Weitere ähnliche Inhalte Ähnlich wie クラウドがもたらすパラダイムシフト (20) クラウドがもたらすパラダイムシフト2. 自己紹介
ITコンサルタント
主にインフラ系、データ・マネジメント系
弁理士
主にソフトウェア特許、商標関係
翻訳家
IT、経営学、知財専門
金沢工業大学客員教授
今年は虎ノ門校知的創造システム専攻(社会人向け大学院)で「知
財特論」、「IT要論」を担当
ライター/ブロガー
公式ブログ(http://techvisor.jp/blog)
Twitter: kurikiyo
ITmedia, CNET, IT Leaders, EnterpriseZine, IT Initiative
などの媒体に不定期寄稿
2 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
3. 略歴
1981年: 東京大学工学部卒
同年~: 日本IBM
インフラ系SEとしてキャリアを開始(メインフレーム→OS/2→AIX)
後に分散システム系設計コンサルタント
1990年: 米MIT Laboratory for Computer Science修士課程
に企業留学、専攻は並列処理アーキテクチャ
※<自慢>同じフロアにRichard Stallmanがいました
1995年~: ガートナージャパン
インフラ系を中心にIT業界アナリスト活動
2004年: 弁理士試験合格
2005年~:独立開業・弁理士登録
3 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
4. 主な訳書・著書
「戦略的データマネジメント」トーマス・レドマン著
• データ管理テクノロジーではなくデータそのものにフォーカスした実践的ガイド
• 著者の長年のコンサルティング経験に基づく豊富な事例と具体的指針を提供
「デジタルネイティブが世界を変える」 ドン・タプスコット著
• 「ウィキノミクス」の著者による最新作
• デジタル・テクノロジーに囲まれて育ってきた世代が成人になることで、社会・教育・ビ
ジネス・政治・家庭がどのように変化してきたかを膨大なデータに基づき分析
「ライフサイクル イノベーション」 ジェフリー・ムーア著
• ビジネス書の古典的名著「キャズム」の著者による最新作
• 企業がイノベーションを継続的に行っていくためのフレームワークの提言
「イノベーションへの解 実践編」 スコット・アンソニー他著
• 「イノベーションのジレンマ」で知られるハーバードビジネススクール教授クレイトン・クリ
ステンセンが設立したコンサルティング会社のパートナーによる著書
• 一般企業における「破壊的イノベーション理論」の実践についての豊富な事例とフレー
ムワーク、ツールによる解説
「グリーンIT」 (書き下ろし)
• ITプロフェッショナルに向けたグリーンITの基本解説書
• ITの効率化と環境対応性を両立させるための戦略について広範に解説
Developers Summit 2010 TechVisor.JP
5. アジェンダ
クラウドとは?(再考)
クラウドの本質とパラダイムシフト
4大クラウド事業者の戦略分析
クラウドのパラダイムシフトがデベロッパーにもた
らすインパクトとデベロッパーの心構え
5 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
6. クラウドとは?
NIST(アメリカ国立標準技術研究所)による定義
5つの特徴
• オンデマンド/セルフサービス
• 広範なネットワーク・アクセス
• リソースのプーリング
• 迅速な弾力的規模拡大・縮小
• 測定されたサービス
3つのサービスモデル 4つの展開モデル
• SaaS • プライベートクラウド
• PaaS • コミュニティクラウド
• IaaS • パブリッククラウド
• ハイブリッドクラウド
6 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
7. クラウド定義の3カテゴリー
広義のクラ
データセンター・アウトソーシング全般 ウド
キーワード: データセンター、Web
最も一般的
IaaS+SaaS+PaaS と思われるク
キーワード: オンデマンド、従量制料金、
ラウドの定義
リソース・プーリング、プロビジョニング
大規模水平スケーリングに基づく
IaaS+SaaS+PaaS
キーワード:Amazon, Google, 狭義のクラ
NoSQL, KVS ウド
企業や人によりクラウドの定義は様々であり混乱の原因になっ
ている
7 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
8. クラウドのローカル定義
誰もが納得できるクラウドの定義を行なうことは困
難(不可能?)
