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続・分かりやすいパターン認識
教師なし学習入門
第1回 1章,2章,3章
第2回 4章,5章, 6章
第3回 7章,8章,9章
第4回 10章,11章
第5回 12章,13章
資料の目的
用語の説明が空欄になっています。
また、問題文のみとなっており、この別資と解説資料を併せ
て確認で利用してください。
*極端な話、内容が十分に理解できており、議論したい内容
がない方は、勉強会は参加しなくても良いと考えます。
① 専門書中にある用語の定義確認
② 実際に問題を解いた上で理解度を知る
③ 資料内の表現や説明が不足している点の洗い出し
④ 議論のポイント確認
1
第1章 ベイズ統計学
1.1 試行と事象(用語まとめ)
試行:繰り返し行うことのできる実験、観測、調査
事象:思考によって得られる事象
根元事象:複数の根元事象からなる事象
複合事象:根元事象をすべて集めた集合
標本空間:根元事象をすべて集めた集合
標本点:集合の各要素
P(A):事象Aの生起する確率
{・}:集合の表記
2
1.1 試行と事象
確率変数X:根元事象に割り当てられた数値のいずれかを取る変数
確率関数P(X):変数に対して定まっている確率
確率密度関数: p(x)ある区間において積分すると、確率になる関数
確率分布:確率変数がある値となる確率
離散型確率変数:離散的な値を取る確率変数
(離散型確率分布:離散型確率変数の確率分布)
連続型確率変数:連続的な値をとる確率変数
(連続型確率分布:連続型確率変数の確率分布)
3
1.2 ベイズの定理
ある事象SとXに対して
𝑃(𝑆|𝑋) =
'((,*)
'(()
=
'((|*)
'(()
・ 𝑃(𝑆)
=
'((|*)
∑, '(() '((|*)
・ 𝑃(𝑆)
が成り立つこと
つまりS(原因)に対するX(結果)の条件付き確率を
XからSの確率で表現すること
4
1.2 ベイズの定理
同時確率:複数の事象が組みになって同時に生起する確率
事象SとXに対して
SとXが同時に起こる確率(同時確率)は
𝑃(𝑋, 𝑆)or 𝑃(𝑆, 𝑋)と表される
周辺確率:同時確率が周辺化された確率
周辺化:一方の事象の確率を加算すること
𝑃(𝑋, 𝑆)、 𝑃(𝑆, 𝑋)からみて𝑃(𝑆) 、 𝑃(X)は周辺確率という
( 𝑃(𝑋)= ∑* 𝑃(𝑋|𝑆) 及び 𝑃(S)= ∑( 𝑃(𝑆|𝑋)が成り立つ)
条件付き確率:ある事象が生じる条件で別の事象が生じる確率
事象SとXに対して
Sが起る上で,Xが起こる確率は𝑃(𝑆|𝑋)
Xが起る上で,Sが起こる確率は𝑃(𝑋|𝑆)
5
1.2 ベイズの定理
例
6
同時確率𝑃(𝑋, 𝑆) 条件付き確率𝑃(𝑋|𝑆)
𝑋 𝑆
𝑋 ∩ 𝑆
全ての事象(緑)のうちXかつS(橙色)が起こる確率
𝑋 𝑆
𝑋 ∩ 𝑆
Sが与えられた条件(青)でXかつS (橙色)が起こる確率
例題1.1 表面が白色のカードが4枚、黒色のカードが6枚ある。各カー
ドは当たり、もしくは外れであり、当たりのカードの裏面には、「当」の
文字が刻印され、外れのカードの裏面には何も刻印されていない。当
たりは白色のカードで2枚、黒色のカードで1枚含まれていることが予
め知らされているものとする。
(1) これらの10枚のカードから無作為に1枚取り出すとき、そのカード
が当たりである確率を求めよ。
(2) 上記の取り出したカードを、表・裏とも見ずにそのままにしておく。
その後、表面色が白であることを知った時、このカードが当たり
である確率を求めよ。
7
S=当 S=外
X=白 P(白,当)=2/10 P(白,外)=2/10 P(白)=4/10
X=黒 P(黒,当)=2/10 P(黒,外)=5/10 P(黒)=6/10
P(当)=3/10 P(外)=7/10
(1) P(当)=3/10
(2) P(当|白) =
'(⽩|当)
'(当)'(⽩|当)+'(外)'(⽩|外)
・ 𝑃(当) =1/2 (ベイズの定理より)
例題1.2 羅患率が0.001であることが知られている病気がある。この病
気に対する検査薬Aがあって、感染していれば0.98の確率で陽性反
応が出るが、感染していなくても、0.01の確率で陽性となる。もしある
人がこの検査を受けて陽性となって時、この人がこの病気に感染して
いる確率を求めよ。
8
S=非(非感染) S=感(感染)
X=陰 P(陰|非)=0.99 P(陰|感)=0.02
X=陽 P(陽|非)=0.01 P(陽|感)=0.98
事前確率 P(非)=0.999 P(感)=0.001
𝑃(感 |陽) =
'(陽|感)
'(⾮)'(陽|⾮)+'(感)'(陽|感)
・ 𝑃(感 )
