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Rtocs#9:ビジネス・ブレークスルーの成長戦略
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RTOCS#9
あなたがビジネス・ブレークスルーの⼤前研⼀⽒なら、リカレント
教育の必要性がかつてないほど叫ばれる中、この好機をいかに
事業の成⻑につなげるか
Koh Takahashi
2021.9.30
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1
RTOCSとは
RTOCS(Real Time Online Case Study)とは、注⽬される時事問題をピック
アップし、⾃らをその当事者とした場合に、戦略的なアプローチの考察から、結論まで
をどのように導くのかを⽰す実践型のケーススタディである。
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2
ビジネス・ブレークスルーの基本情報
ビジネス・ブレークスルーは著名なコンサルタントの⼤前研⼀⽒が設⽴した経営指導や幅広い⼈材育成を⾏う企業である。
同社は提供する様々な講座やプログラムを通じて、企業・個⼈におけるプロフェッショナルなリーダーの育成を⽬指している。
(出所)同社HP
会社名
所在地
設⽴
代表者
資本⾦
株式公開
事業内容
会社概要
株式会社 ビジネス・ブレークスルー
東京都千代⽥区六番町1-7 Ohmae@workビル
1998年4⽉
代表取締役会⻑ ⼤前 研⼀
18億18百万円
東京⼀部上場
n マネジメント遠隔教育事業/集合教育事業/コンテンツのプロバイダー事業
n 遠隔教育システムコンサルタントおよびサービスプロバイダー
n ビジネスおよびマネジメント専⾨コンテンツの企画・制作
n ビジネス・ブレークスルー⼤学/⼤学院運営、インターナショナルスクール運営
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3
教育市場規模
(出所)⽮野経済研究所
教育市場は緩やかな拡⼤を継続してきたが、新型コロナウイルス感染症拡⼤の影響によって、全体市場の成⻑も鈍化す
ることとなった。しかし、コロナ禍においてeラーニング市場は成⻑を続けており、今後もDXやリモート環境でのサービス提供
に適⽤できている企業は成⻑余⼒があると思われる。
62,000 65,000 68,400
84,550 95,100
138,000
153,500
167,000
203,500
217,500
-
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
2017 2018 2019 2020 2021
eラーニング市場規模の推移
BtoB(法⼈向け) BtoC(個⼈向け)
(百万円)
CAGR = 9.34%
26,926 27,406 27,656 27,747 26,978
-
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
2016 2017 2018 2019 2020
教育産業全体の市場規模推移
(億円)
(予測) (予測)
CAGR = 0.04%
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4
昨今の教育市場のトレンド
教育業界を取り巻く環境としては、昨今、EdTech(*1)やSTEM教育(*2)などが国内外を問わず注⽬され、新興企業の参
⼊なども相次いでいる。また国内では⽂科省主導で⽣徒⼀⼈につき⼀台のPC配布しインフラの整備も⾏うというGIGAス
クール構想が進⾏中で、これらのトレンドの掛け算に加えてコロナ禍で教育のデジタル化は⼀気に加速している。
EdTech
STEM教育 GIGAスクール構想
⺠及びグローバルの動向 官の動向
(*1) = EducationとTechnologyを組み合わせた造語
(*2) = Science, Technology, Engineering,
Mathematicsの教育分野を総称した造語
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5
学⼒で⾒る⽇本の現状
(出所)
2018年に79の国や地域を対象に実施したOECDによる国際的な⽣徒の学習到達度調査PISAによると、⽇本は数学
的・科学的リテラシーではトップ10内を維持しているものの読解⼒については15位となっている。同調査が初めて実施され
た2000年に⽐べていずれに分野でも順位は後退しており、他国との相対的な学⼒差は開きつつあると⾔える。
順位 国名 点数
1 北京、上海、江蘇、広東 591
2 シンガポール 569
3 マカオ 558
4 ⾹港 551
5 台湾 531
6 韓国 526
7 エストニア 523
8 ⽇本 522
9 オランダ 519
10 ポーランド 516
数学的リテラシー
OECD平均︓489
順位 国名 点数
1 北京、上海、江蘇、広東 555
2 シンガポール 549
3 マカオ 525
4 ⾹港 524
5 エストニア 523
6 カナダ 520
7 フィンランド 520
8 アイルランド 518
9 韓国 514
10 ポーランド 512
15 ⽇本 504
読解⼒
OECD平均︓487
順位 国名 点数
1 北京、上海、江蘇、広東 590
2 シンガポール 551
3 マカオ 544
4 エストニア 530
5 ⽇本 524
6 フィンランド 522
7 韓国 519
8 カナダ 518
9 ⾹港 517
10 台湾 516
OECD平均︓489
科学的リテラシー
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6
⽇本のリカレント動向 (1/2)
