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使う人の体験を時間軸で考えよう〜UXデザインの視点を取り入れる
- 1. Copyright © Masaya Ando
安藤 昌也
masaya.ando@it-chiba.ac.jp
千葉工業大学 知能メディア工学科
Chiba Institute of Technology Department of Advanced Media
使う人の体験を時間軸で考えよう
∼UXデザインの視点を取り入れる
2022年6月4日
- 2. Copyright © Masaya Ando
安 藤 昌 也
千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科 教授
早 稲 田 大 学 政 治 経 済 学 部 経 済 学 科 卒 業 。
NTTデータ通信(現、NTTデータ)、経営コンサ
ルティング会社取締役、早稲田大学、国立情報学
研究所、産業技術大学院大学など経て、2011年千
葉工業大学工学部准教授、2015年教授。2016年
より現職。博士(学術) .
専門は、人間中心デザイン。UX(ユーザ体験)
の研究者。人間工学ISOの国内対策委員等を務める。
認定人間中心設計専門家 / 認定専門社会調査士
- 6. Copyright © Masaya Ando
UXD
user experience design
ユーザーがうれしいと感じる体験となるように
製品やサービスを企画の段階から
理想のユーザー体験(UX)を目標として
デザインしていく
取組み方とその方法論
- 10. Copyright © Masaya Ando
消費者は 体験 を買っている
n バルミューダのWebサイトと他社のサイトを比較すると、
体験価値をいかに伝達するかに注力しているかに気づく。
美味しく炊ける機能は必要だが
それによってユーザーは美味しい食事のある生活価値を求めている
- 12. Copyright © Masaya Ando
ユーザー体験(UX)とは?
n ユーザー体験は、製品やサービスを実際の利用状況(利用文
脈)の中で利用する際の、ユーザーの中に生じるもの。
利用文脈
ユーザー体験
(体験価値) ユーザーと製品との関わり
ユ
ー
ザ
ー
ユーザビリティ
利用品質
製品
サー
ビス
( 『UXデザインの教科書』 p.49)
モノ側
ヒト側
- 13. Copyright © Masaya Ando
UXの期間モデル
n UXは、時間の観点捉えることが重要。ユーザーは、それぞ
れ、異なる評価基準で体験を評価する。
(出所:2011年2月:User Experience White Paper, HCD Value: “UX白書の翻訳と概要”資料)
瞬間的UX
( 『UXデザインの教科書』 p.54)
- 15. Copyright © Masaya Ando
“体験”そのものは
ユーザーの個人的なもの
産業デザインとしてのUXデザインとサービスデザイン
UXD
UX
どんな“体験”をしてもらうか
計画すること
体験が量産・再生産される
製品・サービスと仕組みを作ること
UXD
サービス提供体の品質を維持する
全体的・組織的を計画すること
SD
( 『UXデザインの教科書』 p.40)
- 17. Copyright © Masaya Ando
UXデザインを軸としたイノベーション
n UXを考慮したアプリケーションが、イノベーションへと繋
がるビジネス展開のコアとなる事例も増えている。
「JapanTaxi (全国タクシー)」(2011~2021)の例
(2021〜タクシーアプリ 「GO」)
ユーザーの体験価値の探索
価値を実現するアプリの制作
いわゆる通常の
体験価値を軸としたUXDの範囲
提携事業者の拡大努力
・累積1000万ダウンロード
・47都道府県全国10万台
(全国シェア約45%)
UXDを軸としたビジネス展開
プロダクトのUXデザインだけで、利益を
考えようとすると結局失敗するのは確実
総合的なビジネス展開の主軸としてUX
デザインを置くことが重要
2020/8時点
(画像出所:Japan Taxi Webサイト)
17
- 19. Copyright © Masaya Ando
他社サービスとの比較
n 同業他社のプロモーションと比較することで気づくことはな
いだろうか。
MOV (DeNA)
※Japan taxiと経営統合
• ホントに乗りたい時ほど、乗れない。そんなタ
クシーライフを変えよう。
• 乗りたいあなたと乗せたいタクシーをテクノロ
ジーでつなぐ、リアルタイムマッチングで最寄
りのタクシーがすぐにお出迎え。
• 乗りたいときに、確かに、つかまる。
S.RIDE (みんなのタクシー)
• ワンアクションですぐ呼べるタクシーアプリ。
• 東京の日常は忙しい。だから、移動はもっと簡
単にしたい。S.RIDEはそんな忙しい人のための
タクシーアプリ。ワンスライドでタクシーを呼
んで、東京最大級のネットワークから1番近くの
車両をすぐ配車。
• 決済もキャッシュレスでスピーディに。
- 20. Copyright © Masaya Ando
UXの期間モデルで考察してみよう
n 体験のどの期間(範囲)に注目してアピールしているだろう?
