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“CODE FOR JAPAN” Workshop
自治体とのかかわりについて
2013/08/31 ver.2
Code for Japan リサーチチーム
柴田重臣
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本日の話題
Code for Japan の運営にあたって行政側とのかか
わりあいが必要になる。
とはいえ、普段から行政のお仕事をしている方や
行政相手のお仕事をされている方をのぞいては、
そもそも行政側の事情をよく知らないので、そこ
のところをすこし調べてみました。
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こんな懸念が
●
自治体側はCode for JapanもしくはCode for Americaのような
活動があることを認知しているか?
●
Code for Japanが行政にかかわる場合の法規制や基準はあ
るのか?
● 市民でITに詳しくない人への対策は行政側としてはどう考える
のか?
● Code for Japanを行政側に紹介する場合にどのような情報を
渡すべきか?自治体対応チームが何を持って、どのように行
政にアプローチするべきか。
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始(はじ)めに言葉(ことば)ありき
新約聖書「ヨハネによる福音書」第1章
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首長
読めますか?
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お役所⾔葉 くびちょう
首長(しゅちょう)は、行政機関(日本の場合は特に地方公共団体)の長を意味する用
語。
ひと口に地方公共団体(または自治体)といってもさまざまで、都道府県も市も町も村
もみんな地方自治体であり、地方自治体の長は、それぞれ知事、市長、町長、村長な
どと呼ばれますが、これらを総称した言葉が 「首長」 です。ただ、「首長(しゅちょう)」
と発音すると、「市長」「主張」「首相」などと紛らわしいので、行政実務では慣習的に
「くびちょう」と読まれることが多いのです。
ただし、知らない人からすると「くびちょう…? くみちょう…? 組長…?」 と聞き間
違える人もいるかも知れません。
市立と私立を区別するため、私立を 「わたくしりつ」 と言ったりするのと同様。
なお、この呼び方を使いたくない人むけには、「自治体の長」という言い方もあります。
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自治体=地方自治法運営システム
憲法92条により規定されている地方自治法により運用される巨大
システム
インスタンス間のメッセージ伝達は紙ベースで行われる。メッセー
ジ内の言葉は大切で間違えるとシンタックスエラーが発生
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お役所⾔葉についての参考図書
自治体職員のための文書起案ハンドブック(第一法規)
http://www.amazon.co.jp/dp/4474028791
最新公用文用字用語例集(ぎょうせい)
http://www.amazon.co.jp/dp/4324091420
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でも・・・
一般人にとってお役所言葉を理解し運用するのはコストがかか
りすぎるので、一緒に仕事をしている自治体職員の方にお願い
してアウトソースするのが賢明。エンジニアはコードを書き、行
政マンには企画書を書いてもらう。
また、提案書・企画書等が稟議され”見え消し”で赤ペン添削さ
れて返ってくることはしょっちゅうあるが、これは気にしないでく
ださい。歯医者の治療のようなものでいつかは終わります。
行政側からもこんな資料が・・・・
いわゆる「お役所言葉」改善の手引 佐賀県
http://www.pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0070/2500/1oyakushokotoba.pdf
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Code for Americaのプロジェクト
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フェローシップ
テクノロジーの可能性を示す
フェローシッププログラムは、有能
なウェブ開発者、デザイナー、起業
家を募集し、1年間にわたってやる
気のある自治体に派遣するもので
す。そこではテクノロジーを活用し、
地域コミュニティとの関係を深めま
す。このチームにより作成されるア
プリ、オープンデータ、そして開催さ
れるイベントは派遣された都市に成
果をもたらすだけではなく、他の都
市にも同様の変化が可能であると
いうことを示すのです。