(出所) 総務省 情報通信⽩書平成30年版
⽇本では次世代を担う20代から30代の男⼥の過半数が学び直しや職業訓練の必要性を感じている⼀⽅で、社会⼈に
なってからの⼤学⼊学者数の割合を⾒るとOECD加盟国の平均が約18%に対して、⽇本ではわずか1.9%となっており、
実際に⾏動に移せている⼈はまだまだ少ないのが現状であると⾔える。
OECD加盟国25歳以上の⼤学⼊学者割合
学び直しや職業訓練の必要性(⽇本、年代別⽐較
(出所)⽂部科学省 社内⼈の学び直しに関する現状等について
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7
⽇本のリカレント動向 (2/2)
(出所)⽇経新聞 2021年9⽉19⽇
マイクロソフトなどのIT⼤⼿はリカレント(学び直し)領域に勝機を⾒出し、 独⾃のカリキュラムや認証制度を設けて、
将来的に不⾜が⾒込まれるデジタル領域のスキル習得⽀援に乗り出すなどの動きも⾒られる。
今後、このような異業種からの参⼊も加わり、この領域における競争はますます激しさを増していくと思われる。
- 9. Copyright © 2021 Koh Takahashi All Rights Reserved. 8
8
フリーランス・副業動向
(出所)【ランサーズ】フリーランス実態調査2021
2021年のフリーランス⼈⼝は1,670万⼈と全労働⼈⼝の24%を占め過去最⾼になった。また、新型コロナウイルスの世界
的なパンデミックにより、⼀つの収⼊源に依存することへの危機感から副業・複業ワーカーも直近の1年間で増加している。
765 736 708
812
-
100
200
300
400
500
600
700
800
900
2018 2019 2020 2021
副業・複業ワーカー⼈⼝
20.7 21.0
17.6
28.2
1,151
1,118
1,062
1,670
-
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
-
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
2018 2019 2020 2021
フリーランス市場規模
経済規模 フリーランス⼈⼝
(兆円) (万⼈) (万⼈)
- 10. Copyright © 2021 Koh Takahashi All Rights Reserved. 9
9
ビジネス・ブレークスルーの業績推移
(出所)同社IR資料を基に作成
ビジネス・ブレークスルーは2005年の上場以来、リーマンショック時にはやや業績が下ぶれる局⾯はあったものの売上規模と
しては年平均成⻑率約8%と堅調に成⻑している。⼀⽅、売上規模の拡⼤に対する経常利益規模はさほど増えていな
いことから、利益を事業拡⼤に積極的に再投資していると思われる。
-
1,000,000
2,000,000
3,000,000
4,000,000
5,000,000
6,000,000
7,000,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
売上⾼及び経常利益の推移
売上⾼ 経常利益
(千円)
CAGR = 8.58%
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10
ビジネス・ブレークスルーの事業概要
(出所)同社IR資料を基に作成
“⽣涯教育プラットフォームの構築・⾶躍”を掲げる同社では主に2つの事業領域にて、初等教育から⼤学・⼤学院、社会
⼈向けの教育⽀援などグローバルでリーダーシップを発揮できる⼈材育成を⽬的とした幅広いサービス提供を⾏っている。
リカレント教育 (52%)※ マネイジメント教育サービス • BBT⼤学・⼤学院
• Bond-BBT MBA
• アタッカーズビジネススクール
• 次世代リーダー研修
• 向研会
• ⼤前経営塾
経営コンテンツメディアサービス • ビジネス・ブレークスルーチャネル
• ブロードバンドラーニング
• アルムナイサービス
• ⼤前研⼀通信
プラットフォームサービス (45%) アオバインターナショナルスクール(初等部・中等部・⾼等部)
アオバジャパン・バイリンガルスクール
サマーヒルインターナショナルスクール
ムサシインターナショナルスクール
その他 (3%)
※()は売上⾼構成⽐
ビジネス・ブレークスルーのセグメント別事業構成
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11
上位10社の売上⾼シェア
売上規模別に⾒る業界ランキングではビジネス・ブレークスルーは22位につけている状況。ベネッセHDが規模では圧倒的
であるが、その他は私塾の運営会社などが上位を占めている。
(出所) 業界動向サーチ 教育業界
企業名 売上⾼(億円) シェア
1. ベネッセHD
2. 学研HD
3. ヒューマンHD
4. ナガセ
5. JPホールディングス
6. 早稲⽥アカデミー
7. リソー教育
8. 京進
9. 臨海
10. TAC
22. ビジネス・ブレークスルー
4,275
1,435
858
458
329
254
252
231
201
197
58
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
⇘
⇗
⇒
⇒
⇒
41.7%
14.0%
8.4%
4.5%
3.2%
2.5%
2.5%
2.3%
2.0%
1,9%
*シェアは上位10社の売上⾼
の合計を100%として算出
・
・
・
- 13. Copyright © 2021 Koh Takahashi All Rights Reserved. 12
12
MBAプログラムの提供校
(出所)BBT⼤学⼤学院HP
ビジネス・ブレークスルーは複数のMBAプログラムの提供校を有しているが、国内だけでも同プログラムを提供する学校は
