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東京大学 公共健康医学専攻
京都府立医科大学 救急医療学教室
医療法人 双樹会 よしき往診クリニック
2020年3月16日 宮本 雄気
新型コロナウイルス感染症における
在宅診療・訪問看護・訪問介護について
〜いつ疑い、どのように予防・ケアするか〜
名前:宮本 雄気
経歴:
2012年 京都府立医科大学 卒業
2014年 京都府立医科大学 救急医療学教室
2017年 よしき往診クリニック 非常勤医師
2019年 東京大学 公共健康医学専攻
在宅診療と救急診療のよりよい協同を目指して活動中
この資料は
在宅診療・訪問看護・訪問介護などの
主に患者居宅で診療する医療従事者向けの
新型コロナウイルス感染症の対応案です。
在宅医療(特に居宅訪問)に携わる医師以外の
メディカルスタッフにも本邦や海外のエビデンスを
理解してもらった上で感染対策を行ってもらいたい
と考え、このスライドを作成しております。
• この資料は演者個人の見解であり、所属組織を代表するもの
ではありません。
• エビデンスに基づいた情報発信を心がけておりますが、
情報は日々変化する可能性があるため、必ず情報源を
確認しながらこの資料をお使いください。
• エビデンスに基づいた情報に関しても、結果だけを
鵜呑みにするのではなく、情報の解釈方法についても
説明しております。
• エビデンスだけでは判断できない部分に関しては「ご提案」
として皆様に情報提供を行っております。
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化して、どれくらいの人が死亡するのか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化して、どれくらいの人が死亡するのか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
X日 微熱、咳あるも外来診療・往診
X+1日 往診
X+2日 外来診療・往診
X+3日 往診
X+4日 発熱(37度台)・強い咳・倦怠感・食欲不振
X+5日 強い倦怠感と息切れにて、保健所に相談
帰国者・接触者外来である医療機関に入院
X+8日 検査により新型コロナウイルス陽性と判明
症状が悪化したため、ICU入室
患者を含めた延べ50人以上が濃厚接触扱い
架空の症例ですが、これに近い事象は起こっています。
想像してみてください。
知らず知らずのうちに新型コロナウイルス感染症に
罹患してしまい、基礎疾患を多く抱えた高齢者へ
次々と罹患させ、患者が状態悪化してしまったら…
在宅介入中の患者が新型コロナウイルス感染症に
罹患した可能性が否定できない時、あなたはどう
対応しますか?
自施設のスタッフが、もしくはその家族が新型コロナ
ウイルス感染症に罹患した時、適切な対応をとること
ができますか?
想像してみてください。
知らず知らずのうちに新型コロナウイルス感染症に
罹患してしまい、基礎疾患を多く抱えた高齢者へ
次々と罹患させ、患者が状態悪化してしまったら…
在宅介入中の患者が新型コロナウイルス感染症に
罹患した可能性が否定できない時、あなたはどう
対応しますか?
自施設のスタッフが、もしくはその家族が新型コロナ
ウイルス感染症に罹患した時、適切な対応をとること
ができますか?
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化して、どれくらいの人が死亡するのか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
SARS-CoV-2:ウイルス名
COVID-19:病名(世界での呼称)
新型コロナウイルス:ウイルス名(本邦での呼称)
新型コロナウイルス感染症:病名(本邦での呼称)
SARS-CoV2はコロナウイルスの一種
コロナウイルスは風邪の原因ウイルスの一種
【その他の風邪の原因ウイルスの例】
– ライノウイルス
– アデノウイルス
– RSウイルス
– パラインフルエンザウイルス
– インフルエンザウイルス など
1人の患者からどれくらい感染するのか?
新型コロナウイルス感染症:およそ2.3人
Lancet Infect Dis 2020 Mar 11.
N Engl J Med. 2020 Jan 29. PMID: 31995857
Int J Infect Dis. 2020;93:201-204
1人の患者からどれくらい感染するのか?
新型コロナウイルス感染症:およそ2.3人
Lancet Infect Dis 2020 Mar 11.
N Engl J Med. 2020 Jan 29. PMID: 31995857
Int J Infect Dis. 2020;93:201-204
対策次第で低下させることはできる!
