Weitere ähnliche Inhalte
Mehr von Masakazu Masujima (20)
Testimony 196th diet_lower_house_masa masujima
- 1. 第 196 回通常国会 衆議院経済産業委員会
法案質疑(生産性向上特別措置法)
参考人意見
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増島 雅和
平成 30 年 4 月 10 日
ただいまご指名をいただきました、森・濱田松本法律事務所の増島雅和でございます。
本日は国民を代表する衆議院の先生方を前に参考人として法案に意見を述べる機会を
頂戴し、大変光栄に思います。今般審議されております生産性向上特別措置法は、様々
な分野で同時多発的に起こっているイノベーションにより、産業構造が劇的な変化を遂
げつつある中で、我が国産業がこうしたイノベーションの大波に呑まれて沈むことなく、
むしろこの動きを好機として、新たな技術やビジネスモデルを生み出し、引き続き世界
の中で重要な位置を占め続けるためのカギとなる制度を導入するものであり、今国会に
おいて成立させていただく必要があるものであると考えております。
本法案が施行された暁には、私ども民間事業者は、各省庁を担う行政官と皆さんと協力
して、我が国の国益を追求するという共通の目標のもと、法令が想定していなかった新
たな技術やビジネスモデルを実地で試すことで、事業の仮説を検証し、今までにない革
新的なビジネスを作り上げることができます。そして同時に、これまでの規制を、新た
な事業環境にマッチするよう更新していくための、PDCA サイクルを回していく一助と
なることができると確信しています。
本日の参考人としての私の役割は、既存の法令が想定していない新たなビジネスモデル
に対し、民間の事業者と各省庁の担当官が、自らの職務に忠実であればあるほど、イノ
ベーションを推進する芽を摘んでしまうという、世界に共通して発生している事象のメ
カニズムと、このメカニズムを打破するために開発された新たな政策枠組みである「レ
ギュラトリー・サンドボックス」が狙いとしているところをご説明させていただき、法
案審議の参考としていただくことであります。
はじめに
まずはじめに、私が本日、この場で本法案審議についての参考人としてお呼びいただい
た背景についてお話しすることをお許しください。私は、東京に主たる事務所を構え、
国内の各都市のほかアジア各地に拠点を置いて国際的な法律事務に従事する森・濱田松
- 2. 本法律事務所にてパートナーとして勤務しております。リーマンショックの直前である
2006 年、2007 年には、米国シリコンバレーにあります、米国の元駐日大使を務められ
たジョン・ルース氏が代表を務めていたウィルソン・ソンシーニ法律事務所に勤務し、
現地のイノベーションのダイナミズムを実地で体験しました。帰国後は金融庁監督局に
おきまして、課長補佐として保険及び銀行行政を担当し、行政庁における意思決定のメ
カニズムを学びました。2012 年に民間に復帰後は、金融業は情報産業であるとの確信
を得て、情報技術の観点から金融機関に対する規制アドバイスや M&A アドバイスに取
組みつつ、革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップ企業に対するリスクマ
ネーの円滑な供給に向けた活動に従事しました。その中で、金融と IT を掛け合せた新
たな事業領域である FinTech が、今後世界を席巻するであろうことを見抜き、日本の
金融全体が海外勢にディスラプトされる前に、自ら革新を起こしていかなければならな
いということを訴え、これに共感する事業者の皆さんが、革新のために行う試行錯誤の
実践を、事業者の規模にかかわらず支援してまいりました。
発見された課題
イノベーションに取り組む際に直面する重大な困難の一つとして、革新的な技術を採用
した新たなビジネスモデルの適法性を検討する際に、既存の法律がそのビジネスモデル
を想定していないということがあります。特に事業者の活動を規制する業法は、制定時
の社会や技術環境のもとで作られていますので、いかに一般的・抽象的に規定したとし
ても、想定する技術やビジネスモデルが必ず存在します。第四次産業革命と呼ばれる
IT 分野における急速な技術革新の進展により、いま、既存の法令が想定していた技術
やビジネスモデルとは異なる技術やビジネスモデルが雨後の竹の子のように生まれて
います。こうした技術やビジネスモデルを既存の法令に当てはめて、その適法性を判断
しようとしましても、もともと法令がこれを想定していないので、それが適法なのか違
法なのかよく分からないということがしばしば生じます。
こうしたものに対して、プロアクティブな事業者は弁護士と相談し、適法であるといえ
る理論武装をしたうえで、前に進むということをするわけですが、結果的に行政庁によ
る法令解釈と異なる解釈で進むことにリスクを感じる事業者は、行政庁に事前に法令照
会をして自らの事業の適法性を確認しにいきます。しかし、そもそも法令が想定してい
ないのですから、行政庁に行ったところで確とした正解があるわけではないのです。行
政庁の現場の担当官は、頑張って先例を調べて、なんらかの方向性を出すために必死に
なるわけですが、多くの場合結論は出ません。業務が山積みになっているなか、彼らに
とっての最も安全な回答は、「法令に適合していない可能性がある」というものになり
ます。もともと法令上黒か白か分からないわけですから、こうしたものを白といえ、と