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2018年12月4日までに
『呪術廻戦』を読む理由
Agenda
 はじめに
 呪術廻戦
 2018/12/04
はじめに
以下の条件に該当する方は、ここから先を読む必要はありません。
今すぐAmazon等から「呪術廻戦」を購入してください。
 「ヴィンランド・サガ」や「パンプキン・シザーズ」が好き
 「「BLEACH」の鬼道、もしくは解号を3つ以上暗記している
 「カルドセプト」などのカートゲームが好き
呪術廻戦: 概要
「呪術廻戦」は、「週刊少年ジャンプ」で芥見下々先生により連
載されている漫画。既刊2巻。
『呪術廻戦』芥見下々より
呪術廻戦: あらすじ (※読み飛ばし可)
呪い。
辛酸・後悔・恥辱...。人間の負の感情から生まれる
禍々しきその力は、人を死へと導く。
ある強力な「呪物」の封印が解かれたことで、
高校生の虎杖は、呪いを廻る戦いの世界へと入っていく...!
異才が拓く、ダークファンタジーの新境地!
『呪術廻戦』芥見下々より
呪術廻戦: あらすじ
普通の学生である主人公が、怪事件に巻き込まれる。
その過程で特異な力を取り込む。
一見よくあるストーリー
類似の展開は著名な作品では「BLEACH」「東京喰種」「寄生
獣」、同じジャンプ作品では「歪のアマルガム」など枚挙に暇が
ない。
実際、一話目で「これは違う」と見抜けた人は少ないと思われる。
呪術廻戦: 魅力
呪術廻戦の魅力は、先の3点の条件に符合する。
「ヴィンランド・サガ」や「パンプキン・シザーズ」が好き
 「「BLEACH」の鬼道、もしくは解号を3つ以上暗記している
 「カルドセプト」などのカートゲームが好き
呪術廻戦: 魅力
呪術廻戦の魅力は、先の3点の条件に符合する。すなわち、
 哲学
 演出
 戦略
呪術廻戦: 魅力-哲学 (1/4)
確実に「この漫画は違う」と確信した箇所(呪術廻戦 第3話)
呪術廻戦: 魅力-哲学 (2/4)
主人公が、「祖父の遺言」(=他人の言葉)を動機としている点を
指摘されたシーン。
漫画では、「人のためではなく自分のために」というシーンはよ
くある。このシーンもそれに類似しているが、異なるのは「なぜ、
人のためではいけないのか?」が言及されている点。
その後に続くセリフ
「今のままだと大好きな祖父を呪うことになるかもしれんぞ」
=他人の言葉を理由にしていれば、キツイ目にあった時「他人の
せい」になってしまう。
呪術廻戦: 魅力-哲学 (3/4)
この点はのちのストーリーでも踏襲される。
なぜ殺さないのか?を問
われたシーン
『呪術廻戦』24話より
呪術廻戦: 魅力-哲学 (4/4)
キャラクターの動機について、「なぜ?」がきちんと描かれる。
「なぜ?」への回答がキャラクターの信念(哲学)とリンクしてお
り、それが魅力的な造形へとつながっている。
呪術廻戦: 魅力-演出 (1/4)
キャラクターの哲学
と、もう一つの魅力
である「演出」が結
実し、多くのファン
を生み出した(と思わ
れる)シーン。
呪術廻戦 第9話
呪術廻戦: 魅力-演出 (2/4)
なぜ人を助けるのか?
 「因果応報は全自動ではない」 (=因果は不平等である)
 (だからこそ)「不平等に人を助ける」
「因果応報は全自動ではない」という言葉のセンス(端的に神)。
呪術廻戦の演出は、紙面上の演出だけでなく、こうした語彙の豊
富さにも裏付けられている。
呪術廻戦: 魅力-演出 (3/4)
演出を支える豊富
な語彙
「蓋棺鉄囲山」
「無量空処」
「自閉円頓裹」
BLEACHの卍解に
通じるところがあ
る。
(左は15話より)
呪術廻戦: 魅力-演出 (4/4)
「魅せ」のシーンだけでなく、
構成も秀逸。
初の連作となる「呪胎戴天」の
開始を告げるシーン(第5話)。
結末が事前に開示される。
「哲学」によりキャラクターに
感情移入ができるため、「誰も
死んでほしくない」とハラハラ
する。これは、先日終了した
「幼魚と逆罰」でさらに顕著。
呪術廻戦: 魅力-戦略 (1/3)
呪術廻戦においては、エネルギー弾のような単純な能力は存在し
ない。
「HUNTER X HUNTER」や「ワールドトリガー」のように、制
約やルールのある能力が中心となっている。
バスケットやサッカーなど、ルールのあるスポーツ漫画ではいき
なり100点入るということはない(「あひるの空」で顕著)。逆転
するにしても制約/ルールに沿った展開が求められる。
同様に、制約/ルールのあるバトルは基本いきなり「ドン!」で
決着できない=バトルに緊張感が生まれる。
呪術廻戦: 魅力-戦略 (2/3)
呪術廻戦15話より
強力な能力である「領域
展開」では、展開した領
域において攻撃は絶対に
あたるという前提がある。
呪術廻戦: 魅力-戦略 (3/3)
呪術廻戦29話より
触れたら必ずNGな能力を持つ敵が領域展開を発動する。
通常なら前述のルールが仇となり展開しにくいが、なんと・・・
2018/12/04
 呪術廻戦3巻
 前日譚にあたる「東京都立呪術高等専門学校」
が発売されます。
確実に売れるので、12/4以降に買うと「ブームに乗ってマンガ
読む野郎」認定されてしまう可能性がある。
12/4までに読めば大丈夫!しかも待つ楽しみがある!

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