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2011年9月8日


    サービス科学研究のためのユーザモデリングアプローチ




                            千葉工業大学 デザイン科学科
                            Chiba Institute of Technology Department of Design

                            安藤 昌也
                            ando@sky.it-chiba.ac.jp
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   本日のアウトライン
              社会学の手法を応用し、サービス受容者の満足度を
               推定するためのモデル構築プロセスを検討した

          1             研究の背景と目的

          2                 アプローチの検討~接客を対象にして

          3                 実践事例~定性モデルの構築

          4                 まとめと今後の課題
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              1
                            研究の背景と目的




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   “サービスサイエンス”とは?
    サービスサイエンス(サービス科学):
               サービスという経済的活動において、以下のことを目的とした
                2000年代初頭に提唱された研究領域。


                     – サービスの生産性の向上      提供者側のメリット
                     – サービスの質の向上        利用者側のメリット
                     – イノベーションによる市場創造   経済全体のメリット




         社会科学(経営・経済)・工学の観点からの研究が中心

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   JST・問題解決型サービス科学研究開発プログラム
    国別適応型サービス設計のためのサービス価値導出プロセスの観測と同定
     のための企画調査(代表:淺間一東大大学院教授)




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サービス研究の社会学的アプローチと工学的アプローチ
    経営学的アプローチ:
               ケース重視
                     • 人の内的プロセス、暗黙的知識の解明より、組織的、構造的問題とし
                       て捉え、ケースの特徴を検討する傾向


    工学的アプローチ:
               サービス設計方法論重視
                     • サービスの全体や、人のサービスに対する選好や評価を工学的モデ
                       ルとして捉え、効果の高いサービス設計を行う方法論を検討する傾向

                                       “サービス工学”

               具体的課題解決重視
                     • 特定のサービス現場の具体的な課題を取り上げ、サービスの質向上
                       のための解決策を工学的に検討する傾向
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   サービス工学と価値観フィルタ
    サービス工学:
               サービスそのものと、サービスの提供者と受容者の相互作用
                によって創出される「価値」に着目。
               受容者のサービスに対する評価や満足度を最大化するような
                サービスをいかに設計するか。




          課題:
                   受容者がサービスの価値を判断するモデルを
                   いかに構築するか?


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   価値観フィルタの概念               (淺間, 2009)




                             具体的にどのように価値観
                             フィルタを構築するべきか?
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   本発表の目的
    目的:
               特定のサービス領域においてサービス利用者の満足度を推
                定するための基盤となる、価値観フィルタを構築するためのア
                プローチ(手順)について検討。



    対象サービス:
               ホテルの接客サービス
                     • 接客サービスは、利用者と提供者のコミュニケーションのあり方自体が
                       満足度に直結するもの。
                     • 属人性の高いサービス。
                     • ホテル以外の業種でも、どうようの構造がありアプローチの汎用性も比
                       較的高いと考えられる。

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              2
                              アプローチの検討
                            ~ホテル接客サービスを対象に~




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   接客サービスとは
    “接客”はサービス活動の一部であり、サービス品質の媒介変数
     であり、提供者は有限のサービスの範囲で利用者の満足度を最
     大化するようなコミュニケーションを行うことが求められる。
                                 航空旅客サービスの構造




                            接客                 提供者が操作可能な
                                               変数も限られるはず
                                                  近藤隆雄『サービスマネジメント入
                                                   門 第3版』 生産性出版, 2010
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   ホテル接客サービスの提供者・受容者の価値モデル
                            提供者側         接客          利用者側


       あらかじめ決まったサービス項
       目の範囲でサービスを提供する


                                                                     文
      ( 業
      ビ務                                       利用者の                  化
      ジ                                        価値観モデル(A)             的
      ネサ                                                             ・
      スー                      提供者の                                   心
                                                             価値観差異
      的ビ                     提供価値モデル                                 理
      背ス                                                             的
      景項
      ) 目                                                            要
                                                                     因
                                              利用者の
                                              価値観モデル(B)
                  コミュニケーションで
                  操作可能な変数範囲            利用者の価値観別に           サービスに対する基本的態
              (例:話し方、話速、表情…)           合わせた接客応対            度、経済的判断等、影響
                                                            要因は個人ごとに異なる
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   ユーザーの内的プロセスのモデリング技法
    社会学の分析法の適用:
               人と人、人と人工物のインタラクションにおける、人の内的プロ
                セスを分析する以下のような社会学の技法が適用できる。
                        • グラウンデッド・セオリー・アプローチ (GTA)
                          – 定性的データ(発話データや観察データなど)から、共通する
                            概念を抽出する。
                          – 抽出した概念を基にアンケート等で数量化することが可能。

