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アメリカにおける成人学習と
ナラティヴ研究の動向
荻野亮吾(東京大学 高齢社会総合研究機構)
2014/04/20(日)13:30〜16:00
@筑波大学東京キャンパス文京校舎117講義室
日本社会教育学会プロジェクト研究
「社会教育研究における方法論の検討」第7回研究会
報告の目的
 成人学習論におけるナラティヴの位置づけ:経験学習論や変容
学習論との関連等を明らかにする。
 「発達」へのナラティヴ・アプローチ:成人の成熟や発達に関し
て提示される新たな観点や、学習方法としてのナラティヴの意味
等を考える。
 研究上・実践上のナラティヴの可能性:ナラティヴを活用した実
践的研究の事例や、ナラティヴを用いた社会教育研究への展開可
能性等について論じる。
※本報告は、ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007;2010等)の研
究内容の紹介を中心に、New Directions for Adult & Continuing
Educationの関連論文や関連書籍についてまとめたものです。このため、ア
メリカの成人学習及びナラティヴの動向を網羅的・体系的に論じるものでは
ないことをお断りしておきます。
「ナラティヴ」とは?
 語り(という行為)
 物語(語られた行為の産物)
 人は「物語る動物(homo narrans)」である。(Fisher 1987)
 ナラティヴの議論では、自己やアイデンティティとの関連性が重視される。
 ナラティヴの基本的要素(浅野 2001)
 「時間的な順序」
 出来事が起きる順序を伝える。
 「Aの後にBが起きた」。
 「視点の二重性」
 語り手と、物語の主人公(登場人物)という二重の視点が存在する。
 両者が一致するのが、「自己物語」。
 「他者への志向性」
 ナラティヴは1人では作れない。
 他者に理解され、伝わることが重要。
ナラティヴ・モードの特徴
合理的な思考方法 物語的な思考方法
ブルーナーによる対比
(Bruner 1986=1998)
論理科学モード ナラティヴ・モード
研究方法として
(斎藤 2012等)
エビデンス・ベースド・
アプローチ
ナラティヴ・ベースド・
アプローチ
前提とする世界観と
アプローチ
普遍的な世界の
「真理」の探究
人によって異なる
「意味世界」の構造の探究
代表的な方法
実験、証明、(多くの)
量的調査等
日記・日誌、インタビュー、
ライフ・ヒストリー等
出典:(荻野 2011a)を一部改編。
ナラティヴと成人学習論のつながり(1)
 フェニック(Fenwick 2004: 2章)では、経験に関する学習の議論を、社会的構
成主義、状況的学習、精神分析理論、批判文化理論、複雑系理論の5つに分類し
ている。
 ロシターとクラーク(Rossiter & Clark: 2007: 66)は、この議論のうち3つ
(社会的構成主義、状況的学習、批判文化理論)をナラティヴの議論と結びつけ
ている。
 ナラティヴ学習論では、ナラティヴを通じた学習は、他の学習論の基礎にあり、
それを拡張するものだとされる(Rossiter & Clark 2007: 71)。
 (アンドラゴジーに対して)経験と学習を結びつけるが、より人間的なレベ
ルで。
 (社会的構成主義に対して)社会的構成主義的だが、理屈よりも深い関わり
がある
 (状況的学習論に対して)状況的であるが、状況的学習の問題解決型の過程
よりも深い方法で学習が捉えられる。
 (批判文化理論に対して)学習者はイデオロギーや権力に批判的になるが、
それはより大きな文化的なナラティヴに位置づけられていることによって示
される。
ナラティヴと成人学習論のつながり(2)
 アンドラゴジー論との接点について
 成人学習における「経験」の重要性
 リンデマン(Lindeman 1926=1996: 32)は経験が「生きた学習のテキスト」であると述べて
いる。
 ノールズ(Knowles 1980=2002: 49-51)のアンドラゴジーの考え方の中では、学習者が先験
的に有する経験が、学習の重要な資源として位置づけられている。
 ナラティヴ学習論においても、学習者の経験は重要な要素として位置づけられる(ただし、イン
フォーマルな学習過程の比重が大きいと考えられる)。
 ただし、ノールズ(Knowles 1990=2013)が射程におさめている理論以降、(社会的)構成主義
に基づく学習論が発展してきており(堀 2013: 337)、この議論に基づく、変容学習論や状況的
学習論との接点も重要となる。
 構成主義は、認知心理学を批判して登場した考え方で、「知識は社会的に構成されるもの」で
あると考える。
 構成主義においては、客観的な「事実」が存在すると考えるのではなく、「現実」が構成され
ていく過程を重視する。この点で、出来事や経験を意味づける「語り」や「物語」の役割が重
要になる。
 構成主義には、心理的構成主義と社会的構成主義が存在する。心理的な構成主義では学習者の
「意味づけ」の過程に注目する。一方、社会的構成主義では、文脈の役割や社会的相互作用を
重視する(Corte 2010=2013: 48-50)。
 心理的構成主義が経験学習論、変容学習論(省察的実践論)、社会的構成主義は状況的学習論、
批判的学習論とのつながりを有する。
ナラティヴと成人学習論のつながり(3)
 経験学習論との接点
 「経験学習」とは、「具体的経験が変容された結果、知識が創出されるプロ
セス」(Kolb 1984: 38)のことを指す。
 経験学習とナラティヴとのつながりという点では、経験のふり返りを通じて
意味づけがなされること、この過程に語りや物語が果たす役割が重視される。
 具体的には、「具体的経験」「反省的観察」「抽象的概念化」「能動的
実験」のサイクルが想定されている。
 (具体的)経験それ自体は前言語的なものである。この経験を「語る」
ことを通じて、ふり返り、意味づけが行われる。この過程をナラティヴ
学習では重視する(Rossiter & Clark 2010=2012: 20)。
 ただし、ふり返りが行為の後で生じるのか、それとも行為の過程で生じるの
かについては、見解が分かれている(Schön 1983=2007;Boud et al.,
2013)。
 あるいは、ふり返りの前提となる世界観自体を批判的に省察することを重視
する議論も存在する(変容学習)。
ナラティヴと成人学習論のつながり(4)
 変容学習論との接点
 変容学習は、自己の「批判的ふり返り」を通じて、世界観の基礎をなす前提や価値観
を問い直す過程を重視する(Mezirow 1991=2012)。
 意識変容の学習の契機として、不満足な経験や、移行期、ライフ・イベントが挙げ
られる。
 変容学習とナラティヴ学習とは親和的なものである。両者とも、学習者が、人生の経
験に対して、その解釈を通じて向き合っていく過程を扱うものである(Merriam et al.,
2007:214-5)。
 ランドール(Randall 1996: 238)は、自身について、あるいは世界について、これまでの物
語の中で人生の経験が捉えられなくなった時に、人生の「再物語化」が起きると述べている。
 ケニョンとランドール(Kenyon and Randall 1997)によれば、自らの人生の物語の「再物語
化」は、語ること、それを読むこと、そして再度語ることの3段階によって構成されるという。
 クラーク(Clark 2010=2012)は、変容学習をナラティヴに読み解く議論を、自身の経験に
引きつけて紹介している。
 変容学習との差異
 クラークとダークス(Clark & Dirkx 2000: 112)によれば、変容学習には、「文脈」と変容
の「プロセス」に関する配慮が不足している等の問題があり、合理的で自律的な主体を想定し
ているという。
 ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007: 163)によれば、変容学習(特にメジロー)は
認知的・合理的な過程を重視しているが、物語の視点を重視するナラティヴの視点によって変
容学習の新たな観点が示されるという。
ナラティヴと成人学習論のつながり(5)
 状況的学習論との接点
 状況的学習論とナラティヴとの接点は、学習者が実践共同体において、コミュニティの
ルールやツール、物語を内面化していく過程を重視する点にある。
 代表的論者であるレイヴらは前近代に見られた徒弟制の研究を進める中で、「学習者は否
応なく実践者の共同体に参加するのであり、また、知識や技能の修得には、新参者が共同
体の社会的文化実践の十全的参加へと移行していくことが必要」であることを指摘する
(Lave & Wenger 1991=1993: 1)。
 つまり、様々な社会的実践を、実践的な集団における正統的周辺参加の過程として捉え直す。
 「変わりつづける参加の位置と見方こそが、行為者の学習の軌道であり、発達するアイデンティ
ティであり、また成員性の形態でもある」として、社会的な実践における参加の過程そのものが、
参加者の発達の過程であることを指摘している(Lave & Wenger 1991=1993: 11)。
 レイブらの「正統的周辺参加」の議論は、実践的な集団に人々が参加していく過程を学習
と捉え直した点に特徴がある。ここでの学習は、実践的共同体に埋め込まれたインフォー
マルな学習を指す。
 経験学習論との違いは、人々が参加し、コミュニティや学習の文化に十全に関わること、その中で
そのコミュニティの歴史や前提、文化的価値観やルールを学ぶという、「文脈」を重視する点にあ
る(Hansman 2001: 46)
 集団の成員となること(参加)において「語り」が果たす役割が重視される。
(例)アルコール依存症者の自助グループの語り:「パーソナル・ストーリーを話すことは診断と再
解釈の道具になっている。それを集団で行うということは、回復したアルコール依存症者としてのア
イデンティティを形造るのに不可欠であり、飲まないことを続けるためにも必要である。そうした語
りは共有された実践の重要な機能を果たすことで成員たることの表明にもなっている」(Lave and
Wenger 1991=1993: 94)。
ナラティヴと成人学習論のつながり(6)
 批判的学習論との接点
 私たちは、様々なナラティヴ(社会的、家族的、個人的、組織的)に囲まれ、
影響を受けている。
 サービン(Sarbin 1993:59)は、私たちは「ナラティヴによって象られた世界」
に生きていると述べている。
 個人的なナラティヴは必ず社会的なナラティヴと関係を持っている(Rossiter &
Clark 2007: 2章)。ただしこのつながりが常に意識化されているわけではない。
 批判的学習論とナラティヴとの接点は、私たちを取り巻くナラティヴを可視
