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日々の暮らしと3Dプリント
- 1. 日々の暮らしと3Dプリント 2021/04/07 KLab TECH Meetup #7 Kラボラトリー 中澤 慧
- 4. 既製品って実は安い ● 製品企画を立て ● 設計し ● 試作し ● 量産性を確認し量産手配し ● 品質保証し ● 流通させ ● 販売後のサポートまでする だいたい材料費の20倍ぐら いの値段をつけないとやっ ていられません。 一点モノを専門家へオーダ ーメイドすると材料費の 100倍から10,000倍ぐらい 普通にかかるでしょう。
- 5. なんでもオンラインで買える時代です? AliExpressというサイト ● 主に中国の深圳から2-3週間で商品が届く ● 超多品種取り扱いのオンラインモール ● あらゆるものがAliExpressで安く買えるのではと感じる昨今 ● 現実はなかなか厳しい ● 自分の欲しい品を探していくと、全然見つからなかったりする 需要がないものは販売されない ➢ 既製品を購入して追加工する? ➢ 特注する? ➢ 自分で作る?
- 8. 自己紹介 / なかざわ けい ● Kラボラトリー所属 ● C#, Python, JavaScript, Cあたり ● レーザーカッター好き ● 好きなCADはAdobe Illustrator 転機 ● 去年の夏、社内SNSに張られたリンクを ふらふらと踏んで3Dプリンターを購入 ○ Kingroon KP3 ■ 1辺18センチまでの印刷が可能 ■ 割と精度が良い ■ 送料込み15,000円と激安
- 13. お菓子のクリップ 食べかけのお菓子の袋を閉じて おくためのクリップが手元にな かったので印刷 ○ 3Dプリンタに付属して いたサンプルデータを そのまま出力 ■ 3Dプリンタ自体の 動作確認 ○ 出力後半年ほど経過。 特に問題なく使えてい
- 14. ボルトとナットのネジセット ● 3Dプリンタの定番かなと 思って作った ● 六回目でようやく成功 ○ Fusion 360(CAD)の 操作に不慣れ ○ 「モデル化」忘れて ただの棒を生成 ○ 部品同士の干渉を避 けるために面をオフ セット ○ ネジの構成要素全部 をうまくオフセット できていなかった
- 15. ボルトとナットのネジセット ● 3Dプリンタの定番かなと 思って作った ● 六回目でようやく成功 ○ Fusion 360(CAD)の 操作に不慣れ ○ 「モデル化」忘れて ただの棒を生成 ○ 部品同士の干渉を避 けるために面をオフ セット ○ ネジの構成要素全部 をうまくオフセット できていなかった
- 16. ヘッドホンを机にぶら下げるフック 自分で初めて設計してみたも の ● ヘッドホン、リモートワ ークで利用頻度が上がり がちな代表選手 ● 机にくっつけるフック ○ とても気に入って量 産 ○ うっかり。引き出し の段ごとに構造が違 う ○ 残念ながら使えない ものが多くて結局最
- 17. ヘッドホンを机にぶら下げるフック 自分で初めて設計してみたも の ● ヘッドホン、リモートワ ークで利用頻度が上がり がちな代表選手 ● 机にくっつけるフック ○ とても気に入って量 産 ○ うっかり。引き出し の段ごとに構造が違 う ○ 残念ながら使えない ものが多くて結局最
- 18. キッチンのタオル掛け ● もともと吸盤式のタ オル掛けを使ってい た ● 吸盤の吸着力が低下、 毎日タオルが床に落 ちるという悲しい事 態 ● レールの形に合わせ て製作 ● 寸法きっちり完成。 とても良かった
- 20. ヘッドホンフックふたたび 机の天板裏面にあるネジ穴を使っ てぶら下げられるように ● ネジが一般的寸法ではなかっ た ○ 採寸とねじ込みテストに 数回を要した ● 典型的な失敗もやらかした ○ 中身がスカスカなデフォ ルト設定で出力 ○ いざ天板裏にねじ込むと、 ねじ切れてしまった ■ ネジがネジ穴内に置 き去りにされて焦る ○ 印刷時のinfillレートを上げ