=0.089
例題1.3 例題1.2で述べた検査薬Aで陽性と判定された人が不安を覚
え、されに別の検査薬Bで検査したところ、やはり陽性であった。この
人がこの病気に感染している確率を求めよ。ただし、検査薬Bは、感
染者に対しては0.97の確率で陽性を示すが、擬陽性の確率が0.04で
ある。
9
S=非(非感染) S=感(感染)
X=陰 P(陰|非)=0.96 P(陰|感)=0.03
X=陽 P(陽|非)=0.04 P(陽|感)=0.97
事前確率 P(非)=0.911 P(感)=0.089
事前確率が例題1.1より更新されている
𝑃(感 |陽) =
'(陽|感)
'(⾮)'(陽|⾮)+'(感)'(陽|感)
・ 𝑃(感 )
=0.70
10
第2章 事前確率と事後確率
2.1 事後確率の計算
例題2.1 箱の中に、外見上はまったく区別がつかない3種のコイン𝜔1、
𝜔2、 𝜔3が大量に混ぜ合わされて入っており、その含有率はそれぞれ
𝜋1、 𝜋2、 𝜋3とする。また、これら3種のコインを投げて表の出る確率は
それぞれ、 𝜃1、 𝜃2、 𝜃3とする。この箱の中からコインを無作為に1枚取
り出して投げたところ、表が出たとする。
(1) この結果より、コインが𝜔1、 𝜔2、 𝜔3である確率をそれぞれ求めよ。
(2) 上記確率を、 𝜋1 = 0.1、 𝜋2 = 0.4、 𝜋3 = 0.5かつ、 𝜃1 = 0.8、
𝜃2 = 0.6、 𝜃3 = 0.3の場合について計算せよ。
11
第2章 事前確率と事後確率
2.1 事後確率の計算
(1) この結果より、コインが𝜔1、 𝜔2、 𝜔3である確率をそれぞれ求めよ。
𝑃(𝜔?|𝐻) =
'(A|BC)
'(A)
・ 𝑃(𝜔?)(ベイズの定理より)
に次の式を代入する
𝑃 𝐻 𝜔? = 𝜃? (𝑖=1,2,3)
𝑃(𝐻)= ∑?E1
3
𝑃(𝜔?) 𝑃(𝐻|𝜔?)= ∑?E1
3
𝜋? 𝜃?
𝑃(𝜔?)= 𝜋? (𝑖=1,2,3)
𝑃(𝜔?|𝐻) =
FCGC
∑CHI
J
GCFC
(2) 上記確率を、 𝜋1 = 0.1、 𝜋2 = 0.4、 𝜋3 = 0.5かつ、 𝜃1 = 0.8、
𝜃2 = 0.6、 𝜃3 = 0.3の場合について計算せよ。
𝑃 𝜔1 𝐻 =0.17, 𝑃 𝜔1 𝐻 =0.511, 𝑃 𝜔3 𝐻 =0.319
12
2.1 事後確率の計算
例題2.2 箱の中に、外見上はまったく区別がつかない3種のコイン𝜔1、
𝜔2、 𝜔3が大量に混ぜ合わされて入っており、その含有率はそれぞれ
𝜋1、 𝜋2、 𝜋3とする。また、これら3種のコインを投げて表の出る確率は
それぞれ、 𝜃1、 𝜃2、 𝜃3とする。この箱の中からコインを無作為に1枚取
り出し、そのコインを続けてn(≧2)回投げたところ、観測結果𝑥1 𝑥2・・・
𝑥N・・・ 𝑥Oが得られ、その内容はr回(0≦r ≦n)が表であったとする。ただし、
𝑥Nはt回目の観測結果を表す。この結果より、そのコインが𝜔1、 𝜔2、
𝜔3である確率をそれぞれ求めよ。
𝑃 𝑥(O) 𝜔? = ∏OE1
3
𝑃 𝑥O 𝜔? = 𝜃?
Q
(1 − 𝜃?) OSQ
𝑃 𝑥 O = ∑?E1
3
𝜋? 𝜃?
Q
(1 − 𝜃?) OSQ
𝑃(𝜔?)= 𝜋? (𝑖=1,2,3)
以上を次式に代入
𝑃 𝜔? 𝑥(O) =
' 𝑥(O) 𝜔?
' T U ・ 𝑃(𝜔?)=
GCFC
V
(1SFC) UWV
∑XHI
J
GX FX
V
(1SFX) UWV
13
2.1 事後確率の計算
ベルヌーイ試行:同一条件で同じ試行を繰り返す時、各回の試行は独立
で他の試行に影響を与えない試行
1回の試行で、ある事象の生起する確率がθである時、その試行をn回
繰り返してその事象がr回生起する確率(二項分布)は
𝑃O 𝑟; 𝜃 = 𝑛𝐶𝑟 𝜃Q (1 − 𝜃) OSQ
そのうち𝑛 = 1, 𝑟 = 0, 𝑟 = 1となる確率がそれぞれの離散型確率分布を
ベルヌーイ分布という。
𝐵𝑒𝑟𝑛 𝑟; 𝜃 = 𝑃O 𝑟; 𝜃
= 𝜃Q(1 − 𝜃) OSQ
0 ≦ 𝜃 ≦ 1 (𝑟 ∈ {0,1})
14
2.2 ベイズ更新
ベイズ更新:観測結果で得られた事後確率を新たな事前確率とみなし、
ベイズの定理に基づいて事後確率を逐次更新しながら求めていく方法
例題2.1の条件において、コインをn回投げた時の事後確率をそれまでに
投げた(n-1)回のコインの観測結果によって以下の式で表すことができる。
式を導出せよ。
𝑃 𝜔1|𝒙(𝒏)
=
'(TU|BC)
∑XHI
J
'(BX|𝒙(UWI)) '(TU|BX)
・ 𝑃(𝜔?|𝒙(OS1))

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