外務省HP:https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
外務省HP:https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
外務省HP:https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
検査数が少なく、罹患者数は過少に
見積もられている可能性がある。
WHO日報(3月14日)より引用・改編:https://www.who.int/docs/default-source/
coronaviruse/situation-reports/20200314-sitrep-54-covid-19.pdf
国名 罹患者数(確定例) 死亡者数
中国(全土) 81021人 3194人
中国(湖北省) 67790人 3075人
イタリア 17660人 1268人
イラン 11364人 514人
スペイン 4231人 120人
フランス 3640人 79人
韓国 8086人 72人
アメリカ 1678人 41人
日本(DP号を除く) 716人 21人
合計 142539人 5393人
WHO日報(3月14日)より引用・改編:https://www.who.int/docs/default-source/
coronaviruse/situation-reports/20200314-sitrep-54-covid-19.pdf
国名 罹患者数(確定例) 死亡者数 致死率
中国(全土) 81021人 3194人 3.9%
中国(湖北省) 67790人 3075人 4.5%
イタリア 17660人 1268人 7.2%
イラン 11364人 514人 4.5%
スペイン 4231人 120人 2.8%
フランス 3640人 79人 2.2%
韓国 8086人 72人 3.9%
アメリカ 1678人 41人 0.9%
日本(DP号を除く) 716人 21人 2.9%
合計 142539人 5393人 3.8%
WHO日報(3月14日)より引用・改編:https://www.who.int/docs/default-source/
coronaviruse/situation-reports/20200314-sitrep-54-covid-19.pdf
国名 罹患者数(確定例) 死亡者数
中国(全土) 81021人 3194人
中国(湖北省) 67790人 3075人
イタリア 17660人 1268人
イラン 11364人 514人
スペイン 4231人 120人
フランス 3640人 79人
韓国 8086人 72人
アメリカ 1678人 41人
日本 716人 21人
合計 142539人 5393人
諸外国と比較して、日本の死亡者数は少ない
(日本も重症患者はPCR検査を施行しているので
この数値はある程度、信頼できる可能性がある)
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
資料①:中国 約44672人のデータ(武漢を含む)
JAMA 2020 Feb 24. [Epub ahead of print] PMID:32091533
【資料を読むときの注意点!】
資料①:中国 約44672人のデータ(武漢を含む)
a. 2月11日時点のデータである
b. 武漢や湖北省を含むデータについては
重症例ばかり拾い上げた可能性があり、
見かけ上の死亡率や重症率が高くなるかもしれない
(武漢では軽症例は検査・診察・診断してもらえていない可能性がある)
湖北省
(武漢を含む)
その他の州 その他の州湖北省
(武漢を含む)
死亡率(%)
10000人あたりの発生数
湖北省の死亡率・罹患率は圧倒的に高く
医療資源の不足などが影響している可能性がある
Lancet Global Health. 2020 Feb 25. [Epub ahead of print]
①中国 約44672人のデータ
年齢 確定例 死亡者数 致死率
全体 44672人 1023人 2.3%
0-9歳 416人 0人 0%
10-19歳 549人 1人 0.2%
20-29歳 3619人 7人 0.2%
30-39歳 7600人 18人 0.2%
40-49歳 8571人 38人 0.4%
50-59歳 10008人 130人 1.3%
60-69歳 8583人 309人 3.6%
70-79歳 3918人 312人 8.0%
80歳以上 1408人 208人 14.8%
全体の死亡率
2.3%
高齢者の死亡率
10%以上
若年者の死亡率
0.3%
①中国 約44672人のデータ
軽症
入院必須ではない状態
中等症
入院を強く推奨する状態
重症
ICU入室を検討する状態
36160人(81%) 6168人(14%) 2087人(4.7%)
軽症:肺炎がないか、あっても軽微なもの
中等症:48時間以内に呼吸数≥30回・SpO2 93%・P/F≤300・肺浸潤影≥50%
重症:上記に加え、呼吸不全・敗血症性ショック・多臓器不全
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
①国立国際感染症研究センターの症例報告(11例)
http://dcc.ncgm.go.jp/core/pdf/20200221_2.pdf (accessed 15 Mar 2020)
②武漢の入院患者に関する報告(138例)
Clinical Characteristics of 138 Hospitalized Patients With 2019 Novel Coronavirus–Infected Pneumonia in
Wuhan, China
JAMA 2020 [Epub ahead of print]
③武漢のICU入室症例に関する報告(52例)
Clinical course and outcomes of critically ill patients with SARS-CoV-2 pneumonia in Wuhan, China: a single-
centered, retrospective, observational study
Lancet Respir Med 2020 [Epub ahead of print]
④浙江省での入院患者に関する報告(62例)
Clinical findings in a group of patients infected with the 2019 novel coronavirus
(SARS-Cov-2) outside of Wuhan, China: retrospective case series
BMJ 2020; 368: m606
⑤武漢の入院患者に関する報告(41例)
Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China
Lancet. 2020; 395: 497-506
⑥中国全域からの症例集積(1099例)
Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in China.
N Engl J Med. 2020 [Epub ahead of print]
⑦国立感染症研究所の症例報告(112例)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/covid-19/9440-covid14-14.html (accessed 15 Mar 2020)
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
COVID-19患者はどのような
症状を訴えるのか?
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
COVID-19の初発症状について(資料④より)
症状 割合
咳嗽 81%
発熱(37.3度以上) 77%
喀痰 56%
倦怠感・筋肉痛 52%
発熱(38度以上) 42%
頭痛 34%
下痢 8%
血痰 3%
死亡率:0%
ICU入室:2%
ARDS発症:2%
日本の患者層に類似している
COVID-19の初発症状について(資料⑥より)
症状 割合
咳嗽 68%
発熱(37.5度以上) 44%
倦怠感 38%
喀痰 34%
発熱(38度以上) 21%
息切れ 19%
咽頭痛 14%
鼻汁 5%
死亡率:1.4% の患者群
入院時、初発症状に
「発熱」があった患者は
44%しかいない!
COVID-19の初発症状について(資料⑦より)
症状 割合
発熱(定義不明) 72%
肺炎 65%
咳嗽 62%
咽頭痛 34%
倦怠感 33%
鼻汁 27%
下痢 17%
関節痛・筋肉痛 7%
2月24日時点の日本のデータ
日本国籍 75例(67%)
頻度の高い初発症状について
1.咳嗽
2.発熱(37.5度以上)
3.喀痰
4.倦怠感・筋肉痛
頻度の高い初発症状について
1.咳嗽
2.発熱(37.5度以上)
3.喀痰
4.倦怠感・筋肉痛
普通の感冒症状と類似しており
症状だけでの確定診断は困難
頻度の高い初発症状について
1.咳嗽
2.発熱(37.5度以上)
3.喀痰
4.倦怠感・筋肉痛
発熱は必須症状ではない!(40%-80%のみ)
発熱がないからと言って新型コロナウイルス感染症を
完全に否定してはいけない!
