Weitere ähnliche Inhalte
Mehr von tokimanaslide (15)
6.信託制度を知ろう(女性キャラ)
- 2. 信託制度とは?
• 信託のしくみ
P-01
委託者 受託者 受益者
父 子 孫
移転
信託財産
受益権
委託 給付
信託契約
遺言・信託宣言
信託行為
信託行為に従って、
信託財産を管理・
処分します。
信託行為に基づい
て、信託財産に係
る給付を受けます。
名義は受託者に変更されます。
しかし、受託者固有の財産とは
区別されます。
信託とは、委託者が信託行為(例えば、信託契約、遺言)によってその信頼できる人(受託者)に対して、
金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のために、
その財産(信託財産)の管理・処分などをする制度です。
税務上は、受益者を財産の所有者
とみなして課税されます。
- 3. 信託制度の形態
• 他益信託と自益信託と自己信託を理解する
P-02
委託者 受託者 受益者
父 子 孫
信託 給付
委託者
受益者 受託者
父 子
委託
給付
税務上は、贈与とみなされます。
信託前は
民法上・税務上の所有者
信託後の
民法上の所有者
信託後の
税務上の所有者
他益信託
委託者
受託者
父
受益者
孫
給付
(委託者=受益者) (委託者=受託者)
自益信託 自己信託
財産は贈与したいが管理・処分は自分で行いたい。利益は得たいが、財産の管理能力に不安がある。
- 4. 信託制度導入後の注意点
• 信託の変更(信託法149条)
P-03
委託者 受託者 受益者
● ● ● 合意 変更後の信託行為の内容を明確にする必要があり ます。
● ● 合意
受託者は、 受益者に遅滞なく 変更後の信託行為の内容を
通知し なければなり ません。
信託目的に反し ないこ と が明ら か場合で、 かつ
受益者の利益に適合するこ と が明ら かな場合
●
書面又は電磁的記録に
よっ てする意思表示
受託者は、 委託者及び受益者に対し て、 遅滞なく 、 変更
後の信託行為の内容を通知し なければなり ません。
信託目的に反し ないこ と が明ら か場合で、 かつ
受託者の利益を害し ないこ と が明ら かな場合
●
受託者に対する
意思表示
受託者は、 委託者に対し 、 遅滞なく 、 変更後の信託行為
の内容を通知し なければなり ません。
● ●
受託者に対する
意思表示
● ● ●
信託行為の定めによる
方法
● ● ● 裁判所への申立て
③受託者の利益を害し ないこ と が明ら かな場合
④信託行為に別段の定めがある場合
⑤特別の事情による信託の変更を命ずる判決があっ た場合
区分 変更方法 通知等
変更に必要な当事者
②信託目的に反し ないこ と が明ら か場合
①合意による変更
ポイント
委託者が存在しなくなった場合には、①、③の規定は適用できなくなるので、信託契約の時点で、
『終了権限を持つ者』を設定しておくと安全です。
遺言信託の場合、委託者の地位は相続されないので、委託者死亡の場合、「委託者不在」は避けられません。
そこで遺言信託の場合は、特に『終了権限を持つ者』を委託者を除外する形で設定しておく必要があります。
- 8. 信託制度の課税上の取扱い
• 他益信託で適正対価の授受がある場合の課税関係
P-07
委託者 受益者
個人 個人
個人 法人
法人 個人
法人 法人
譲渡関係 課税関係
⇒
⇒
⇒
⇒
委託者 受益者
譲渡所得課税
譲渡所得課税
譲渡課税
譲渡課税
課税関係なし
課税関係なし
課税関係なし
課税関係なし
• 他益信託で適正対価の授受がない場合の課税関係
委託者 受益者
個人 個人
個人 法人
法人 個人
法人 法人
⇒
⇒
譲渡関係 課税関係
委託者 受益者
⇒
⇒
課税関係なし
対価が時価の1 /2 未満の
場合はみなし 譲渡課税
譲渡課税・ 寄附金課税、
又は給与
譲渡課税・ 寄附金課税
贈与・ 遺贈
受贈益課税
一時所得又は給与課税
受贈益課税
受益者委託者
他益信託
- 10. 信託制度の課税上の取扱い
• 贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利
P-09
委託者 受託者 受益者
同族会社
移転
信託財産:賃貸住宅
委託
給付
600万円
家賃収入
1,000万円
※修繕費・固定資産税・管理費等は全て受託者である同族会社が管理し、
