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ただの一階述語論理のまとめ


     Keisuke Otaki
    October 13, 2012




                       1
一階述語論理 (0)


• 花が赤い
  • red(flower)
  • red: 述語記号で引数に1つobjectを取る
• すべての人間は死ぬ
  • Xは人間である ~ people(X)
  • Xは死ぬ ~ dead(X)
  • 人間Xは死ぬ ~ people(X) → dead(X)
 • すべての人間は死ぬ ~ ∀X. people(X) → dead(X)


                                         2
一階述語論理 (1)

• 一階述語論理の構成要素
  • 個体定数: objectを表す
  • 個体変数: いずれかのobjectを表す
  • 関数記号: object間の関数関係を表す
  • 述語記号: objectの性質やobject間の関係を表す
  • 限量子
    • ∀ - 全称限量子
    • ∃ - 存在限量子
  • 論理記号
    • 否定 ¬, 連言 ∧, 選言 ∨, 含意 →, 等価 =(≡)

                                        3
一階述語論理 (2)

• 一階述語論理の項 (term)
  • 定数 c と変数 X は項である
  • n引数を取る関数fと項t1, ...,tnについて,f(t1, ..., tn)は項である
  •例
     • taro, X, father(taro), father(X), father(father(taro)), etc.

• 一階述語論理の原子論理式(atomic formula)
  • n引数を取る述語pと項t1, ..., tnについて,p(t1, ..., tn)は原子論理式であ
    る
  •例
   • red(flower), isParent(taro, kenta), man(father(taro))

                                                                      4
一階述語論理 (3)



• 一階述語論理の論理式
  • 原子論理式は論理式である
  • 論理式φ, ψについて,論理記号で結合された式も論理式である
    • ¬ φ, φ ∧ ψ, φ ∨ ψ, φ → ψ, φ = ψ
  • 変数Xと論理式φについて,Xに限量子をつけた式も論理式である
    • ∀X. φ, ∃X. φ




                                        5
一階述語論理 (4)

• 世界の概念化
  • 表現したい世界は個体の集合(対象領域)で表現可能と仮定する
  • object間の関係の表現
     • 関数: objectを受け取り,objectを返す
     • 関係: objectを受け取り,Yes(True)/No(False)を返す
     •例
       • 関係: AはBより大きい ~ isLarger(A, B) : Yes / Noを返す
       • 関数: 父親を返す関数 ~ father(X): Xの父親(object)を返す

• 一階述語論理で表された論理式の意味を与える
  • 解釈Iと変数割り当てVを定める
                                                       6
一階述語論理 (5)

• 解釈I
  • 解釈は,定数や関数,述語が現実世界の何に対応するかを返す
  • 定数の解釈
    • 定数aは現実世界のオブジェクトαを表現する: I(a) = α
  • 関数の解釈
    • 関数fは現実世界の関数Fnに対応する: I(f ) = Fn
      • I(father) = “ある人の父親を表す関数”
  • 述語の解釈
    • 述語pは現実世界の関係Pに対応する: I(p) = P
      • I(isLarger) = “あるものはあるものより大きいという関係”

                                              7
一階述語論理 (6)

• 変数割り当て V
  • 変数割り当てVは解釈Iでは現実世界のものに対応付けられない変数
 を,対象領域中の何らかのobjectに対応させる
 • 変数の種類
   • 自由変数: ∀や∃といった限量子がついていない変数
   • 束縛変数: 限量子によって束縛されている変数
 • 自由変数の変数割り当て
   • 自由変数Xを対象領域のobject oに対応させる
     • V(X) = o
 • 束縛変数の変数割り当て
   • 後述
                                      8
一階述語論理 (7)
• 解釈Iと変数割り当てVによる論理式の意味付け
  • ある構成要素εの意味を[ε]IVと表す
  • 定数 a: [a]IV = I(a)
  • 変数 X: [X]IV = V(X)
  • 項 f(t1, ..., tn): [f(t1, ..., tn)]IV = I(f )([t1]IV, ..., [tn]IV)
  • 述語 p(t1, ..., tn): [p(t1, ..., tn)]IV = I(p)([t1]IV, ..., [tn]IV)
  • 論理記号で結合された論理式は,構成要素φ, ψの意味を利用して命
   題論理と同様に決定される


