2018年3月23日の名古屋アジャイル勉強会のワークショップ資料です。

1. コミュニケーション上手になろう
～論理的思考とアサーティブネス事始め～
2018-03-23
名古屋アジャイル勉強会
山本 博之
Communication
Assertiveness

2. 自己紹介
● 名前：山本 博之（やまもと ひろゆき）
● 職業：ITエンジニア
ベンダー勤務、パッケージ製品の導入支援、カスタマイズサ
ポート、テクニカルデスクなどを担当しています。
● コミュニケーションに関するエピソード：上司と話をするときに、
ついつい対立的な口調になってしまいます。この勉強会に向
けてアサーティブネスを勉強して、そういう態度が上司の無理
解を招いていると反省して、アサーティブなコミュニケーション
を心がけて実地訓練中です。
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3. アジェンダ
● 説明パート
○ この勉強会の動機と目的
○ アジャイルとコミュニケーション
○ 私たちのコミュニケーションの問題
○ アサーティブネス
○ 自己紹介
● ケーススタディ
○ アサーティブでない会話
○ アサーティブな会話
● ロールプレイ
● まとめ、ふりかえり
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4. この勉強会の動機と目的
プロジェクトやチームで行う業務はどれも、メンバーや関係者間で
のコミュニケーションがとても重要です。それではどうしたらコミュ
ニケーションが上手にとれるようになるでしょうか。関係者個人個
人の資質や志向、人間関係、組織文化や雇用関係なども絡んでく
るので、なかなか難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。
この勉強会では、アサーティブネスと呼ばれる自己主張的なコミュ
ニケーション方法を取り上げます。コミュニケーションの構造や背
景を論理的に考え、よりよい方法を取り入れて実践していく方法を
学んでみたいと思います。
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5. アジャイルとコミュニケーション
アジャイル開発/マネジメントの共通理念である「アジャイルマニ
フェスト」に、以下の「価値」が挙げられています。
● プロセスやツールよりも個人と対話を
● 契約交渉よりも顧客との協調を
これらが意図しているところは、単に情報伝達をすればいい、とい
うことではないと思います。活発で良質なコミュニケーションを通じ
関係者が協調して、価値の最大化を図ろう、ということだと思いま
す。
このような協調を実現するために、対話的なコミュニケーションを
どのように考え、どのように行えばいいか、見ていきしょう。
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6. 健全でないコミュニケーション
私たちは以下のような姿勢でコミュニケーションしてしまうことが
（よく？）あります。
● 対立的な姿勢
○ 一方的に自分の意見を述べる
○ 相手の意見や相手自身の弱点を突く
○ 感情的に話す
● 消極的な姿勢
○ 黙ってしまう
○ 内心同意できないにもかかわらず受け入れる
このような不健全なコミュニケーションは、ストレスフルですし、不
効率です。 6

7. アサーティブネス
アサーティブネス（アサーティブ・コミュニケーション、略してアサー
ティブとも）は、自分も相手も尊重する考え方であり、自分の気持
ちと意見を素直にその場にふさわしい方法で伝えようとすることで
す。
● 自分と相手の意見と感情を尊重する
● 自分と相手は立場が違っても対等だと考える
● 考えや感情を素直に表現するのがベストな方法と考える
● 発言や行動はその人のもの（責任がある）と考える
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8. コミュニケーションタイプ
アサーティブネスは、コミュニケーションの4つのタイプのひとつと
して説明されることがあります。
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他者を尊重する 他者を尊重しない
自分を表現する アサーティブ 攻撃的
自分を表現しない 受身的 作為的

9. アサーティブなもの言いの例
「〇〇さん、今いいかな。
（〇〇さんがこちらを向いて話をする姿勢になるのを待って。）
ちょっと言いにくいんだけど、〇〇さんの食べてる豚饅のにおいが
キツくて、僕仕事に集中できないんだ。できれば別のところで食べ
るか、においのないものにして貰いたいんだ。どうかな？」
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10. アサーティブネスのメリット
● 合理的なコミュニケーションができる
○ 言いたいことが言える
○ 相手にとっても理解しやすい、対話しやすい
○ 結果的に意思疎通、合意形成やアイデア創出がうまくいく
● 自分に自信がつく
○ 不安に負けることなく、自信を持って振る舞える
○ 好循環がある
○ 人生を主体的に生きているという手応えがある
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11. アサーティブネスについての補足
● 単なる「言いたいことをいう方法」「言い返されない方法」では
ありません
○ オープンでフラットな気持ちと態度、その結果としての会話
スタイルです
○ アサーティブを装った圧迫に注意！
● いつでもアサーティブでなければならないわけではありません
● アサーティブなら必ずうまくいくわけでもありません
● 実践とフィードバックの繰り返しによって上達します
○ このへんの感じはアジャイル開発と近いですね
○ 今日がその始点になればと思います
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12. 自己紹介
A3コピー用紙に、以下を書き出してください。
● お名前（本名でなくてOKです）
● お仕事（ざっくりで結構です）
● 今日の勉強会に期待すること
● コミュニケーションがうまくいった、あるいは失敗した/苦労した
エピソード
書けたら、テーブルごとに、書いたものをみせながら自己紹介して
ください。だいたいひとり2分くらいでお願いします。
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13. ここまでの理解度確認と質疑応答
ここまでの理解を「表明じゃんけん」で確認します。
● よく分かった、問題ない→パー
● だいたい分かった、先に進めてOK→チョキ
● よく分からない、ちょっと待って→グー
疑問点やご意見があればここでいったんお受けします。
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14. ケーススタディ
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15. 着眼点
いまからある会話をみていただきます。それぞれの発言につい
て、気づいたことを教えてください
発言について考える時の着眼点：
● 自分の気持ち、望む結果、相手に求めること、伝え方
● 自分も相手も尊重する、対等、素直に表現する、責任
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16. 会話の例#1
「〇〇くん、昨日頼んだ資料の修正だけどさ、いったいどうなった
の。ファイルサーバー見たけどないしさ。」
「すみません…。今ある文書を置き換えていいかどうか分からな
くって。自分のPCのローカルディスクにあります。」
「どうしてそういうことするかなー。休まれたりしたらもうどうしようも
ないじゃん。ファイル名に日付を付けるとかすればいいでしょ。だ
いたい〇〇君はいつもそうで、自分ごとっていう意識がないんだよ
ね。」
「…。」
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17. 会話の例#2
「〇〇くん、ちょっといいかな。」
「はい、なんでしょう。」
「昨日頼んだ資料の修正だけどさ、ファイルサーバー見たけど見
つけられないんだよ。どうなってるかな？」
「すみません…。今ある文書を置き換えていいかどうか分からな
くって。自分のPCのローカルディスクにあります。」
「そうだったんだ。うーん。ローカルディスクに置かれると、急に休
んだりしたときに取り出せないから困るんだ。ファイル名に日付を
付けるとかして、ファイルサーバーに置くようにして欲しいんだ
よ。」 17

