https://www.watney.co.jp/course?wix-vod-video-id=9f72a08b959348d8bc395e76a8184b35&wix-vod-comp-id=comp-jfnqv23o# イノベーションマネジメント/基礎科目 大阪大学 経済学研究科・経済学部　中川 功一准教授

1. イノベーション マネジメント
第8回
事業モデルのデザイン
CVCA
中川功一
大阪大学大学院経済学研究科
Koichi NAKAGAWA
Graduate School of Economics, Osaka University

3. 良いモノ・サービスを創れば
成功する時代ではない

4. 必要なのは
ビジネスモデル
思考である
ただしそれは
厳しい表情をして行う数字で詰める“経営者”の作業ではなく、
楽しみながら行う“デザイナー”ワークである。
→ “ビジネスモデル・デザイン”

5. よりよい解にたどり着くために、
産業・事業の社会的構造を把握する
業界の構造
モノ・サービス・金・
情報のフローを知る
ウェブ・書籍・政府統
計・調査レポート等によ
る基礎的情報収集
＆
フィールドワーク
CVCA!
input output

6. ビジネスモデル・デザインとは
業界の全体構造を見渡しながら、
✓誰にどのような価値を提供するか
✓収益をどこで上げるか
✓自社は何をやるか
✓全体のバリューチェーンをどう構築するか
を設計する作業
ひとまずこれをカジュアルに、
グラフィカルに行う方法がCVCA（Customer Value Chain Analysis）

7. 業界構造の把握：CVCA
（Customer value chain analysis）
飲料メーカー
飲料メーカー工場
自販機オペ本社
自販機オペレーター倉庫
配送ドライバー
顧客
自動販売機
土地オーナー
テレビ局
クレーム
＄
設置依頼
設置許可
発注
商品情報
生産指示＋＄
依頼＋＄
CM
設置＋管理
＄＋
販売情報
売れ行き情報
発注
指示
土地提供
要するに、
モノ・カネ・情報・作業の
チャート図を作ること。

8. CVCAが、なぜ重要なのか
目の前の顧客だけを見るのではなく、業界全体を見る
HP社医療機器の例（当初の思惑）
HP
＄+情報 ＄＋情報
＄
医療機器
分析結果
お金
コンピューターと周辺機器メーカーであるHP社は，医療機関向けに「自動診断システム」
を提供することで，自社のコンピューターやプリンタが売れると考えた．

9. HP社医療機器の例（実際）
HP
＄+情報 情報
国
保険会社
？ ＄+保険加入
医療行為の認可
＄
＄
！
医療機器
分析結果
お金
情報・判断
×
• 医者は「診断」という役割を取って代わられたくない（診断の代行にお金を払うモチベーションがない）
• 医療現場で採用されるかは，保険の対象になるかどうかとFDA（食品医薬品局）の認可が取れるかで決まる
⇒ ビジネスが大失敗に終わってしまった

10. 演習
飲料缶ベンダー会社
こんなに単純ではないはず・・・・・

11. 業界構造の把握：CVCA
（Customer value chain analysis）
飲料メーカー
飲料メーカー工場
自販機オペ本社
自販機オペレーター倉庫
配送ドライバー
顧客
自動販売機
土地オーナー
テレビ局
クレーム
＄
設置依頼
設置許可
発注
商品情報
生産指示＋＄
依頼＋＄
CM
設置＋管理
＄＋
販売情報
売れ行き情報
発注
指示
土地提供

12. • 全体を通じて重要なステークホルダーは誰か？
• 価値の出入り（特にお金）でおかしなところはないか？
（お金が入っていないのに，何か義務を果たさなければ
ならないステークホルダーは居ないか？）
• 価値や情報のつながりが途切れている・弱い場所はないか？
• 流れを変える，役割を加える・削ることで面白い変化は
起きないか？
結果を考察する

13. 練習2
Googleのビジネスモデルを描画する
どこにビジネスとしてのポイントがあるのか？

14. ビジネスモデルキャンバスと
CVCA
• CVCAはカジュアルに、全体フローをグラフィカルに描き出す
“全体観をつかむ”ことが目的
• ビジネスモデルキャンバスはより緻密に、個別の要素を詳細に
検討する
“個別要素の緻密な検討”が目的
• うまく使い分けることが肝心

15. まとめ
よい製品・サービスだと言われるエクセレント・カンパニーは、「ビジネ
スモデル」もまたよく練られていることが多い。
製品・サービスを徹底的にデザインすべき現在、イノベーターを志す者は
同様の労力を「ビジネスモデル自体のデザイン」にも割かねばならない。
世界の強者たちは既にそのフェーズに移行している。
ぼやぼやしてられないぜ！
※基本発想は製品もビジネスモデルも同じ。徹底した調査から満たすべき要件を洗い出し、
それを徹底した思考作業から「かたち」に実装するのだ！