でもつとも朝鮮 に近い土地で あった あきらかに昼は,その手でロ ケット弾の発射ボタンを押し たと思われるその手が,夜, われわれと同じ血を持つ女性 にたわむれかけられるのを見 なければならない土地で日本 の図書館界の発展は論じられ 2010/07/15 た
  • 25. 中立とは何か?  座して待つのが中立なのか? – (有山はそっち派)  それとも積極的活動主義なのか? – (編集部)  基本の枠組みはこれで ほぼ完成しているといってよい 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 25
  • 26. 図書館雑誌 Vol.46 No.8(1952)  提起ページの次頁に…  「自由論壇」豊橋市立図書館,中村光雄による投書  偶然な話から若し思想問題について 警察が閲覧証を調べに来たときにどうするか? いくつかのパターンの想定: – 昔は見せた – 見に来れば見せる – 見せるために閲覧証を保存すべきでない – 絶対に見せるべきではない  中村「私はこう思います「絶対見せてはいけない」.若し見せ たとすれば私達は職権を乱用して基本的人権を侵したという罪 を負うのです…」…「しかし破防法が成立すればこういう事の 起る可能性はますます. [ママ]大きくなります.できることなら JLAで取り上げ…」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 26
  • 27. 図書館の中立についての議論 (発表時には当該ページのコピーを 配布しました) 匿名(ペンネーム)による議論多し 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 27
  • 28. TimeLine(1)  1952年8月 – 図書館と中立についての論議の提起 – 8/15を狙ったという編集部の発言  9月 – 阿羅巌「中立を守る権利がある」 – 諸尾露夫「平和擁護と図書館」  10月 – 中村光雄「民衆への自主的な中立を」 – らいぶらりあん生「編集者への手紙」 – K生「図書館の自由と責任」 – 鳥羽省三「中立とは正確な現實把握の態度である」 – 安藤政信「再軍備資料の不買を – 南諭造「公共図書館と中立性」 – 宮原賢吾「閲覧証について」 – 片山良爾「閲覧証をめぐる問題の解答」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 28
  • 29. Timeline(2)  11月 – 大西博「図書館と中立について」 – 永芳弘武「中立についての立場」 – 雲野散歩「図書館と中立」 – 宮原賢吾「自主性と使命」 – 雤宮祐政「図書館と中立について」 – 石川捨治郎「官憲と図書館」  12月 – そうや生「図書館の主體性が根本問題」 – 伊藤旦正「図書館倫理要綱について」  1953年1月 – 編集部から再度の原稿募集の再提案 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 29
  • 30. Timeline(3)  1953年2月 – 前年11月に朝日新聞誌上で行われた図書館の中立性論争の再録  3月 – 図書館法改正の議論噴出(6月近くまでその議論ばかり) – 佐藤晃二「世論形成に図書館は利用されるな」 – 池口勝三「中立について」 – 裏田武夫「図書館人の客観性が根本問題」  4月 – 植岡信夫「問題となったボストン公共図書館の“中立性”」  ここから9月くらいまで図書館法改正の議論が専ら行われ る 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 30
  • 31. それぞれどういう議論がなされたのか?  阿羅巌:「図書館は知らせる権利を持った」,破防法への警戒  諸尾露夫:「主観をまじえない客観などありえない」,再軍備 への警戒,破防法への言及  中村光雄:「図書館から民衆が離れることは図書館の敗北」, 民衆へのサービス  らいぶらりあん生:「中立について態度を決めることは「戦 争」と「平和」の問題をいかに考えるかと同じこと」  K生:戦時中の新聞の過誤と「占領軍にたたきこまれたプレス コード」,「私はわれわれの「図書館倫理要綱」を作つてみた いと考える」資料収集,保存の広汎な自由を要求 →図書館の自由宣言の萌芽に!  植岡信夫「問題となったボストン公共図書館の“中立性”」: マッカーシズムについて報告 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 31
  • 32. 大雑把にここまでをまとめると  「中立」討論とでも呼ぶべき討論  『図書館雑誌』が媒介 – 「中立とは何か」の議論 論争ほどではないか… – 破防法,冷戦,再軍備,マルクス主義, 図書館法改正の時代背景 – 新聞の倫理綱領の影響 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 32