瞬間的UX
Japan Taxi
旅先でも、知らない
ところでも呼べる
MOV
乗りたい時に、
確かに、つかまる
S.RIDE
ワンアクションで
すぐに呼べる
- 21. Copyright © Masaya Ando
今度は競争力の観点で考察してみよう
n 技術など競争力の観点ではどこにポイントがあるだろう?
旅先でも、知らない
ところでも呼べる
乗りたい時に、
確かに、つかまる
ワンアクションで
すぐに呼べる
Japan Taxi
MOV
S.RIDE
売りのポイント 競争力となる要件
サービスの広域性
サービス安定性
サポート・運用体制
マッチング精度
処理スピード
UIの使い心地
UXのとらえ方
累積的UX
→ 体験全体の価値
→ 意味のレベル
エピソード的UX
→ 状況ごとの体験
→ タスクのレベル
瞬間的UX
→ 操作体験
→ インタラクション
のレベル
(ブランド、ビジネス、運用)
(ユーザビリティ、
効率、利便性)
(UIデザイン、
インタラクションデザイン)
- 22. Copyright © Masaya Ando
体験全体を多様なレンズで見ることが重要
n UXデザインはUXをとらえる多様なレベルを行き来し、全て
のレベルを計画することになる。売りはその内の重視点。
UXのとらえ方=レンズ
累積的UX
→ 体験全体の価値
→ 意味のレベル
エピソード的UX
→ 状況ごとの体験
→ タスクのレベル
瞬間的UX
→ 操作体験
→ インタラクション
のレベル
Japan Taxi
MOV
S.RIDE
現
状
の
タ
ク
シ
ー
迎
車
体
験
AS-IS
タ
ク
シ
ー
迎
車
体
験
の
全
体
設
計
TO-BE
リサーチ 計画
設計
特にこの
レベルを重視
特にこの
レベルを重視
特にこの
レベルを重視
- 24. Copyright © Masaya Ando
どんなことを考えたら、
UXを考えたことになるの?
まずは、対象になる人=ユーザーを決めることが先決です。
その人を具体的に、特にその人が置かれている状況をみんな
が理解することが大切です。
対象となるユーザー像を示したものを ペルソナ と言います。
万人に使えるもの を作ろうとしないで、特定の状況にある
人のことを徹底して考えて作る。それが第一歩です。
- 25. Copyright © Masaya Ando
UXデザインの大きな特徴
n 「ユーザーの主観的体験」という扱いにくい事象を、
ユーザーモデリングという技法を活用し、デザインの俎上に
載せる点が最大の特徴である。
ユーザー群のイメージ
ユーザーの主観的な体験のままでは
個別すぎて扱いにくい
パターンとして捉えてモデルを作ることで
操作可能になる
利用状況が同じであれば、人は同じような行動・反応
する可能性が高い という状況依存性を応用している
特定の人だと思えば
その人 のことを
考えてあげられるね
- 26. Copyright © Masaya Ando
問題解決を解決できそうな機能を考えた!
その後どうすればいいの?