• 束縛変数について
  • ∀X. φ: ドメインDのすべての要素dについて[φX/d]IVが真かどうか
  • ∃X. φ: D中のある要素dについて[φX/d]IVが真かどうか
                                                                        9
一階述語論理 (8)

• 充足可能性
  • 論理式φと解釈I, 変数割り当てVが与えられたとき,φの真偽値が計
  算可能になった
 • 論理式φがあるI, Vのもとで真になるとき,
  φはIとVのもとで充足されるといい,⊧IV φ と表す


• 解釈Iに依らずに真となる論理式φを恒真式とよぶ(トートロジー)
• 解釈Iに依らずに偽となる論理式φを充足不能な論理式とよぶ
• 解釈Iと変数割り当てVによってφの真偽値が変化する論理式は,充足
可能な論理式と呼ばれる


                                        10
一階述語論理 (9)



• 論理的公理
  • φ → (ψ → φ)
  • (φ → (ψ → χ)) → ((φ → ψ) → (φ → χ))
  • (φ → ¬ψ) → ((ψ → φ) → ¬φ))
  • ∀X. φ → φX/t
  • ∀X. (φ → ψ) → (∀X. φ → ∀X. ψ)
  • φ → ∀X. φ (Xはφの自由変数でない)



                                          11
一階述語論理 (10)
• 論理的帰結 (Logical consequence)
  • n個の論理式φ1, ..., φnの全てを充足する,ある解釈Iと変数割り当てV
  が,他の論理式ψを充足するとき,{φ1, ..., φn} ⊧IV ψと書く
 • φ1, ..., φnを充足する任意のI, Vについて,ψもまた充足されるとき,
  ψはφ1, ..., φnの論理的帰結と呼び {φ1, ..., φn} ⊧ ψ と書く
  • φ1, ..., φnという関係や性質が成り立つどのような世界において
    も,ψという関係や性質が成り立つ


• モデル (model)
  • ある論理式φがある解釈Iについて,どのような変数割り当てVを行
  なっても充足されるとき,解釈Iはφのモデルと呼ばれる


                                                 12
一階述語論理 (11)

• 一階述語論理における推論
  • MP: Modus Ponens
     • φ→ψが真であり,φが真であれば,ψも真である
  • MT: Modus Tolens
     • φ→ψが真であり,¬ψが真であれば,¬φも真である
  • AND導入/除去
     • φとψからφ∧ψを導入する,もしくはφ∧ψからφとψを導入する
  • 全称例化/存在例化
     • ∀X. φからある特定の項tを用いて φX/tを導入する
     • ∃X. φから具体的な代入例 φ X/f(t1,...,tn)を導入する

                                              13
一階述語論理 (12)

• 論理式の証明
  • ある性質や関係φ1, ..., φnが成り立つ世界において,ある性質ψが成り
  立つかどうかを調べる
  • {φ1, ..., φn} ⊧ ψを調べる
 • 証明とは,{φ1, ..., φn} 中の論理式や論理的公理からスタートし,述
  語論理の推論を繰り返して実行して新しい論理式を作成し,最終的
  にψに至る論理式の列である
 • 論理式ψに対する証明が存在するとき,ψは証明可能という.
 • 論理的公理から推論規則によってψが導けるなら ⊦ ψと書く
 • ある仮説の論理式集合Γと論理的公理から推論規則によってψが導
  けるなら Γ ⊦ ψと書く

                                             14
一階述語論理 (13)
• 証明と論理的帰結に関する完全性と健全性
  • 健全性 (soundness)
    • Γ ⊦ ψならば Γ ⊧ ψである
       • 間違ったことは証明しない
  • 完全性 (completeness)
    • Γ ⊧ ψならば Γ ⊦ ψである
       • 必要なことは証明可能である