  • 33. Timeline(4)  1953年9月 – 男沢淳「「マッカーシー旋風」をどうする」  10月  図書館憲章(委員会案)提出 基本的人権の一つとして,知る自由を持つ民衆に,資料と施 設を提供することは,図書館のもつとも重要な任務である. われわれ図書館人は,その任務を果たすため,次のことを確 認し実践する. 1. 図書館は資料収集の自由を有する 2. 図書館は資料提供の自由を有する 3. 図書館はすべての検閲を拒否する. 図書館の自由がおかされる時,われわれは団結して抵抗し, 関係諸団体との協力を期する. 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 33
  • 34. 貸出履歴  このあたりで 貸出履歴問題について出てくる  「記録しなければ見せようがない」 …でもこれ 「もしポリ公がきたら?」という 「思考実験」なんだぜ? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 34
  • 35. 閲覧証問題 Vol.46 No.10(1952) 片山良爾「閲覧証をめぐる問題の解答」 「…それならば閲覧証を保存しなかつたらどう なるかを考えていただきたい.ポリ公が来よ うが,家で息子の父親が来ようが,ボスが来 ようが,無いものは無いので見せようがない .ちょうど私に借金する時みたいに無いもの は貸せないのです.至つて簡単なことです」
  • 36. 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 36
  • 37. 図書館憲章委員会とその背景 佐藤忠恕(当時50歳?)が委員長 ALA採択:「図書館の権利宣言」 (1939年版はLibrariy’s Bill of Rifgts,1948年以 降Library Bill of Right) ナチの検閲, スタインベック『怒りの葡萄』への検閲への反 対 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 37
  • 38. 図書館憲章の提案とその反応  1954年1月以降反応あり – 福岡県公共図書館協議会  民衆を公衆におきかえる – 大分県立図書館職員,鹿児島県図書館協会 など:賛成 – 草野正名:代案によって補足,賛成 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 38
  • 39. 図書館雑誌 Vol.48 No.2(1954)  彌吉光長「図書推薦者の態度-その批判と改 善のために-」 – 直接的な自由宣言とは関係ないが,彌吉の引用は その当時の空気を伝えている – 推薦図書自体への忌避感が当時存在した 「戦時中…「文部省推薦」「○○推薦」というレッテルをはられ た図書の中に,どの位下らぬそして人迷わしのものがあつた かを,実に煮え湯をのまされるようなおもいで経験してい る.」 – マルクス主義の影響 「アメリカのデモクラシーと自由との原則を支持する文献のほ かにマルクシズム[ママ]のドクトリンの権威ある展開をしたもの がなければならない」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 39
  • 40. 図書館雑誌 Vol.48 No.4(1954) 目次に注目 もくじ: – 公共図書館奉仕の発展 –IFLA – 農村における図書館奉仕の起点 –栗林正夫 – 大学図書館における参考業務と学生指導 -村上清造 … 実際のページにおいて は見出しではないし, ましてや特集ですらな – 資料室 い – 教育の中立性に関する資料 わざわざ目次立てした 編集部の意図… 教育の中立性論争と 横糸でリンクしていた? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 40
  • 41. 図書館雑誌 Vol.48 No.5(1954)  ジョン・J・ボル「ALAと知的自由」 (裏田武夫訳)の登場  Library Bill of Right採択にいたるまでの道の りの紹介論文  翻訳論文が載るのは戦後初? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 41
  • 42.
  • 43. そして… 1954年 5月 28日 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 43
  • 44. 1954年5月28日  第7回全国図書館大会 (最終日?)  第8回日本図書館協会総会 この日のログはVol.48 No.7にて可読 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 44
  • 45. この大会の特徴  異常にアツい! – ログ読んでるだけで感動する – 総会の参加者:120名 – 白紙委任状:115通 – 記名委任状:158通 – 合計で393名  ただし当時の会員数は1864人 – …実際の参加者は1/10以下だった? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 45
  • 46. 採択までの経緯  全会一致には程遠い – 委員長が挙手を数える程度  再論・再々論が当然行われていた … 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 46
  • 47. アツさを伝える議事録 ここから開始 まだまだ喋るよ!
