MGH GIM カンファレンス

1. 症例１

2. 25歳女性。
腹部膨満を主訴に受診。

3. 生まれた時から発達遅延や多指症・舌小帯異常あり。
3歳、11歳時にそれぞれ腹部膨満を主訴にA病院小児科入院。
13歳、排ガスが頻回に出現。再度、A病院小児科・消化器内
18歳、腹部膨満が徐々に悪化。空腹感なく、食欲低下、体重

4. その後、A病院消化器内科・B消化器内科クリニック・C内科
腹部膨満・食欲低下は持続し、体重はさらに減少したため、
入院後も腹部膨満強く経口摂取拒否し、経管栄養管理とした

5. 25歳時に、胃捻転のためG病院消化器内科入院。NG tu
26歳時に18kg(BMI:10)になったため、当院総合内科紹介

6. 【既往歴】
多指症、舌小帯異常(1歳までに手術)
両側滲出性中耳炎で手術(10歳)
左脛骨外顆の外傷性骨折(24歳)
【使用薬剤】
ラコールNF配合経腸用液 1200ml/日 2x朝夕
アンプラーグ(100)3T3x
ウルソ錠(100)2T2x朝昼
ツムラ小建中湯(2.5g/包)1T2x朝夕食前
ツムラ当帰芍薬散(2.5g/包)1T2x朝夕食前
【嗜好品】喫煙なし、飲酒なし
【生活歴】
学校生活：小・中学校は公立の普通学級(成績中位)。中学校の部活は英会話部。
高校は通信制だが生徒会役員をしていた(成績中位、週に1度通学)。
A短大に推薦入学し、その後大学に編入（福祉学科）
職歴：無職
ADL：食事・排泄・着衣・歩行は自立。入浴は要介助。
【家族歴】父；DM、祖父(母方)；癌(詳細不明)、祖母(母方)：うつ病
【アレルギー】そば・エビ・モモ。

7. 概観：ぐったりしている。身長 138.1cm、体重 18.9kg、BMI 9.9。
バイタル：体温36.7℃、血圧86mmHg(拡張期血圧測定不可)、脈拍数80/min(整)、SpO2 95%(RA)、呼吸数16/
頭頸部：正常。
呼吸音：正常。
心臓：Ⅰ音正常、Ⅱ音正常、Ⅲ音なし、Ⅳ音なし。雑音なし。
背部：正常。
腹部：膨満軟、お腹はポンポンに膨らんでいる、腸雑音亢進、筋性防御なし。肝触れず。脾触れず。腹部圧痛
皮膚：正常。
リンパ節：触知しない。
四肢：両側の前腕・大腿・下腿・足背に浮腫なし。
直腸診：未検。
[神経]
見当識正常。意識清明。
Ⅰ：嗅覚脱失(コーヒー豆)
反射：バビンスキー反射両側陰性
DTR(R/L)：上腕二頭筋反射(+/+)、上腕三頭筋反射(+/+)、膝蓋腱反射両側(+/+)、アキレス腱反射(+/+)
感覚：上下肢末端の触覚異常なし(筆擦過)、温痛覚異常なし(アル綿)
その他は全て正常。

8. TP 5.6g/dL↓
Alb 3.5g/dL↓
AST 112U/L↑
ALT 96U/L↑
LDH 297U/L↑
ALP 169U/L
ChE 257U/L
CK 67U/L
Amy 80U/L
UA 5.5mg/dL
BUN 16mg/dL
Cre 0.48mg/dL
Na 139mEq/L
K 4.5mEq/L
Cl 103mEq/L
Ca 8.6mg/dL↓
P 3.8mg/dL
Mg 2.5mg/dL↑
Zn 50μg/dL↓
Cu 74μg/dL
Fe 74μg/dL
T-Chol 212mg/dL
TG 88mg/dL
HDL-Chol 73mg/dL
BS 52mg/dL
HbA1c 5.5%
CRP 0.0mg/dL
TSH 1.548μU/mL
VitB1 27ng/ml
VitB12 1040.7pg/mL↑
WBC 2470/μL↓
好塩基球 0.4%
好酸球 0.4%
好中球 54.7%
単球 4.0%
ﾘﾝﾊﾟ球 40.5%
RBC 381×104/μL
Hb 11.5g/dL
Ht 34.6%
MCV 90.8fL
MCH 30.2pg
MCHC 33.2g/dL
RDW-CV 12.0%
Plt 20.5×104/μL

9. ＜検尿定性＞
色調 褐色, 混濁 (-), 比重 1.032↑, pH 6.0, 尿蛋白定性 (±), 尿糖定性 (-), ケトン体 (2+), 潜血反応 (-
＜尿沈渣＞
赤血球 1未満/視野, 白血球 1~4/視野, 扁平上皮 1~4/視野, ガラス円柱 (-),
細菌 (-), 尿細管上皮 1未満/視野
＜心電図＞
洞調律、HR 74bpm、正軸、移行帯V1-V2、P波(+)、PR 142ms、QRS 86ms、QT/QTc(E) 368/3
＜腹骨盤部単純CT＞
腹腔内free airなし。腸管：著明な拡張あり、便少量あり、腸内液体なし。脂肪肝なし。