COVID-19の症状について(資料③より)
症状 割合
発熱 98%
咳嗽 77%
呼吸苦 63.5%
倦怠感 35%
筋肉痛 11.5%
鼻汁 6%
頭痛 6%
ICU入室症例だけに絞っている
ARDS:67%
死亡率:62%
11%の患者は
他の症状を自覚してから8日目まで
発熱がなかった!
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
資料①より
重篤な症例は11例中2例
それぞれ、発症(※)から9日後・11日後に気管挿管されている
(※発症とは “PCR陽性 もしくは症状が出た日”のこと)
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
資料②:発症からICU入室までの期間の中央値は10日
資料③:発症からICU入室までの期間の中央値は9.5日
資料⑤:発症からICU入室までの期間の中央値は10.5日
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
発症からICU入室に相当する悪化は10日前後
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
資料②:発症から入院までの期間の中央値は7.0日
資料④:発症から入院までの期間の中央値は2.0日
資料⑤:発症から入院までの期間の中央値は7.0日
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
発症から入院の期間に関しては検査体制や
リソースの問題があり一概には言えない
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
個人的解釈になるが
発症から入院が絶対必要なくらい悪化するまでの期間が7日間
と考えるのがよいのではないか
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
Lancet 2020; 395: 497–506
N Engl J Med 2020 [Epub ahead of print] PMID:32074444
軽症の場合
発症 軽快
通常の風邪が長引く
発症7日目
感染力は14日くらいまでありそう
最重症の場合
発症 入院が必要な
くらい悪化
通常の風邪が長引く
発症7日目 10日目
ICU入室
場合によっては
体外循環など
最重症例の場合、高齢者の死亡率は極めて高い
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
今までの基礎知識をもとに、実際の在宅診療における
新型コロナウイルス感染症診療の方針を考えます。
しかし、病院のように豊富なリソースや環境を追求
できないので現実的な対応についても考えていきたい
と思います。
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
流行のピークを下げて、一人でも多くの新型コロナウイルス
感染症患者に適切な医療資源を提供できるようにする
流行のピークを遅らせて、病院での受け入れ体制を整備する
(待機手術の延期・外来診療の縮小・専用病棟の確保)
在宅診療における新型コロナウイルス感染症の特徴
1. 限られたリソースで活動する必要がある
2. 罹患した患者は極めて重篤化しやすい
(高齢・基礎疾患などを抱えている)
3. 疫学的リンクが追いやすい
(在宅患者は外出をほとんどしない)
在宅診療における新型コロナウイルス感染症の原則
1. 医療者・介護者が新型コロナウイルス感染症に
かからない・持ち込まない
2. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者を
早期に同定する
3. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者に
適切なケアを提供できる
在宅患者を新型コロナウイルス感染症に罹患させない
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
在宅患者は疫学的リンクが追いやすい!
• 医療者からの感染
• 家族からの感染
• デイサービス/ショートステイからの感染
逆に在宅ケアに関わる医療者などが罹患した場合は
最悪の事態を引き起こしかねない!
1. コミュニティ内に新型コロナウイルス感染者がおり、
その後に発熱・呼吸苦・咳嗽などが出現した
2. 気道症状がコミュニティ内で集団発生している
– 同じ医師/看護師がみた患者が同様の肺炎になった
– 家族内で感冒症状が発生した
– デイサービス内で感冒患者が集団発生した
3. 明らかな原因が不明の感冒症状がある場合
(発熱は必須ではない!)
2. 肺炎/発熱がコミュニティ内で集団発生している
– 同じ医師/看護師がみた患者が同様の肺炎になった
– 家族内で肺炎症状が発生した
– デイサービス内で発熱患者が集団発生した
明らかな原因が不明な気道症状の場合は必ず問診を!
「デイサービス内で風邪が流行っていませんか?」
「家族内で風邪症状の人はいませんか?」
COVID-19の初発症状について(資料⑥より)
症状 割合
咳嗽 68%
発熱(37.5度以上) 44%
倦怠感 38%
喀痰 34%
発熱(38度以上) 21%
息切れ 19%
咽頭痛 14%
鼻汁 5%
死亡率:1.4% の患者群
入院時、初発症状に
「発熱」があった患者は
44%しかいない!
1. コミュニティ内に新型コロナウイルス感染者がおり、
その後に発熱・呼吸苦・咳嗽などが出現した
2. 感冒症状がコミュニティ内で集団発生している
– 同じ医師/看護師がみた患者が感冒症状に罹患した
– 家族内で感冒症状が発生している
– デイサービス内で感冒症状を有する患者が発生した
3. 明らかな原因が不明の感冒症状がある場合
(発熱は必須ではない!)
1. コミュニティ内に新型コロナウイルス感染者がおり、
その後に発熱・呼吸苦・咳嗽などが出現した
2. 感冒症状がコミュニティ内で集団発生している
– 同じ医師/看護師がみた患者が同様の肺炎になった
– 家族内で肺炎症状が発生した
– デイサービス内で発熱患者が集団発生した
3. 明らかな原因が不明の感冒症状がある場合
(発熱は必須ではない!)
