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勉強会(2013/02/13)
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                                                                                     201230507 下山佳那子

効果的な抄読会の運営方法:システマティックレビュー


Deenadayalan, Y.; Grimmer-Somers, K.; Prior, M.; Kumar S. How to run an effective journal club: a
systematic review.Journal of Evaluation in Clinical Practice, 2008, no. 14, p. 898-911.


【概    要】
  保健医療分野における抄読会は 100 年以上の間、開催され続けいている。参加者は論文を批評するために定期
的に集まり、研究方法や統計、批評への理解に磨きをかけている。しかし、効果的な抄読会の運営方法には基準
(standard)がない。そのため、筆者らはシステマティックレビューを行い、保健医療分野における抄読会の核
となる要素を特定した。
【目    的】
  保健医療分野の抄読会を立ち上げ、運営していくにあたって効果的かつ持続的な方法を提案すること。
【背    景】
  臨床医が最新の研究に遅れないように、かつ抄読会の活動を、根拠に基づいた診療(evidence-based practice)
につなげていくためには、刺激的で、教育的で、持続的な抄読会の形式を考案し、維持していくことが重要とさ
れている。
【調査方法】
◎システマティックレビュー(系統的レビュー)1
  設定したキーワード2を用いて、図書館で入手可能なすべての保健分野のデータベース3を検索した。次に、設
定した基準に基づき、文献の取捨選択を行った。さらに、選択した論文の中から、抄読会の運営方法についての
情報を抽出した。
◎論文の選択基準
  対象とする論文は、実証研究や比較研究を行ったもの(例:抄読会の成果について他の教育方法と直接比較す
る)とし、その確認には CEBM(Oxford Centre for Evidence-based Medicine Levels of Evidence)を採用する。
◎調査の妥当性の担保
  関連する可能性がある論文に対して、まず共著者が個別に査定を行い、その後意見をまとめた。


【調査項目】
               大項目                    小項目                   形   式        事例を基軸
               参加者           参加者の人数                                      評価プロセスの構築
                             参加者の臨床領域                                    教員による管理
                介入           グループ・リーダー                                   インターネットの利用
           (Intervention)    準備(事前の)                                     都合のよい開催時間
                             開催の頻度                                       正式な手続き
                             環境(setting)                                 食事の提供
                             参加の強制度                         結   果        結果の報告
                             論文記事の選択                                     特定の成果の検証
                             臨床の焦点                                       統計的な有意性


                                                      1
【調査結果】
◎論文の取捨選択の過程
・査読論文
・保健医療分野の抄読会について報告されていること。
                                                   Step1   101 件
・抄読会の実施者…臨床医(分野を問わない)
・抄読会の形式…問わない。
・比較対象…問わない。
・成果…抄読会の効果に関連する全ての成果(例えば、知識、態度、技術の獲得、
      臨床実践時の行動や態度、満足度)
                     。
                                                    Step2…32 件
・発表時期…問わない。
・一次調査(primary research)であること。
・全文が入手できること。
・言語…英語
・保健医療分野の抄読会を対象としていること。
・開催されている抄読会の方法や行程についても報告されていること。
                                                    Step3…21 件
・21 件のうち、CEBM のスコアが十分であった論文 12 件については、さらなる調査を行う。


【結    論】 効果的な抄読会の運営条件
参加者    同じ領域を専門とし、同じ興味を持つメンバー
抄読会の目的
 ・抄読会を開催する期間全体にわたる目標があること。また、その目標は定期的に見直し、参加者から同意を
  得ること。
 ・会ごとに目的を設定し、その目的と、読む論文や、習得に取り組む技術を関連付けること。
効果的な抄読会の組織
 ・毎回参加することを基本とし、出欠記録をつけること。
 ・予測できる間隔で開催すること(月 1 がおすすめ)
                          。
 ・全ての参加者に適切な時間に開催すること。
 ・食事のようなインセンティブを提供すること。
リーダー
 ・リーダーがいると、より効果的であると思われる。抄読会のリーダーは、議論に関連する論文記事を特定す
  る責任があるが、最終的な決断は抄読会のメンバーによって行われる必要がある。
 ・リーダーやファシリテーターは、グループの議論を適切に導き、グループが目的に向かって努力できるよう、
  調査のデザインや、統計についての知識を身に付けること。
 ・リーダーは会ごとに変更してよいが、論文を紹介し、適切にグループを指揮する技術が必要とされる。
 ・リーダーが抄読会の準備をする際に支援してもらったり、抄読会の議論で生じた疑問を質問したりできるよ
  う統計学者への連絡手段を用意しておくこと。
議題となる論文記事の選択
 ・どちらかと言えば、事例に基づく研究や、臨床についての論文を選ぶこと。論文は全ての参加者が興味を持