化することによって、そのナラティヴへの批判が可能になると考える点。
 フェニック(Fenwick 2004: 40-1)によれば、成人学習の批判文化的視点では、
経験や知識が支配的集団や権力によって決定され、学習によって抵抗が組織化され
ると考えられているとされる。
 この視点は、批判的教育学(権力関係をとらえ、共有されている規範や価値観の背
景にあるマスター・ナラティヴを脱構築するという所作)と通じる(Rossiter &
Clark 2007: 69)。
 批判的学習と通じるナラティヴ学習の例:自らを取り巻くナラティヴについ
て理解する
 ライト(Wright 2010=2012)は、メディアを通じて発信されるナラティヴを批判
的に検討し、相対化するための学習方法を提示している。
ナラティヴと成人学習論のつながり(7)
 成人学習論の系譜や、理論間の関係については、三輪(2009: 6章)がアンドラゴジーと
変容学習を中心に、あるいは堀(2013)がアンドラゴジーから変容学習、状況的学習に関
する丁寧なレビューを行っている。
 これらの議論と対比すると、ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007: 2章)の議論
は、「語り」や「物語」という視点を通じて、「経験」と「ふり返り」そして「意味づ
け」という概念について、異なる理論の間を架橋する可能性を有する。
 さらに、心理主義的なアプローチに留まらず、共同体での学習や、社会における学習もが
視野におさめられる可能性を有する。
 ナラティヴを通じた諸理論の関係(荻野 2011a:153を一部改編)
学習理論 主要な問い(ナラティヴを通じて… )
構成主義 どのように知識が構成されるか。
変容学習 どのように思考の枠組みや前提が変化するか。
経験学習 経験にどのように意味が付与されるか。
状況的学習 いかにして、共同体や組織の価値観が内面化され、集団の一員と
なっていくか。
批判的学習 どのように、社会を構成する価値観・前提が問い直されるか。
経験学習
状況的学習
変容学習
批判的学習
具体的経験
批判的省察
抽象的概念化
能動的実験
意味パースペ
クティヴ
批判的省察
モデリング
コーチング
スキャホール
ディング
フェーディング
組織の物語
社会の物語
地域の物語
ナラティヴと各学習論のつながり(まとめ)
「発達」へのナラティヴ・アプローチ
 「発達」については、幾つかの考え方がある(赤尾 2004;小川 2011)
1) 成長・社会化としての発達:生物的、生理的成長。成人期以降は衰退、下降
の傾向。
2) 生涯のプロセスとしての発達:社会的役割や社会的過程を重視。ハヴィガー
ストの議論。
3) 「自己実現」としての発達:精神や自我の過程を重視。エリクソンの議論。
4) 「移行期」に着目した発達段階論:人生の過渡期の課題に着目。レヴィンソ
ンの議論。
5) 個々の人生に着目した発達段階論:意識変容や、語りの役割に注目。
 これら5つの発達に関する見方は排他的なものではないが、(5)の見方は、
「ナラティヴな自己」と密接な関連を有する。
 特に、「ナラティヴな自己」論に基づけば、直線的な「発達」、あるいは画
一的な「発達」の見方は否定され、その代わりに個々の経験や文脈に即した
多様な「発達」の見方が提示されることになる。
 あるいは、漸進的な発達の「過程」そのものに焦点が当てられることになる。
ナラティヴな自己論の考え方(1)
 クラークとダークス(Clark & Dirks 2000)によれば、統一的な自己の捉え方には問題があり、
自己の「複数性」を重視し「多元的な自己」論を展開する必要があるという。
 可能態としての自己(Possible Selves)の考え方においては、自己の同一化、精緻化、そし
て動機づけが重要とされているが、これは自己を物語る(自己の叙述化)プロセスとして捉
えられるという(Rossiter 2007)。
 ローゼンワールドとオクバーグ(Rosenwald & Ochberg 1992:1)は「物語化された人生
(Storied Life)」について触れ、「個人的なナラティヴは、誰かに(あるいは自身に)自分
の人生を語る方法というだけではなく、アイデンティティを形成するための方法でもある」
と述べている。
 ロシター(Rossiter 1999:62)は「私たちは世界と自身の経験をナラティブに沿って理解し、
それゆえに自身をナラティブに理解し構築している」という点で、自己を「留まることのな
いナラティヴ」として捉える。自己の構築の過程は複雑で留まることがないが、個人的なナ
ラティブの主な機能は一貫性を保つことにあるとされる。
 ケニョンとランドール(Kenyon and Randall 1997)は、アイデンティティ構築の過程を
「人生の再物語化」として、つまり自己の物語が一貫しなくなり、自身の経験を意味づけら
れなくなると、それに合わせて物語を変化させる過程として捉えている。
 以上の議論は、自己の物語とアイデンティティとは等価であり、自己の物語を構築する過程
を学習として捉えるという議論である。
ナラティヴな自己論の考え方(2)
 従来の自己論とナラティヴな自己論との差異
 テナント(Tennant 2000)は、「関係的自己(relational self)」の議論を展
開し、その中で「関係的自己」へとつながるのは、物語を通じて自己を創出
していくナラティヴ・アプローチであると主張している。
 テナント(Tennant 2012: Introduction)はこの議論をさらに展開し、様々な
自己論を整理する中で、「物語られた自己」とは、社会に存在する物語に
よって制約を受けながらも、語ることによってその存在を組み替えていく自
己であると述べる。
 出典:テナント(Tennant 2012: 15)を筆者が訳出。
自己の概念 社会から自己への影響
真の自己 歪曲(distortion)
自律的な自己 形成(shaping)
抑圧された自己 抑圧と支配(oppression and domination)
社会的に構築された自己 言説(discourse)
物語られた自己 制約と生成(constraining and generating)
ナラティヴ・アプローチの考え方
 「発達へのナラティブ・アプローチ」の特徴は、外部から観察できる
ような客観的な過程としてではなく、内部から経験するように、主観
的な発達の過程を描くことにある(Rossiter 1999: 78)。
 ロシター(Rossiter 1999:79)は、このナラティヴ・アプローチの
有効性を次のように描いている。
 (1)ナラティヴは人間の意味づけの基本的な構造である。
 (2)成人の発達は、自己についての物語の構築を通じて、経験され表現
される。
 (3)人間科学のアプローチは、成人の発達の研究に適している。
 (4)成人の発達は必ずしも予期できない様式で進む。
 成人の発達に関するナラティヴ・アプローチでは、成人の発達を、文
脈的、解釈的、回顧的、時間的な性質を持つものとして理解する
(Rossiter 1999:80-2)。
「ナラティヴ学習」の3つの要素
 「ナラティヴ学習」とは、最も簡潔にいうと「物語を通じた学習」を指
す(Rossiter and Clark 2007: 70)。
 ナラティヴ学習は3つの次元から構成される(Rossiter and Clark
2007:70-1;Clark 2010=2012: 20-2)
 聞くことによって学ぶ
 教師や他の学習者、メディア等から物語を聞き、意味づけを行う。
 宗教的な寓話や、神話、その他の道徳的な話、そして個人的な経験を聞く
ことも含まれる。
 良い物語は、学習者を別の時間、場所に連れ出す(想像力を喚起する)こ
とができる。
 語ることによって学ぶ
 考え方や原理、概念を認知的に理解し、自身の経験と結びつける。
 他者に語ることによって、経験や出来事が筋道だったものとなる。
 個人的な経験の語りを含めることによって、カリキュラム内容がより現実
的なものになる場合もある。
 物語を再組織化する/理解することによって学ぶ
 自身がナラティヴによって構成され、様々なナラティヴの中に位置づけら
れることを理解する。
 ナラティヴが状況に根ざしたものであることを理解することで、自らの考
えの前提や社会における権力関係、あるいは既存のナラティヴから利益を
得ている人への批判を行うことが可能となる。
ナラティヴ学習の実践:授業での実践
 授業においてナラティヴを用いる例(Rossiter & Clark 2007: 5章)
 大学のゼミをナラティヴに展開する例(Rossiter & Clark 2007: 81-91)
 物語を語る:模範となる教師を取り上げ、他の学生の前でその教師から
何を学んだかを語る。
 ナラティヴに教える:授業で取り上げる各トピックを、学生が他の文献
や資料も読んで深く調べ、他の学生の前で語る。
 ゼミでの授業の展開をナラティヴに制作する:学生とシラバスを共同で
作成する。
 自らの物語(ライフ・ヒストリー)を語る実践の例(Rossiter & Clark 2007:
91-5)
 物語を語るにあたってはルールを決めることや、語る環境が重要。
 物語を語ること、聞くことには強い情動性を伴う場合があることに留意
する。
 「自己開示」にあたっては、一定のガイドラインが必要。
 物語を受け入れる雰囲気が物語の内容を決定することに注意する。
ナラティヴ学習の実践:自伝的方法①
 日記・日誌
 伝統的な方法。その長所は、①感情に対処できること、②自己を深く理解できること、
③熟考を促すこと、④創造性を活性化することにある(Rossiter & Clark 2007:
150-3)。
 ルキンスキー(Lukinsky 1990)は、ジャーナリングを、ふり返りのための有力な手
段と位置づけている。その理由は、学習者がジャーナリングによって、深く考えるた
めに当の経験から一歩身をひき、経験への新たなより深い理解を伴って生活に立ち戻
ることが可能になるからである(Clark 2001: 89)。
 プロゴフ(Progoff 1975)のジャーナリング・ワークショップ:①人生のナラティヴ
の情報を、多面的に描く。②この情報と様々な対話を行う。③前の2つの段階と関連
させて、夢、画像、その他の内部の経験を深く追い求める。
 ブレディーとスカイ(Brady & Sky 2003)は、3年以上日記をつけている15人の退
職者にインタビュー。日記のメリット:①日常的に起こる出来事に上手く対応できる。
②自分の進歩等の「発見の喜び」。③自分の意見や心を豊かなものにする。
 ウィナーとローゼンワールド(Wiener and Rosenwald 1993)は、18〜50歳の日記を
つけている20名を対象にした研究を実施。ジャーナリングは「自己の客観化」を促す
とされる(Wiener and Rosenwald 1993: 32)。この方法の長所として挙げられてい