  • 49. 一読した感想 図書館の自由に関する宣言は 完全に「難産」だった! 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 49
  • 50. お約束 発表時にはΩ Ω Ωがいましたが 大人の事情により削除
  • 51. 図書館の自由に関する宣言をめぐって  ぶっつづけで議論していたらしい  全国図書館大会: – 日図協の名前で出すことを条件に 総会に委任 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 51
  • 52. 第8回日本図書館協会総会 演説者多し 大議論多し 文面についてのチェック多し これは燃えるぞ! 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 52
  • 53. 主要な論点  「抵抗する」の文言をめぐって – 無駄な刺激を与えないか?という危惧 – 「子どもじみた」という発言  「各方面への協力」 – 図書館界内部で完結すべきものでは? もちろんそれ以外にもいろいろ論争 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 53
  • 54. もう一度委員会案を振り返る 基本的人権の一つとして,知る自由を持つ民衆に, 資料と施設を提供することは,図書館のもつと も重要な任務である. われわれ図書館人は,その任務を果たすため,次のこ とを確認し実践する. 1. 図書館は資料収集の自由を有する 2. 図書館は資料提供の自由を有する 3. 図書館はすべての検閲を拒否する. 図書館の自由がおかされる時,われわれは団結し て抵抗し,関係諸団体との協力を期する. 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 54
  • 55. 結果…  第1 図書館は資料収集の自由を有する。  第2 図書館は資料提供の自由を有する。  第3 図書館はすべての不当な検閲に反対する。 図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結 して、あくまで自由を守る。 …こうなった 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 55
  • 56. あれっ?  第三 「利用者の秘密」がない ぞ?  「すべての不当な検閲」ってな に? (現在のかたちになるには1979年改定を待つ 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 56
  • 57. 図書館の自由宣言の青臭さ  有川浩インタビュー「『自由宣言』は勇まし い!」 (『ず・ぼん』2007年11月) →まあそりゃそうだろ  なんであんなに青臭いの?  有山崧「そしてその執筆者の多くは30前の青年であ る.…時代が変わつたのか,今更青臭い議論を一緒 になって出来ないと思うのか,何れにせよその館の 強いては館界の動向を実際的に決定する地位にある 館長・ベテランの連中が意見を出さない…」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 57
  • 58. まとめ  図書館の自由宣言には 「中立」とはなんぞや論が背景  若手が中心として活動した可能性  (総会中の発言)「私も若いので…」  破防法,朝鮮戦争,マルクス主義 …といった時代背景がある!  羹に懲りて膾を吹く? <こういうのはヤヴァいかも 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 58
  • 59. そこで…  戦前の図書館が思想善導機関であったのは 間違いない  その反省……ではあるんだけど, 当時ならではのイデオロギーがあったのは 間違いなさそう  昔の「若手」がつくったのがポイントでは? (ちなみに図問研は1955年に成立) 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 59
  • 60. フルボッコ覚悟でいうけど もしかして: 現代の 「図書館の自由に関する宣言」って 成立時の文脈が ほとんどすっぽ抜けてね? 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 60
  • 62. なので… ぼくは「○○すべき」とはいわない (思想史・社会学ゼミ出身だから) でも成立過程については おさえておきたいよね 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 62
  • 63. 今後の課題  いまやってるネタなので いちおー,秘密に. 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 63
  • 64. ながながと… ご清聴ありがとうございまし た! Twitter:@yuki_o 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 64
  • 65. おまけ Vol.46 No.9(1952)  「言いたいこと」という投書  竹田平:横須賀市立図書館長  「図書館は社会教育の中心機関である」てな愚にも つかぬお題目…  「あの頃の図書館員はひどくみじめなものだつた. 社会的には全然問題にされず人一倍骨の折れる仕事 に従事しながら而も待遇は半人前でなおその上に聖 人君子ででもなければとてもつとまらないような高 度の人間的素質を要求される.ちよつと背骨のある 人なら,逃げ出さないではおれないようなバカバカ しいところだつた.だから残ったのは屑ばかりであ る.」 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 65
  • 67. おまけ(2) 「外食」のススメ 自分で資料を電子化するのを自炊といいますが… (ROM等を「自ら吸う」ので自炊らしい) – 今回の資料は京大図書館でコピー – コピーをさらに縮小コピー(ScanSnapに入るように) – ScanSnapで全自動PDF化 – ばんざーいばんざーいばんざーい  写真撮影が許されない場合,図書館資料をコピー →電子化は研究者としてはとてもありがたい!  解像度的・旧仮名的には OCRはまず無理だけどあるだけマシ 2010/07/15 京都・図書館情報学学習会 67