建物の減価償却費を計算した結果、受益者への給付は600万円となった。
いくら給付しても課税関係に変動はないが、
全く給付しないと家賃収入に係る所得税等
が納税できなくなるので注意が必要です。
①賃貸住宅に関する所得の申告
申告は受益者が不動産所得として行う
②賃貸収入に関する消費税の申告
申告は受益者が行う
③申告の際の所得の計算期間
受益者の計算期間による
この場合1月1日から12月31日
④申告する収入の額
この場合家賃収入1,000万円。
そこから信託に係る費用を計上
して申告します
信託財産に属する資産・負債は、受益
者が有するものとし、信託財産から生
ずる収益・費用は、受益者に帰属する
ものとみなされます。
信託期間中
Hinweis der Redaktion
- 「遺言信託」だとか「生命保険信託」など、相続に関連がありそうな信託の名称をよく耳にするようになりましたが・・・
実際にその内容は、とか・・・どんな時に使えるの・・・となると「よくわからない」という方が多いのではないでしょうか。
平成19年に改正信託法が施行されて、信託制度が相続に役立ちそうだ・・・といわれてかなり経ちました。
今回のはなしは、そんな信託制度について・・・まずはどんな制度なのか?
そして・・・信託を使うときのポイントについて話してまいります。
最初に信託の基本的なしくみから見ていきましょう。
- それでは・・・信託のしくみからみていきましょう
信託に関係する、登場人物を紹介いたしましょう。
委託者となる・・お父さん
信頼されて財産を任される受託者となる・・・子
そして利益を受取る受益者となる・・・孫
まず・・・委託者は、「信託契約や遺言、信託宣言」により信託を行います・・・このことを信託行為といいます。それによって・・・委託者である父の財産は・・・受託者である子に移転します・・・この財産のことを「信託財産」といいます。
さて、このとき財産の名義は受託者の名義となりますが、受託者固有の財産とは区別されて管理されることになります。受託者である「子」は、信託行為に従って、信託財産を管理、処分することとなります。
この場合には、信託財産から発生する収益を受益者である孫に給付することになります。
この受益者が、信託行為に基づいて信託財産にかかる給付を受ける権利を・・・「受益権」といいます。
《ワンポイントアドバイス》
あとで詳しく説明いたしますが・・・税務上は・・・このとき、この受益権を持つ受益者を財産の所有者とみなして課税を行います。民法上の所有者は・・・名義人である受託者であるにもかかわらずです。
このあたりが、信託をむずかしくしているところかも知れません。
さて、ここで「信託のしくみ」をまとめておきましょう。
《ポイント》
信託とは、委託者が・・・信託行為、例えば、信託契約、遺言によって・・・その信頼できる人、受託者に対して、
金銭や土地などの財産を移転し・・・受託者は委託者が設定した信託目的に従って・・・受益者のために、
その財産の管理・処分などをする制度です。
それでは次に当事者の違いによる、信託の種類を見てみましょう。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- それでは、当事者の違いによる、信託の種類の話をいたします。
信託は・・・受益者の違いで「他益信託」と「自益信託」に区分されます。
次に・・・受託者の違いで「自己信託」が区分されます。順番にみてみましょう。
まずは・・・信託のしくみの話と同様の登場人物です。
《ポイント①》
委託者である父・・・受託者である子・・・そして受益者である孫が登場しました。
委託者は・・・信託前は民法上も税務上も財産の所有者でしたが・・・信託後は・・・受託者が信託後の民法上の財産所有者となり・・・
受益者が・・・信託後の税務上の所有者となります。
その結果・・・この場合信託が実施されると・・・委託者である父から・・・受益者である孫への贈与とみなされることとなります。
このように・・・委託者以外の者が受益者となる信託を・・・「他益信託」といいます。
《ポイント②》
次の登場人物は・・・父と子の2人です・・・ここでは父が1人二役・・・委託者と受益者になります。
子が父から財産を受託して・・・父に対して財産からの利益を給付するというパターンです。
利益は継続して受けたいのだが・・・これからの管理に不安がある・・・というような場合に効果的な信託です。