ることは、自己の境界の確定と溶解、時間と感情のマネージメント、自己の探究、記
憶の活性化といったことである。
ナラティヴ学習の実践:自伝的方法②
 学習日誌
 学習の内容と方法をともに検討するためのもの。第二外国語の講座や、専
門職養成のための高等教育機関で用いられてきた方法。
 ナラティヴ学習の全ての特徴を集約したものであるとされる(Clark &
Rossiter 2008=2010: 100)。
 授業や講座で学んだことを、継続的・日常的に日誌に記すことを課題とし
て課す。
 学習者は授業・講座で自分の考えたことを日誌に綴り、書くことそのもの
が思考の過程となる。自分が書いたテキストを後で読むことで自分がその
時何を考えていたのかをふり返る。
 学習者は学習日誌に以前から知っていたことと新しく学んだ考え方をとも
に綴ることで、自身が学んだことをそれまでの経験や考え方とつなげ、新
たな問いを導き出していく。
 この過程を通じて、学習者は講座や授業の内容への理解が徐々に進んでい
く様子を常に目にすることが可能となる。
ナラティヴ学習の実践:自伝的方法③
 テーマ限定型の自伝執筆
 教育上の自伝執筆:「自分が○○でどう学んだか」を検討する方法(Dominicé, 2000)
 学習者が幾つかのグループに分けられ、各グループで以下のような手順で学習が行われる。
(1)最初に1時間ほどグループ内の1人が、上記の質問に対する報告を行う。(2)次の2時間
でグループのメンバーからフィードバックが行われる。(3)このやり取りは録音され報告者に
手渡され、(4)これに基づき報告者は自身の教育上の自伝執筆を行う。(5)執筆された自伝
はグループ内で再検討される。(6)セミナーの最後には全体での評価が行われる。
 この方法の特徴は、グループが相互に傾聴し合い対話を行う場として機能し、語りと執筆され
たテキストの双方を用いて学習が展開されていることにある。
 教育上のライフ・ヒストリー(Rossiter & Clark 2007: 110-5)
 各人の人生におけるスクーリングの経験を吟味すること、教育制度におけるジェンダーに基づ
く個人的・構造的な不平等を明らかにするのに特に有用であるとされる。
 自伝的な学習ポートフォリオ(Rossiter & Clark 2007: 115-8)
 成人期に行った自身の学習の物語を語らせる。この過程で高等教育において何を学んだかをふ
り返らせ、自身が生涯学習者であることを理解させ、残りの人生において学習が果たす役割に
ついて思いを巡らせてもらう。
 ここでは学習についてのナラティヴを語ることに必要なもの全てが用いられる。例えば、日誌、
個人的な経験を示す資料、他の講座の課題、写真、ビデオ等。
 学生は自身の学習の経験について、テーマを持って年代順に重要なエピソードを挙げ、プロッ
トに沿って発表することが求められる。
ナラティヴ学習の実践:ライフ・ストーリー
 コミュニティ教育のプログラムの中で用いられるライフ・ストーリー
(Rossiter & Clark 2007: 126-35)
 上述した自伝的方法では人生の全体に焦点を当てるのに比べて、特定のエ
ピソードや出来事に焦点を当てる点に特徴がある。
 実際の体験に基づくという物語の「真正性」、物語の聞き手と語り手の
「近接性」、そして物語を語り聞くことによるアイデンティティの共有化
というメリットがある。
 コミュニティの行事や、地域の歴史の聞き取りで用いられたり、仕事場で
の経験の共有等に有用とされる。
 もちろん、実際に運用するにあたっては、ストーリーの適切さ、面白さ、
情報の豊かさ、あるいは共有のしやすさが重要となる。
 録画したものを編集したり、あるいはフォーマットを用いて聞き取りを行
う、語り手に記述してもらったものを読み合う等の方法が存在する。
ナラティヴ学習の実践:事例研究
 事例研究(Rossiter & Clark 2007: 118-21)
 ビジネス、法曹、医療などの専門職教育で用いられる。
 問題解決と批判的思考を身につけることが目的。
 事例・シナリオとは、専門家が実際に体験したエピソードを、登場人物や場面、そし
て一定の筋書きをもった物語としたものである。
 事例研究やシナリオを用いた学習の目標は、実践家のように考えることを身につける
ことにある。ここでの実践家とは、理論的な概念をそれまでの体験と結びつけ、新し
い知見や解釈を考えつく人たちのことを指す。
 これらの学習方法を通じて批判的思考力と、問題解決のために有効な能力を培うこと
が学習の目的である。
 幾つかの例:①問題の所在を示し対応を求める場合。②シナリオ・プランニング:組
織や公共政策の目標や方向性を定める場合、③問題の所在を明らかにする場合、④学
習した概念を実際の事例に適用していく場合。
 事例やシナリオには複数の結末が存在し、学習者は、時に読み手、時に書き手となっ
て物語の結末を考えていく。
 学習者に投げかけられる質問も良い/悪い、正しい/間違っているというような閉じ
た質問ばかりではなく「この事例の主な問題は何ですか?」「最も良い解決方法は何
だと思いますか?」といった開かれた質問が多い。
ナラティヴ学習の実践:演劇を通じた学習
 社会的活動劇(Rossiter & Clark 2007: 135-9)
 地域住民の間で、社会的・人種的・文化的な差異への理解が深められ,地域を活性
化させることが目的。
 実際に地域に住む人々の体験をもとに、地域で生じた問題や紛争の例に筋書きをつ
けたものである。劇は5〜10分を目処に、学校や教会、図書館、公園など地域の
人々が集まれる場所で上演される。
 上演するのはプロの役者ではなく地域住民。
 劇が終わると、観客から質問やコメントが寄せられ、それに対して役者は登場人物
の立場になって答える。この相互の対話の過程を通じて地域の問題への理解が深め
られていく。
 プレイバック・シアター(Rossiter & Clark 2007: 141-2)
 選ばれた観客が舞台にあがって、ライフ・ストーリーを語る。
 監督は、その物語を詳細なものとして理解するために、様々な角度から質問を行う。
 その後監督が、役者や音楽家に具体的な指示を出し、物語に沿ったパントマイムや
即興劇や音楽を演奏する。
 1人の番が終わると、次の観客が舞台に呼ばれその人の物語に合った劇が上演され
ていく。
 人々の間のつながりやチームワークを作ること、地域の「共有知」を作り上げるこ
とに主眼が置かれている
ナラティヴを用いた社会教育研究への
展開可能性(1)
 社会教育研究での活用可能性について、荻野(2011b)は、公民館の職員研究にお
いてナラティヴを用いた研究の可能性を3つ提示している。この議論を拡張して、社
会教育研究への展開可能性を考える。キーワードは「意味世界」。
 社会教育関係職員のアイデンティティの構築過程を見るものとして
 教師のライフ・ヒストリー研究において、すでに実証的な検討がなされている
(Goodson 2001=2001;Goodson & Sikes 2001=2006など)。
 職員としての経験の語りや、実践の記録の分析から、職員としてのアイデンティ
ティ(専門性)形成の軌跡や過程をたどることができる。
 「専門性の拡張は…対話的な社会的実践の場において生成される」(山住:
2004: 221)。
 職員は、学習や実践の場において、学習者や住民の反応を見て、働きかけや
対話を行っている。この過程は意識化されていないにせよ、専門職の語りや
物語に内包されている。もちろん、学習者や住民も、専門職と対話し語り合
う中で、変容を起こしている。この相互行為を通じたアイデンティティの構
築の過程を捉えることが重要になる。
 荻野(2014:8章)では、この視点に基づいて、長野県飯田市、大分県佐伯
市の職員研究を展開。(※参考資料)
 この方法は、職員の語りや記録を通じて、職員の「意味世界」の変容を捉えると
いう研究方法である。
ナラティヴを用いた社会教育研究への
展開可能性(2)
 職員と、学習者・住民との対話/変容のツールとして
 すでに社会教育実践の中では、生活記録や自分史の学習が意識的に用いられてきた(日本
社会教育学会 2004;入江・村田 2004;横山1987等)。
 近年では、ライフ・ストーリーやライフ・ヒストリーが成人の学習に持つ意味の解明も進
んでいる。
 さらに、成人の学習に目を移すと、授業での学習だけでなく、日記・日誌(ジャーナリン
グ)や、テーマを限定した自伝の執筆、シナリオや劇を用いた学習など、学習方法は幅広
い。
 これらの学習方法は、物語を聞き、語り、理解するという次元を含んだナラティブ学習の
方法である。個人の経験を可視化することで、(1)ふり返りを促すだけでなく、(2)他
者との経験の共有化が可能となる。他者と様々な経験を共有することによって、自分の立
ち位置を深く理解することができるという点で、3つの学習の次元はつながりを有する。
 学習者は、自身の人生における学習についてのナラティヴを描き、実践や授業で学んだ経
験や出来事を深く掘り下げ、ふり返りを行うことで学習する。
 この学習の過程は、学習者による自伝や自分史、ライフ・ヒストリーを通じて、職員を含
めた他者へと開示され、それを基点に相互理解と相互の変容の可能性が開かれる。
 このような対話や語り合いの中から、学習や実践に関わる人々の「意味世界」が変容して
いくものと考えられる。
 従来、用いられてきた実践記録・学習記録の分析や共同のふり返りに加えて、上に挙げた
ような様々なツールを通じて、実践の場における職員と学習者、住民の相互作用を促し、
互いの「意味世界」についての共通理解を創り出すことができるものと考えられる。
 このような「場」がどのように構成されるかは重要な研究上の問いとなる。
ナラティヴを用いた社会教育研究への
展開可能性(3)
 学習や実践に関わる人々が「意味世界」をともに立ち上げるための研究/
実践方法として
 ナラティヴ・アプローチは理論と実践との距離を縮めようとする点で共通の志向性を持つ。
 ただし、その内実は、文献研究、家族史研究、オーラル・ヒストリー、事例研究、ライ
フ・ヒストリー、ライフ・ストーリー、ナラティヴ探究など多様である(Goodson 2011)。
 特に、ナラティヴを「対象」として、つまりナラティヴを理論構築のための1つのデータと
して見るのか、それとも「研究方法」そのものと見るのかという点が分岐点となる(二宮
2011)。
 前者が、グラウンデッド・セオリー(M-GTAなど)に代表されるように、理論化を志向す
る手法であるのに対し、後者は「ナラティヴ探究」(Clandinin 2007)に代表されるように、
実践と理論との絶え間ない往還に重点を置く点が異なる。
 研究者が、学習や実践の「関係性」の中に身を置き、住民や学習者の物語に耳を傾け、職
員の語りを聞き、それに応答しようとするのであれば、学習者や職員の語る言葉を分析の