- 21. ヘッドホンフックふたたび 机の天板裏面にあるネジ穴を使っ てぶら下げられるように ● ネジが一般的寸法ではなかっ た ○ 採寸とねじ込みテストに 数回を要した ● 典型的な失敗もやらかした ○ 中身がスカスカなデフォ ルト設定で出力 ○ いざ天板裏にねじ込むと、 ねじ切れてしまった ■ ネジがネジ穴内に置 き去りにされて焦る ○ 印刷時のinfillレートを上げ
- 22. 学んだことの一部 ● 安定する出力する為のtipsはこちらのリンクにあるノートを読んでいただくのが非常に良い ○ FDM(FFF)3Dプリンタで印刷する機械部品をモデリングするときの、たくさんの小さな工夫 ○ https://note.com/newspeak/n/n74b6bd36fac7 ● パーツのはめこみ部分には適切なオフセットをかける必要がある ○ 特に、ネジを造形してはめこもうとすると、面を指定する際に注意が必要 ○ 同僚が光造形方式の3Dプリンタを導入し、オフセットなしでパーツをはめこめると聞いて大変うら やま ● 安定出力のためには、オーバーハング対策が大事 ○ オーバーハングとは? 積層時に下の面よりも上の面のほうが広くなっている箇所 ○ 45度ぐらいのオーバーハングを造形し続けると、一部造形が乱れる(プリンタや素材による) ○ プリンタの実力や運に依存しない設計を心がける。具体的には、積層の向きを工夫して対応 ● 複雑な形状を作りたい場合は無理に1ボディで作らず二つのパーツに分けて造形し、それらをネジ止めする 方がオーバーハング対策として安定する場合もある
- 23. 学んだことの一部 ● 安定する出力する為のtipsはこちらのリンクにあるノートを読んでいただくのが非常に良い ○ FDM(FFF)3Dプリンタで印刷する機械部品をモデリングするときの、たくさんの小さな工夫 ○ https://note.com/newspeak/n/n74b6bd36fac7 ● パーツのはめこみ部分には適切なオフセットをかける必要がある ○ 特に、ネジを造形してはめこもうとすると、面を指定する際に注意が必要 ○ 同僚が光造形方式の3Dプリンタを導入し、オフセットなしでパーツをはめこめると聞いて大変うら やま ● 安定出力のためには、オーバーハング対策が大事 ○ オーバーハングとは? 積層時に下の面よりも上の面のほうが広くなっている箇所 ○ 45度ぐらいのオーバーハングを造形し続けると、一部造形が乱れる(プリンタや素材による) ○ プリンタの実力や運に依存しない設計を心がける。具体的には、積層の向きを工夫して対応 ● 複雑な形状を作りたい場合は無理に1ボディで作らず二つのパーツに分けて造形し、それらをネジ止めする 方がオーバーハング対策として安定する場合もある
- 24. さて、コロナです ● 自社がリモートワーク体制になったのをきっかけに生活が大き く変わった ● 外出するタイミングや行き先も激変 ● そんな中、星空の写真を撮りたいという気持ちが高まってきた → 3Dプリンターを使い、ちょっと規模の大きなものを作り始めた
- 26. 2019年に手のひらサイズの赤道儀を自作 赤道儀? ● 天体観測や天文写真を趣味とする方にはお馴染み ● 星々の光は大変弱い。天体写真用カメラは三脚へ固定 ● 夜空は時間とともに回転 ● 赤道儀 = 長時間露光の写真撮影時、星空がピタッと止まった写 真を撮れるように、星空の回転にあわせて三脚上の土台を回転 させる 自分の需要 ● 手軽にどこでも星空をきれいに撮りたい ○ 大掛かりな赤道儀は20kgを超えてくる ● 登山に持っていってもかさばらず重すぎないというコンセプト ● 結果、三脚とカメラを含めて950g 2019年のMakerFaireTokyoにて会社のMake部出展で展示
