NICUにおける母乳育児支援 ースタッフは何をする？編ー 2018.12月　母子愛育会主催講習会のスライドです。情報の利用については自己で内容を吟味、判断してください。

1. NICUにおける
母乳育児支援
ースタッフは何をする？編ー
国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)
小児科医師
山口直人

2. この１時間の内容
• 母乳育児がうまくいく実践
• Neo-BFHI(新生児病棟のための赤ちゃんにやさしい病院運動)
の推奨を知ろう
• 日常の支援スキルのポイントをおさらいしよう
• コミュニケーションスキル
• 搾乳の支援 手による搾乳・機械を使った搾乳
• 直接授乳の支援
• 栄養のこととか・・・退院後のこととか・・・他にもたくさん
NICUでの母乳育児のテーマはありますが・・・60分なので・・・

3. 新生児病棟で
母乳育児がうまくいく
ための支援・実践には
どんなものがあるでしょう？

4. 母乳育児がうまくい
くための10ステップ
• 2018年改訂 BFHIの中心
• 「母乳育児成功のための10ヶ
条」の改訂版
• 訳語がかわったけど元の英
語は変更なし
• 出産施設に向けての指針で、
新生児病棟にはそのまま適応
できない
• JALCのホームページよりダウ
ンロードできる

5. Neo-BFHI
• 2015年リリース 北欧＆カナダが中心
• ねらい
• WHO/UNICEFのBFHIプログラムに基
づき、新生児病棟に母乳育児を保護・
推進・支援するために「母乳育児成功
のための１０か条」を拡大・適応させる
こと
• 目標
1. 新生児病棟における母乳育児の推進・
保護・支援に関連する科学的根拠を調
べ、適切に改訂し追加する項目を作成
すること
2. 新生児病棟に焦点を置いた標準と評価
基準を作成すること
3. 新生児病棟が評価基準に従っているか
を判断するアセスメントツールを作成
すること
4. 新しいアセスメントツールの使用を試
みること
5. 新生児病棟に向けて改変された標準の
実施を推進すること
6. この再構築の効果を評価する研究を奨
励すること
Neo-BFHI
新生児病棟のための
赤ちゃんに
やさしい
病院運動
母乳育児を保護・推進・支援するための
３つの基本理念と10のステップ
推奨される標準と評価基準のためのコア・ドキュメント
• JALCのホームページよりダウンロードできる

6. ３つの基本理念
1. スタッフは個々の母親とその状況に注目する
こと
2. 施設は環境に配慮された家族中心のケアを提
供すること
3. 保健医療システムは産前、出産、産後ケア、
および退院後ケアを継続して行えるようにす
ること
2

7. １０のステップ
1. 母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべての保健医療ス
タッフに周知徹底しましょう。
2. この方針を実践するのに必要な知識と技能を、すべての関係する保健医
療スタッフにトレーニングしましょう。
3. 早産児または病的新生児を出産するかもしれない妊娠中のすべての女性
に母乳分泌の確立・維持方法と母乳育児の利点について情報提供しましょ
う
4. 産後早期からその後長期にわたって制限なく母親と赤ちゃんの肌と肌の
接触(カンガルー・マザー・ケア)が、正当な理由のある場合以外は制限
なくできるよう勧めましょう。
5. 母親に母乳分泌の確立と維持の方法を教え、赤ちゃんの状態が安定して
いることだけを唯一の基準として早期からの直接授乳を確立させましょ
う。
2

8. １０のステップ
6. 医学的に必要でないかぎり、赤ちゃんには母乳以外の栄養や水分を与
えないようにしましょう。
7. 母親と赤ちゃんが24 時間いっしょにいられるようにしましょう。
8. 赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけの授乳を勧めましょう。早産
児と病的新生児には、必要に応じて準自律授乳を移行の過程として勧
めましょう。
9. 少なくとも直接授乳が確立するまでは人工乳首以外の方法を用い、お
しゃぶりや ニップルシールドは正当な理由がある場合のみ使用するよ
うにしましょう。
10.両親が母乳育児を継続できるように支援し、退院後利用できる母乳育
児を支援するサービスやグループについて紹介しましょう。
2