議論の最初に、その議論におけるクラウドの
「ローカル」な定義を行なうことをお勧めします
特にプライベート・クラウドをクラウドの(ローカル)
定義に含めるかどうかをはっきりさせないと議論
が拡散します
8 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
9. クラウドの本質
今、クラ
ウドと呼
所有から利用へ
メ ばれてい
るもの
ガ サーバ中心型コンピューティング
ト
レ
ン データセンター集約
ド
選択と集中
クラウドとは既に進行中のメガトレンドにキャッ
チーな名前を付けたもの(Web 2.0に類似)
「クラウド」という言葉が陳腐化しても、今クラウド
と呼ばれている概念が陳腐化することはない
9 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
10. クラウド・コンピューティングがもたらす変化
従来型コンピューティング的 クラウド・コンピューティング的
Software as a Deliverable Software as a Service
所有指向 利用指向
資産 経費
一括料金 従量制料金
Best in Class Good Enough + Speed
長期計画 "Fail Often, Fail Quick, Fail Cheap"
予測可能性 弾力性
トランザクション インタラクション
設計時統合 実行時統合
Web as a Channel Web as a Platform
密結合 疎結合
Strong Consistency Eventual Consistency
ACID ウィーク・トランザクション
RDBMS NoSQL
3NF KVS
バイナリ スクリプト
スケールアップ+スケールアウト スケールアウト
10 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
11. AmazonのSWOT分析
Strength
現時点では最も幅広いサービスを提供するクラウド・プロバイダー
クラウドビジネスの実質的コストはきわめて低い
Weakness
エンタープライズ・コンピューティングでの経験不足
クラウドは「副業」に過ぎない
Opportunities
物販ビジネスの顧客データの活用
企業コンピューティング向け機能の段階的拡充
Threat
電子書籍市場、コンテンツ販売市場をAppleに浸食される
エンタープライズ向け汎用クラウドとしての地位をAzureに奪われる
11 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
12. GoogleのSWOT分析
Strength
サーチエンジンという「金のなる木」ビジネス
クラウドビジネスの実質的コストはきわめて低い
データセンター/大規模並列処理分野における人材/ノウハウ蓄積
Weakness
業務系には適用しにくいPaaSアーキテクチャ
AdSense/AdWordsに過剰に依存したビジネス・モデル
一般企業・一般社会とは時に相容れない「先進性」
Opportunities
広告テクノロジーによる「無料サービス」の収益化
Chrome/Chrome OSによるマイクロソフト・デスクトップの中立化
Threat
Bingによるサーチエンジン・ビジネスの浸食
"Don't Be Evil"のモットー崩壊によるユーザーからの反感
12 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
13. Microsoft AzureのSWOT分析
Strength
Software+Service戦略(.NETアプリケーションとの互換性)
資金力/マーケティング力
Weakness
歴史的に見てネット事業はマイクロソフトのウィークポイント
歴史的に見て非PCデバイスはマイクロソフトのウィークポイント
クラウド基盤への投資をほとんど一から行なわなければならない
Opportunities
.NETデベロッパーのマインドシェア獲得
業務アプリケーションにも十分使えるクラウドとしての地位獲得
Threat
既存ビジネスのカニバライズを恐れた中途半端なクラウド戦略
Apple、Google、Amazon等にクライアント機器の主導権を奪われる
13 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
14. Salesforce.comのSWOT分析
Strength
CRM/SFA SaaSによる企業コンピューティング市場への浸透
AppExchangeのエコシステム
敷居の低いForce.comプラットフォーム
Weakness
RDBMSの巨大インスタンスに依存した独特のアーキテクチャ
CRM/SFAアプリケーションに依存
Opportunities
Force.comを定番開発プラットフォームのひとつに
Chatterを企業内のリアルタイム・コラボレーション・ツールに
Threat
CRM/SFA SaaS市場の飽和
AzureのSoftware+Service型戦略からのプレッシャー
14 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
15. 事例: Salesforce.com Chatter
Saleforce.comが提供するTwitterライクな企
業内コラボレーション機能
Saleforce.comアプリケーション基盤のセキュリティ機能と統合
Saleforce.comアプリケーションのイベントとユーザー間の対話と
を統合(アプリケーションが「つぶやく」)
15 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
16. 4大クラウド - プラットフォームとしての比較
Amazon Google Microsoft SFDC
汎用性
ラーニングカー
ブ(1:難しい-5:
易しい)
エンタープライズ
適合性
NoSQL度
スケーラビリティ
典型的利用シナ • 現時点では • Google • オンプレミ • 比較的シンプ
リオ 最も汎用性 Appsの補助 ス.NETアプリ ルなWebア
が高いクラ 的アプリケー ケーションの プリケーショ
ウド・プラット ション クラウド化 ン(社内外)
フォーム • 大規模なコラ • 将来的には の短期立ち
ボレーション、 Amazonに 上げ
メディア共有 肉薄?
16 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
17. クラウドがもたらすパラダイムシフト
インフラ管理を(ほとんど)気にしなくて良くなる
→インフラのお守りビジネスでクライアントから収益を得る
ことが困難に
→ 「箱売りビジネス」がますます困難に
スピード最優先のビジネスモデルがますます重要に
→ 小規模SIや「ノマド」ワーカーが有利な立場に
データやアプリケーションの場所と利用者の場所の結び
付が自由に
→「ノマド」ワーカーの新たな機会
→オフショアとの競合がますます過激に
クラウドは新しいシフトをもたらしているというよりは、既に起
きているシフトをさらに加速していると言うべき
17 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
19. コアvsコンテキスト
コア: 差別化要素
コンテキスト: コア以外
コア=コア・ビジネスとは限らない
コア=ミッション・クリティカルとは限らない
ある時点でのコアは時間の経過と共にコンテキスト
となっていく
企業も人もリソースの何割かをコアに割り振るべき
思考実験:
• 石川遼の年収約5億円のうち、ゴルフ賞金は1億円、スポン
サーからの収入は4億円
• 石川遼にとっての「コア」とは?
• 石川遼は自分のリソース(時間)をどのように配分すべきか
19 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
20. コアとして追求すべき要素(例)
ビジネス分析
ITとビジネスの橋渡し
戦略的データ活用
コミュニケーション・スキル
グローバル・ソーシングにおけるブリッジSE
先進的テクノロジー
並列アルゴリズム(MapReduce、マルチスレッド等)
NoSQLベース・システムのデザイン・スキル
水平スケール型システムの構築スキル
テクノロジーをコアとして維持できる期間は短いが、プリンシ
プル(規範・原則)やヒューマンスキルはより長期的にコアと
しての地位を維持できる可能性が高い
20 Developers Summit 2010 TechVisor.JP
21. まとめ
クラウドとは進行中の重要メガトレンドの集合に
キャッチーな名前を付けたもの
重要なのは「クラウド」そのものよりもその背後にあるメガトレンド
クラウド普及は既に進行しているパラダイムシフト
をさらに加速している
「わかっている人」にとっては大きなチャンス、「わかっていない人」に
とっては大きなリスク
エンジニア/デベロッパーとしてのコア(差別化要
素)を見つけ出し、自分のリソース(お金、時間、
体力)の一定割合をコアに向けよう
クラウド関連テクノロジーは一定期間のコアになり得るが、より長期
的に大事なのはテクノロジーの裏にある規範とヒューマンスキル
21 Developers Summit 2010 TechVisor.JP