「対象」と捉え、研究のための理論化に役立てようとする態度は適切ではない。
 むしろ、学習者、住民、職員、研究者は、相互の語りや物語によってそれぞれの「意味世
界」を構成していること、ナラティヴを通じて相互に対話と応答を行うことで、お互いの
「意味世界」が変化しより豊穣なものとなることを前提とした上で、この相互変容の過程
を包括的に捉えることを、1つの「研究方法」と位置づけるべきである。
 そして、相互の「意味世界」の重なり合いの中から、「偏事象的真理」(大倉 2011: 5章)
への到達を目指すことが、ナラティヴを用いた研究方法の意味であると考えられる。
まとめ
 ナラティヴを通じた学習は、「自己」の形成やアイデンティティ形成と密接に関わる。
 ナラティヴの視点に基づくと、「自己」の「物語化」と「再物語化」の過程が、「成長」や
「発達」を示すと考えられる。これは既存の発達段階論と比較して、「発達」への新たな見
方を提示する。
 発達へのナラティヴ・アプローチの考えからは、アンドラゴジー、経験学習、変容学習、状
況的学習、批判的学習等の諸理論を「語り」と「自己」という観点から適切に位置づける可
能性を有する。
 ナラティヴを通じて、人々の「意味世界」が変容し、より豊かなものになっていくことが、
ナラティヴ学習の目的であると言える。
 ナラティヴ学習は、物語を聞き、話し、理解するという次元を含んでおり、人々の間の相互
行為(相互作用)として生じ、相互作用を促す。この学習を通じて、相互の「意味世界」の
変容と豊穣化がなされていくかが、実践の場においては重要となる。
 ナラティヴを中心に学習を捉えることによって、成人学習に関する考察が深まると同時に、
その実践的な展開について議論することも可能となる。
 ナラティブに関する(を用いた)研究の目的は、人々の多様な「意味世界」の様相を描くと
ともに、その世界における意味の連関構造を探究し、その筋道を示していくことにあると言
える。
 それは、単に語り/物語の内容を見るだけでなく、その語り/物語が生成する場、あるいは
ナラティヴが生じる基盤となる「関係性」をも視野に入れることを意味する。
参考文献(1)
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参考文献(2)
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 Goodson, Ivor F. and Pat Sikes(2001)Life History Research in Education Settings, Open University Press.〈邦訳〉高井
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Rossiter. and M. Carolyn Clark, eds., “Narrative Perspectives on Adult Education,” New Directions for Adult and
Continuing Education, 126, Jossey-Bass, 49-62.〈邦訳〉 荻野亮吾訳(2012)「大衆文化におけるナラティブ:成人教育
への批判的示唆」立田慶裕・岩崎久美子・金藤ふゆ子・佐藤智子・荻野亮吾訳『成人のナラティヴ学習:人生の可能性を
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140420ナラティヴと成人学習(報告資料)

  • 2. 報告の目的  成人学習論におけるナラティヴの位置づけ:経験学習論や変容 学習論との関連等を明らかにする。  「発達」へのナラティヴ・アプローチ:成人の成熟や発達に関し て提示される新たな観点や、学習方法としてのナラティヴの意味 等を考える。  研究上・実践上のナラティヴの可能性:ナラティヴを活用した実 践的研究の事例や、ナラティヴを用いた社会教育研究への展開可 能性等について論じる。 ※本報告は、ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007;2010等)の研 究内容の紹介を中心に、New Directions for Adult & Continuing Educationの関連論文や関連書籍についてまとめたものです。このため、ア メリカの成人学習及びナラティヴの動向を網羅的・体系的に論じるものでは ないことをお断りしておきます。
  • 3. 「ナラティヴ」とは?  語り(という行為)  物語(語られた行為の産物)  人は「物語る動物(homo narrans)」である。(Fisher 1987)  ナラティヴの議論では、自己やアイデンティティとの関連性が重視される。  ナラティヴの基本的要素(浅野 2001)  「時間的な順序」  出来事が起きる順序を伝える。  「Aの後にBが起きた」。  「視点の二重性」  語り手と、物語の主人公(登場人物)という二重の視点が存在する。  両者が一致するのが、「自己物語」。  「他者への志向性」  ナラティヴは1人では作れない。  他者に理解され、伝わることが重要。
  • 4. ナラティヴ・モードの特徴 合理的な思考方法 物語的な思考方法 ブルーナーによる対比 (Bruner 1986=1998) 論理科学モード ナラティヴ・モード 研究方法として (斎藤 2012等) エビデンス・ベースド・ アプローチ ナラティヴ・ベースド・ アプローチ 前提とする世界観と アプローチ 普遍的な世界の 「真理」の探究 人によって異なる 「意味世界」の構造の探究 代表的な方法 実験、証明、(多くの) 量的調査等 日記・日誌、インタビュー、 ライフ・ヒストリー等 出典:(荻野 2011a)を一部改編。
  • 5. ナラティヴと成人学習論のつながり(1)  フェニック(Fenwick 2004: 2章)では、経験に関する学習の議論を、社会的構 成主義、状況的学習、精神分析理論、批判文化理論、複雑系理論の5つに分類し ている。  ロシターとクラーク(Rossiter & Clark: 2007: 66)は、この議論のうち3つ (社会的構成主義、状況的学習、批判文化理論)をナラティヴの議論と結びつけ ている。  ナラティヴ学習論では、ナラティヴを通じた学習は、他の学習論の基礎にあり、 それを拡張するものだとされる(Rossiter & Clark 2007: 71)。  (アンドラゴジーに対して)経験と学習を結びつけるが、より人間的なレベ ルで。  (社会的構成主義に対して)社会的構成主義的だが、理屈よりも深い関わり がある  (状況的学習論に対して)状況的であるが、状況的学習の問題解決型の過程 よりも深い方法で学習が捉えられる。  (批判文化理論に対して)学習者はイデオロギーや権力に批判的になるが、 それはより大きな文化的なナラティヴに位置づけられていることによって示 される。
  • 6. ナラティヴと成人学習論のつながり(2)  アンドラゴジー論との接点について  成人学習における「経験」の重要性  リンデマン(Lindeman 1926=1996: 32)は経験が「生きた学習のテキスト」であると述べて いる。  ノールズ(Knowles 1980=2002: 49-51)のアンドラゴジーの考え方の中では、学習者が先験 的に有する経験が、学習の重要な資源として位置づけられている。  ナラティヴ学習論においても、学習者の経験は重要な要素として位置づけられる(ただし、イン フォーマルな学習過程の比重が大きいと考えられる)。  ただし、ノールズ(Knowles 1990=2013)が射程におさめている理論以降、(社会的)構成主義 に基づく学習論が発展してきており(堀 2013: 337)、この議論に基づく、変容学習論や状況的 学習論との接点も重要となる。  構成主義は、認知心理学を批判して登場した考え方で、「知識は社会的に構成されるもの」で あると考える。  構成主義においては、客観的な「事実」が存在すると考えるのではなく、「現実」が構成され ていく過程を重視する。この点で、出来事や経験を意味づける「語り」や「物語」の役割が重 要になる。  構成主義には、心理的構成主義と社会的構成主義が存在する。心理的な構成主義では学習者の 「意味づけ」の過程に注目する。一方、社会的構成主義では、文脈の役割や社会的相互作用を 重視する(Corte 2010=2013: 48-50)。  心理的構成主義が経験学習論、変容学習論(省察的実践論)、社会的構成主義は状況的学習論、 批判的学習論とのつながりを有する。
  • 7. ナラティヴと成人学習論のつながり(3)  経験学習論との接点  「経験学習」とは、「具体的経験が変容された結果、知識が創出されるプロ セス」(Kolb 1984: 38)のことを指す。  経験学習とナラティヴとのつながりという点では、経験のふり返りを通じて 意味づけがなされること、この過程に語りや物語が果たす役割が重視される。  具体的には、「具体的経験」「反省的観察」「抽象的概念化」「能動的 実験」のサイクルが想定されている。  (具体的)経験それ自体は前言語的なものである。この経験を「語る」 ことを通じて、ふり返り、意味づけが行われる。この過程をナラティヴ 学習では重視する(Rossiter & Clark 2010=2012: 20)。  ただし、ふり返りが行為の後で生じるのか、それとも行為の過程で生じるの かについては、見解が分かれている(Schön 1983=2007;Boud et al., 2013)。  あるいは、ふり返りの前提となる世界観自体を批判的に省察することを重視 する議論も存在する(変容学習)。
  • 8. ナラティヴと成人学習論のつながり(4)  変容学習論との接点  変容学習は、自己の「批判的ふり返り」を通じて、世界観の基礎をなす前提や価値観 を問い直す過程を重視する(Mezirow 1991=2012)。  意識変容の学習の契機として、不満足な経験や、移行期、ライフ・イベントが挙げ られる。  変容学習とナラティヴ学習とは親和的なものである。両者とも、学習者が、人生の経 験に対して、その解釈を通じて向き合っていく過程を扱うものである(Merriam et al., 2007:214-5)。  ランドール(Randall 1996: 238)は、自身について、あるいは世界について、これまでの物 語の中で人生の経験が捉えられなくなった時に、人生の「再物語化」が起きると述べている。  ケニョンとランドール(Kenyon and Randall 1997)によれば、自らの人生の物語の「再物語 化」は、語ること、それを読むこと、そして再度語ることの3段階によって構成されるという。  クラーク(Clark 2010=2012)は、変容学習をナラティヴに読み解く議論を、自身の経験に 引きつけて紹介している。  変容学習との差異  クラークとダークス(Clark & Dirkx 2000: 112)によれば、変容学習には、「文脈」と変容 の「プロセス」に関する配慮が不足している等の問題があり、合理的で自律的な主体を想定し ているという。  ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007: 163)によれば、変容学習(特にメジロー)は 認知的・合理的な過程を重視しているが、物語の視点を重視するナラティヴの視点によって変 容学習の新たな観点が示されるという。
