今すぐ使える血ガスの読み方2020
- 13. pH = 7.4
PaCO2 HCO3-
アシデミア
アルカレミア
何らかの原因で体内の酸塩基バランスが崩れたり,
代償を行う2大臓器が障害されれば, 体は酸性またはアルカリ性に傾く.
- 24. Step 0
Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
臨床状況から異常を予想する
アシデミア vs アルカレミア
呼吸性 vs 代謝性
代償の反応はどうか
AGを計算する
臨床的診断のプロセス
- 26. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常, 末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
暗記
すべし
- 29. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常, 末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
暗記
すべし
- 30. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常, 末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
- 31. 78歳女性
既往歴: 糖尿病, 肺炎, 慢性腎不全
現病歴:
来院1ヶ月前に肺炎を契機に急性心不全となり入院歴あり.
来院5日前から体調不良あり.
来院12時間前から呼吸困難.
酸素2L/minで入院となったが, その後呼吸状態悪化.
薬剤歴: ディオバン, フルイトラン, ラシックス
Vital: BT38.5, HR110, BP90/72, RR30, SpO2 93
Step 0 臨床状況から異常を予想する
- 32. 78歳女性
既往歴: 糖尿病, 肺炎, 慢性腎不全
現病歴:
来院1ヶ月前に肺炎を契機に急性心不全となり入院歴あり.
来院5日前から体調不良あり.
来院12時間前から呼吸困難.
酸素2L/minで入院となったが, その後呼吸状態悪化.
薬剤歴: ディオバン, フルイトラン, ラシックス
Vital: BT38.5, HR110, BP90/72, RR30, SpO2 93
Step 0 臨床状況から異常を予想する
- 33. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常, 末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス 基礎疾患が多いと, なんでもあり…
- 34. Step 0
Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
臨床状況から異常を予想する
アシデミア vs アルカレミア
呼吸性 vs 代謝性
代償の反応はどうか
AGを計算する
臨床的診断のプロセス
- 37. アシデミア : pH < 7.35 の状態のこと
アルカレミア : pH > 7.45 の状態のこと
アシドーシス : HCO3
-が下がる or PaCO2が上がる動き
アルカローシス : HCO3
-が上がる or PaCO2が下がる動き
アシデミア≠アシドーシス
アルカレミア≠アルカローシス
ポイント
暗記
すべし
Step 1 アシデミア vs アルカレミア
- 38. 例題1
pH 7.297
PaCO2 39
PO2 77.5
HCO3- 20
pH 7.53⇒アルカレミアpH 7.297⇒アシデミア
pH 7.53
PaCO2 24
PO2 98
HCO3- 22
例題2
Step 1 アシデミア vs アルカレミア
- 39. Step 0
Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
臨床状況から異常を予想する
アシデミア vs アルカレミア
呼吸性 vs 代謝性
代償の反応はどうか
AGを計算する
臨床的診断のプロセス
- 42. 例題1
pH 7.297
PaCO2 39
PO2 77.5
HCO3
- 20
pH 7.297⇒アシデミア
HCO3
- 20⇒代謝性アシドーシス
pH 7.53⇒アルカレミア
pH 7.53
PaCO2 24
PO2 98
HCO3
- 22
例題2
PaCO2 24⇒呼吸性アルカローシス
呼吸性 vs 代謝性Step 2
- 43. Step 0
Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
臨床状況から異常を予想する
アシデミア vs アルカレミア
呼吸性 vs 代謝性
代償の反応はどうか
AGを計算する
臨床的診断のプロセス
- 46. 酸塩基平衡の異常 代償性変化の予測範囲 代償範囲の限界値
代謝性アシドーシス ⊿ PaCO2 = ⊿ HCO3- x 1.3 ⊿ PaCO2 = 15 mmHg
代謝性アルカローシス ⊿ PaCO2 = ⊿ HCO3- x 0.6 ⊿ PaCO2 = 60 mmHg
呼吸性アシドーシス(急性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.1 ⊿ HCO3- = 30 mmHg
呼吸性アシドーシス(慢性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.4 ⊿ HCO3- = 42 mmHg
呼吸性アルカローシス(急性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.2 ⊿ HCO3- = 18 mmHg
呼吸性アルカローシス(慢性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.5 ⊿ HCO3- = 12 mmHg
腎性代償は, 数日かかるため, 急性の呼吸性酸塩基異常に対しては代償できないため, 係数が小さいが,
慢性の呼吸性酸塩基異常に対してはより代償できるため, 係数が大きくなる.
