病状説明
- 5. 今までの経過 - 2014年
7月 副鼻腔炎で受診時に首の腫れが発覚
8月 検査 甲状腺機能は正常 細胞診 クラス2
サイログロブリン 1000以上 測定不能
10月 検査 サイログロブリン値1933
細胞診 クラス3
正常値:30以下
クラス1:異常なし
クラス2:良性
クラス3:悪性の疑いがある
クラス4:悪性の強い疑いがある
クラス5:悪性が確定的である
- 6. 今までの経過 - 2015年
1月 右甲状腺摘出
大きさ:63*43mm
4月 甲状腺補完全摘
サイログロブリン値 90.4
肺転移疑い
甲状腺濾胞癌
甲状腺乳頭癌
全摘後 正常値:0
- 15. 乳頭癌・濾胞癌 、髄様癌のステージ
進行度:ステージ
(45歳以上)
病期 進行状況
Ⅰ期 癌が、甲状腺の中にとどまっている(大きさ:2cm以下)
II期 癌が、甲状腺の中にとどまっている(大きさ:2cmを超え、4cm以下)
Ⅲ期
癌の大きさが4cmを超える
癌が、甲状腺のすぐ外側まで広がっている(リンパ節への転移なし)
癌が、甲状腺のすぐ外側まで広がっている[気管、喉頭周辺のリンパ節に転移している]
ⅣA期
癌が、頸動脈の外側のリンパ節や胸の中心上部のリンパ節に転移している
癌が、甲状腺の外側の臓器に広がっている[皮膚、咽頭、気管、食道、反回神経など]
ⅣB期
癌が、甲状腺の外側まで大きく広がっている[椎骨前筋膜、胸の中心部の血管や頸動脈など]
肺や骨などには転移していないが、リンパ節への転移がある
ⅣC期 癌が、肺や骨などの離れた臓器にまで転移している
- 18. 甲状腺癌の
タイプ
5年 10年
ステージ
全体 全体
I II III IV
乳頭 100% 100% 93% 51% 96% 93%
濾胞 100% 100% 71% 50% 91% 85%
髄様 100% 98% 81% 28% 80% 75%
未分化 (常にステージIV) 7% 7%
生存率
- 19. 罹患者数と死亡者数の比較
10歳未満 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代以上
罹患者数 3 85 574 1433 2050 2500 3424 2445 1226
死亡者数 0 0 1 1 18 59 260 498 925
0 0 1 1 18 59
260
498
925
3
85
574
1433
2050
2500
3424
2445
1226
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
癌登録・統計 死亡者数は2014年、罹患者数は2011年のデータ(いずれも最新)を使用
Hinweis der Redaktion
- みんながもやもやしているようなので、現在私が置かれている状況について説明する動画を作成しました。
- 2014年から現在までの経過と今後の治療予定についてです。
- 2014年から現在までの経過と今後の治療予定についてです。
- 2014年7月、妊娠中に副鼻腔炎で受診した際、首が腫れていることを指摘されました。
腫れの原因は甲状腺だということで、甲状腺の細胞診を行いました。その結果、クラス2でした。特に問題ないレベルです。
ですが、血液検査の結果、サイログロブリンが1000以上あり、その病院では測定不能なほど高値であることがわかりました。サイログロブリンの正常値は30以下です。
大学病院へ紹介され、産後に再度検査した結果、サイログロブリンは1933、細胞診はクラス3との結果がでました。
- 甲状腺腫瘤が増大傾向にあったため、2015年1月に右甲状腺の摘出を行いました。
手術後にも主治医に恐らく良性だと言われていましたが、生検した結果、甲状腺濾胞癌であることがわかりました。
今後の治療のために左の甲状腺を補完全摘したところ、そこには甲状腺乳頭癌が発見されました。
また、甲状腺を全摘すると、サイログロブリンはほぼ0になるのですが、まだ異常高値であり、転移が疑われました。
- CTの結果、両肺とも影があるとのことで、まず診断目的に左肺を部分切除しました。