                        • エスノメソドロジー
                          – 人と人のコミュニケーションの間で暗黙的に存在する秩序・
                            その場の方法論を明らかにする。
                          – 秩序を記述し理解することに力点がある。

              構造的でアンケート等につなげられるGTAを用いる
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   参考: 質的分析(GTA)の基本的な考え方
    質的分析は、質的データの文脈的意味の縮約(圧縮)と展開の繰
     り返しプロセス。KJ法などと同様、複数の対象者の抽象的概念の
     共通点/相違点を分析することで説明可能なモデルを構築する。

                   展開                                     縮約・圧縮

                            F: どうだろう。ちょっとそれ
                            (他人に対して誇らしげに思
                            う)はあるかもしれないです
                            ね。ジムニーってすごく「ジム    F:ファンが多い     他人に対する
                            ニーが好き」っていうファンが    車に乗る。誇り。      誇らしさ
                            多いって聞きますけれども。
                            「ジムニーは中古になっても
                            ちゃんと値が付くよ」って。


         文書の全文脈               文書セグメント         セグメントの要約       コード
        (当事者の意味世界)                                       (解釈者の意味世界)

       具体的・具象的                                           抽象的・概念的
                                                           (佐藤, 2008を元に加筆)
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   価値観フィルタ(数理モデル)の構築プロセス


              構築ステップ           調査           分析            抽出


         提供者モデル               提供者への       GTAによる分析    操作可能な変数
              (定性モデル)       インタビュー/観察    (提供者価値モデル)     の抽出




                            受容者へのアン       心理尺度構成法
         受容者モデル                                       価値観の差を生み
                            ケート/サービス       による分析
              (定量モデル)                                 出す因子の抽出
                              印象評価        (受容者モデル)

                                         因子データ
                                         の投入
                                                      受容者の価値に応
       価値観フィルタ
      価値感応モデル                            自己組織化マップ
                                                      じたコミュニケーションの
              (数理モデル)           属性データ等   (SOM)による分析
                                                      推定モデルの構築
                                の投入




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              3
                               実践事例
                            ~途中まで:定性モデル~




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   提供者側インタビュー
     目的:
              – ホテルの接遇サービス(顧客と直接対応する業務)の従業員(サービス提供
                者)が、顧客に対してどのような意識を持って接しているかを明らかにする。
              – どのような態度、行動が、よいサービスと考え、実践しているかを明らかに
                する。
     方法:
              – 調査方法: ホテル従業員のエスノグラフィ調査
                     • 従業員へのインタビュー、接遇実態の観察
              – 分析方法: 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ
     調査対象ホテル:
              – A ホテル (兵庫県神戸市)
     調査対象者:7名                  (カッコ内の年数は業務経験年数)


                      レセプションスタッフ      ドアマン・ベルマン    レストランスタッフ
                     3名(12年、10年、1年)   2名 (6年、3年)   2名 (17年、5年)
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   QDAソフトによる分析品質の管理




