北海道大学におけるオンライン教育の活用
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2020年1月23日 東京工業大学 教育革新シンポジウム 講演資料
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- 1. 北海道大学における オンライン教育の活用 重田勝介 北海道大学 情報基盤センター准教授 高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター 副センター長 2020年1月23日 東京工業大学 2019年度 教育革新シンポジウム 「学生のエンゲージメントを高めるオンラインを活用した授業づくり」 These slides are under the Creative Commons License Attribution-NonCommercial 4.0 International (CC BY-NC 4.0)
- 2. 重田勝介 (しげた かつすけ) • 北海道大学 情報基盤センター 准教授 高等教育推進機構オープンエデュケーションセン ター 副センター長（eラーニング部門長） • 大学ICT推進協議会(AXIES) ICT利活用調査部会 主査 • Open Education Consortium Board of members • JMOOC, CIEC, Asuka Academy 理事 • 専門分野 • 教育工学・オープンエデュケーション • 研究：学習履歴データによる教育改善 高等教育機関のICT教育実態調査 • 「MOOC入門」 「オープンエデュケーション」
- 3. 高等教育のオープン化 ー Much of the interesting and innovative activity in higher ed happens around the concept of openness. 高等教育における興味深く革新的な活動の多くは 「オープン」の概念の周りで起こっている • Martin Weller (Professor, Open University, UK) A journey through open education – The Ed Techie http://blog.edtechie.net/ou/a-journey-through-open- education/
- 4. オープンエデュケーションの意義 • 教材共有 • 教育の機会均等に貢献（国際教育協力） • OER（オープン教材）の再利用（リユース） • 教育改善 • OERを教育現場で活用 • OER, MOOCを用いたブレンド型学習 • 生涯学習 • 広く一般に向けた学習機会の提供(MOOC) • Coursera, edX, FutureLearn, JMOOC… オープンエデュケーション：開かれた教育が変える高等教育と生涯学習 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/59/1/59_3/_html/-char/ja
- 5. OER : open education for inclusive learning • Open Textbook（オープン教科書）の大規模導入 • 大学間連携（連邦政府，寄付財団支援）による OER Degreeの開発提供 • 教育機会の均等化を 達成するための 教育コンテンツ 5 https://www.insidehighered.com/digital-learning/article/2018/01/10/finding-oer-remains-challenging- solutions-abound
- 6. SDGsに貢献するOER • SDG4 包括的で質の高い教育・生涯学習の提供 • SDG3（ヘルスケア）SDG6（水資源）等の 知識共有にも有効性が期待される 持続可能な開発目標（SDGs） | 国連開発計画（UNDP） http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015- development-agenda.html
- 7. UNESCO OER勧告の採択 • 国連加盟国に対し、教育の機会均等（SDGs 4） 推進に有効であるOERの開発活用を促す内容 • 提案された具体的な行動 • OERの普及についての認識共有 • OERを開発する体制の構築 • 著作物の扱いについて知識醸成 • プラットフォーム等の提供 • OER関連の情報共有 • デジタルリテラシーの向上
- 8. MOOC : open, but paid service • MOOCの開講による高等教育のショーケース • MOOC Degree（MOOCを使った学位 プログラム）の拡充 • 実務家教育への利用 8https://www.classcentral.com/report/moocs-stats-and-trends-2019/
- 9. 北海道大学 オープンエデュケーション センター • 2014年に設置 • 「北大の教育改善」の ためのオンライン教育 • 教員・部局のニーズに 応じたOER開発 • OERを授業に導入した ブレンド型教育の導入 • OCWやMOOCによる 北大の教育発信 https://www.open-ed.hokudai.ac.jp
- 11. OER開発利用を支える専門スタッフ 11 • 学習管理シ ステムの活 用と運用 • 教材に含ま れる著作物 の権利処理 • 教授設計理 論（ID）に 基づいた • 教材設計 • 学習内容の 理解度を高 めるビデオ 制作 映像 制作 教材 設計 LMS 著作権 処理 1名 （博士 研究員） 1名 （特定 専門 職員） 2名 （博士 研究員・ 特定専門 職員） 1名 （特定 専門 職員） 技術補助員・事務補助員・短期支援員 数名（大学院生含む）
- 13. OER制作パターン • 講義収録 • 講義の様子を収録・アーカイブ • 補習教材として学生に提供 • 成果物の素材としても利用（外部資金報告用PVの制作） • スタジオ収録 • 教材設計を施したモジュール化（5分〜10分） • 知識確認のテストを教員・TAと制作 • 大学院向けeラーニングや反転授業の予習教材に利用 • VR教材 • 教員と学生のディスカッションを収録 • 議論のお手本として学生に提供（MOOCの補習教材にも）