- 27. 実はさまざまな問題が ● そもそもの精度があまり良くなかった ○ 最大25秒ほど星空を固定して撮影、うまく撮れるのは四回に一回くらい ● 組み立て式の構造ゆえ、何度もパーツを組み立てたり取り外したりと繰り返 すと、カメラを接続している側の固定ネジがどんどんゆるんでいく ○ カメラ側がゆるむとカメラがうっかりと回転して星空をまともに撮影できない、落下の 危険もある ● 元々この赤道儀のパーツはレーザーカッターで製作。これが鬼門 ○ 設計改訂を繰り返して5世代ほど製作 ○ 完成する頃には、これ以上の改訂版を作るのが困難という状況に
- 28. レーザーカッターで部品を試作することに限界を感じた ● とにかく設計サイクルを回せる頻度が低く、やれることの幅が狭かっ た ● 自宅に機材がない ● 渋谷にあるFabCafe(ものづくりカフェ)に出向く ○ パーツのレーザーカットを依頼 ○ できたパーツのチェック ○ また渋谷まで行って次のパーツを作る ● これは相当な時間が掛かる
- 29. レーザーカッターで部品を試作することに限界を感じた ● とにかく設計サイクルを回せる頻度が低く、やれることの幅が狭かっ た ● 自宅に機材がない ● 渋谷にあるFabCafe(ものづくりカフェ)に出向く ○ パーツのレーザーカットを依頼 ○ できたパーツのチェック ○ また渋谷まで行って次のパーツを作る ● これは相当な時間が掛かる v.1 (木片試作) v.3 (アクリル試作) v.5 (ウォームギア試作、展示版)
- 30. レーザーカッターで部品を試作することに限界を感じた ● とにかく設計サイクルを回せる頻度が低く、やれることの幅が狭かっ た ● 自宅に機材がない ● 渋谷にあるFabCafe(ものづくりカフェ)に出向く ○ パーツのレーザーカットを依頼 ○ できたパーツのチェック ○ また渋谷まで行って次のパーツを作る ● これは相当な時間が掛かる
- 32. レーザーカッターは平面/断面加工の精度が相当高い ● 平面(断面)加工精度を活かせば、カ ットした板同士を組み合わせてが っちりとした立体構造を作れる ● 軸を回転させるためのステッピン グモーターを横方向にぴったり90 度で固定したかった ● FDM式の3Dプリンタでは、平面を いまいちきれいに出せない場合が あるので、ある程度工夫が必要
- 34. 厚さのコントロールはレーザーカッターでは困難 ● 厚さをコントロールしたければ、複数枚 カットして重ねる ● 自由な高さのものを作るのは難しい。カ ット材料の面が平坦なので、ガタツキな く重ねられるからそれで頑張る ● 3Dプリンタでは得意分野。0.2mmぐらい の精度で部品の厚みをコントロール可能
- 35. カット素材のアクリル自体が苦手な領域 ● 薄いアクリル板はもろい。力を掛けると容易に割れる ○ →機械部品にも使われるエンジニアリングプラスチックを素材にする ○ POM(ジュラコン)という素材を利用して対応 ○ カット時にホルムアルデヒドが発生。排気がしっかりしてない場所では危険☠ ● 3Dプリンタに使われるPLAやABS ○ 薄いアクリルよりは断然強度がある ○ 歯車を作っても割れるというよりは摩耗していく ○ 予備パーツへの交換目処をつけやすい
- 38. FDM方式3Dプリンタでは、平面がきれいに出せない場合 がある ● 造形の上面よりは下の面の方が安定した平らな面になる ● どうしても上面を使う必要があれば上面を安定させる努力をする ● 面の端っこで樹脂が余ると端っこの方で盛り上がりが発生 ● きれいな平面が形成されず、端っこが膨れたような形になるパターン ● 四角よりは円形の断面を積み重ねるパターンで多い ● → 端っこ0.5ミリ角くらい面取りするだけでだいぶ改善
- 39. FDM方式3Dプリンタでは、平面がきれいに出せない場合 がある ● 造形の上面よりは下の面の方が安定した平らな面になる ● どうしても上面を使う必要があれば上面を安定させる努力をする ● 面の端っこで樹脂が余ると端っこの方で盛り上がりが発生 ● きれいな平面が形成されず、端っこが膨れたような形になるパターン ● 四角よりは円形の断面を積み重ねるパターンで多い ● → 端っこ0.5ミリ角くらい面取りするだけでだいぶ改善 対策前 (うねうね) 対策後 (平面)