  • 9. ナラティヴと成人学習論のつながり(5)  状況的学習論との接点  状況的学習論とナラティヴとの接点は、学習者が実践共同体において、コミュニティの ルールやツール、物語を内面化していく過程を重視する点にある。  代表的論者であるレイヴらは前近代に見られた徒弟制の研究を進める中で、「学習者は否 応なく実践者の共同体に参加するのであり、また、知識や技能の修得には、新参者が共同 体の社会的文化実践の十全的参加へと移行していくことが必要」であることを指摘する (Lave & Wenger 1991=1993: 1)。  つまり、様々な社会的実践を、実践的な集団における正統的周辺参加の過程として捉え直す。  「変わりつづける参加の位置と見方こそが、行為者の学習の軌道であり、発達するアイデンティ ティであり、また成員性の形態でもある」として、社会的な実践における参加の過程そのものが、 参加者の発達の過程であることを指摘している(Lave & Wenger 1991=1993: 11)。  レイブらの「正統的周辺参加」の議論は、実践的な集団に人々が参加していく過程を学習 と捉え直した点に特徴がある。ここでの学習は、実践的共同体に埋め込まれたインフォー マルな学習を指す。  経験学習論との違いは、人々が参加し、コミュニティや学習の文化に十全に関わること、その中で そのコミュニティの歴史や前提、文化的価値観やルールを学ぶという、「文脈」を重視する点にあ る(Hansman 2001: 46)  集団の成員となること(参加)において「語り」が果たす役割が重視される。 (例)アルコール依存症者の自助グループの語り:「パーソナル・ストーリーを話すことは診断と再 解釈の道具になっている。それを集団で行うということは、回復したアルコール依存症者としてのア イデンティティを形造るのに不可欠であり、飲まないことを続けるためにも必要である。そうした語 りは共有された実践の重要な機能を果たすことで成員たることの表明にもなっている」(Lave and Wenger 1991=1993: 94)。
  • 10. ナラティヴと成人学習論のつながり(6)  批判的学習論との接点  私たちは、様々なナラティヴ(社会的、家族的、個人的、組織的)に囲まれ、 影響を受けている。  サービン(Sarbin 1993:59)は、私たちは「ナラティヴによって象られた世界」 に生きていると述べている。  個人的なナラティヴは必ず社会的なナラティヴと関係を持っている(Rossiter & Clark 2007: 2章)。ただしこのつながりが常に意識化されているわけではない。  批判的学習論とナラティヴとの接点は、私たちを取り巻くナラティヴを可視 化することによって、そのナラティヴへの批判が可能になると考える点。  フェニック(Fenwick 2004: 40-1)によれば、成人学習の批判文化的視点では、 経験や知識が支配的集団や権力によって決定され、学習によって抵抗が組織化され ると考えられているとされる。  この視点は、批判的教育学(権力関係をとらえ、共有されている規範や価値観の背 景にあるマスター・ナラティヴを脱構築するという所作)と通じる(Rossiter & Clark 2007: 69)。  批判的学習と通じるナラティヴ学習の例:自らを取り巻くナラティヴについ て理解する  ライト(Wright 2010=2012)は、メディアを通じて発信されるナラティヴを批判 的に検討し、相対化するための学習方法を提示している。
  • 11. ナラティヴと成人学習論のつながり(7)  成人学習論の系譜や、理論間の関係については、三輪(2009: 6章)がアンドラゴジーと 変容学習を中心に、あるいは堀(2013)がアンドラゴジーから変容学習、状況的学習に関 する丁寧なレビューを行っている。  これらの議論と対比すると、ロシターとクラーク(Rossiter & Clark 2007: 2章)の議論 は、「語り」や「物語」という視点を通じて、「経験」と「ふり返り」そして「意味づ け」という概念について、異なる理論の間を架橋する可能性を有する。  さらに、心理主義的なアプローチに留まらず、共同体での学習や、社会における学習もが 視野におさめられる可能性を有する。  ナラティヴを通じた諸理論の関係(荻野 2011a:153を一部改編) 学習理論 主要な問い(ナラティヴを通じて… ) 構成主義 どのように知識が構成されるか。 変容学習 どのように思考の枠組みや前提が変化するか。 経験学習 経験にどのように意味が付与されるか。 状況的学習 いかにして、共同体や組織の価値観が内面化され、集団の一員と なっていくか。 批判的学習 どのように、社会を構成する価値観・前提が問い直されるか。
  • 13. 「発達」へのナラティヴ・アプローチ  「発達」については、幾つかの考え方がある(赤尾 2004;小川 2011) 1) 成長・社会化としての発達:生物的、生理的成長。成人期以降は衰退、下降 の傾向。 2) 生涯のプロセスとしての発達:社会的役割や社会的過程を重視。ハヴィガー ストの議論。 3) 「自己実現」としての発達:精神や自我の過程を重視。エリクソンの議論。 4) 「移行期」に着目した発達段階論:人生の過渡期の課題に着目。レヴィンソ ンの議論。 5) 個々の人生に着目した発達段階論:意識変容や、語りの役割に注目。  これら5つの発達に関する見方は排他的なものではないが、(5)の見方は、 「ナラティヴな自己」と密接な関連を有する。  特に、「ナラティヴな自己」論に基づけば、直線的な「発達」、あるいは画 一的な「発達」の見方は否定され、その代わりに個々の経験や文脈に即した 多様な「発達」の見方が提示されることになる。  あるいは、漸進的な発達の「過程」そのものに焦点が当てられることになる。
  • 14. ナラティヴな自己論の考え方(1)  クラークとダークス(Clark & Dirks 2000)によれば、統一的な自己の捉え方には問題があり、 自己の「複数性」を重視し「多元的な自己」論を展開する必要があるという。  可能態としての自己(Possible Selves)の考え方においては、自己の同一化、精緻化、そし て動機づけが重要とされているが、これは自己を物語る(自己の叙述化)プロセスとして捉 えられるという(Rossiter 2007)。  ローゼンワールドとオクバーグ(Rosenwald & Ochberg 1992:1)は「物語化された人生 (Storied Life)」について触れ、「個人的なナラティヴは、誰かに(あるいは自身に)自分 の人生を語る方法というだけではなく、アイデンティティを形成するための方法でもある」 と述べている。  ロシター(Rossiter 1999:62)は「私たちは世界と自身の経験をナラティブに沿って理解し、 それゆえに自身をナラティブに理解し構築している」という点で、自己を「留まることのな いナラティヴ」として捉える。自己の構築の過程は複雑で留まることがないが、個人的なナ ラティブの主な機能は一貫性を保つことにあるとされる。  ケニョンとランドール(Kenyon and Randall 1997)は、アイデンティティ構築の過程を 「人生の再物語化」として、つまり自己の物語が一貫しなくなり、自身の経験を意味づけら れなくなると、それに合わせて物語を変化させる過程として捉えている。  以上の議論は、自己の物語とアイデンティティとは等価であり、自己の物語を構築する過程 を学習として捉えるという議論である。
  • 15. ナラティヴな自己論の考え方(2)  従来の自己論とナラティヴな自己論との差異  テナント(Tennant 2000)は、「関係的自己(relational self)」の議論を展 開し、その中で「関係的自己」へとつながるのは、物語を通じて自己を創出 していくナラティヴ・アプローチであると主張している。  テナント(Tennant 2012: Introduction)はこの議論をさらに展開し、様々な 自己論を整理する中で、「物語られた自己」とは、社会に存在する物語に よって制約を受けながらも、語ることによってその存在を組み替えていく自 己であると述べる。  出典:テナント(Tennant 2012: 15)を筆者が訳出。 自己の概念 社会から自己への影響 真の自己 歪曲(distortion) 自律的な自己 形成(shaping) 抑圧された自己 抑圧と支配(oppression and domination) 社会的に構築された自己 言説(discourse) 物語られた自己 制約と生成(constraining and generating)
  • 16. ナラティヴ・アプローチの考え方  「発達へのナラティブ・アプローチ」の特徴は、外部から観察できる ような客観的な過程としてではなく、内部から経験するように、主観 的な発達の過程を描くことにある(Rossiter 1999: 78)。  ロシター(Rossiter 1999:79)は、このナラティヴ・アプローチの 有効性を次のように描いている。  (1)ナラティヴは人間の意味づけの基本的な構造である。  (2)成人の発達は、自己についての物語の構築を通じて、経験され表現 される。  (3)人間科学のアプローチは、成人の発達の研究に適している。  (4)成人の発達は必ずしも予期できない様式で進む。  成人の発達に関するナラティヴ・アプローチでは、成人の発達を、文 脈的、解釈的、回顧的、時間的な性質を持つものとして理解する (Rossiter 1999:80-2)。
  • 17. 「ナラティヴ学習」の3つの要素  「ナラティヴ学習」とは、最も簡潔にいうと「物語を通じた学習」を指 す(Rossiter and Clark 2007: 70)。  ナラティヴ学習は3つの次元から構成される(Rossiter and Clark 2007:70-1;Clark 2010=2012: 20-2)  聞くことによって学ぶ  教師や他の学習者、メディア等から物語を聞き、意味づけを行う。  宗教的な寓話や、神話、その他の道徳的な話、そして個人的な経験を聞く ことも含まれる。  良い物語は、学習者を別の時間、場所に連れ出す(想像力を喚起する)こ とができる。  語ることによって学ぶ  考え方や原理、概念を認知的に理解し、自身の経験と結びつける。  他者に語ることによって、経験や出来事が筋道だったものとなる。  個人的な経験の語りを含めることによって、カリキュラム内容がより現実 的なものになる場合もある。  物語を再組織化する/理解することによって学ぶ  自身がナラティヴによって構成され、様々なナラティヴの中に位置づけら れることを理解する。  ナラティヴが状況に根ざしたものであることを理解することで、自らの考 えの前提や社会における権力関係、あるいは既存のナラティヴから利益を 得ている人への批判を行うことが可能となる。
