【日本マーケティング学会2018発表原稿】
本発表では近年イノベーション創出方法として注目が集まる「意味のイノベーション」の実行フローの検証・精緻化・再構成の試みとして,株式会社ストライプインターナショナルが保有するファッションブランドレベッカブティックのクリエイティブ・ブランディングプロセスのインタビューリサーチと理論構築を行う。「意味のイノベーション」はヨーロッパを中心に研究蓄積が進んでいるが,日本での研究事例は量質共に少なく,実務への適用も限定的である。その解消のため,本研究では,「内から外へのイノベーション」「批判精神」という上記手法の枢要を非意図的ではあるが実践していると推察される上記ブランドの総合ブランドディレクターにインタビューリサーチを行う。その後に,そのデータを特定の社会的事象にまつわる対象者の主観世界と相互行為に着目し,事象の構造・プロセス両面を包括する理論の組成を目指す社会学の手法グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い,冒頭に掲げた理論を構築する。左記理論を素材としつつ,「意味のイノベーション」フローの補完・精緻化の可能性を提示し,また実務において参照性の高いケーススタディとしての価値も追求する。