9. Neo-BFHI
新生児病棟のための
赤ちゃんに
やさしい
病院運動
母乳育児を保護・推進・支援するための
３つの基本理念と10のステップ
推奨される標準と評価基準のためのコア・ドキュメント
基本理念 2：施設は環境に配慮した家族中心のケアを提供すること
文書の構成
• 「解説・根拠」「標準ケア」「実践の評価基準」が明記
• 具体的にどんな支援が行われることが必要かがわかる
• 評価基準で病棟の実践を評価 → 取り組むべき課題がみえる

10. ワーク(10分くらい)
• 自己査定ツールの一部を使って自分たちの実践をみてみよ
う！
• ５分でつけてみよう
• ５分で隣の人のシートと見比べてお話ししてみよう
• 自己査定ツールのシートは公式には未翻訳
• 基準自体は日本語版にも書いてある
• 「Neo-BFHI」でググる

11. 後半：日常スキル編
母乳分泌がよい状況にあるために必要なポイント
① 母乳を乳房の外により多く出す
• 適切な抱き方・吸着での直接授乳
• 適切な搾乳手技
• オキシトシン分泌を促す → 射乳反射
② 母乳を乳房の外に回数多く出す
時間がないので詳しくは・・・

12. NICUに入院した新生児
のための母乳育児支援ガ
イドライン(解説編)
• 2010年作成
• 内容は臨床ガイドラインという
よりも「実践ガイド」
• ある意味使いやすい
• BFHIの実践に準拠
• Neo-BFHIで情報を一部更新
する必要がある
• カンガルーマザーケアなど
• Mindsのホームページよりダウ
ンロードできる

13. 関連した？宣伝

14. コミュニケーション・スキル

15. ワーク
• ガイドラインのコミュニケーション例を読んでみよう！

16. 搾乳
• 搾乳器での搾乳で量が増えるわけではない
• 研究で確かめられているのは、時間が短い・手が疲れないか
も・ダブルポンプでプロラクチンの血中濃度が高くなるかも
社？増えるかも？ ということ
• 搾乳器メーカーの資金提供を受けた研究も多い
• 日本製の搾乳器はほぼまったくデータがない
• できるだけ生後早期：１時間以内 から始める
• これまで６時間以内というテキストが多いが、１時間以内に
始めることで、その後の搾乳量が増えたという小さな研究(ラ
ンダム化比較試験)があり、テキストは改訂されていく見込み

17. 手による搾乳
• 搾乳方法の説明をされておらず、自己流で搾乳して
いる人は意外と多い
• 乳房模型を使って説明し、母に自分でやってもらう

18. 搾乳器
• 日本で手に入る搾乳器でいわゆる高品質の搾乳
器とされているものは２社のみ
• 気づいたら別のものを入手していることがよく
ある 母の退院直前になる前から相談を

19. • ARDO CARUM
• 原田産業扱い
• Symphony
• メデラ社

20. おすすめムービー
• Global Health Media Projectより
• Small baby series
• Expressing the First Milk
• 注：搾乳風景出ます
• https://www.youtube.com/watch?
time_continue=413&v=85l3rpsjyC4

21. 直接授乳
• 抱き方：児が母と密着している・首がねじれていない(耳ー肩ー腰がまっすぐ並ぶ)
• 早産児・筋緊張の低い児では成熟するまで頭部をしっかり支えらえるような抱き方が吸
着しやすい
• カンガルーマザーケアのポジションから直接授乳に移行しやすい
• 乳房の先を鼻あたりに近づけて、児の口が大きく開いたタイミングで児を引き寄せる
• 赤ちゃんは自分で探して吸着する練習が必要である 穏やかに待つ 邪魔しない
• 早産児などの覚醒時間は短い 泣く前(State3-5)に授乳する 眠っているときは肌と肌の触
れあい
• 授乳の様子を記録する 決まったシートを使うと漏れがなく、他の人に伝わりやすい

22. 直接授乳

23. おすすめムービー
• Global Health Media Projectより
• Small baby series
• Breastfeeding the Small Baby
• 注：授乳風景出ます
• https://www.youtube.com/watch?v=8dENQ-6lVEs