  • 18. ナラティヴ学習の実践:授業での実践  授業においてナラティヴを用いる例(Rossiter & Clark 2007: 5章)  大学のゼミをナラティヴに展開する例(Rossiter & Clark 2007: 81-91)  物語を語る:模範となる教師を取り上げ、他の学生の前でその教師から 何を学んだかを語る。  ナラティヴに教える:授業で取り上げる各トピックを、学生が他の文献 や資料も読んで深く調べ、他の学生の前で語る。  ゼミでの授業の展開をナラティヴに制作する:学生とシラバスを共同で 作成する。  自らの物語(ライフ・ヒストリー)を語る実践の例(Rossiter & Clark 2007: 91-5)  物語を語るにあたってはルールを決めることや、語る環境が重要。  物語を語ること、聞くことには強い情動性を伴う場合があることに留意 する。  「自己開示」にあたっては、一定のガイドラインが必要。  物語を受け入れる雰囲気が物語の内容を決定することに注意する。
  • 19. ナラティヴ学習の実践:自伝的方法①  日記・日誌  伝統的な方法。その長所は、①感情に対処できること、②自己を深く理解できること、 ③熟考を促すこと、④創造性を活性化することにある(Rossiter & Clark 2007: 150-3)。  ルキンスキー(Lukinsky 1990)は、ジャーナリングを、ふり返りのための有力な手 段と位置づけている。その理由は、学習者がジャーナリングによって、深く考えるた めに当の経験から一歩身をひき、経験への新たなより深い理解を伴って生活に立ち戻 ることが可能になるからである(Clark 2001: 89)。  プロゴフ(Progoff 1975)のジャーナリング・ワークショップ:①人生のナラティヴ の情報を、多面的に描く。②この情報と様々な対話を行う。③前の2つの段階と関連 させて、夢、画像、その他の内部の経験を深く追い求める。  ブレディーとスカイ(Brady & Sky 2003)は、3年以上日記をつけている15人の退 職者にインタビュー。日記のメリット:①日常的に起こる出来事に上手く対応できる。 ②自分の進歩等の「発見の喜び」。③自分の意見や心を豊かなものにする。  ウィナーとローゼンワールド(Wiener and Rosenwald 1993)は、18〜50歳の日記を つけている20名を対象にした研究を実施。ジャーナリングは「自己の客観化」を促す とされる(Wiener and Rosenwald 1993: 32)。この方法の長所として挙げられてい ることは、自己の境界の確定と溶解、時間と感情のマネージメント、自己の探究、記 憶の活性化といったことである。
  • 20. ナラティヴ学習の実践:自伝的方法②  学習日誌  学習の内容と方法をともに検討するためのもの。第二外国語の講座や、専 門職養成のための高等教育機関で用いられてきた方法。  ナラティヴ学習の全ての特徴を集約したものであるとされる(Clark & Rossiter 2008=2010: 100)。  授業や講座で学んだことを、継続的・日常的に日誌に記すことを課題とし て課す。  学習者は授業・講座で自分の考えたことを日誌に綴り、書くことそのもの が思考の過程となる。自分が書いたテキストを後で読むことで自分がその 時何を考えていたのかをふり返る。  学習者は学習日誌に以前から知っていたことと新しく学んだ考え方をとも に綴ることで、自身が学んだことをそれまでの経験や考え方とつなげ、新 たな問いを導き出していく。  この過程を通じて、学習者は講座や授業の内容への理解が徐々に進んでい く様子を常に目にすることが可能となる。
  • 21. ナラティヴ学習の実践:自伝的方法③  テーマ限定型の自伝執筆  教育上の自伝執筆:「自分が○○でどう学んだか」を検討する方法(Dominicé, 2000)  学習者が幾つかのグループに分けられ、各グループで以下のような手順で学習が行われる。 (1)最初に1時間ほどグループ内の1人が、上記の質問に対する報告を行う。(2)次の2時間 でグループのメンバーからフィードバックが行われる。(3)このやり取りは録音され報告者に 手渡され、(4)これに基づき報告者は自身の教育上の自伝執筆を行う。(5)執筆された自伝 はグループ内で再検討される。(6)セミナーの最後には全体での評価が行われる。  この方法の特徴は、グループが相互に傾聴し合い対話を行う場として機能し、語りと執筆され たテキストの双方を用いて学習が展開されていることにある。  教育上のライフ・ヒストリー(Rossiter & Clark 2007: 110-5)  各人の人生におけるスクーリングの経験を吟味すること、教育制度におけるジェンダーに基づ く個人的・構造的な不平等を明らかにするのに特に有用であるとされる。  自伝的な学習ポートフォリオ(Rossiter & Clark 2007: 115-8)  成人期に行った自身の学習の物語を語らせる。この過程で高等教育において何を学んだかをふ り返らせ、自身が生涯学習者であることを理解させ、残りの人生において学習が果たす役割に ついて思いを巡らせてもらう。  ここでは学習についてのナラティヴを語ることに必要なもの全てが用いられる。例えば、日誌、 個人的な経験を示す資料、他の講座の課題、写真、ビデオ等。  学生は自身の学習の経験について、テーマを持って年代順に重要なエピソードを挙げ、プロッ トに沿って発表することが求められる。
  • 22. ナラティヴ学習の実践:ライフ・ストーリー  コミュニティ教育のプログラムの中で用いられるライフ・ストーリー (Rossiter & Clark 2007: 126-35)  上述した自伝的方法では人生の全体に焦点を当てるのに比べて、特定のエ ピソードや出来事に焦点を当てる点に特徴がある。  実際の体験に基づくという物語の「真正性」、物語の聞き手と語り手の 「近接性」、そして物語を語り聞くことによるアイデンティティの共有化 というメリットがある。  コミュニティの行事や、地域の歴史の聞き取りで用いられたり、仕事場で の経験の共有等に有用とされる。  もちろん、実際に運用するにあたっては、ストーリーの適切さ、面白さ、 情報の豊かさ、あるいは共有のしやすさが重要となる。  録画したものを編集したり、あるいはフォーマットを用いて聞き取りを行 う、語り手に記述してもらったものを読み合う等の方法が存在する。
  • 23. ナラティヴ学習の実践:事例研究  事例研究(Rossiter & Clark 2007: 118-21)  ビジネス、法曹、医療などの専門職教育で用いられる。  問題解決と批判的思考を身につけることが目的。  事例・シナリオとは、専門家が実際に体験したエピソードを、登場人物や場面、そし て一定の筋書きをもった物語としたものである。  事例研究やシナリオを用いた学習の目標は、実践家のように考えることを身につける ことにある。ここでの実践家とは、理論的な概念をそれまでの体験と結びつけ、新し い知見や解釈を考えつく人たちのことを指す。  これらの学習方法を通じて批判的思考力と、問題解決のために有効な能力を培うこと が学習の目的である。  幾つかの例:①問題の所在を示し対応を求める場合。②シナリオ・プランニング:組 織や公共政策の目標や方向性を定める場合、③問題の所在を明らかにする場合、④学 習した概念を実際の事例に適用していく場合。  事例やシナリオには複数の結末が存在し、学習者は、時に読み手、時に書き手となっ て物語の結末を考えていく。  学習者に投げかけられる質問も良い/悪い、正しい/間違っているというような閉じ た質問ばかりではなく「この事例の主な問題は何ですか?」「最も良い解決方法は何 だと思いますか?」といった開かれた質問が多い。
  • 24. ナラティヴ学習の実践:演劇を通じた学習  社会的活動劇(Rossiter & Clark 2007: 135-9)  地域住民の間で、社会的・人種的・文化的な差異への理解が深められ,地域を活性 化させることが目的。  実際に地域に住む人々の体験をもとに、地域で生じた問題や紛争の例に筋書きをつ けたものである。劇は5〜10分を目処に、学校や教会、図書館、公園など地域の 人々が集まれる場所で上演される。  上演するのはプロの役者ではなく地域住民。  劇が終わると、観客から質問やコメントが寄せられ、それに対して役者は登場人物 の立場になって答える。この相互の対話の過程を通じて地域の問題への理解が深め られていく。  プレイバック・シアター(Rossiter & Clark 2007: 141-2)  選ばれた観客が舞台にあがって、ライフ・ストーリーを語る。  監督は、その物語を詳細なものとして理解するために、様々な角度から質問を行う。  その後監督が、役者や音楽家に具体的な指示を出し、物語に沿ったパントマイムや 即興劇や音楽を演奏する。  1人の番が終わると、次の観客が舞台に呼ばれその人の物語に合った劇が上演され ていく。  人々の間のつながりやチームワークを作ること、地域の「共有知」を作り上げるこ とに主眼が置かれている
  • 25. ナラティヴを用いた社会教育研究への 展開可能性(1)  社会教育研究での活用可能性について、荻野(2011b)は、公民館の職員研究にお いてナラティヴを用いた研究の可能性を3つ提示している。この議論を拡張して、社 会教育研究への展開可能性を考える。キーワードは「意味世界」。  社会教育関係職員のアイデンティティの構築過程を見るものとして  教師のライフ・ヒストリー研究において、すでに実証的な検討がなされている (Goodson 2001=2001;Goodson & Sikes 2001=2006など)。  職員としての経験の語りや、実践の記録の分析から、職員としてのアイデンティ ティ(専門性)形成の軌跡や過程をたどることができる。  「専門性の拡張は…対話的な社会的実践の場において生成される」(山住: 2004: 221)。  職員は、学習や実践の場において、学習者や住民の反応を見て、働きかけや 対話を行っている。この過程は意識化されていないにせよ、専門職の語りや 物語に内包されている。もちろん、学習者や住民も、専門職と対話し語り合 う中で、変容を起こしている。この相互行為を通じたアイデンティティの構 築の過程を捉えることが重要になる。  荻野(2014:8章)では、この視点に基づいて、長野県飯田市、大分県佐伯 市の職員研究を展開。(※参考資料)  この方法は、職員の語りや記録を通じて、職員の「意味世界」の変容を捉えると いう研究方法である。