                                2
つものでなくてはいけない。また、会の目標に沿うものでなくてはいけない。
    ・各会で議論する論文の確認について責任を持つメンバーを一人決めておくこと。また、その論文に関しては
      その人物が議論の指揮をすること。
議論のための論文記事の循環
    ・リーダーに加えて、全ての参加者が、前もって論文を読む時間を作ること。
    ・会の前に論文を配布したり、抄読会の資料を保持したり、時間や資源を最大限に利用する手段としてインタ
    ーネットを活用すること。
効率的な活動
    ・批判的な論文のチェック方法について設定し、ワークシートを作成すること。生産的な議論を順調に行える。
    ・抄読会の開催ごとに、臨床の文脈の中における、論文の位置づけを正式に結論づけておくこと。
抄読会の効果
    ・抄読会の目的によるが、知識に対する理解の具合を確認できること。
    ・評価は、議論のための論文や、批判的な論文のチェック、論文の中で報告された生物統計学への理解、根拠
    に基づいた臨床に関して行われるべきである。
【コメント】
・本研究の結果を応用する際には、本研究の対象が臨床医の抄読会に限定されている点に注意する必要がある。
例えば、私たちが行う抄読会は、学生が個人の学習に役立てることを目的とし、会における議論よりも事前準備
段階に主眼が置かれている。そのため、単純に結果を応用することは望ましくないと言える。
・図書館評価の成果や効果的な手法についても、多くの報告がなされていればこのようなシステマティックレビ
ューが可能になるのではないだろうか。

1◎システマティックレビューの手順

    テーマを決める                                            一定基準に基づく文献の採用と除外
    ↓                                                  ↓
    検索語句を決め、検索式を作成する                                   それぞれの論文の批判的吟味
    ↓                                                  ↓
    データベースの選択と検索の実行⇔繰り返す                               まとめ
    ↓                                                  ↓
    文献の整理と管理                                           メタアナリシス

 ◎メタアナリシス
   複 数 の 研 究 を 定 量 的 に ま と め る 場 合 に は メ タ ア ナ リ シ ス を 行 う 。ひ と つ ひ と つ の 研 究 は 研 究 対 象
 者 の 選 択 に お い て 偶 然 に よ る 偏 り が 生 ず る こ と が あ り 、一 つ の 研 究 の 結 果 だ け を 見 た 場 合 、母 集 団
 に お け る 真 の 値 か ら 外 れ て い る こ と が あ り 得 る 。当 然 、母 集 団 に お け る 真 の 値 の 周 辺 の 値 を え る 確
 率 が 最 も 高 い が 、一 つ の 研 究 だ け を 見 た 場 合 に は 、確 率 は 低 い が た ま た ま 真 の 値 か ら 大 き く 外 れ た
 値 を 得 た の か ど う か は 知 る こ と が で き な い 。複 数 の 研 究 が 行 わ れ て い れ ば 、そ れ ら の 結 果 を 統 合 す
 ることによって、より母集団の真の値に 近づくことが可能となる。それがメタアナリシスである。
 統 計 学 的 に 定 量 的 な ま と め を 算 出 す る メ タ ア ナ リ シ ス は Systematic review の 重 要 な 構 成 要 素 で あ
 るとともに,1 つの独立した研究として認められている。
(出典)
 神奈川歯科大学.       “システマティックレビュー”               .神奈川歯科大学ホームページ.
 http://www.kdcnet.ac.jp/college/naika/cme/ebm/1/1-1z.htm,(参照 2013-02-12).