約40校も存在しており、その中の多くは定員割れのいわゆる”限界スクール”という観測(※)もある。
今後は良質なコンテンツ提供並びに優秀な学⽣の確保ができない学校には淘汰の波が押し寄せると思われる。
私⽴ 公⽴
国⽴
株式会社
(※)ビジネス・インサイダー
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13
国際バカロレア認定校
(参考)インターナショナルスクールタイムズ
ビジネス・ブレークスルーではM&Aを経て傘下に収めた学校にて、国際バカロレア認定を受けている学校を複数有している。
また、管轄省庁である⽂科省より「平成30年度 国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業も受託(※)しており、
同認定制度の国内の普及にも寄与している。
国際バカロレア とは
スイスに本部を置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラム。教育課程に合わせて、PYP、MYP及びDと
いう構成に分かれており、DP取得者には世界中の⼤学への⼊学資格(国際バカロレア資格)が与えられる。ビジネス・
ブレークスルーではアオバインターナショナルスクールなどの認定校を有しており、バカロレアはその教育内容の質の⾼さから近
年、国内でも注⽬を集めている教育制度である。
PYP MYP DP
概要
ビジネス・
ブレークスルー
• 初等教育課程
• 3歳から12歳
• ⼩学校で学ぶ内容に相当
• 国内で50校認定
• 中等教育課程
• 11歳から16歳
• 中学校で学ぶ内容に相当
• 国内で26校認定
• ディプロマ課程
• 16歳から19歳
• ⾼校で学ぶ内容に相当
• 国内で59校認定
• アオバジャパン・インターナショ
ナルスクール
• アオバジャパン・バイリンガルプ
リスクール
• サマーヒルインターナショナル
スクール
• アオバジャパン・インターナショ
ナルスクール
• アオバジャパン・インターナショ
ナルスクール
(※)同社プレスリリース
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事業のリスク
(出所)同社HP等
2017以降の有価証券報告書には「代表取締役社⻑への依存及び当社の事業推進体制について」という記載はなく
なっているが、現在も主要サービスのマーケティングにおいては創業者である⼤前研⼀⽒が前⾯に出ているものが多く、彼
の⼈気や知名度、実績に依存した集客モデルから完全に脱却しているとは⾔い難い状況と思われる。
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15
株価の推移
(出所)Yahoo!ファイナンス
株価で⾒る同社の株式市場からの評価は芳しくなく、上場時の2,000円前後から現在は1/4以下の⽔準で推移している。
全⽅位的に時代を先取りした良質なサービス提供は⾏っていると考えられるが、創業者である⼤前研⼀⽒の年齢や後継
体制も考慮すると、今後の成⻑期待値が株価に反映されているものと思われる。
ビジネス・ブレークスルーの株価の推移
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16
現状と課題
教育プラットフォームの構築やコンテンツ配信という意味でもビジネス・ブレークスルーはコロナショック以前から時代を先取り
して先⼿を打ってきている。しかし、創業者依存度が⾼いことは否めないため、先を⾒据えてその後の成⻑路線をいかに描
くかがマーケットからも問われていると思われる。
⾃社
競合
市場
現状 課題
• 上場来の売上⾼は堅調に成⻑している
• バカロレアやリモート教育など先進的な
サービス提供を⾏っている
• 依然として創業者の依存度が⾼く、株価
は低調に推移している
• EdTechやSTEM教育などBBTの事業と
親和性が⾼いトレンドが注⽬されている
• 官の動向としてはGIGAスクール構想など
より⼀層のICT環境の整備を⾏っている
• コロナ禍で教育のデジタルは加速している
• MBAプログラムは供給過で淘汰の波が
押し寄せている
• リカレント教育には異業種からの参⼊も
あり競争が激化している
• 創業者である⼤前研
⼀⽒による経営依存度
を下げつつ、中⻑期的
にいかに良質な教育コ
ンテンツの配信体制及
びプラットフォームの構
築が⾏えるか
カリスマ創業者である⼤
前研⼀⽒抜きでいかに成
⻑路線を描けるか
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17
⽅向性(案)
(出所)
教育事業において短期間での急成⻑は⾒込みにくいが、私が⼤前研⼀⽒ならば、⾃分の引退後も⾒据えて中⻑期的
な成⻑戦略及びBBTのブランディングを最⼤化するために各事業領域において以下の打ち⼿を実施する。
創業者に依存せ
ずに成⻑するため
に必要なこと
プラットフォーム
サービス
教育系投資ファン
ドの設⽴
リカレント教育
打ち⼿(案)
• マーケティングにおいて創業者の露出
度を下げる
• ⼤学・⼤学院教育おいては卒業する
ためのハードルを極限まで上げてBBT
の(⼊学ではなく)卒業⽣であること
の価値を最⼤化して中⻑期的なブラ
ンド⼒を向上させる
• 新たにバカロレア認定校(あるいは認
定候補校)をM&A等で増やし、規
模の経済で経営の効率化を図る
NEW
• 中⻑期的な新たなレベニューストリー
ムの候補として、教育系に特化した投
資ファンドを設⽴し、本業との相乗効
果を模索する
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髙橋 功(タカハシ コウ)
k.takahashi85@gmail.com
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