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   分析結果ーカテゴリー関連図
                                                                                手がかりとなる情報
                            客の様子の観察               状況を常にモニタリングし可能な限り記憶する
                    ・来場の際の車種(ドアマン)                                                経験記憶
                    ・来場の入口とルート                                                   個人顧客の記憶
                    ・同行者の人数とその関係性                     客の目的の推測と把握
                    ・服装                             ・客の来場目的を推測                経験による事象発生パタン
                    ・荷物の種類                          ・特別な対応が必要な顧客か
                    ・行動の様子とその場所                      どうかを判断                   その客が少し前に何をやっ
                    ・人種(見た目)や話す言語                   ・客が要求してくる場合はその             ていたか、に関する記憶
                             状況に応じてふさ                内容を把握
                             わしい応対を判断
                                                                                共有された情報源
                                                                             ・顧客DBや予約情報等から作成さ
                      客への応対 (コミュニケーション)                                       れた当日の顧客情報
                                                                             ・宴会イベント等の情報
                    ・客の状況(好み)に即した応対
                       - 話し方、声のかけ方                   客への対応 (アクション)
                                                                              標準的なサービス手順・態度
                         (フォーマル/カジュアル/フレンドリー)
                                                    ・通常業務の対応
                       - 目線、アイコンタクト
                       - 同行者への気のかけ方                 ・要求事項への対応
                       - 話す量、内容(積極的な提案)              - 情報の提供
                       - プライバシーの配慮                 - 案内・誘導
                       - 客との位置・距離                    - 外部への連絡・予約等
                       - 応対のスピード                     - 苦情等への対応


                                                                          客の要望に沿わない場
                                                        客の反応の判断           合は対応を繰り返す


     提供者が操作可能な                                      ・応対に対する客の反応


      変数の候補群
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   まとめと今後の課題
              社会学の手法を応用し、サービス受容者の満足度を
               推定するためのモデル構築プロセスを検討した
        1. 接客サービスにおける、サービス受容者(利用者)
           の価値観フィルタを構築するには、接客の特性から、
           サービス提供者側が操作可能な変数を明確にした
           上で、その変数への反応として受容者側の反応を
           把握するアプローチを示した。
        2. 構築アプローチを示しその一部(定性モデル)部分
           の検証をホテルの接客に関する調査・分析を実施
           し、提供者が実際に取る行動の変数化を行った。
        3. 今後はアプローチ全体の実証を行う予定である。
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20

   謝辞
    本研究について:
               科学技術振興機構、問題解決型サービス科学研究開発プロ
                グラム、平成22年度プロジェクトの支援を受けて実施したもの
                の一部である。
                     • 国別適応型サービス設計のためのサービス価値導出プロセスの観測
                       と同定のための企画調査(代表:淺間一東大大学院教授)


               なお、本発表については、東京電機大学未来科学部 ロボッ
                ト・メカトロニクス学科 鈴木 聡 先生のご指導を得て行ったも
                のである。ここに感謝の意を表する。