  • 26. ナラティヴを用いた社会教育研究への 展開可能性(2)  職員と、学習者・住民との対話/変容のツールとして  すでに社会教育実践の中では、生活記録や自分史の学習が意識的に用いられてきた(日本 社会教育学会 2004;入江・村田 2004;横山1987等)。  近年では、ライフ・ストーリーやライフ・ヒストリーが成人の学習に持つ意味の解明も進 んでいる。  さらに、成人の学習に目を移すと、授業での学習だけでなく、日記・日誌(ジャーナリン グ)や、テーマを限定した自伝の執筆、シナリオや劇を用いた学習など、学習方法は幅広 い。  これらの学習方法は、物語を聞き、語り、理解するという次元を含んだナラティブ学習の 方法である。個人の経験を可視化することで、(1)ふり返りを促すだけでなく、(2)他 者との経験の共有化が可能となる。他者と様々な経験を共有することによって、自分の立 ち位置を深く理解することができるという点で、3つの学習の次元はつながりを有する。  学習者は、自身の人生における学習についてのナラティヴを描き、実践や授業で学んだ経 験や出来事を深く掘り下げ、ふり返りを行うことで学習する。  この学習の過程は、学習者による自伝や自分史、ライフ・ヒストリーを通じて、職員を含 めた他者へと開示され、それを基点に相互理解と相互の変容の可能性が開かれる。  このような対話や語り合いの中から、学習や実践に関わる人々の「意味世界」が変容して いくものと考えられる。  従来、用いられてきた実践記録・学習記録の分析や共同のふり返りに加えて、上に挙げた ような様々なツールを通じて、実践の場における職員と学習者、住民の相互作用を促し、 互いの「意味世界」についての共通理解を創り出すことができるものと考えられる。  このような「場」がどのように構成されるかは重要な研究上の問いとなる。
  • 27. ナラティヴを用いた社会教育研究への 展開可能性(3)  学習や実践に関わる人々が「意味世界」をともに立ち上げるための研究/ 実践方法として  ナラティヴ・アプローチは理論と実践との距離を縮めようとする点で共通の志向性を持つ。  ただし、その内実は、文献研究、家族史研究、オーラル・ヒストリー、事例研究、ライ フ・ヒストリー、ライフ・ストーリー、ナラティヴ探究など多様である(Goodson 2011)。  特に、ナラティヴを「対象」として、つまりナラティヴを理論構築のための1つのデータと して見るのか、それとも「研究方法」そのものと見るのかという点が分岐点となる(二宮 2011)。  前者が、グラウンデッド・セオリー(M-GTAなど)に代表されるように、理論化を志向す る手法であるのに対し、後者は「ナラティヴ探究」(Clandinin 2007)に代表されるように、 実践と理論との絶え間ない往還に重点を置く点が異なる。  研究者が、学習や実践の「関係性」の中に身を置き、住民や学習者の物語に耳を傾け、職 員の語りを聞き、それに応答しようとするのであれば、学習者や職員の語る言葉を分析の 「対象」と捉え、研究のための理論化に役立てようとする態度は適切ではない。  むしろ、学習者、住民、職員、研究者は、相互の語りや物語によってそれぞれの「意味世 界」を構成していること、ナラティヴを通じて相互に対話と応答を行うことで、お互いの 「意味世界」が変化しより豊穣なものとなることを前提とした上で、この相互変容の過程 を包括的に捉えることを、1つの「研究方法」と位置づけるべきである。  そして、相互の「意味世界」の重なり合いの中から、「偏事象的真理」(大倉 2011: 5章) への到達を目指すことが、ナラティヴを用いた研究方法の意味であると考えられる。
  • 28. まとめ  ナラティヴを通じた学習は、「自己」の形成やアイデンティティ形成と密接に関わる。  ナラティヴの視点に基づくと、「自己」の「物語化」と「再物語化」の過程が、「成長」や 「発達」を示すと考えられる。これは既存の発達段階論と比較して、「発達」への新たな見 方を提示する。  発達へのナラティヴ・アプローチの考えからは、アンドラゴジー、経験学習、変容学習、状 況的学習、批判的学習等の諸理論を「語り」と「自己」という観点から適切に位置づける可 能性を有する。  ナラティヴを通じて、人々の「意味世界」が変容し、より豊かなものになっていくことが、 ナラティヴ学習の目的であると言える。  ナラティヴ学習は、物語を聞き、話し、理解するという次元を含んでおり、人々の間の相互 行為(相互作用)として生じ、相互作用を促す。この学習を通じて、相互の「意味世界」の 変容と豊穣化がなされていくかが、実践の場においては重要となる。  ナラティヴを中心に学習を捉えることによって、成人学習に関する考察が深まると同時に、 その実践的な展開について議論することも可能となる。  ナラティブに関する(を用いた)研究の目的は、人々の多様な「意味世界」の様相を描くと ともに、その世界における意味の連関構造を探究し、その筋道を示していくことにあると言 える。  それは、単に語り/物語の内容を見るだけでなく、その語り/物語が生成する場、あるいは ナラティヴが生じる基盤となる「関係性」をも視野に入れることを意味する。
  • 29. 参考文献(1)  赤尾勝己(2004)「生涯発達:物語としての発達という視点」赤尾勝己編『生涯学習理論を学ぶ人のために』世界思想社。  浅野智彦(2001)『自己への物語論的接近:家族療法から社会学へ』勁草書房。  Boud, David, Rosemary Keogh, and David Walker eds.,(2013)Reflection: Turning Experience into Learning, Routledge.  Brady, E. Michael and Harry Z. Sky(2003)”Journal Writing among Older Learners,” Educational Gerontology, 29: 151-63.  Bruner, Jerome(1986)Actual Minds: Possible Worlds, Harvard University Press.〈邦訳〉田中一彦訳(1998)『可能世 界の心理』みすず書房。  Clandinin D. Jean ed., (2007) Handbook of Narrative Inquiry: Mapping a Methodology, California: Sage.  Clark, M. Carolyn(2001) “Off the Beaten Path: Some Creative Approaches to Adult Learning,” in Sharan B. Merriam ed., “The New Update on Adult Learning Theory,” New Directions for Adult and Continuing Education, 89, Jossey-Bass, 83-91.  Clark, M. Carolyn(2010)”Narrative Learning: Its Contours and Its Possibilities,” in M. Rossiter and ,M. C. Clark eds., “Narrative Perspective on Adult Education,” New Directions for Adult Continuing Education, 126, 3-11. 〈邦訳〉荻野亮吾訳 (2012)「ナラティヴ学習:その輪郭と可能性」立田慶裕・岩崎久美子・金藤ふゆ子・佐藤智子・荻野亮吾訳『成人のナ ラティヴ学習:人生の可能性を開くアプローチ』福村出版、16-29。  Clark, M. Carolyn and John D. Dirkx(2000)”Moving Beyond a Unitary Self: A Reflective Dialogue,” in Arthur L. Wilson and Elisabeth R. Hayes eds., Handbook of Adult and Continuing Education, New Edition, Jossey-Bass, 101-16.  Clark, M. Carolyn and Marsha Rossiter(2008)“Narrative Learning in Adulthood,” in S. B. Merriam (ed.), “Third Update on Adult Learning Theory”, New Directions for Adult Continuing Education: 119, Jossey-Bass, 61-70.〈邦訳〉荻野亮吾訳 (2010)「成人期のナラティヴ学習」立田慶裕・岩崎久美子・金藤ふゆ子・荻野亮吾訳『成人学習理論の新しい動向:脳 や身体による学習からグローバリゼーションまで』福村出版、91-104。
  • 30. 参考文献(2)  Corte, Erik de(2010)”Historical Developments in the Understanding of Learning” in CERI., ed., The Nature of Learning: Using Research to Inspire Practice, 35-68. 〈邦訳〉佐藤智子(2013)「学習についての理解の歴史的発展」立田慶裕・ 平沢安政監訳『学習の本質:研究の活用から実践へ』明石書店, 43-80.  Dominicé, Pierre(2000)Learning from Our Lives: Using Educational Biographies with Adults, Jossey-Bass.  Fenwick, Tara J.(2004)Learning Through Experience: Troubling Orthodoxies and Intersecting Questions, Krieger.  Fisher, Walter R.(1984)“Narration as a Human Communication Paradigm: The Case of Public Moral Argument.” Communication Monographs, 51, 1–18.  Hansman, Catherine A.(2001)“Context-Based Adult Learning,” in Sharan B. Merriam ed., “The New Update on Adult Learning Theory,” New Directions for Adult and Continuing Education, 89, Jossey-Bass, 43-51.  堀薫夫(2013)「あとがき」M.ノールズ、堀薫夫・三輪建二監訳『成人学習者とは何か:見過されてきた人たち』鳳書 房, 321-45.  Goodson, Ivor F. (2001)Life History and Teachers: Understanding Life and Work.〈邦訳〉藤井泰・山田浩之訳 (2001)『教師のライフヒストリー:「実践」から「生活」の研究へ』晃洋書房。  Goodson, Ivor F. and Pat Sikes(2001)Life History Research in Education Settings, Open University Press.〈邦訳〉高井 良健一・山田浩之・藤井泰・白松賢訳(2006)『ライフヒストリーの教育学:実践から方法論まで』昭和堂。  入江直子・村田晶子(2004)「学習の組織化と記録」日本社会教育学会編『成人の学習と生涯学習の組織化』(講座現 代社会教育の理論Ⅲ)東洋館出版社、124-40。  Kenyon, Gary M. and William Lowell Randall(1997)Restorying Our Lives: Personal Growth through Autobiographical Reflection, Praeger.