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ブリゲイド(消防団)
市民の力を結集する
誰もがどこでも、自分の地域のためにコー
ディングすることができます。そう、実際に
行っているのです。全国の市民による技術
者が集まり、アプリをアレンジして再利用し
たり、より開かれた自治体を推進したり、地
域の問題を解決するために協力して働い
ています。ブリゲイドプログラムは、これら
すでに活動している市民グループが共同
で作業する事をサポートし、そしてさらに他
地域の人にとっては自分達の地域で活動
を始めるためのツールやリソースを提供す
るための基盤となっています。この成長す
る市民リーダーのネットワークは、地域レ
ベルでの市民権の概念を再定義するため
に挑戦を続けています。
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アクセラレイター(起業促進)
新しいツールの採用を推進
過去数十年にわたる技術と市場の進
歩で、民間企業は、より生産性を高め
てきましたが、自治体は時代遅れで
非効率的なソフトウェアやベンダーを
かかえ、取り残されてきました。これを
変えていく必要があります。そのた
め、アクセラレータプログラムは、"市
民のためのスタートアップ企業"を探
し、彼らにビジネストレーニングやアド
バイスを与え、潜在的な投資家と市
民指導者の幅広いネットワークを紹
介し、国内での知名度を高める事に
より事業の加速度的な展開を実現し
ていくのです。
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ピア(連携)ネットワーク
シビックチェンジエージェントを結びつけ
る
自治体が変化しています。全国の前向き
な公務員は、技術を活用し行政サービス
のあり方を革新しているのです。 – そし
てそれは志を同じくするリーダー間での、
アイデア、解決策、成功事例、さらにはソ
フトウェアコードの交換によって加速され
るのです。ピアネットワークは、次のレベ
ルに自分たちの街の革新をすすめるとい
う目標を共有する人たちによる、地方自
治体革新のための学習ネットワークで
す。ピアネットワークは、協働学習、協調
的問題解決、および都市間のイノベー
ションベストプラクティスの普及を促進す
るために全国の自治体を結んでいます。
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自治体との接点の作り方は2種
Code for Japan ― 自治体
①外部パートナールート
競争入札
随意契約
補助金
②内部パートナールート
任期付き採用
官民人材交流(国のみ)
その他いろいろ
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予算の獲得アレコレ
●
予算決定、執行プロセスから考えると、7月までにロビー活動を
しなければ、来年度からの活動(自治体予算を得るもの)は無
理。意思決定時期は自治体によって違うが5~6月には検討し
ているところがありますので、7月からのアプローチでは遅い場
合もあります。相手側自治体の状況に応じて5~7月に勉強会
開催、その後具体的提案ができるようなスケジュールを組むの
が良いです。9月には予算要求資料を提出している時期ですの
で割って入るのは難しいです。
●
自治体の情報部門はコストセンターであるという認識が強いた
め予算削減は行っていても新規の予算は確保しにくい。とにか
く予算が削られっぱなしで、新規事業を興す余裕が無い。コスト
がかさむICT関係は財政当局の厳しい目にさらされています。
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予算の獲得アレコレ
●
予算削減の圧力の中でとれる手段としては
既存事業からの転換(もちろんコスト減が伴う)
または
市民・企業との協働で自治体の負担コストを限りなく抑える(できればコ
ストゼロ)
という提案でないと、なかなか話に乗らないと思われます。
●
一方、地域振興の予算はつきやすい。(事業としての失敗がある程度
許容できるため)
●
緊急雇用対策については、予算が消化しきれない自治体が多い。
●
国や財団の補助金制度を活用した事業提案(自治体が負担しなくて良
い)があれば、それを利用
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予算の獲得アレコレ
●
業務として受けるのであれば、委託となるがその場合は法人格が
必要。Code for Japanが代わりに契約する形になるかもしれない。
いずれにせよ、Code for Japanが何者かということを会社情報でき
ちっと説明できるようにしておく必要がある。
●
業務委託の場合は自治体としての責任を負わなければいけないの
で、補助金を受けるという形がある。ただし、地域に根ざしているな
どの理由・要件を満たす事が必要。
●
ボランティアベースでの開発だとしても、それを自治体に使ってもら
うと言う段階で契約が必要となる。 民間(個人) -- Code
for Japan -契約- 自治体
●
いきなり契約するよりも講師を送り込むという手がある。講師への謝
金というは簡単に出せる