検査にも限界があり、他者への曝露リスクも上がるので
可能な限り問診と経過から考えていく!
・誤嚥のエピソードがない肺炎
・接触者に「風邪症状」(上気道炎)の患者がいたか
・急性上気道炎の病歴にも関わらず、発症7-10日目にかけて
呼吸状態が急激に悪化していく
・適切な抗菌薬使用にも関わらず、発症7-10日目にかけて
呼吸状態が急激に悪化していく
 発熱はありますか?
 呼吸苦はありますか?
 咳・痰はありますか?
 強い倦怠感はありますか?
 筋肉痛はありますか?
 その他、腹痛や嘔吐・下痢などはありますか?
 最初に症状が出て何日くらい経過していますか?
 家族や最近家に来た人で風邪症状の人はいませんでしたか?
 デイサービスなどに風邪症状の人はいませんでしたか?
上記の問診にてCOVID-19感染を疑う場合は速やかに医師へ相談する
(強い呼吸苦など生命の危険がある場合は
帰国者・接触者センターへの連絡や救急搬送を指示する)
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
在宅診療における新型コロナウイルス感染症の原則
1. 医療者・介護者が新型コロナウイルス感染症に
かからない・持ち込まない
2. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者を
早期に同定する
3. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者に
適切なケアを提供できる
在宅患者を新型コロナウイルス感染症に罹患させない
問診や経過で新型コロナウイルス感染症の
可能性がある場合
1. 最も大事なことは「自分達の身を守る」こと
2. 患者や家族に十分に説明した上で、医療者は
正しい感染予防策を行う
3. 介護者・家族にも感染予防策を行ってもらう
問診や経過で新型コロナウイルス感染症の
可能性がある場合
1. 最も大事なことは「自分達の身を守る」こと
2. 患者や家族に十分に説明した上で、医療者は
正しい感染予防策を行う
3. 介護者・家族にも感染予防策を行ってもらう
米国CDCのガイドラインでは
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は陰圧個室で対応
3. その患者専用の医療機器を使用する
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+空気感染対策+
目の保護を行う
– 接触予防策:手袋・長袖ガウン
– 空気感染対策:可能であればN95マスク
– 目の保護:フェイスシールドやゴーグル
5. 喀痰誘発や閉鎖回路を用いない吸引は可能であれば
回避する
6. 検体採取時、部屋には患者と医師だけにする
米国CDCのガイドラインでは
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は陰圧個室で対応
3. その患者専用の医療機器を使用する
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+空気感染対策+目
の保護を行う
– 接触予防策:手袋・長袖ガウン
– 空気感染対策:N95マスク
– 目の保護:フェイスシールドやゴーグル
5. 喀痰誘発や閉鎖回路を用いない吸引は可能であれば
回避する
6. 検体採取時、部屋には患者と医師だけにする
在宅医療において、CDCガイドラインの遵守は
不可能に近い
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
理想:陰圧個室で管理
現実:陰圧個室は用意できない
対応策:疑い症例は個室で十分に換気する
MMWR Recommendations and reports 1994; 43: RR-13.
どれくらい、何分間換気すれば良いのか?
MMWR Recommendations and reports 1994; 43: RR-13.
1時間の換気回数 浮遊菌を90%除去 浮遊菌を99%除去 浮遊菌を99.9%除去
1時間に6回換気
23分
10分に1回
1回4分の換気
46分
ほぼずっと換気
69分
ずっと換気
1時間に12回換気
12分
5分に1回
1回1分の換気
23分
3分に1回
1回1分の換気
35分
2分に1回
1回1分の換気
どれくらい、何分間換気すれば良いのか?
MMWR Recommendations and reports 1994; 43: RR-13.
1時間の換気回数 浮遊菌を90%除去 浮遊菌を99%除去 浮遊菌を99.9%除去
1時間に6回換気 23分
10分に1回
1回4分の換気
46分
ほぼずっと換気
69分
ずっと換気
1時間に12回換気
12分
5分に1回
1回1分の換気
23分
3分に1回
1回1分の換気
35分
2分に1回
1回1分の換気
5分に1回・1回1分の換気で理論上、
90%の空気が入れ替わる
どれくらい、何分間換気すれば良いのか?
MMWR Recommendations and reports 1994; 43: RR-13.
1時間の換気回数 浮遊菌を90%除去 浮遊菌を99%除去 浮遊菌を99.9%除去
1時間に6回換気 23分
10分に1回
1回4分の換気
46分
ほぼずっと換気
69分
ずっと換気
1時間に12回換気
12分
5分に1回
1回1分の換気
23分
3分に1回
1回1分の換気
35分
2分に1回
1回1分の換気
訪問前からこまめな換気をしてもらう
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
理想:その患者専用の医療機器を使用する
現実:疑い患者の数だけの医療機器は用意できない
解決策:疑い患者を診察した後は医療機器を念入りに
洗浄または消毒する
• アルコールで十分に拭く
• 汚れを落とした上で0.02~0.1%次亜塩素酸に30分浸漬する
(次亜塩素酸での拭き取りも可)
CDC:Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities, 2008.
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
医師・看護師だけでなく、介護職やケアマネジャー
など、すべての訪問者が注意する!