2   ‘Journal club’, ‘health’, ‘effectiveness’ and ‘Evidence-based’
3CINAHL,     PsycINFO, PsychARTICLES, ERIC, Medline, AMED, Embase, AARP ageline, and Google




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  • 1. 勉強会(2013/02/13) 博士後期課程 1 年 201230507 下山佳那子 効果的な抄読会の運営方法:システマティックレビュー Deenadayalan, Y.; Grimmer-Somers, K.; Prior, M.; Kumar S. How to run an effective journal club: a systematic review.Journal of Evaluation in Clinical Practice, 2008, no. 14, p. 898-911. 【概 要】 保健医療分野における抄読会は 100 年以上の間、開催され続けいている。参加者は論文を批評するために定期 的に集まり、研究方法や統計、批評への理解に磨きをかけている。しかし、効果的な抄読会の運営方法には基準 (standard)がない。そのため、筆者らはシステマティックレビューを行い、保健医療分野における抄読会の核 となる要素を特定した。 【目 的】 保健医療分野の抄読会を立ち上げ、運営していくにあたって効果的かつ持続的な方法を提案すること。 【背 景】 臨床医が最新の研究に遅れないように、かつ抄読会の活動を、根拠に基づいた診療(evidence-based practice) につなげていくためには、刺激的で、教育的で、持続的な抄読会の形式を考案し、維持していくことが重要とさ れている。 【調査方法】 ◎システマティックレビュー(系統的レビュー)1 設定したキーワード2を用いて、図書館で入手可能なすべての保健分野のデータベース3を検索した。次に、設 定した基準に基づき、文献の取捨選択を行った。さらに、選択した論文の中から、抄読会の運営方法についての 情報を抽出した。 ◎論文の選択基準 対象とする論文は、実証研究や比較研究を行ったもの(例:抄読会の成果について他の教育方法と直接比較す る)とし、その確認には CEBM(Oxford Centre for Evidence-based Medicine Levels of Evidence)を採用する。 ◎調査の妥当性の担保 関連する可能性がある論文に対して、まず共著者が個別に査定を行い、その後意見をまとめた。 【調査項目】 大項目 小項目 形 式 事例を基軸 参加者 参加者の人数 評価プロセスの構築 参加者の臨床領域 教員による管理 介入 グループ・リーダー インターネットの利用 (Intervention) 準備(事前の) 都合のよい開催時間 開催の頻度 正式な手続き 環境(setting) 食事の提供 参加の強制度 結 果 結果の報告 論文記事の選択 特定の成果の検証 臨床の焦点 統計的な有意性 1
  • 2. 【調査結果】 ◎論文の取捨選択の過程 ・査読論文 ・保健医療分野の抄読会について報告されていること。 Step1 101 件 ・抄読会の実施者…臨床医(分野を問わない) ・抄読会の形式…問わない。 ・比較対象…問わない。 ・成果…抄読会の効果に関連する全ての成果(例えば、知識、態度、技術の獲得、 臨床実践時の行動や態度、満足度) 。 Step2…32 件 ・発表時期…問わない。 ・一次調査(primary research)であること。 ・全文が入手できること。 ・言語…英語 ・保健医療分野の抄読会を対象としていること。 ・開催されている抄読会の方法や行程についても報告されていること。 Step3…21 件 ・21 件のうち、CEBM のスコアが十分であった論文 12 件については、さらなる調査を行う。 【結 論】 効果的な抄読会の運営条件 参加者 同じ領域を専門とし、同じ興味を持つメンバー 抄読会の目的 ・抄読会を開催する期間全体にわたる目標があること。また、その目標は定期的に見直し、参加者から同意を 得ること。 ・会ごとに目的を設定し、その目的と、読む論文や、習得に取り組む技術を関連付けること。 効果的な抄読会の組織 ・毎回参加することを基本とし、出欠記録をつけること。 ・予測できる間隔で開催すること(月 1 がおすすめ) 。 ・全ての参加者に適切な時間に開催すること。 ・食事のようなインセンティブを提供すること。 