このように・・・委託者と受益者が同じ信託を・・・「自益信託」といいます。
《ポイント③》
そして最後の登場人物は・・・父と孫の2人です・・・ここでは、また父が1人二役なのですが・・・自益信託とは役割が違います。
父は・・・委託者と受託者になります。
自らが自らを受託者として財産を管理し、受益者に給付を行うという信託です・・・他益信託の変形バージョンと言えますね。
財産は贈与したいが・・・管理や処分は自分で行いたい・・・なんていう場合に効果的な信託です。
ちょっと難しいので詳細は別の機会にお話しますが・・・自社株の贈与に応用ができます。
このように・・・委託者と受託者が同じ信託を・・・「自己信託」といいます。
次に、具体的な適用例も話していないのに・・・いきなりですが・・・信託制度の導入後に注意しなければならない点についてお話しいたします。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- 信託の変更に留意して信託を導入する・・・
信託のしくみをお話ししただけの段階で・・・信託制度導入後の注意点とは・・・気が早すぎるのでは?
と思われる方もいるかもしれません・・・そこで「なぜ」・・・この段階で信託導入後の注意をお話するのか・・・その理由に触れておきます。
一番のポイントは信託は「契約」もしくは「宣言」の中で・・・細かな信託行為の内容を定めて実行される制度だということです。
すなわち・・・信託の始まり方はもちろん・・・終わり方や・・・終わった後の財産の帰属など・・・決めておかなければならない事項が沢山あります。
《ポイント》
また・・・状況の変化によって・・・たとえば受託者が死亡した場合や・・・委託者が死亡した場合など・・・不測の事態に対する対応も考えておかなければなりません。
特に・・・委託者が死亡した場合など、存在しなくなった場合には・・・信託内容の変更が困難になる場合がありますので・・・「終了権限を持つ者」を設定しておく必要があります。
これは・・・信託制度の活用でもっとも頻繁に出てくる・・・遺言代用の信託においては・・・
委託者の死亡による「受益者」の変更という事が活用のポイントになりますので・・・必要条件と言えます。
また「遺言信託」の場合・・・委託者が死亡して「遺言」の効力が発生すると同時に「信託」の効力が発生することになりますが・・・
この「遺言信託」では・・・委託者の地位は相続されませんので・・・委託者死亡の場合は委託者不在となるため・・・はじめから信託の変更が制限されることになります。
そこで、遺言信託の場合は・・・特に・・・信託の終了権限を持つ者を委託者を除外する形で設定しておく必要があります。
信託終了ができない典型的場面をいくつかあげると・・・・親族間で対立が生じた場合・単に連絡が取れない状態が続いている場合・「委託者」の相続により「委託者」が多人数に増えている場合・「遺言信託」のため「委託者」が存在しないという場合
などが考えられますので・・・信託を考える場合には・・・将来の信託内容の変更や終了についても・・・導入時点で考えておかなければならないのです。
《ワンポイントアドバイス》例えば、「委託者」の地位の相続により「委託者」が多人数に増えてしまうことが想定される場合は・・・
あらかじめ信託契約に「委託者Aの死後は、Bを委託者とする」などと規定しておくとよいでしょう。
つぎは・・・ここで出てきた「信託の終了」について、もう少し説明しておきます。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- 信託の変更や終了が・・・信託設定の当初から重要なことは・・・いま説明したとおりなのですが
ここで・・・信託が終了する場合についてもう少し見ておきましょう。
まずは・・・一般的な終了事由です。
はじめに・・・委託者及び受益者が合意した場合・・・これは当たり前の話ですね。
次に・・・信託行為において定めた事由が生じた場合・・・例えば「信託財産の残高がゼロとなった場合」・・・とか「受益者○○が死亡した場合」などと、
あらかじめ信託終了の事由が定められていて・・・その事由が生じた場合です。
次は・・・信託の目的を達成した場合・・・例えば「○○の大学卒業までの学資に使う」・・・とか「○○の介護費用に充てる」などの場合で
大学を卒業することで目的が達成した場合や逆に、要介護者が死亡したために介護費用の給付ができなくなるといった目的が達成できなくなった場合です。