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予算の獲得アレコレ
●
自治体側の公募事業に応募するというやり方がある。
● 実はいろいろな手があるが自治体側の事情(予算が余ってる
かなど)にもよったりするのでフレキシブルにやる必要がある。
● 自治体との最初の関係作りで飛込み営業は厳しいので、初め
は個人の関係でいくしかない。ある程度すれば相手から声が
かかるような関係を構築
● 学会などに参加しているやる気のある自治体職員と個人的な
関係を結び、それをとっかかりにする。
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⾒込みのある⾃治体の選定
●
すでにIT化に対して積極的な自治体を選定するのが必要。福
島市、千葉市、鯖江市、川崎市、横浜市など。
●
人口規模についても注意を払う必要がある。おおむね人口10
万人以上でないと、日々のルーティン処理だけでリソースを消
化してしまい新たなプロジェクトに人を割くことが難しい。
● 50万人以上の都市であれば首長の権限が拡大し、県の事業
を一部請け負う事もできるので裁量範囲が広がる。
● もちろん政令指定都市ではさらに範囲は広がるが、逆になか
なか入り込めない場合も多い。
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最初は⼈材交流から
●
基本的に自治体では数年毎に人材が異動していく。そのた
め、やる気がある人材が居るうちに一気に話を持っていく事が
必要。引継ぎはほとんど期待できません。
● 人が変われば、全てが変わる。良いほうにも悪いほうにも
● どこの自治体にも必ず熱意を持った人材がいる。ただし、彼ら
もどうして良いかわからないという状況だったりするので、その
熱意を引き出すきっかけを持つ。
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目の前の問題を解決する
●
日本を良くする、地域を良くする、などの大げさな話ではなく、
具体的な問題を解決できるのがうれしい。
●
市民の具体的なニーズがあり、それを解決できる提案をセット
で持って行けば、自治体側も積極的に動いてくれる。
● 逆に何か改善したい課題はありますか?と自治体側に聞いて
もなかなか良いレスポンスが無い場合も多い。
● どの自治体にも共通する課題
シニアへの対応、ゴミ問題、産業の振興、観光振興、コンパク
トシティへの改革など
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目の前の問題を解決する
●
自治会、連合町内会などは組織率が下がっているとはいえ、市
民の問題を探す良い糸口になります。また巨大マンションの管理
組合なども連絡してみる価値はあるでしょう。
●
政治的なかかわりが出るので判断は難しいが、市議会議員さん
(バッジ)にアタックするのもひとつの方法
この場合、判断の目安となるのは
若い、ブログなどで情報発信している、青年会議所出身
市民のニーズを議員さん側で吸い上げている場合があるので
話を聞きに行くだけでも価値がある
● 自治体にとっての”売り上げ”にあたる指標は人口。人口が増加
するような施策なら、なおの事、良い
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⾏政の知恵を使う
●
法規制、基準などについてはプロフェッショナルである自治体
職員に任せるのが良い。
●
忙しい職員さんであるが、事前に連絡してきちんと資料などを
持参すれば必ず相談にのってくれます
● 市議会や委員会を傍聴したりして、少しずつ関係を深めると良
いです。スケジュールは自治体のホームページに載っていま
す。定例会は年4回、6月9月(11)12月(2)3月ぐらいです。
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結局、最後は人
テクノロジーは手段にしか過ぎない。あくま
で解決したい課題が最初に来て、その為
にテクノロジーを使うようにしなくてはいけ
ない。
by Hal Seki
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Thank you!
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参考図書
残業ゼロで結果を出す公務員の仕事のルール(学陽書房)
http://www.amazon.co.jp/dp/4313150765
公務員ってなんだ? ~最年少市長が見た地方行政の真実~(ワニ
ブックス)
http://www.amazon.co.jp/dp/4847065344
30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと(ダイヤモンド
社)
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Thanks to
●
前茨城県つくば市IT戦略室室長・ICT利活用推進監 白川篤さ
ん
●
東京大学政策ビジョン研究センター 小林徹さん
(スライド15/16/19原案)
● Code for Japan自治体チームの皆さん