- 47. 酸塩基平衡の異常 代償性変化の予測範囲 代償範囲の限界値
代謝性アシドーシス ⊿ PaCO2 = ⊿ HCO3- x 1.3 ⊿ PaCO2 = 15 mmHg
代謝性アルカローシス ⊿ PaCO2 = ⊿ HCO3- x 0.6 ⊿ PaCO2 = 60 mmHg
呼吸性アシドーシス(急性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.1 ⊿ HCO3- = 30 mmHg
呼吸性アシドーシス(慢性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.4 ⊿ HCO3- = 42 mmHg
呼吸性アルカローシス(急性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.2 ⊿ HCO3- = 18 mmHg
呼吸性アルカローシス(慢性) ⊿ HCO3- = ⊿ PaCO2 x 0.5 ⊿ HCO3- = 12 mmHg
暗記
すべし
どうしても覚えきれない場合は代謝性アシドーシスの代償の式だけ覚える
- 49. 例題1
pH 7.297
PaCO2 39
PO2 77.5
HCO3
- 20
pH 7.297 ⇒アシデミア
HCO3
- 20 ⇒代謝性アシドーシス
⊿ PaCO2 = (24–20) x 1.3 = 5.2
推定PaCO2 = 40 - 5.2 = 34.8
⇒実測値は39(4.2余分にCO2貯留)
⊿ PaCO2 = ⊿ HCO3
-x 1.3
⇒呼吸性アシドーシスが併存
推定値と実測値を比べる
代償の反応はどうかStep 3
- 50. 例題2
pH 7.53
PaCO2 12
PO2 98
HCO3
- 22
pH 7.53 ⇒アルカレミア
PaCO2 12 ⇒呼吸性アルカローシス
⊿ HCO3
-= ⊿ PaCO2 x 0.2
推定値と実測値を比べる
代償の反応はどうかStep 3
⊿ HCO3- = 0.2 x (40-12) = 5.6
推定HCO3- = 24 – 5.6 = 18.4
⇒実測値は22 (3.6余分にHCO3-貯留)
⇒代謝性アルカローシスが併存
急性呼吸性アルカローシスの場合
- 51. Step 0
Step 1
Step 2
Step 3
Step 4
臨床状況から異常を予想する
アシデミア vs アルカレミア
呼吸性 vs 代謝性
代償の反応はどうか
AGを計算する
臨床的診断のプロセス
- 57. アニオンギャップを計算するStep 4
AG = Na+ - (Cl- + HCO3
-)
正常値 12±2mEq/L
AG = 測定できない陰イオン – 測定できない陽イオン
= Na - (Cl- + HCO3
-)
Cl- + HCO3
- + 測定できない陰イオン = Na+ + 測定できない陽イオン
測定できる陰イオン 測定できる陽イオン
- 62. 病態 鑑別 チェック項目 計算すること
AG開大性代謝性
アシドーシス
乳酸
ケトン
末期腎不全
中毒
・血液検査:Cr
・尿検査:尿ケトン
・血ガス:乳酸
・補正HCO3-
・血清浸透圧ギャップ
AG正常の代謝性
アシドーシス
下痢
尿細管性アシドーシス
・血液検査:K値、Cr
・尿検査:尿pH
・尿AG
・AG
代謝性
アルカローシス
脱水(嘔吐、利尿薬)
その他
・尿検査:尿Cl ・AG
呼吸性
アシドーシス
頭から呼吸筋まで
・胸部Xp
・聴診
・バイタル
・AG
呼吸性
アルカローシス
CO2を排泄する
アシドーシスの病態
・AG
- 63. 病態 鑑別 チェック項目 計算すること
AG開大性代謝性
アシドーシス
乳酸
ケトン
末期腎不全
中毒
・血液検査:Cr
・尿検査:尿ケトン
・血ガス:乳酸
・補正HCO3-
・血清浸透圧ギャップ
AG正常の代謝性
アシドーシス
下痢
尿細管性アシドーシス
・血液検査:K値、Cr
・尿検査:尿pH
・尿AG
・AG
代謝性
アルカローシス
脱水(嘔吐、利尿薬)
その他
・尿検査:尿Cl ・AG
呼吸性
アシドーシス
頭から呼吸筋まで
・胸部Xp
・聴診
・バイタル
・AG
呼吸性
アルカローシス
CO2を排泄する
アシドーシスの病態
・AG
暗記
すべし
- 99. 症例
80歳男性, 5日前からの重度の下痢で来院
特に既往歴, 薬剤歴なし
5日前から1日10回程度の水様性の下痢が出てきた.