理想:個人防護用具(Personal Protective
Equipment:PPE)のきれいな着脱ができる
現実:PPEの正しい脱着方法を知らない
解決策:PPEの正しい脱着方法を勉強する
理想:個人防護用具(Personal Protective
Equipment:PPE)のきれいな着脱ができる
現実:PPEの正しい脱着方法を知らない
解決策:PPEの正しい脱着方法を勉強する
参考:職業感染制御研究会のHP
(http://jrgoicp.umin.ac.jp)
理想:患者は個室から動いていなくても、
家人が周辺環境にウイルスを付着させている
可能性を考え、玄関や部屋の前でPPEを着脱
現実:患者・家族が驚き、不快感を示す
解決策:疑い患者の往診へ赴く場合は
接触予防策とその方法について予め電話で
丁寧に説明しておく
理想:患者は個室から動いていなくても、
家人が周辺環境にウイルスを付着させている
可能性を考え、玄関や部屋の前でPPEを着脱
現実:患者・家族が驚き、不快感を示す
解決策:疑い患者の往診へ赴く場合は
接触予防策とその方法について予め電話で
丁寧に説明しておく
1. 事前に手指衛生を行う
2. 周囲の環境に触れないようにPPEの着脱を行う
3. 退出後に再度しっかり手指衛生を行う
最後の手指衛生が完了するまでは、
自分の「首から上」を触らないように努める
国立国際医療研究センターの指針
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は個室で十分に換気する
3. その患者専用の医療機器を使用する(接触予防策)
4. 疑い症例では医療者が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+
空気感染対策+目の保護を行う
6. 患者の移動は最小限にする
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクが手に入らない
災害時などはヒト・モノなどの資源が不足する
ただでさえ、在宅医療は限られたリソースで
診療しなければならないにも関わらず、
さらに物資が不足している状況
物資の不足でN95マスクやアイシールドが
購入できない時は…?
→→→災害発生と認識せよ!
物資の不足でN95マスクやアイシールドが
購入できない時は…?
→→→災害発生と認識せよ!
災害時 安全確保の3原則
Self(自身を守る)
Scene(現場の安全確保)
Survivor(傷病者の救助)
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクが手に入らない
解決策:問診・診察のみでCOVID-19を疑ったが
適切な感染防御が行えない場合、インフルエンザ検査
や気道検体採取を含めた、エアロゾルが発生しうる
処置は行わず、帰国者・接触者センターに相談する。
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクが手に入らない
解決策:問診・診察のみでCOVID-19を疑ったが
適切な感染防御が行えない場合、インフルエンザ検査
や気道検体採取を含めた、エアロゾルが発生しうる
処置は行わず、帰国者・接触者センターに相談する。
病院の負担を減らすことが重要ではあるが、
「医療者の感染や感染拡大に寄与しないこと」が
最優先である以上、やむを得ず検査なしで
高次医療機関への搬送を考慮するしかない
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクが手に入らない
解決策:問診・診察のみでCOVID-19を疑ったが
適切な感染防御が行えない場合、インフルエンザ検査
や気道検体採取を含めた、エアロゾルが発生しうる
処置は行わず、帰国者・接触者センターに相談する。
インフルエンザ検査はインフルエンザが
絶対に診断・除外できるわけではない
臨床症状で疑えば抗インフルエンザ薬の投薬は可能
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクが手に入らない
解決策:問診・診察のみでCOVID-19を疑ったが
適切な感染防御が行えない場合、インフルエンザ検査
や気道検体採取を含めた、エアロゾルが発生しうる
処置は行わず、帰国者・接触者センターに相談する。
現時点では新型コロナウイルス感染症のPCR検査は
帰国者・接触者外来を有する医療機関のみ可能
PCR検査「陰性」でも新型コロナウイルス感染症は
否定できるわけではないため予防策は継続するべき
理想:新型コロナウイルス感染症の否定のため、
N95マスクを含めたPPE着用のもと、
インフルエンザ検査や気道検体採取を行った
現実:N95マスクだけでなく、エプロンやサージカル
マスク・手袋・アイシールドも枯渇している
解決策:できるだけ入手努力を行うべきではあるが、
入手できない場合は、代替品の使用を考慮する
沖縄県立中部病院・厚生労働省 高山義浩氏の資料を参照・改編
物品が枯渇した場合の代用方法の一案
サージカルマスク
布マスクなどで代用する。
鼻まで覆うことができるよう工夫する。
防御機能は低下しているためできるだけ
サージカルマスクを入手すること。
手袋
ケア直後の入念な手洗いで感染防御可能。
処置後に自身の「首から上」に触れないこと。
使い捨てエプロン
ゴミ袋の底に1ヶ所と側面の2ヶ所に穴を開け、
レインコートのようにかぶることで代用する。