18. 会話の例#2
「これからはそんな風でお願いしたいんだけど、なにか問題あるか
な。」
「わかりました。大丈夫と思います。」
「そうかよかった。よろしくお願いします。ありがとう。」
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19. 着眼点
それぞれの発言について、気づいたことを教えてください
発言について考える時の着眼点：
● 自分の気持ち、望む結果、相手に求めること、伝え方
● 尊重、対等、素直、責任
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20. アサーティブなもの言い
● 避けるべきこと
○ 攻撃的にならない
○ 察しを期待した消極的態度をとらない
○ 感情を爆発させない
○ 複数のことを一度に言わない
● 心がけるといいこと
○ タイミング、場所を選ぶ
○ 自分の感情を客観的に捉えて、素直に話す
○ 相手に期待することをシンプルに話す
○ （場合によりますが）交渉を厭わない
○ 話の区切りをつける
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21. ここまでの理解度確認と質疑応答
ここまでの理解を「表明じゃんけん」で確認します。
● よく分かった、問題ない→パー
● だいたい分かった、先に進めてOK→チョキ
● よく分からない、ちょっと待って→グー
疑問点やご意見があればここでいったんお受けします。
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22. ロールプレイ
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23. 会話ロールプレイと観察とフィードバック
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会話を演じて（ロールプレイして）、グループで観察とフィードバック
をします。
コミュニケーションについて実験しフィードバックを受ける機会はあ
まりないと思います。またこの場にいる人は利害関係等ないと思う
ので、絶好の練習機会です。ぜひロールプレイに参加してみてく
ださい。でも、やりたくない人は観察だけの参加でもいいです。
十分理解していただいていると思いますが、フィードバックコメント
は参考意見であって人格評価ではない、という認識でお願いしま
す。

24. 会話ロールプレイネタ帳
● 進捗会議で、想定外のトラブルで遅れが生じていると報告する
● 進捗遅れを上司に必要以上に厳しく（「なにやってるんだ」「お
まえはいつもだめだな」的に）叱責されたことに抗議する
● やる気の感じられない後輩に注意する
● すでに手一杯なのに上司が仕事を追加してくるのを断る
● 仕事が手一杯で大変なところを同僚が手助けをしてくれた。感
謝を伝える
● （上記以外でも、試してみたいシチュエーションがあればどうぞ
試してみてください。）
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25. 会話ロールプレイと観察とフィードバック
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1. 二人一組になってロールプレイするエピソードを決めてくださ
い。エピソードが決まったら、会話のネタ合わせを二人でしてく
ださい。（5分）
2. １ペアずつ再現トークをします。（10分×２）
a. グループの他の人はそれを観察してください。
観察の観点：
i. 感情、期待する結果、要望、伝え方
ii. 尊重、対等、素直、責任
b. 再現トークが終わったら、グループ全員で感想やコメントを
交換します。
c. 改善点が挙がっていたら、演者ペアは、それを踏まえて改
善版のロールプレイを演じてみてください。

26. 感想を共有します
会話ロールプレイと観察とフィードバックを行った感想を聞かせて
ください。
● どう思われましたか。
● 明日から/職場や家庭で役立ちそうと思ったことはなんです
か。
● 気をつけたいと思ったことがあったら教えてください。
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27. まとめ
● アサーティブネスについて学びました
○ 自己尊重と他者尊重の両立
○ 表明的で、感情をコントロールした、合目的な話し方
● 会話のロールプレイと観察とフィードバックをしました
○ よりよい会話を意識して実践に取り込んでみる経験をしま
した
● アジャイル志向のマネジメントにおいてアサーティブネスは重
要な要素です
○ よいコミュニケーションで生産性を向上させます
○ よいコミュニケーションの実践はやりがいや満足の好循環
につながります
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28. 参考図書
アサーティブネスの関連書籍はたくさんあり、流派もいくつかある
ようなのですが、今日のこの勉強会は特に以下の書籍を参考にし
ています。
● それでも話し始めよう
● 大事なことを思いどおりに伝える会話術
どちらもアン・ディクソンという人の著書です。アサーティブネスを、
誰もが対等に、主体的に他者や社会と関わろう、自己達成感の好
循環を築こう、とするスタンスで書かれています。ケーススタディも
豊富で、実践的でもあります。
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29. 今日の理解度確認と質疑応答
今日の理解を「表明じゃんけん」で確認します。
● よく分かった、問題ない→パー
● だいたい分かった、先に進めてOK→チョキ
● よく分からない、ちょっと待って→グー
疑問点やご意見があればお受けします。
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