- 40. 金属パーツ併用で圧倒的強度アップ ● 安い金属パーツを、うまいこと形状を合わせて設計に取り込む ● 全体の出来が1.5段階くらい良くなる ● 汎用品が多く出回っているものを積極的に選ぶ ○ コストの面でも設計難易度の面でも安定 ● カメラ関連は1/4インチと3/8インチネジ規格が主流 ○ とにかく入手性が良い ○ さまざまなバリエーションの製品が揃っている ○ 自分の需要にあったものを安く入手できる ○ カメラ機材パーツなので、1kgオーバーの荷重をきっちり支えられる
- 41. 金属パーツ併用で圧倒的強度アップ ● 安い金属パーツを、うまいこと形状を合わせて設計に取り込む ● 全体の出来が1.5段階くらい良くなる ● 汎用品が多く出回っているものを積極的に選ぶ ○ コストの面でも設計難易度の面でも安定 ● カメラ関連は1/4インチと3/8インチネジ規格が主流 ○ とにかく入手性が良い ○ さまざまなバリエーションの製品が揃っている ○ 自分の需要にあったものを安く入手できる ○ カメラ機材パーツなので、1kgオーバーの荷重をきっちり支えられる
- 42. 積極的な2ボディ化(ボディ分割) ● 3Dプリンターでのパーツ出力 時、ネジ止め系の後加工をす ることなく完成する設計が好 まれる傾向 ● パーツの精度が許容範囲未満 まで落ちてしまっては意味が ない ● 強度上のネックを作りたくな いけれども造形が難しいとい う場合 ● →早々に2ボディへ分割
- 43. 得られたもの ● 2019年バージョンよ りも格段に回転軸が安 定 ● 予備パーツがなくなっ た時に渋谷まで行かな くても追加生産できる ようになった ● 強度改善や機能向上の ための設計変更を気軽 にできるようになった
- 44. 設計のへたくそな人がどうにか動くものを作り上げるための学び ● 設計がへたくそな人にこそ、設計結果をすぐに確認できる3Dプリンタがおすすめ ○ 私自身かなり設計がへたくそ ○ 作りたいものを形にするための方法 → 色んな仮説を持って試行錯誤プロセスを高速に回す ● 仮説の精度を上げないと実験回数が増えすぎて心が折れるので、いくつかポイントをおさえておくと便利 3Dプリンターとレーザーカッターの機材特性の違いに注目する必要 ● 3Dプリンタの平面加工精度はかなり悪い ● 手元の機材では複数回同じ設計物をプリントした際の寸法差が0.2ミリ程度 ○ ばらつきを加味して耐えられる設計が必要 ● ものを安く作ろうとすると、材料の金具やプラスチック系パーツのデータシートを見れない ○ → 現物合わせで物を作ることが多い ○ レーザーカッターだと、パーツの寸法が合わないときに何度も何度も微調整しながらものを作るというのは相当心理的 にしんどい ○ 手元に3Dプリンターがある状態だと、新しいパーツに適合させたいコネクタ部分だけを現物から採寸して何度も小さ なパーツを造形し、その結果を筐体全体の設計に反映するというサイクルを どんどん回せる
- 45. 別解: 3Dプリンタとレーザーカッターの両方を 自宅に置くという解決方法? ☠ レーザーカッターでアクリル以外を加工すると、有毒ガス (ホルムアルデヒドほか)が発生しがち ☠ ☠ 一般家庭にはかなりオススメできない ☠ 圧倒的な3Dプリンタ推しに鞍替えしました。
Hinweis der Redaktion
- 最上段のくだり、まあわからんので図示前提か
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- ネジ用の面をオフセット、4個?選択するさまを動画撮りたい
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- これ唐突なんだよな。前後のつながりが悪いので、接続詞としてちゃんと仕事をさせる
- 写真あるのでは??
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