結果、甲状腺癌の転移であることが確定しました。
次に右肺の部分切除をしましたが、そちらも転移でした。
12月に甲状腺の残存組織の破壊を目的に1回目のヨード治療を行いました。
- 現在は12月のヨード治療の効果が若干ながら継続中です。
普段は甲状腺ホルモンを補う薬を飲んでいますが、ヨード治療のために2週間断薬したため、自律神経のバランスを崩しており、
心身ともに調子が悪い状態です。
ヨード治療後の検査結果、甲状腺由来の細胞がのどと肺にあるとのことで、2回目のヨード治療を待機中です。
ヨード治療は6か月以上開けて次の治療をしなければならないため、予定は6か月以上先になります。
- これからの予定は年内に2回目のヨード治療を行うこと、首の手術痕の傷跡をきれいにする手術を、保険適用になる場合は行う予定です。
手術痕をきれいにする手術は傷が突っ張って動きに制限がかかる場合のみ保険適用になります。
- 甲状腺と甲状腺癌について説明します。
- 甲状腺は首の前側、のどぼとけのすぐ下にあります。やわらかいので、触ってもどれなのかよくわかりません。
蝶が羽を広げたような形で、縦4センチ、厚さ1センチ、重さが15グラムくらいの小さな臓器です。
食物中のヨウ素を取り込んで、それを材料に甲状腺ホルモンを作成し、血液中に分泌するのを主な仕事にしています。
- 甲状腺ホルモンは体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。
増えすぎるとエネルギーを使いすぎて疲れ、減りすぎると使うエネルギーが足りなくて疲れます。
甲状腺ホルモンの量をいい感じに保つように脳下垂体からでる甲状腺刺激ホルモンでバランスをとっています。
- 甲状腺にできる癌のほとんどは性質がおとなしく、また進行が遅いものです。
被曝やヨード不足、また一部の癌で遺伝性が指摘されている以外ほとんどが原因不明です。
他の癌と違って若いほうが悪性度が低く、治りやすいといわれています。
男性と女性では女性の方が罹患率が高いのが特徴です。これも原因はよくわかりませんが、妊娠・出産をはじめとする女性特有の体の仕組みが関係しているのではないかと言われています。
- 甲状腺にできる癌は乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌、それから悪性リンパ腫があります。
悪性リンパ腫は厳密にいえば甲状腺癌ではなく、血液の癌ですが、甲状腺原発で起こることがあります。
乳頭癌と濾胞癌は悪性度が低い癌として分化癌と分類されます。
日本では乳頭癌が最も多く90%、次に濾胞癌が7%程度、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫が1%程度です。
乳頭癌が最も悪性度が低く、10年生存率が90%以上ありますが、
未分化癌はあらゆる癌の中でも最も悪性度が高い部類の癌で1年後の生存率は7%程度です。
- ステージで表現される進行度ですが、乳頭癌・濾胞癌、髄様癌の場合は一般的に6段階に分けられます。
私の場合は癌が肺に転移しているため、一番進行したステージとなります。
ただし、この表は45歳以上に適応されるものとなります。
- 乳頭癌・濾胞癌は年齢が若いほど治りやすい性質があるため、
45歳未満の場合は肺、骨などの臓器に遠隔転移していてもII期となります。
- 未分化癌以外の甲状腺癌は初期であれば5年生存率はほぼ100%であり、10年生存率でもかなり高いものになっています。
- 私の場合は乳頭癌はステージ1、濾胞癌はステージ2にあたり、5年生存率は100%となっています。
- 甲状腺癌の罹患者数と死者数の比較です。この死亡者数は死亡原因が甲状腺癌である方の数となります。
癌登録・統計によると、2011年の30代の甲状腺癌の罹患者数は1433名、2014年の30代死亡者数は一人となっており、若年層の甲状腺癌による死亡者数の少なさがわかると思います。