《ポイント①》
次のケースは少し注意が必要です・・・受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続した場合・・・この場合も信託が終了となります。
例えば・・・受託者が自分で・・・受益者が自分を含む兄妹2人だった場合で・・・受益者の自分以外の兄妹が死亡した場合などが、これに該当します。
また、ちょっと難しくなりますが・・・先に出てきた自己信託で・・・当初の受益者を自分とするような場合には・・・結果として信託が終了してしまう場合もあります。
《ポイント②》
もう一つ・・・一般的に起こりうる信託終了事由に・・・受託者が欠けた場合に、新受託者が存在しない状態が一年間継続した場合が挙げられます。
個人が受託者の場合には・・・受託者死亡により、受託者不在が生じる可能性があります・・・その場合は1年以内に新たな受託者に委託できないと・・・
信託が終了してしまうことになります。
《ワンポイントアドバイス》
そのような事態を回避するためには・・・法人を受託者にするという方法が考えられます。このような具体的な事例は、また別な機会に詳しくお話しいたします。
さて・・・ここまでが一般的に起こりうる信託終了事由ですが・・・それ以外にも以下のような終了事由がありますが・・・
一般的ではありませんので・・・詳しい説明は省略いたします。次にもう一つ・・・信託を導入する際に気をつけなければならない重要なポイントをお話しします。
それは・・・遺留分の話しです。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- ここでは信託受益権と遺留分減殺請求の関係について考えてみます。
それでは、この場面の登場人物を紹介しましょう。
父と母・・・それに子それぞれの関係は、父が信託行為の委託者となり・・・母が受託者・・・そして子が受益者です。この場合・・・税務上は父から子への贈与とみなされることは・・・もう皆さんご理解されていますね。
そしてその後委託者である父が死亡し・・・相続が発生したとします。
相続人はというと・・・ここに実はもう1人子がいました・・・そして、この子が信託行為による「みなし贈与」が・・・
その子の相続分を侵害しているとしたら・・・どうなるでしょう。
《ポイント》
実は・・・信託による財産承継の場合でも、遺留分は侵害できないんです。
遺留分とはなにか・・・確認しておきますと・・・『遺留分』とは、遺産の一定割合の取得を相続人に保証する制度をいいます。そして・・・遺留分減殺請求を行うことにしました。ちなみに「遺留分減殺請求」は、配達証明付きの内容証明郵便で請求書を郵送すれば足ります。
さて・・・それではその請求は誰にすることになるのでしょうか・・・
この場合は・・・信託後の民法上の所有者である受託者の母・・・または信託後の税務上の所有者である受益者の子
に対して請求することとなります。
《ワンポイントアドバイス》
遺留分減殺請求が行われると・・・信託財産が減少することも考えられたり・・・
自社株の場合だと議決権行使にも支障をきたすケースも考えられるので・・・「遺言」や「生前贈与」の場合同様に
各相続人の遺留分に十分な配慮が必要になります。
ここでは詳細な説明はいたしませんが・・・配偶者が相続人の場合と相続人に配偶者が含まれない場合の・・・
遺留分割合をみておきましょう・・・注意しておきたいのは、被相続人の兄妹には遺留分がない点と・・・
配偶者と父母、もしくは父母のみが相続人の場合に遺留分割合が変わる点です。
配偶者と父母の場合・・・配偶者は法定相続分である2/3の1/2で・・・2/6・・・父母は1/3の1/2で・・・1/6となります。また父母のみの場合は・・・1/3となりますので・・・間違えないように注意してください。
さてこれまで・・・信託の設定から・・・当事者の権利関係・・・導入に当たっての注意点をみてきましたが
次は信託制度の課税上の取扱いをみていくことにしましょう。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
出題分野:相続 単元グループ:相続と遺言 単元:遺留分
- それでは・・・まず信託の効力発生時の課税関係からみていきましょう。
これまでの説明の中にも・・・すでにみなし贈与になる場合がいくつかでてきましたので・・・すでに理解されている方も多いとおもいますが・・・