リーダー ・リーダーがいると、より効果的であると思われる。抄読会のリーダーは、議論に関連する論文記事を特定す る責任があるが、最終的な決断は抄読会のメンバーによって行われる必要がある。 ・リーダーやファシリテーターは、グループの議論を適切に導き、グループが目的に向かって努力できるよう、 調査のデザインや、統計についての知識を身に付けること。 ・リーダーは会ごとに変更してよいが、論文を紹介し、適切にグループを指揮する技術が必要とされる。 ・リーダーが抄読会の準備をする際に支援してもらったり、抄読会の議論で生じた疑問を質問したりできるよ う統計学者への連絡手段を用意しておくこと。 議題となる論文記事の選択 ・どちらかと言えば、事例に基づく研究や、臨床についての論文を選ぶこと。論文は全ての参加者が興味を持 2
  • 3. つものでなくてはいけない。また、会の目標に沿うものでなくてはいけない。 ・各会で議論する論文の確認について責任を持つメンバーを一人決めておくこと。また、その論文に関しては その人物が議論の指揮をすること。 議論のための論文記事の循環 ・リーダーに加えて、全ての参加者が、前もって論文を読む時間を作ること。 ・会の前に論文を配布したり、抄読会の資料を保持したり、時間や資源を最大限に利用する手段としてインタ ーネットを活用すること。 効率的な活動 ・批判的な論文のチェック方法について設定し、ワークシートを作成すること。生産的な議論を順調に行える。 ・抄読会の開催ごとに、臨床の文脈の中における、論文の位置づけを正式に結論づけておくこと。 抄読会の効果 ・抄読会の目的によるが、知識に対する理解の具合を確認できること。 ・評価は、議論のための論文や、批判的な論文のチェック、論文の中で報告された生物統計学への理解、根拠 に基づいた臨床に関して行われるべきである。 【コメント】 ・本研究の結果を応用する際には、本研究の対象が臨床医の抄読会に限定されている点に注意する必要がある。 例えば、私たちが行う抄読会は、学生が個人の学習に役立てることを目的とし、会における議論よりも事前準備 段階に主眼が置かれている。そのため、単純に結果を応用することは望ましくないと言える。 ・図書館評価の成果や効果的な手法についても、多くの報告がなされていればこのようなシステマティックレビ ューが可能になるのではないだろうか。 1◎システマティックレビューの手順 テーマを決める 一定基準に基づく文献の採用と除外 ↓ ↓ 検索語句を決め、検索式を作成する それぞれの論文の批判的吟味 ↓ ↓ データベースの選択と検索の実行⇔繰り返す まとめ ↓ ↓ 文献の整理と管理 メタアナリシス ◎メタアナリシス 複 数 の 研 究 を 定 量 的 に ま と め る 場 合 に は メ タ ア ナ リ シ ス を 行 う 。ひ と つ ひ と つ の 研 究 は 研 究 対 象 者 の 選 択 に お い て 偶 然 に よ る 偏 り が 生 ず る こ と が あ り 、一 つ の 研 究 の 結 果 だ け を 見 た 場 合 、母 集 団 に お け る 真 の 値 か ら 外 れ て い る こ と が あ り 得 る 。当 然 、母 集 団 に お け る 真 の 値 の 周 辺 の 値 を え る 確 率 が 最 も 高 い が 、一 つ の 研 究 だ け を 見 た 場 合 に は 、確 率 は 低 い が た ま た ま 真 の 値 か ら 大 き く 外 れ た 値 を 得 た の か ど う か は 知 る こ と が で き な い 。複 数 の 研 究 が 行 わ れ て い れ ば 、そ れ ら の 結 果 を 統 合 す ることによって、より母集団の真の値に 近づくことが可能となる。それがメタアナリシスである。 統 計 学 的 に 定 量 的 な ま と め を 算 出 す る メ タ ア ナ リ シ ス は Systematic review の 重 要 な 構 成 要 素 で あ るとともに,1 つの独立した研究として認められている。 (出典) 神奈川歯科大学. “システマティックレビュー” .神奈川歯科大学ホームページ. http://www.kdcnet.ac.jp/college/naika/cme/ebm/1/1-1z.htm,(参照 2013-02-12). 2 ‘Journal club’, ‘health’, ‘effectiveness’ and ‘Evidence-based’ 3CINAHL, PsycINFO, PsychARTICLES, ERIC, Medline, AMED, Embase, AARP ageline, and Google 3