逆に甲状腺癌の罹患者数のピークは60代ですが、死亡者数は80代以上が最多となっており、高齢になるにしたがって甲状腺癌の悪性度が上がっていくことがわかります。
- 乳頭癌・濾胞癌の場合の治療方法についてです。
- 乳頭癌・濾胞癌の治療方法は主に4つです。
- 1cm以下で転移がないことがわかっている乳頭癌は特に治療せずに経過観察のみを行うことがあります。
癌が大きくならないのであれば特に問題ありません。
また女性の10人に一人は極小の乳頭癌があるという調査もあります。
乳頭癌が1mm大きくなるのに数年から十数年かかり、発見されないことも多々あります。
- 手術は乳頭癌、濾胞癌、髄様癌では第一選択です。
濾胞癌では検査で良性腫瘍と判別が難しいため、次のような場合は手術がすすめられます。
- 手術適応となるのは
悪性を完全に否定できないとき、具体的には腫瘍の大きさが4cm以上、超音波検査で内部の細胞がつまっていて境界がデコボコ、経過観察中に徐々に大きくなる、サイログロブリンが1000以上、細胞診でクラス3以上などです。
また腫瘍が大きく、気管や食道を圧迫するとき、腫瘍が甲状腺ホルモンを過剰に分泌するとき、腫瘍が縦隔に侵入しているとき、美容上の観点で本人が摘出を希望するときです。
私の場合は腫瘍が大きかったこと、サイログロブリンが1000以上であったこと、細胞診がクラス3であったことで悪性を完全に否定できず、また腫瘍が大きく気管が正中からずれてしまっていたこととから手術適応となっていました。
- 甲状腺ホルモンが不足すると甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌され甲状腺を刺激します。
甲状腺癌は甲状腺だったことを忘れていないので、TSHが分泌されると活動が活発になります。
TSH抑制療法は甲状腺ホルモンを多めに補充することにより、甲状腺刺激ホルモンの分泌を減らし、甲状腺癌の働きを弱めることを目的としています。
ですので、根本的な癌の治療ではなく、進行を遅らせる治療となります。
- TSH抑制療法のメリットとしては前述したとおり、TSHの分泌を減らすことにより、甲状腺癌の活動を抑えることができることです。私の場合は右甲状腺摘出前が1933だったサイログロブリンが全適後90.4となり、TSH抑制療法を始めた後は14.5にまで減りました。それだけ甲状腺癌の働きが弱まっていることを示しています。
デメリットとしては骨粗鬆症や不整脈の誘発、疲れやすい、頻脈、発汗などがあげられます。
- 次に根本治療として放射性ヨード治療があります。
甲状腺はヨード(ヨウ素)を取り込み、甲状腺ホルモンを分泌します。食物から摂取したヨードのほとんどは甲状腺に取り込まれます。
甲状腺癌も甲状腺だったことを忘れておらず、転移したあとの甲状腺癌もヨードを取り込む性質があることが知られています。
放射性ヨードを摂取すると、放射性ヨードは甲状腺由来の細胞に取り込まれます。正常な甲状腺の方がヨードを取り込む能力が高いため、甲状腺は全摘しておく必要があります。
全摘後残っている転移した甲状腺癌の細胞が放射性ヨードを取り込み、攻撃することでほかの臓器を傷つけずに甲状腺癌のみを攻撃することができます。
一般的には乳頭癌より、濾胞癌の方が、年配より若年の方が効果が出やすい治療です。
- 放射性ヨード治療のメリットは副作用が少ないことです。唾液腺が腫れたり味がおかしくなることはありますが、一時的なものです。
デメリットとしては甲状腺ホルモンの補充をやめるので、甲状腺機能低下症と同じ症状がでることです。具体的には倦怠感、食欲低下、便秘、むくみ、鬱症状などです。
また、服用する放射性ヨードの量にもよりますが、治療後最低2週間は妊婦さんや6歳以下の子どもとの接触は禁止されます。
治療後の6か月は男女とも避妊する必要があります。
治療前2週間は禁ヨード食にする必要があり、海藻類をはじめとする魚介類の摂取に制限がかけられます。
- 治療は10年20年単位の長丁場になります。その間元気なときも元気じゃないときもあると思いますが、今後ともどうか変わらぬご好誼のほどよろしくお願いいたします。