使い捨てアイシールド
四方が囲まれている透明なゴーグルを入手する。
どうしても入手できない場合は、アクリル板などを
適当なサイズに切ってメガネに貼り付ける。
ただし上方からの飛沫侵入を防ぐよう工夫する。
1. 疑った時点で患者にマスクを装着してもらう
2. 疑い症例は事前に十分な換気を依頼する
3. 疑い患者に医療機器を使用したあとは十分消毒する
4. 疑い症例では医療者全員が接触予防策+飛沫予防策+
目の保護を行う
– PPE着脱の訓練を行う
– 疑い患者への訪問時は患者・家族への十分な説明を行う
5. 気道吸引や気管内挿管、検体採取時は接触予防策+空気
感染対策+目の保護を行う
– 今一度、検体採取の必要性を考える必要あり
– どうしても物品がなければ代替品を使用することも考慮
6. 患者の移動は最小限にする
問診や経過で新型コロナウイルス感染症の
可能性がある場合
1. 最も大事なことは「自分達の身を守る」こと
2. 患者や家族に十分に説明した上で、医療者は
正しい感染予防策を行う
3. 介護者・家族にも感染予防策を行ってもらう
• 患者と家族の部屋を分ける
• 介護者は(介護疲れのない範囲で)できるだけ限定する
• タオルなど、顔に触れるものを共用しない
• 患者の入浴は控えるか、入浴する場合は最後にする
• 患者が部屋から出る場合はマスクを付ける
• 部屋を出た直後に手指衛生を行う(首から上を触らない)
• 患者が触った場所をアルコールを浸した紙で消毒する
(手袋着用のこと。次亜塩素酸でも代用可)
• 衣類やシーツは手袋・マスク着用の上で取り扱うこと
• 患者の出すゴミは口を縛って密閉してから外に出すこと
日本プライマリ・ケア連合学会 新型コロナウイルス感染症 診療所・病院のプライマリケア初期診療の手引き
参考資料:米国CDCのガイドライン
資料①:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-
ncov/hcp/guidance-home-care.html
資料②:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-
ncov/hcp/guidance-for-ems.html
資料③:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-
nCoV/hcp/infection-control.html
資料④:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-
ncov/hcp/guidance-risk-assesment-hcp.html
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
4. ハイリスクな患者を抱えている家族は不要不急の
外出や人混みを避けるよう指導する
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
4. ハイリスクな患者を抱えている家族は不要不急の
外出や人混みを避けるよう指導する
米国CDC ガイドライン
「曝露の可能性がある医療従事者の評価と管理」
1日2回のセルフモニタリングを行うよう推奨
– 体温測定
– 呼吸器症状(咳・息切れ・咽頭痛)の有無
米国CDC ガイドライン
「曝露の可能性がある医療従事者の評価と管理」
1日2回のセルフモニタリングを行うよう推奨
– 体温測定
– 呼吸器症状(咳・息切れ・咽頭痛)の有無
モニタリング結果をスタッフ同士で確認すれば、
より確実性が増すと考えられる
(例:朝夕の申し送り前にその場で検温を行い、
呼吸器症状がないか相互チェックする)
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
4. ハイリスクな患者を抱えている家族は不要不急の
外出や人混みを避けるよう指導する
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
状態が安定している患者に限り、訪問頻度の変更を提案する
(訪問診療なら月2回→月1回 など)
訪問頻度が減ることに対し不安を感じる患者へは
代替案として電話診察やオンライン診療を提示する。
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
4. ハイリスクな患者を抱えている家族は不要不急の
外出や人混みを避けるよう指導する
1. 医療者のセルフモニタリングを行う
2. 状態の安定している患者に対して訪問頻度を減らす
などの協力を依頼する
3. 電話での問診・フォローアップの活用について
理解・協力を依頼する
4. ハイリスクな患者を抱えている家族は不要不急の
外出や人混みを避けるよう指導する
発熱+呼吸器症状を訴える患者の往診依頼に関しては
電話による問診で十分に疾患を絞りこみ、
COVID-19が疑われる場合は、PPEの必要性についても
説明し、理解してもらってから往診する
 発熱はありますか?
 呼吸苦はありますか?
 咳・痰はありますか?
 強い倦怠感はありますか?
 筋肉痛はありますか?
 その他、腹痛や嘔吐・下痢などはありますか?
 最初に症状が出て何日くらい経過していますか?
 家族や最近家に来た人で風邪症状の人はいませんでしたか?
 デイサービスなどに風邪症状の人はいませんでしたか?