ぐったりしてきたのでER受診. 発熱, 腹痛, 血便なし.
BT36.9, BP92/47, PR110, RR16, SpO299(RA)
腹部圧痛は全体的に軽度ある, 腹膜刺激症状なし
血液検査: Cr 4.23, BUN 52, eGFR11.4, CRP 8.29, Alb 4.0
- 100. 症例1の検討
80歳男性, 5日前からの重度の下痢で来院
特に既往歴, 薬剤歴なし
5日前から1日10回程度の水様性の下痢が出てきた.
ぐったりしてきたのでER受診. 発熱, 腹痛, 血便なし.
BT36.9, BP92/47, PR110, RR16, SpO299(RA)
腹部圧痛は全体的に軽度ある, 腹膜刺激症状なし
血液検査: Cr 4.23, BUN 52, eGFR11.4, CRP 8.29, Alb 4.0
臨床状況から異常を予測するStep 0
- 101. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常、末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
暗記
すべし
- 103. 症例1の検討
Step 1 pH7.225であり、アシデミア
Step 2 HCO3-が9.5 ⇒代謝性アシドーシスの存在
Step 3
⊿ PaCO2 = 1.3 x ⊿ HCO3-= 1.3 x (24-9.5) = 18.9 mmHg
推定PaCO2 = 40 - 18.9= 21.1 mmHg
⇒実測は22.9 mmHgであり、ほぼ呼吸性代償の範囲内
代償は?
pH 7.225
PaCO2 22.9 mmHg
HCO3
- 9.5 mEq/L
Na 135 mEq/L
K 6.7 mEq/L
Cl 98 mEq/L
Lac 22mg/dL
- 104. 症例1の検討
Step 4 AG=135-(98+9.5)=27.5 mEq/L
AG開大性代謝性アシドーシスが存在する
補正HCO3-=9.5+(27.5-12)=25 正常範囲内
よってAG開大性代謝性アシドーシスが単独で存在
pH 7.225
PaCO2 22.9 mmHg
HCO3
- 9.5 mEq/L
Na 135 mEq/L
K 6.7 mEq/L
Cl 98 mEq/L
Lac 22mg/dL
- 111. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常、末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
暗記
すべし
- 113. 症例2の検討
Step 1 pH7.01であり、アシデミア
Step 2 HCO3-が15 ⇒代謝性アシドーシスの存在
Step 3
⊿ PaCO2 = 1.3 x ⊿ HCO3-= 1.3 x (24-15) = 11.7 mmHg
推定PaCO2 = 40 – 11.7= 28.3 mmHg
⇒実測は32 mmHgでややCO2貯留があり、呼吸性アシドーシスも併存か
代償は?
pH 7.01
PaCO2 32
mmHg
HCO3
- 15mEq/L
Na 130 mEq/L
K 3.2 mEq/L
Cl 90 mEq/L
- 114. 症例2の検討
Step 4 AG=130-(90+15)=25 mEq/L
AG開大性代謝性アシドーシスが存在する
補正HCO3- = 15 + (25-12)= 28 > 26
よって代謝性アルカローシスも合併!!
pH 7.01
PaCO2 32
mmHg
HCO3
- 15mEq/L
Na 130 mEq/L
K 3.2 mEq/L
Cl 90 mEq/L
- 118. 病態 典型的な1次性酸塩基平衡異常
ショック・低血圧 代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
脱水 代謝性アルカローシス
嘔吐 代謝性アルカローシス
下痢 代謝性アシドーシス(AG正常)
心不全 代謝性アルカローシス
糖尿病 代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)
末期肝硬変 呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシス
腎不全 代謝性アシドーシス(早期:AG正常、末期:AG開大)
敗血症 呼吸性アルカローシス+代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)
利尿薬使用 代謝性アルカローシス
呼吸不全 呼吸性アシドーシス
肺塞栓 呼吸性アルカローシス
妊娠 呼吸性アルカローシス
暗記
すべし
- 121. 症例3の検討
Step 4 AG = 130 - (90 + 24) + 2.5 = 18.5 mEq/L
AG開大性代謝性アシドーシスが存在する
補正HCO3- = 24 + (18.5-12)= 30.5 > 26
よって代謝性アルカローシスも合併!!
pH7.40
PaCO2 40 mmHg
HCO3
- 24mEq/L
Na 130 mEq/L
K 5.2 mEq/L
Cl 90 mEq/L
Alb 3.0 g/dL
Albが1下がったら、AGは2.5下がる