  • 31. 参考文献(3)  Kolb, David A.(1984)Experiential Learning: Experience as the Source of Learning and Development, Prentice Hall.  Knowles, Malcolm(1980) The Modern Practice of Adult Education: From Pedagogy to Andragogy (2nd ed.). New York: Cambridge Books. 〈邦訳〉堀薫夫・三輪建二監訳(2002)『成人教育の現代的実践:ペダゴジーからアンドラゴジー へ』鳳書房。  Knowles, Malcolm(1990)The Adult Learner: A Neglected Species(4th edition)Gulf Publishing Company. 〈邦訳〉堀薫 夫・三輪建二監訳(2013)『成人学習者とは何か:見過されてきた人たち』鳳書房。  Lave, Jean and Etienne Wenger(1991) Legitimate Peripheral Participation, Cambridge University Press.〈邦訳〉佐伯胖 訳(1993)『状況に埋め込まれた学習:正統的周辺参加』産業図書。  Lindeman, Eduard(1926) The Meaning of Adult Education, New Public., Inc. 〈邦訳〉堀薫夫訳(1996)『成人教育の意 味』学文社。  Lukinsky, Joseph(1990)”Reflective Withdrawal through Journal Writing,” in Jack Mezirow ed., Fostering Critical Reflection in Adulthood: A Guide to Transformative and Emancipatory Learning, Jossey-Bass. 213-34.  Merriam, Sharan. B., Rosemary S. Caffarella, and Lisa M. Baumgartner(2006)Learning in Adulthood: A Comprehensive Guide (3rd ed.). San Francisco: Jossey-Bass.  Mezirow, Jack.(1991) Transformative Dimensions of Adult Learning. San Francisco: Jossey-Bass.〈邦訳〉 金澤睦・三輪 建二監訳(2012)『おとなの学びと変容:変容的学習とは何か』鳳書房。  三輪建二(2009)『おとなの学びを育む:生涯学習と学びあうコミュニティの創造』鳳書房。  日本社会教育学会編(2004)『成人の学習』(日本の社会教育第48集)東洋館出版社。
  • 32. 参考文献(4)  二宮祐子(2010)「教育実践へのナラティヴ・アプローチ:クランディニンらの「ナラティヴ探究」を手がかりとして」 『学校教育学研究論集』22: 37-52。  小川誠子(2011)「さまざまな学習者」鈴木眞理・永井健夫・梨本雄太郎編『生涯学習の基礎〔新版〕』学文社、104-21。  荻野亮吾(2011a)「生涯学習へのナラティヴ・アプローチ」立田慶裕・井上豊久・岩崎久美子・金藤ふゆ子・佐藤智 子・荻野亮吾『生涯学習の理論:新たなパースペクティブ』福村出版、146-64。  荻野亮吾(2011b)「公民館職員の『専門性』へのナラティヴ・アプローチ」『日本公民館学会年報』8: 40-50。  荻野亮吾(2014)「社会教育とコミュニティの構築に関する理論的・実証的研究:社会教育行政の再編と社会関係資本の 構築過程に着目して」(東京大学大学院教育学研究科博士論文、審査中)  大倉得史(2011)『「語り合い」のアイデンティティ心理学』京都大学学術出版会。  Progoff, Ira(1975) At a Journal Workshop: The Basic Text and Guide for Using the Intensive Journal, Dialogue House Library.  Randall, William L. (1996) “Restorying a Life: Adult Education and Transformative Learning,” in James E. Birren and others eds., Aging and Biography: Explorations in Adult Development, Springer, 224-47.  Rosenwald, George C. and Richard L. Ochberg eds.,(1992) Storied Lives, Yale University Press.  Rossiter, Marsha(1999) “Understanding Adult Development as Narrative,” in Clark, M. C. & Caffarella, R. S., eds.. “An Update on Adult Development Theory,” New Directions for Adult & Continuing Education, 84, Jossey-Bass, 77-85.  Rossiter, Marsha(2007)“Possible Selves in Adult Education,” in Marsha Rossiter ed., “Possible Selves and Adult Learning: Perspectives and Potential,” New Directions for Adult & Continuing Education, 117, Jossey-Bass, 87-94.
  • 33. 参考文献(5)  Rossiter, Marsha and M. Carolyn Clark(2007)Narrative and the Practice of Adult Education, Krieger.  Rossiter, Marsha and M. Carolyn Clark eds.,(2010) “Narrative Perspective on Adult Education,” New Directions for Adult Continuing Education, 126. 〈邦訳〉立田慶裕・岩崎久美子・金藤ふゆ子・佐藤智子・荻野亮吾訳(2012)『成人のナラ ティヴ学習:人生の可能性を開くアプローチ』福村出版。  斎藤清二(2012)『医療におけるナラティブとエビデンス:対立から調和へ』遠見書房。  Schön, Donald, A.(1983) The Reflective Practitioner: How Professionals Think in Action, Basic Books. 〈邦訳〉柳沢昌 一・三輪建二監訳(2007)『省察的実践とは何か:プロフェッショナルの行為と思考』鳳書房.  Tennant, Mark(2000)”Adult Learning for Self-Development and Change,” in Arthur L. Wilson and Elisabeth R. Hayes eds., Handbook of Adult and Continuing Education, New Edition, Jossey-Bass, 87-100.  Tennant, Mark(2012) The Learning Self: Understanding the Potential for Transformation, Jossey-Bass.  Wendy Wiener J. and George J. Rosenwald(1993) “A Moments’ Monument: The Psychology of Keeping a Diary,” in Ruthellen H. Josselson and Amia Lieblich eds., The Narrative Study of Lives, Sage Publications, 30-58.  Wright, Robin Redmon(2010) “Narratives from Popular Culture: Critical Implications for Adult Education,“ in Marsha Rossiter. and M. Carolyn Clark, eds., “Narrative Perspectives on Adult Education,” New Directions for Adult and Continuing Education, 126, Jossey-Bass, 49-62.〈邦訳〉 荻野亮吾訳(2012)「大衆文化におけるナラティブ:成人教育 への批判的示唆」立田慶裕・岩崎久美子・金藤ふゆ子・佐藤智子・荻野亮吾訳『成人のナラティヴ学習:人生の可能性を 開くアプローチ』福村出版, 85-105。  山住勝広(2004)『活動理論と教育実践の創造:拡張的学習へ』関西大学出版部。  横山宏編(1987)『成人の学習としての自分史』国土社。