医療における情報の非対称性が及ぼす市場への影響

1. 医薬品市場の特徴 ケネス・ジョセフ・アロー （ Kenneth Joseph Arrow ） << 情報の非対称性 ジョージ・アーサー・アカロフ （ George Arthur Akerlof ） 消費者 プロフェッショナル

2. 「市場の失敗」に陥らないために 昔の中古車市場 労働市場 良質の商品であっても他の商品と同じ低い平均価値を つけられてしまうことになる傾向 良い売り手が市場から撤退し、市場が衰退 買い手にとっては、手を出さないことが最適な戦略 【例】 シグナリング 電化製品の３年保証 有名大学卒 情報優位者が商品の品質に関する情報 （シグナル）を情報劣位者に間接、直接に提示 スクリーニング 入札 相見積 オークション 情報劣位者が、情報優位者にいくつかの案を示し、その選択を通して情報を開示させる。 政府の介入

3. 患者会 シグナリング スクリーニング 論文 薬審 経験（症例） 医療機能評価 セカンドオピニオン DTC 情報優位者 情報劣位者 医薬品のシグナリングとスクリーニング ① ② ③ Doctor Patient Maker Doctor Patient Maker

4. ディテーリング強化のため各社しのぎを削るが、 訪問規制や情報機能の多様化などにより、面談時間・回数は減る傾向。 ① Maker -> Doctor 卸と MR お互いに共存し助け合うべき関係であるにも関わらず、訪問する MR は無用あるいは邪魔者と位置づけられつつあるようです。 今日どうしても会いたいＤＲを １時から５時までずっと立ちんぼで待ってたのに・・・ 『担当医師の中で「仕事上、困る」「仕事上、付き合いたくない」と思うのは、どんなタイプか？ ①過剰な接待を要求する・・ 63.2% ②長時間待たせたり、アポをとっても 約束を守らない・・ 33.7% ③訪問規制が強いなどの理由で、ほと んど面会しない・・ 32.6% 私の担当先では訪問規制のある病院は２軒。今日行った病院はとうとう医局にオートロックの鍵がつけられて、時間も１時間と決まっているので、かなりぼーっとしてすごしたり、他社 MR の方と話して終わりみたいな感じです。しかも、１６時～１７時の１時間が面会可能なのでその時間帯に医局に帰ってくる Dr. は数少ない・・・。 私の仕事はアフター５が勝負。病院はそれぞれ訪問規制があって大変です。 MR が訪問できる時間はもちろん曜日が決まっていたり、完全アポイント制だったり。 大体の病院は４時とか５時からになってます。なのでアフター５は各メーカーがずらりと一堂に会します。

5. ① Maker -> Doctor

6. ② Doctor -> Patient 医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究－ 2005 年調査 （特定非営利活動法人日本インタ－ネット医療協議会） 30.0 11.1 25.0 25.0 42.9 50.0 70.0 88.9 75.0 75.0 57.1 50.0 0 ％ 全体 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代以上 20 ％ 40 ％ 60 ％ 80 ％ 100 ％ 受診（通院）先のホームページ 閲覧状況 ない ある

7. ② Doctor -> Patient 受診（通院）先のホームページ 閲覧状況 医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究－ 2005 年調査 （特定非営利活動法人日本インタ－ネット医療協議会） 全体 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代以上 10.0 5.6 11.1 16.7 20.0 40.0 37.5 50.0 37.0 33.3 40.0 25.7 25 38.9 18.5 25.0 20.0 24.3 37.5 5.6 33.3 25.0 20.0 月に 1 回以上 年に数回 めったにアクセスしない 1 、 2 度アクセスしただけ 0 ％ 20 ％ 40 ％ 60 ％ 80 ％ 100 ％

8. ② Doctor -> Patient 病院の名称、所在地、問合せ先 診療科目 診療時間 入院 医療設備 医師の名前・担当科 医師の専門分野･経歴・資格 得意にしている疾患の診断治療情報 疾患情報 病気予防・健康管理・保健情報 検診･予防接種 実施できる手術 医薬品情報 疾患別手術件数 介護･福祉情報 患者の体験や交流情報 疾患別死亡率 疾患別の平均入院日数 医療・保健分野におけるインターネット利用の信頼性確保に関する調査研究－ 2005 年調査 （特定非営利活動法人日本インタ－ネット医療協議会） ■ 疾患・保健・医薬品情報 ■ 医療実績 不十分な情報提供 0 ％ 20 ％ 40 ％ 60 ％ 80 ％ 100 ％

9. ② Doctor -> Patient 清水内科 東京都世田谷区代沢 5-2-1

10. 0 5 10 15 20 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 （ 10 億ドル） 医薬品のプロモーション費用（米国） ( GAO report ) ③ Maker -> Patient DTC 広告 医師向けプロモーション サンプル

11. Copyright © 2007 T.Wakasugi. All right reserved. 医師に対して薬の依頼（薬の変更や新しい薬の処方）をすることがありますか？ 医薬産業政策研究所リサーチペーパー・シリーズ（ 2004 年 5 月） ③ Maker -> Patient ～２０代 ３０代 ４０代 ５０代 ６０代～ よくする ときどき あまりしない 全くしない 0 ％ 20 ％ 40 ％ 60 ％ 80 ％ 100 ％ 合計 44 ％ 23 ％ 48 ％ 47 ％ 47 ％ 43 ％

12. Copyright © 2007 T.Wakasugi. All right reserved. 薬の依頼をした際に医師はどのように対応しましたか？ 一般患者 患者会 医薬産業政策研究所リサーチペーパー・シリーズ（ 2004 年 5 月） 65 ％ 66 ％ 65 ％ ③ Maker -> Patient 0 ％ 20 ％ 40 ％ 60 ％ 80 ％ 100 ％ 合計 依頼した薬を処方 今まで通り 別の薬を処方 薬が処方されない その他