まずこのケースから見ていきましょう・・・委託者と受託者が同じ者の場合です・・・このような信託を・・・自益信託と言いましたよね。
自益信託の場合・・・信託の前と後で・・・経済価値の移動は・・・どうでしょう・・・ありませんよね。
そのため・・・このような場合には・・・課税関係は生じません。
元から自分のものは・・・自分のものということです。
それに対し・・・委託者と受益者が違う者の場合はどうでしょう・・・このような信託を他益信託と言いましたよね。
《ポイント》
他益信託の場合・・・信託の前と後では・・・委託者から受益者へと経済価値が移動しています。
そのため・・・このような場合には・・・課税関係が生じることになります。
その移動が委託者が生存中に起きれば・・・贈与税が課税され・・・委託者が死亡したために起きれば・・・相続税が課税されることになります。
このように・・・他益信託では経済価値の移動が発生するので課税関係が生じますが・・・価値の移動に伴い・・・対価の支払いがあるかないかで
課税関係が変わってきます・・・次にそのあたりを確認しておきましょう。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- 課税関係が生じる他益信託で・・・適正対価の授受があるとない場合・・・すなわち受益権が売買される場合とされない場合ということです・・・
課税関係を考える場合には・・・委託者と受益者が法人なのか個人なのかによって課税科目が変わって来ますので・・・
憶える必要はありませんが・・・注意しておいてください。
さて・・・適正対価の授受がある場合には・・・対価を支払った側である受益者には・・・課税関係は生じません。
ただし・・・対価を受取る側である委託者には・・・受取った対価に対して課税が生じます。
譲渡益に対する課税です。
一方・・・他益信託で適正対価の授受がない場合・・・贈与の考え方と同様の課税関係が生じます。
ここでは・・・信託の形態としてもっとも多く、一般的な・・・委託者と受益者が個人の場合に注目してください。
この場合は・・・受益者を課税上の所有者とみなして・・・贈与もしくは遺贈があったものとして課税が生じます。
先ほどお話しした・・・他益信託の場合ですね。
ここで・・・いまの話をもう一度振り返ってみます・・・受益権の売買がおこなわれる場合
さらっと話しましたが・・・イメージしずらいですよね!
そこで次に他益信託で適正対価の授受がある場合・・・すなわち受益権の売買についてお話しします。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- さて・・・他益信託で適正対価の授受がある・・・すなわち受益権の売買ですから・・・
まず・・・収益不動産の信託行為がある場合を考えて見ます。
現に、このような信託行為が行われている状況で・・・現在の受益者から新しい受益者に対し・・・
適正な対価の支払いに基づいて・・・受益権が引き渡されると・・・新しい受益者は、これまでの信託行為に基づいて、給付を受けることになります。
この関係の中で・・・民法上の所有者である受託者に変動はありません・・・税務上の所有者が新しい受益者に変わります。
この点が・・・一般的な不動産売買契約と大きく違う点です。
これをまとめてみますと・・・まず・・・買主は、受益権を信託受益権売買契約に基づき取得します。次に・・・買主は、受益権の取得と同時に信託契約を承継し受益者となります。
《ポイント》ただし・・・信託財産の所有者は、受託者のまま・・・ということになります。
「何のためにそんなことを行うの?」と思われると思いますが・・・実は・・・信託財産の所有者は、受託者のまま・・・というのがポイントなのです。
そこで・・・受益権を売買するメリットを考えて見ましょう。
まず・・・受益者は不動産の民法上の所有者ではありませんから・・・不動産取得税の課税対象になりません。
不動産取得税は・・・土地や家屋の場合で3%です。
次に・・・受益者変更登記に登録免許税がかかりますが、1筆あた1,000円です・・・
一方・・・所有権移転登記が行われないので・・・登録免許税の負担がありません。
所有権移転登記の登録免許税は、相続の場合は0.4%ですが、売買や贈与の場合は2%です。
さらに・・・不動産を所有しませんので・・・権利関係などの不動産リスクの軽減も期待できるというわけです。