COVID-19感染を疑う場合は以下の対応を行い往診することを伝える。
(強い呼吸苦など生命の危険がある場合は救急搬送を指示する)
1. 患者にサージカルマスク装着をしてもらう
2. 部屋の換気をしてもらう
3. 部屋に入る前からPPEの装着を行う必要性を説明し許可を得る
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
感染リスクを計算するときの要素
1. 患者の要因
(マスク装着の有無・咳やくしゃみ・エアロゾルを発生させる手技など)
2. 患者との距離
3. 患者との接触時間
4. 医療者の感染防御
1. 接触者の曝露リスクを評価する
2.リスクに応じて対応を決定する
–高〜中等度リスク
–低リスク
–リスクなし
高〜中等度リスク
1. フェイスシールド・マスク・ガウン・手袋を装着せずに
気道分泌物やエアロゾルに強い曝露を受けた
(心肺蘇生・吸引手技・挿管・抜管・気管支鏡など)
2. 医療者がマスクをせず患者と2m以内の距離で長時間
(2分以上)接触した
3. 患者の排泄物や体液に手袋無しで接触してしまったが
即座に消毒ができなかった
(血液・便・吐物・尿も現時点では感染リスクとして考える)
高〜中等度リスク
1. フェイスシールド・マスク・ガウン・手袋を装着せずに
気道分泌物やエアロゾルに強い曝露を受けた
(心肺蘇生・吸引手技・挿管・抜管・気管支鏡など)
2. 医療者がマスクをせず患者と2m以内の距離で長時間
(2分以上)接触した
3. 患者の排泄物や体液に手袋無しで接触してしまったが
即座に消毒ができなかった
(血液・便・吐物・尿も現時点では感染リスクとして考える)
最終曝露から14日間は出勤停止し、自宅で待機する
積極的な症状のモニタリングを行う
低リスク
1. 医療者・患者ともにマスクだけはしていたが、2m以内の
距離で2分以上接触してしまった
2. 医療者が完全なPPEを装着せずに、患者(マスク着用の
有無は問わない)と短い時間(2分以内)だけ接触した
3. 十分なPPEを装着し、患者のケアに当たったり、患者の
排泄物や体液に接触した
(PPEを装着しても気付かない間に暴露した可能性があるため)
低リスク
1. 医療者・患者ともにマスクだけはしていたが、2m以内の
距離で2分以上接触してしまった
2. 医療者が完全なPPEを装着せずに、患者(マスク着用の
有無は問わない)と短い時間(2分以内)だけ接触した
3. 十分なPPEを装着し、患者のケアに当たったり、患者の
排泄物や体液に接触した
(PPEを装着しても気付かない間に暴露した可能性があるため)
自宅待機・出勤停止は不要
1日2回、セルフモニタリングを行う
リスクなし
1. 患者とすれ違っただけ
(咳・くしゃみなどが医療者にかかっていない場合)
2. 患者と直接接触していない場合
3. 患者の体液や排泄物に触れておらず、患者の部屋にも
入っていない場合
リスクなし
1. 患者とすれ違っただけ
(咳・くしゃみなどが医療者にかかっていない場合)
2. 患者と直接接触していない場合
3. 患者の体液や排泄物に触れておらず、患者の部屋にも
入っていない場合
自宅待機・出勤停止は不要 セルフモニタリングも不要
(でも医療者ならセルフモニタリングは行いましょう)
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
在宅診療における新型コロナウイルス感染症の原則
1. 医療者・介護者が新型コロナウイルス感染症に
かからない・持ち込まない
2. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者を
早期に同定する
3. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者に
適切なケアを提供できる
在宅患者を新型コロナウイルス感染症に罹患させない
在宅診療における新型コロナウイルス感染症の原則
1. 医療者・介護者が新型コロナウイルス感染症に
かからない・持ち込まない
2. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者を
早期に同定する
3. 新型コロナウイルス感染症の可能性がある患者に
適切なケアを提供できる
在宅患者を新型コロナウイルス感染症に罹患させない
少しでも新型コロナウイルス感染症を疑ったら
自宅療養を行いましょう!
COVID-19の初発症状について(資料⑥より)
症状 割合
咳嗽 68%
発熱(37.5度以上) 44%
倦怠感 38%
喀痰 34%
発熱(38度以上) 21%
息切れ 19%
咽頭痛 14%
鼻汁 5%
死亡率:1.4% の患者群
入院時、初発症状に
「発熱」があった患者は
44%しかいない!
X日 微熱、咳あるも外来診療・往診
X+1日 往診
X+2日 外来診療・往診
X+3日 往診
X+4日 発熱(37度台)・強い咳・倦怠感・食欲不振
X+5日 強い倦怠感と息切れにて、保健所に相談
帰国者・接触者外来である医療機関に入院
X+8日 検査により新型コロナウイルス陽性と判明
症状が悪化したため、ICU入室
患者を含めた延べ50人以上が濃厚接触扱い
架空の症例ですが、これに近い事象は起こっています。
X日 微熱、咳あるも外来診療・往診
X+1日 往診
X+2日 外来診療・往診
X+3日 往診
X+4日 発熱(37度台)・強い咳・倦怠感・食欲不振
X+5日 強い倦怠感と息切れにて、保健所に相談
帰国者・接触者外来である医療機関に入院
X+8日 検査により新型コロナウイルス陽性と判明
症状が悪化したため、ICU入室
患者を含めた延べ50人以上が濃厚接触扱い
架空の症例ですが、これに近い事象は起こっています。
少しでも新型コロナウイルス感染症を疑ったら
絶対に自宅療養を行いましょう!
日常的な業務量を少し減らし、スタッフが1人休んでも何とか
維持できるシステムを構築する
無理に出勤し、感染拡大の一端を担ってしまった場合、
医療機関はさらなる被害を被るとスタッフ全員が意識する
自宅療養で最も重要な「生活面」を支える介護職が今後不足
していく可能性があるため、介護職の負担が大きい場合は
他の職種がカバーできるように努めていく
スタッフの家族が新型コロナウイルス感染症に
罹患した場合、高〜中等度リスクに相当すると判断し、
当該スタッフは最終曝露から14日間は出勤停止とする。
スタッフの家族が新型コロナウイルス感染症に
罹患した場合、高〜中等度リスクに相当すると判断し、
当該スタッフは最終曝露から14日間は出勤停止とする。
・罹患者以外(ペット含む)を別の部屋で生活させる
・トイレや入浴も別の場所を使用することが望ましい
・可能であれば家庭内でも接触+飛沫予防策を行う
・最終曝露から14日間、もしくは医師の許可があるまでは
スタッフは出勤しない
【はじめに】
【基礎知識編】
1. 新型コロナウイルス感染症とは?