機能のアイデアだけでは、社会問題の解決にはつながりませ
ん。使う人がどうやってその提案を認識し、使いたいと思い、
実際に使って、そして嬉しいと思い、使い続けようと思うの
か。そうした体験の時間軸の流れを考えましょう。
開発コンテストですので、ユーザーが使う画面はきっとある
でしょう。その画面にどんな情報が出ていると、ユーザーは
問題解決の行動をしてくれるか、考えてみましょう。
- 27. Copyright © Masaya Ando
まずは、問題解決のための理想体験を時間軸で考える
n 特に社会問題は、ユーザー自身も意識や認識が変化していく
ことになると思います。どんな情報が、どんな風にユーザー
を変化させていくか? 時間軸で検討してみる。
9コマで大まかな流れを考えた例(大学生のお金の管理)
ジャーニーマップの例(子育て)
- 28. Copyright © Masaya Ando
利
用
体
験
① 情報・状態
の知覚
② 情報の
理解と判断
③ 判断に基づく行動
③-1 製品への
働きかけ
③-2 製品以外
での行動
・手がかり情報
・コレクション情報
・(詳細)情報
・アクション
タスク
(動作や行動 )
製品・サービスの利用体験と情報・状態の関係
n ユーザーは製品・サービスの情報や状態を知覚し、必要な判
断をし行動する。UXは基本的にこの繰り返しである。
製品・サービスの仕様は、理想の体験となるように、
必要な情報/状態とそれに伴う行動を逆算して定義すること
- 29. Copyright © Masaya Ando
体験から逆算して製品・サービス仕様を検討する
n 利用体験からタスクを定義し、そのタスクのなかでどんな情
報・状態を見てユーザーはその行動を取るのかを検討する。
タスク(製品/システムに対する動作や結果に伴う行動)
を決め、そこでの情報/状態とアクションを検討する
この行動をするために
は、どんな情報/状態がないと
この行動はできないか?
- 30. Copyright © Masaya Ando
チームにデザイナーの人がいません。
どうしたらいいですか?
一番大切なのは、ユーザーが行動を起こせるために、システ
ム側が必要な情報・状態を示す部分が、ちゃんと伝わるよう
に表現されているか、がポイントです。
それを確保するためには、早い段階からプロトタイプ(紙に
手書きで良い)を作り、メンバー以外の人にも協力してもら
い、評価してもらって改善する作業を繰り返し行うことで
す!
- 31. Copyright © Masaya Ando
プロトタイプの段階と評価及び検討内容
n プロトタイプを評価し、その結果からデザイン要素の検討・
設計内容を、体験を構成する3つの観点で検討する。
プロトタイプの手法 評価の方法 デザイン要素の検討・設計内容
・ストーリーボード/ユー
ザーストーリーマップに合わ
せたスケッチ(画面スケッチ
等)
・ストーリーボードによる
ウォークスルー評価
< できる ための検討>
・タスクを実施できる情報構造の設計
< わかる ための検討>
・ユーザーが理解できる情報構造の整理
< 嬉しい ための検討>
・意欲を高め・維持する仕組み・構造の検討
例:1. 構造の検討段階
“できる”ための検討 “わかる”ための検討 “嬉しい”ための検討
ユーザーが目的のタスク
を実行できるために、必
要な設計要素を検討する
ユーザーが製品・サービ
スを理解しわかり易いた
めに、必要な設計要素を
検討する
ユーザーが製品・サービ
スの使用で感情的にポジ
ティブになるために、必要
な設計要素を検討する
(『UXデザインの教科書』p. 162)
- 32. Copyright © Masaya Ando
誰でもできるUIグラフィックアドバイス
n 線描(輪郭線)に頼らず、面の色の組み合わせ、もしくは影
の表現によってコンポーネントを識別できるようにする
n 一般的なコンポーネントは、テンプレートを活用する
n 書体は統一、大きさも多くて4種類くらいに抑える
n 黒100 %(#000)を使わない
n 色は3∼4色。ベースカラー、メインカラー、アクセントカ
ラー。配色見本サイトなどを参照
- 33. Copyright © Masaya Ando
デザイナーとそれ以外の人と、どうやってうまく
コミュニケーションしたらいいですか?
お互いにわからないこと(知識)がある という前提で、
互いに言葉を補う思いやりは不可欠ですね。その上で2つの
アドバイスを。
1)目的と手段を整理して話そう:おおむね手段の話で論議
を呼びます。そういう時は目的を確認しあおう
2)描いて・見せて話そう:言葉だけに頼らず、ネットで例
を探して示したり、図示したりするようにしよう