Copyright ©   Masaya Ando

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サービス科学研究のためのユーザモデリングアプローチ

  • 1. 2011年9月8日 サービス科学研究のためのユーザモデリングアプローチ 千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design 安藤 昌也 ando@sky.it-chiba.ac.jp Copyright © Masaya Ando
  • 2. 1 本日のアウトライン 社会学の手法を応用し、サービス受容者の満足度を 推定するためのモデル構築プロセスを検討した 1 研究の背景と目的 2 アプローチの検討~接客を対象にして 3 実践事例~定性モデルの構築 4 まとめと今後の課題 Copyright © Masaya Ando
  • 3. 2 1 研究の背景と目的 Copyright © Masaya Ando
  • 4. 3 “サービスサイエンス”とは?  サービスサイエンス(サービス科学):  サービスという経済的活動において、以下のことを目的とした 2000年代初頭に提唱された研究領域。 – サービスの生産性の向上 提供者側のメリット – サービスの質の向上 利用者側のメリット – イノベーションによる市場創造 経済全体のメリット 社会科学(経営・経済)・工学の観点からの研究が中心 Copyright © Masaya Ando
  • 5. 4 JST・問題解決型サービス科学研究開発プログラム  国別適応型サービス設計のためのサービス価値導出プロセスの観測と同定 のための企画調査(代表:淺間一東大大学院教授) Copyright © Masaya Ando
  • 6. 5 サービス研究の社会学的アプローチと工学的アプローチ  経営学的アプローチ:  ケース重視 • 人の内的プロセス、暗黙的知識の解明より、組織的、構造的問題とし て捉え、ケースの特徴を検討する傾向  工学的アプローチ:  サービス設計方法論重視 • サービスの全体や、人のサービスに対する選好や評価を工学的モデ ルとして捉え、効果の高いサービス設計を行う方法論を検討する傾向 “サービス工学”  具体的課題解決重視 • 特定のサービス現場の具体的な課題を取り上げ、サービスの質向上 のための解決策を工学的に検討する傾向 Copyright © Masaya Ando
  • 7. 6 サービス工学と価値観フィルタ  サービス工学:  サービスそのものと、サービスの提供者と受容者の相互作用 によって創出される「価値」に着目。  受容者のサービスに対する評価や満足度を最大化するような サービスをいかに設計するか。 課題: 受容者がサービスの価値を判断するモデルを いかに構築するか? Copyright © Masaya Ando
  • 8. 7 価値観フィルタの概念 (淺間, 2009) 具体的にどのように価値観 フィルタを構築するべきか? Copyright © Masaya Ando
  • 9. 8 本発表の目的  目的:  特定のサービス領域においてサービス利用者の満足度を推 定するための基盤となる、価値観フィルタを構築するためのア プローチ(手順)について検討。  対象サービス:  ホテルの接客サービス • 接客サービスは、利用者と提供者のコミュニケーションのあり方自体が 満足度に直結するもの。 • 属人性の高いサービス。 • ホテル以外の業種でも、どうようの構造がありアプローチの汎用性も比 較的高いと考えられる。 Copyright © Masaya Ando
  • 10. 9 2 アプローチの検討 ~ホテル接客サービスを対象に~ Copyright © Masaya Ando
  • 11. 10 接客サービスとは  “接客”はサービス活動の一部であり、サービス品質の媒介変数 であり、提供者は有限のサービスの範囲で利用者の満足度を最 大化するようなコミュニケーションを行うことが求められる。 航空旅客サービスの構造 接客 提供者が操作可能な 変数も限られるはず 近藤隆雄『サービスマネジメント入 門 第3版』 生産性出版, 2010 Copyright © Masaya Ando
  • 12. 11 ホテル接客サービスの提供者・受容者の価値モデル 提供者側 接客 利用者側 あらかじめ決まったサービス項 目の範囲でサービスを提供する 文 ( 業 ビ務 利用者の 化 ジ 価値観モデル(A) 的 ネサ ・ スー 提供者の 心 価値観差異 的ビ 提供価値モデル 理 背ス 的 景項 ) 目 要 因 利用者の 価値観モデル(B) コミュニケーションで 操作可能な変数範囲 利用者の価値観別に サービスに対する基本的態 (例:話し方、話速、表情…) 合わせた接客応対 度、経済的判断等、影響 要因は個人ごとに異なる Copyright © Masaya Ando
  • 13. 12 ユーザーの内的プロセスのモデリング技法  社会学の分析法の適用:  人と人、人と人工物のインタラクションにおける、人の内的プロ セスを分析する以下のような社会学の技法が適用できる。 • グラウンデッド・セオリー・アプローチ (GTA) – 定性的データ(発話データや観察データなど)から、共通する 概念を抽出する。 – 抽出した概念を基にアンケート等で数量化することが可能。 • エスノメソドロジー – 人と人のコミュニケーションの間で暗黙的に存在する秩序・ その場の方法論を明らかにする。 – 秩序を記述し理解することに力点がある。 構造的でアンケート等につなげられるGTAを用いる Copyright © Masaya Ando