• 論理式の集合Γを仮定してある論理式ψが証明可能かどうかを調べる証
明手法の一つが融合法(resolution method)である
 • Γ ∪ {¬ψ}から矛盾が発生することを導く (背理法)
 • キーワード: 節形式と単一化
                                     15

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一階述語論理のメモ

  • 1. ただの一階述語論理のまとめ Keisuke Otaki October 13, 2012 1
  • 2. 一階述語論理 (0) • 花が赤い • red(flower) • red: 述語記号で引数に1つobjectを取る • すべての人間は死ぬ • Xは人間である ~ people(X) • Xは死ぬ ~ dead(X) • 人間Xは死ぬ ~ people(X) → dead(X) • すべての人間は死ぬ ~ ∀X. people(X) → dead(X) 2
  • 3. 一階述語論理 (1) • 一階述語論理の構成要素 • 個体定数: objectを表す • 個体変数: いずれかのobjectを表す • 関数記号: object間の関数関係を表す • 述語記号: objectの性質やobject間の関係を表す • 限量子 • ∀ - 全称限量子 • ∃ - 存在限量子 • 論理記号 • 否定 ¬, 連言 ∧, 選言 ∨, 含意 →, 等価 =(≡) 3
  • 4. 一階述語論理 (2) • 一階述語論理の項 (term) • 定数 c と変数 X は項である • n引数を取る関数fと項t1, ...,tnについて,f(t1, ..., tn)は項である •例 • taro, X, father(taro), father(X), father(father(taro)), etc. • 一階述語論理の原子論理式(atomic formula) • n引数を取る述語pと項t1, ..., tnについて,p(t1, ..., tn)は原子論理式であ る •例 • red(flower), isParent(taro, kenta), man(father(taro)) 4
  • 5. 一階述語論理 (3) • 一階述語論理の論理式 • 原子論理式は論理式である • 論理式φ, ψについて,論理記号で結合された式も論理式である • ¬ φ, φ ∧ ψ, φ ∨ ψ, φ → ψ, φ = ψ • 変数Xと論理式φについて,Xに限量子をつけた式も論理式である • ∀X. φ, ∃X. φ 5
  • 6. 一階述語論理 (4) • 世界の概念化 • 表現したい世界は個体の集合(対象領域)で表現可能と仮定する • object間の関係の表現 • 関数: objectを受け取り,objectを返す • 関係: objectを受け取り,Yes(True)/No(False)を返す •例 • 関係: AはBより大きい ~ isLarger(A, B) : Yes / Noを返す • 関数: 父親を返す関数 ~ father(X): Xの父親(object)を返す • 一階述語論理で表された論理式の意味を与える • 解釈Iと変数割り当てVを定める 6
  • 7. 一階述語論理 (5) • 解釈I • 解釈は,定数や関数,述語が現実世界の何に対応するかを返す • 定数の解釈 • 定数aは現実世界のオブジェクトαを表現する: I(a) = α • 関数の解釈 • 関数fは現実世界の関数Fnに対応する: I(f ) = Fn • I(father) = “ある人の父親を表す関数” • 述語の解釈 • 述語pは現実世界の関係Pに対応する: I(p) = P • I(isLarger) = “あるものはあるものより大きいという関係” 7
  • 8. 一階述語論理 (6) • 変数割り当て V • 変数割り当てVは解釈Iでは現実世界のものに対応付けられない変数 を,対象領域中の何らかのobjectに対応させる • 変数の種類 • 自由変数: ∀や∃といった限量子がついていない変数 • 束縛変数: 限量子によって束縛されている変数 • 自由変数の変数割り当て • 自由変数Xを対象領域のobject oに対応させる • V(X) = o • 束縛変数の変数割り当て • 後述 8