書類が煩雑になるなどの手間は増大しますが・・・買い手側にとってのコストメリットは大きいと言えますね。
さて次に・・・贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利・義務について確認しておきます。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- ここまでご説明してきた課税関係を整理しながら・・・
贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利と義務について確認していきましょう。
まず信託期間中の課税関係をおさらいします。
登場するのは・・・この方たちでしたね・・・
そして信託行為によって・・・このような関係になり・・・
信託財産からの収益が・・・受託者から受益者に給付されます
この場合の給付額に関しては・・・修繕費・固定資産税・管理費等は全て受託者である同族会社が管理し、
建物の減価償却費を計算した結果、受益者への給付は600万円となったものとしています。
《ワンポイントアドバイス》
さてこの時の給付額なのですが・・・給付額をいくらにしようと課税関係に変動はありませんが・・・
全く給付しないと・・・家賃収入に係る所得税等を納税するのに困る場合がありますので注意が必要です。
そのあたりを今度は受益者の義務という側面から確認していきます。
まずは・・・賃貸住宅に関する所得の申告は誰がするのか・・・そして・・・賃貸収入に関する消費税の申告は誰がするのか
さらに・・・所得の計算期間はどうなるの・・・最後に申告する所得の額です。1番目の所得の申告・・・これは受益者が不動産所得として申告します
2番目の消費税の申告・・・これも受益者が行います
それではこれらの申告の際の計算期間はといいますと・・・受託者がこの場合だと法人ですので・・・法人の決算期間・・・
と勘違いする方もいるかもしれませんが・・・受益者の計算期間によりますので・・・この場合個人ですから・・・
1月1日から12月31日となります。
そして最後に申告する収入の額ですが・・・この場合給付された600万円を家賃収入とするのではなく・・・
家賃収入は1,000万円とし、そこから信託に係る費用を計上して申告します。
《ポイント》相続税法第9条の2では、信託財産に属する資産・負債は、受益者が有するものとし、信託財産から生ずる収益・費用は、受益者に帰属するものとみなされる
と・・・規定しています。
そして次は・・・信託終了時の権利と義務を確認いたします。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度
- いよいよ『信託制度を知ろう』・・・という今回のお話しのしめくくりとなります。
信託が終了した時点での権利・義務を確認いたします。
信託終了時には・・・終了直前の受益者と終了時に残余財産がある場合のその財産の帰属権利者が現れます。
その2者の関係で権利・義務が異なります。
まず・・・直前の受益者と残余財産の帰属権利者が同一の場合・・・
この場合は・・・『信託終了の前後』で経済価値が移動しないので課税関係は生じません。
どこかで聞いた表現ですね・・・そうです自益信託の課税関係の表現と同じですね。
それでは・・・直前の受益者と残余財産の帰属権利者が同一ではない場合はどうなるか・・・
この場合は・・・『信託終了の前後』で経済価値が移動しますので課税関係が生じます。
この表現は・・・そうです・・・他益信託の課税関係の表現と同じです。
すなわち・・・信託の終了が受益者の死亡による場合は・・・遺贈とみなし・・・死亡でない場合は・・・
贈与とみなして課税関係が生じることになります。
《ポイント》
さて・・・信託の基本的なしくみや課税関係の概要はご理解いただけましたでしょうか・・・
別の機会に、より具体的に信託を使った相続対策をお話いたしますが・・・
ここまで繰り返し確認してきた『課税関係』でお気づきになったことはありませんか?
それは・・・信託は『財産管理の手法』であって『税務対策』ではないことと。
信託財産に対しては、受益者を所有者と考えて課税されるということです。
『信託』は、財産を所有する者の・・・『想い』を実現するための手段と考えて有効な活用を考えてください。
【学習のヒント】
出題分野:相続 単元グループ:相続と信託 単元:信託制度