2. どれくらい重症化し、どれくらいの人が死亡するか?
3. 一般的な臨床経過について
【診療編】
1. どのような時に疑うか?
2. 疑ったらどうすればよいのか?
3. 予防策をどこまで行うか?
4. スタッフが感染患者と接触した場合、どうするべきか?
5. スタッフが罹患した可能性がある場合、どうするべきか?
患者や家族も、新型コロナウイルス感染症に対する不安を
持っていると思います。
事前に新型コロナウイルス感染症に関する情報提供や、自施設
での新型コロナウイルス感染症への対策を明示することで
患者に安心して医療を受けていただいたり、診療への協力を
要請したりすることができます。
万が一、自施設のスタッフが新型コロナウイルス感染症に罹患
しても被害を最小限に食い止めることができ、患者・家族の
不安も最小限に抑えることができます。
在宅医療においては特に医療者やケアに従事する人が
感染拡大に寄与しないように注意が必要である
怖がらずにCOVID-19を診療できるようになるには、
エビデンスやガイドラインに基づいた対策を行う必要がある
スタッフがお互いに発熱や症状のモニタリングをすることで
医療従事者の感染の早期発見につなげる
在宅医療でもPPEの装着を含めた、適切な感染防御を行う
必要があり、事前に患者・家族への説明を行うべき
診断には病歴が最重要であり、中でも感冒症状の集団発生に
は十分配慮して問診を行う

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Hinweis der Redaktion

  1. まずは新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方、そのご家族様につきまして、心からお悔やみ申し上げます。 また、現在も病院などで闘病中の方に、心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い回復をお祈りしております。 さらに、各医療機関などで新型コロナウイルス感染症診療の最前線に立たれている方にも感謝申し上げます。 今回は、「在宅診療・訪問看護・訪問介護における新型コロナウイルス感染症のケアの注意点について」
  2. この資料は在宅診療・訪問看護・訪問介護などの、主に患者居宅で診療する医療従事者向けの、新型コロナウイルス感染症の対応案です。 在宅医療(特に居宅訪問)に携わる医師以外のメディカルスタッフにも本邦や海外のエビデンスを理解してもらった上で感染対策を行ってもらいたいと考え、このスライドを作成しております。 訪問診療を主体としておりますので、画像所見や検査所見についてはあまり言及しておりません。ご了承いただければと思います。
  3. この資料は演者個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。 エビデンスに基づいた情報発信を心がけておりますが、 新型コロナウイルス感染症は新しい疾患であり、データはまだ不十分です。 情報は日々変化する可能性があるため、必ず情報源を確認しながらこの資料をお使いください。 エビデンスに基づいた情報に関しても、結果だけを鵜呑みにするのではなく、情報の解釈方法についても説明しております。 エビデンスだけでは判断できない部分に関しては「ご提案」として皆様に情報提供を行っております。
  4. 想像してみてください。 知らず知らずのうちに新型コロナウイルス感染症に 罹患してしまい、基礎疾患を多く抱えた高齢者へ 次々と罹患させ、患者が状態悪化してしまったら… 在宅介入中の患者が新型コロナウイルス感染症に 罹患した可能性が否定できない時、あなたはどう 対応しますか? 自施設のスタッフが、もしくはその家族が新型コロナウイルス感染症に罹患した時、適切な対応をとることができますか?
  5. 適切な知識を得て 適切に怖がり 適切に対応できるようにしましょう!
  6. さて、具体的な診療に入る前に、 新型コロナウイルス感染症についての基礎知識を得ることが重要です。
  7. 「新型コロナウイルス感染症」とか「COVID-19」とか様々な名称を聞くと思いますが、今一度整理しておきます。 SARS-COV2がウイルスの名前、そしてCOVID-19が病名になります。 日本では法令上、ウイルスの名前を新型コロナウイルス 病名を新型コロナウイルス感染症と命名しております。
  8. このコロナウイルスは風邪のウイルスの一種です。 以下のような数ある原因ウイルスのひとつなんですね。
  9. 1人の患者からどれくらい感染するのか?これを基本再生産数という疑問に関してですが、 環境によって大きく異なることがわかっています。 例えば中国では1月16日時点で2.3だった再生産数が 1月31日時点では1.05まで低下しております。 ちなみにDP号の再生算数は2.3前後とされており、多くの文献で2.2〜2.3と指摘されています。
  10. つまり、努力次第で、基本再生産数は低下させることができるというわけです。
  11. ここで各国の罹患者数の推移を見ていきましょう。 中国が80000人と群を抜いており、続いてイタリア・イラン・韓国の順です。
  12. もう少し拡大した図ですが その後、スペイン・フランス・ドイツ・アメリカと続きます。 日本はかなり少ないですが、これは検査数が少ないからという指摘が諸外国からもなされています。
  13. 一方死亡者数で見てみると、以下のような順番になっております。 こちらはWHOの日報から私がわかりやすく改変したものです。
  14. 参考までに死亡者数を確定例で割った数を致死率として、算出したものです。
  15. この表をみると、日本での死亡者数は圧倒的に少なく、 こちらの数値はある一定の信頼がおけるのではないかと考えております。
  16. こちらは
  17. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  18. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  19. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  20. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  21. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  22. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  23. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人
  24. 慣れれば1-2分で終わります。
  25. ICU入室率 1/62人(ARDSも同じ率) 死亡は0人