  • 9. 一階述語論理 (7) • 解釈Iと変数割り当てVによる論理式の意味付け • ある構成要素εの意味を[ε]IVと表す • 定数 a: [a]IV = I(a) • 変数 X: [X]IV = V(X) • 項 f(t1, ..., tn): [f(t1, ..., tn)]IV = I(f )([t1]IV, ..., [tn]IV) • 述語 p(t1, ..., tn): [p(t1, ..., tn)]IV = I(p)([t1]IV, ..., [tn]IV) • 論理記号で結合された論理式は,構成要素φ, ψの意味を利用して命 題論理と同様に決定される • 束縛変数について • ∀X. φ: ドメインDのすべての要素dについて[φX/d]IVが真かどうか • ∃X. φ: D中のある要素dについて[φX/d]IVが真かどうか 9
  • 10. 一階述語論理 (8) • 充足可能性 • 論理式φと解釈I, 変数割り当てVが与えられたとき,φの真偽値が計 算可能になった • 論理式φがあるI, Vのもとで真になるとき, φはIとVのもとで充足されるといい,⊧IV φ と表す • 解釈Iに依らずに真となる論理式φを恒真式とよぶ(トートロジー) • 解釈Iに依らずに偽となる論理式φを充足不能な論理式とよぶ • 解釈Iと変数割り当てVによってφの真偽値が変化する論理式は,充足 可能な論理式と呼ばれる 10
  • 11. 一階述語論理 (9) • 論理的公理 • φ → (ψ → φ) • (φ → (ψ → χ)) → ((φ → ψ) → (φ → χ)) • (φ → ¬ψ) → ((ψ → φ) → ¬φ)) • ∀X. φ → φX/t • ∀X. (φ → ψ) → (∀X. φ → ∀X. ψ) • φ → ∀X. φ (Xはφの自由変数でない) 11
  • 12. 一階述語論理 (10) • 論理的帰結 (Logical consequence) • n個の論理式φ1, ..., φnの全てを充足する,ある解釈Iと変数割り当てV が,他の論理式ψを充足するとき,{φ1, ..., φn} ⊧IV ψと書く • φ1, ..., φnを充足する任意のI, Vについて,ψもまた充足されるとき, ψはφ1, ..., φnの論理的帰結と呼び {φ1, ..., φn} ⊧ ψ と書く • φ1, ..., φnという関係や性質が成り立つどのような世界において も,ψという関係や性質が成り立つ • モデル (model) • ある論理式φがある解釈Iについて,どのような変数割り当てVを行 なっても充足されるとき,解釈Iはφのモデルと呼ばれる 12
  • 13. 一階述語論理 (11) • 一階述語論理における推論 • MP: Modus Ponens • φ→ψが真であり,φが真であれば,ψも真である • MT: Modus Tolens • φ→ψが真であり,¬ψが真であれば,¬φも真である • AND導入/除去 • φとψからφ∧ψを導入する,もしくはφ∧ψからφとψを導入する • 全称例化/存在例化 • ∀X. φからある特定の項tを用いて φX/tを導入する • ∃X. φから具体的な代入例 φ X/f(t1,...,tn)を導入する 13
  • 14. 一階述語論理 (12) • 論理式の証明 • ある性質や関係φ1, ..., φnが成り立つ世界において,ある性質ψが成り 立つかどうかを調べる • {φ1, ..., φn} ⊧ ψを調べる • 証明とは,{φ1, ..., φn} 中の論理式や論理的公理からスタートし,述 語論理の推論を繰り返して実行して新しい論理式を作成し,最終的 にψに至る論理式の列である • 論理式ψに対する証明が存在するとき,ψは証明可能という. • 論理的公理から推論規則によってψが導けるなら ⊦ ψと書く • ある仮説の論理式集合Γと論理的公理から推論規則によってψが導 けるなら Γ ⊦ ψと書く 14
  • 15. 一階述語論理 (13) • 証明と論理的帰結に関する完全性と健全性 • 健全性 (soundness) • Γ ⊦ ψならば Γ ⊧ ψである • 間違ったことは証明しない • 完全性 (completeness) • Γ ⊧ ψならば Γ ⊦ ψである • 必要なことは証明可能である • 論理式の集合Γを仮定してある論理式ψが証明可能かどうかを調べる証 明手法の一つが融合法(resolution method)である • Γ ∪ {¬ψ}から矛盾が発生することを導く (背理法) • キーワード: 節形式と単一化 15