  • 14. 13 参考: 質的分析(GTA)の基本的な考え方  質的分析は、質的データの文脈的意味の縮約(圧縮)と展開の繰 り返しプロセス。KJ法などと同様、複数の対象者の抽象的概念の 共通点/相違点を分析することで説明可能なモデルを構築する。 展開 縮約・圧縮 F: どうだろう。ちょっとそれ (他人に対して誇らしげに思 う)はあるかもしれないです ね。ジムニーってすごく「ジム F:ファンが多い 他人に対する ニーが好き」っていうファンが 車に乗る。誇り。 誇らしさ 多いって聞きますけれども。 「ジムニーは中古になっても ちゃんと値が付くよ」って。 文書の全文脈 文書セグメント セグメントの要約 コード (当事者の意味世界) (解釈者の意味世界) 具体的・具象的 抽象的・概念的 (佐藤, 2008を元に加筆) Copyright © Masaya Ando
  • 15. 14 価値観フィルタ(数理モデル)の構築プロセス 構築ステップ 調査 分析 抽出 提供者モデル 提供者への GTAによる分析 操作可能な変数 (定性モデル) インタビュー/観察 (提供者価値モデル) の抽出 受容者へのアン 心理尺度構成法 受容者モデル 価値観の差を生み ケート/サービス による分析 (定量モデル) 出す因子の抽出 印象評価 (受容者モデル) 因子データ の投入 受容者の価値に応 価値観フィルタ 価値感応モデル 自己組織化マップ じたコミュニケーションの (数理モデル) 属性データ等 (SOM)による分析 推定モデルの構築 の投入 Copyright © Masaya Ando
  • 16. 15 3 実践事例 ~途中まで:定性モデル~ Copyright © Masaya Ando
  • 17. 16 提供者側インタビュー  目的: – ホテルの接遇サービス(顧客と直接対応する業務)の従業員(サービス提供 者)が、顧客に対してどのような意識を持って接しているかを明らかにする。 – どのような態度、行動が、よいサービスと考え、実践しているかを明らかに する。  方法: – 調査方法: ホテル従業員のエスノグラフィ調査 • 従業員へのインタビュー、接遇実態の観察 – 分析方法: 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ  調査対象ホテル: – A ホテル (兵庫県神戸市)  調査対象者:7名 (カッコ内の年数は業務経験年数) レセプションスタッフ ドアマン・ベルマン レストランスタッフ 3名(12年、10年、1年) 2名 (6年、3年) 2名 (17年、5年) Copyright © Masaya Ando
  • 18. 17 QDAソフトによる分析品質の管理 Copyright © Masaya Ando
  • 19. 18 分析結果ーカテゴリー関連図 手がかりとなる情報 客の様子の観察 状況を常にモニタリングし可能な限り記憶する ・来場の際の車種(ドアマン) 経験記憶 ・来場の入口とルート 個人顧客の記憶 ・同行者の人数とその関係性 客の目的の推測と把握 ・服装 ・客の来場目的を推測 経験による事象発生パタン ・荷物の種類 ・特別な対応が必要な顧客か ・行動の様子とその場所 どうかを判断 その客が少し前に何をやっ ・人種(見た目)や話す言語 ・客が要求してくる場合はその ていたか、に関する記憶 状況に応じてふさ 内容を把握 わしい応対を判断 共有された情報源 ・顧客DBや予約情報等から作成さ 客への応対 (コミュニケーション) れた当日の顧客情報 ・宴会イベント等の情報 ・客の状況(好み)に即した応対 - 話し方、声のかけ方 客への対応 (アクション) 標準的なサービス手順・態度 (フォーマル/カジュアル/フレンドリー) ・通常業務の対応 - 目線、アイコンタクト - 同行者への気のかけ方 ・要求事項への対応 - 話す量、内容(積極的な提案) - 情報の提供 - プライバシーの配慮 - 案内・誘導 - 客との位置・距離 - 外部への連絡・予約等 - 応対のスピード - 苦情等への対応 客の要望に沿わない場 客の反応の判断 合は対応を繰り返す 提供者が操作可能な ・応対に対する客の反応 変数の候補群 Copyright © Masaya Ando
  • 20. 19 まとめと今後の課題 社会学の手法を応用し、サービス受容者の満足度を 推定するためのモデル構築プロセスを検討した 1. 接客サービスにおける、サービス受容者(利用者) の価値観フィルタを構築するには、接客の特性から、 サービス提供者側が操作可能な変数を明確にした 上で、その変数への反応として受容者側の反応を 把握するアプローチを示した。 2. 構築アプローチを示しその一部(定性モデル)部分 の検証をホテルの接客に関する調査・分析を実施 し、提供者が実際に取る行動の変数化を行った。 3. 今後はアプローチ全体の実証を行う予定である。 Copyright © Masaya Ando
  • 21. 20 謝辞  本研究について:  科学技術振興機構、問題解決型サービス科学研究開発プロ グラム、平成22年度プロジェクトの支援を受けて実施したもの の一部である。 • 国別適応型サービス設計のためのサービス価値導出プロセスの観測 と同定のための企画調査(代表:淺間一東大大学院教授)  なお、本発表については、東京電機大学未来科学部 ロボッ ト・メカトロニクス学科 鈴木 聡 先生のご指導を得て行ったも のである。ここに感謝の意を表する。 Copyright © Masaya Ando