- 14. 14
- 15. OERを用いた教育プログラム実施支援 • ブレンド型学習の実施支援 • アクティブラーニング授業の企画・立案のアドバイス • ICT活用教育導入のコンサルテーション • 教育工学によるアクティブ・ラーニングの導入支援 • 反転授業の実施支援（授業実施，学習評価） • 大学院教育コア科目のeラーニング化，FD支援 • 履修証明プログラム支援（公共政策・病院経営） • 道内教養教育連携事業（双方向ビデオ会議） • 遠隔講義＋反転授業の教材を提供 15
- 16. 学習分析ツールの開発と利用 Katsusuke Shigeta.”Open Education Strategy at Hokkaido Region Utilizing OER“. p.19. Slideshare. http://www.slideshare.net/katshige?utm_campaign=profiletracking&utm_medium=sssite&utm_source=ssslideview 時間 • LMS上のビデオ視聴状況を可視化 • クイズの回答状況，ログイン状況の可視化
- 17. 学習分析を踏まえた教材・教育改善 サイクルの構築 • 学生の予習状況の把握と通知 • ビデオの視聴ログ • クイズの解答状況 • 教材改善の手がかりを抽出 • ビデオの視聴傾向 • クイズの解答結果 • 翌年度に反映 • ブレンド型授業を継続的に改善 「現在進行形の教育改善」
- 19. 学内：LMSによる配信 • 学内：Moodleベースの全学LMS（ELMS） • 連携大学：MoodleまたはOpen edX MOOC LMS/ MOODLE/ etc. OCW/ iTunes-U 学内/協定校 向けの配信
- 20. 全学LMSの更新（2020.3~） • 学生ポータルとLMS(Moodle3.5)の連携 • ファイル共有(Proself) 動画配信(Mediasite) • LTIによるシステム間連携を学内部局に提供 • NGDLE(Next Generation Digital Learning Environment) の思想に基づく • 教育情報システムのハブ 機能を提供 • 全学的なセキュリティを 向上，学習ログの蓄積 • クラウドサービス(Gsuite) の継続利用
- 21. 公開：オープンコースウェア（OCW） • 「北海道大学オープンコースウェア HU-OCW」 500以上の講義 2200のコンテンツ 年6万件アクセス 講義風景や実験映像
- 22. MOOCの開講 • 2015 Effects of Radiation（edX） • 2016 戦争倫理学（JMOOC） • 2017 ようこそ、科学技術コミュニケーション （JMOOC） • 2018 戦争倫理学（JMOOC、教材改善の上再開講） 22
- 23. 事例1：原子力人材育成プログラム • 2013年から継続（文科省 原子力人材育成事業） • 原子力教育を学内外に実施 OER開発，OCW配信 • 放射能・放射線科学の基礎 • 放射線利用，放射線廃棄物処理（廃止措置） • OERを反転授業に利用（シンゴジラを題材に） • 2015年 edX MOOC 2019年 JMOOC 開講 • 2018年 事業がS評価を受ける
- 24. 事例2：生活看護支援技術 • 実技教育における着眼点を教員と検討 • ブレンド型学習の予習ビデオを共同開発 • 実技試験で作業ポイントの実施率が向上 • 2020.3 JSETで成果発表
- 25. 事例3：医学院におけるeラーニング • 修士1年生向けコア科目をフルeラーニングで提供 • 4コース28のオムニバス講義をスタジオ収録 • スライド英訳，英語字幕付与 • 半年でのべ1400人受講 • 文学院でも実施 • 社会人入学者への対応 • 遠隔地からの通学者 への対応 • 留学生対応
- 26. 事例4：デジタルリテラシーOERの開発 • アドビシステムズ株式会社との共同研究 • UNESCOが策定したフレームワークDigital Literacy Global Frameworkに基づいたOERを開発 • どんな教員でもアドビ製品を用いたデジタルリテラ シー教育を行えるように • 来年度から反転授業でOERを利用 夏に一般公開
- 27. 「オープン」であることの意義 • 教育支援の成果を学外に発信 • OCWによる教育内容の広報（例：原子力教育） • 「外出し」による教材改善 • MOOCで得られる学習履歴データの分析 • 受講者からのフィードバックを元にOERを改善 学内利用 教育改善 一般公開 教材改善 OER OERを核にした教材・教育改善の好循環を創出
- 28. 成果：OER開発と学内利用 • 年間50程度の講義で400前後のOERを開発利用 • 累計で1700以上のコンテンツを開発 • 連携教員数300人 のべ5500人の学生が利用
- 29. 成果：学内教育の支援による受賞 • 学内でICT教育のサービス機関として定着 • 2017年に日本e-learning大賞（オープン エデュケーション特別部門賞）を受賞 • 2018年にOpen Education Consortiumより 「Open Education Award」を受賞 • 教育ベンチャー企業の設立：事業化 （株式会社オープンコンテンツサービス） 29
- 31. 北海道大学における オンライン教育の活用 重田勝介 北海道大学 情報基盤センター准教授 高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター 副センター長 2020年1月23日 東京工業大学 2019年度 教育革新シンポジウム 「学生のエンゲージメントを高めるオンラインを活用した授業づくり」 These slides are under the Creative Commons License Attribution-NonCommercial 4.0 International (CC BY-NC 4.0)