ゼミで、論文を読み、自分なりにまとめて発表します。 論文 金 淵培、江原 暉将（日本放送協会放送技術研究所先端制作技術研究部）　情報処理学会論文誌、Vol.35, No. 6, pp.1018-1028、1994

1. ー文献紹介ー
日英機械翻訳のための
日本語長文自動短文分割と主語の補完
金 淵培、江原 暉将（日本放送協会放送技術研究所先端制作技術研究部）
情報処理学会論文誌、Vol.35, No. 6, pp.1018-1028、1994
長岡技術科学大学 自然言語処理研究室 高橋寛治

2. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 2/30
概要
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機械翻訳精度の低下の要因
●
文が長すぎて、構文解析ができない。
●
提案
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日本語の長文を複数の短文に自動的に分割
●
主語がなくなった文に対して自動的に主語を補完
●
結果（約400文のニュース文に対して）
●
約88％の分割点認定率、76％の主語の補完率を得た

3. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 3/30
はじめに
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長文は機械翻訳の精度を低下させる要因の1つ
●
文が長いと係り受け構造が複雑となり、構文解析に
失敗することが多い
●
トランスファー方式では
●
解析・変換・生成の解析で失敗となる

4. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 4/30
短文分割

5. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 5/30
短文分割の有効性
50文字以上の文の解析は非常に困難
●
80文字以上はほとんど構文解析失敗
●
約500のニュース文に対して人手で分割実験
●
原文と分割後の分割文を機械翻訳

6. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 6/30
短文分割の有効性
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30単語未満の文
●
分割前22.5％
●
分割後78.5%
●
分割後70単語以上の
文が、ほぼなくなった

7. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 7/30
機械翻訳での結果
●
分割文の翻訳の評価に
ついて
●
1つの文の分割文すべて
が翻訳に成功したとき
●
文意が誤りなく伝わる
かどうか
構文解析
に成功
機械翻訳
に成功
総文数
原文 228 96 378
分割文 295 118 378

8. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 8/30
分割処理の概略フロー
(ア) 形態素解析
(イ) 情報素列の抽出
(ウ) 分割点の認定
(エ) 主語のない文の主語認定
(オ) 形態素列の出力

9. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 9/30
短文への分割
●
長いニュース文は右表のような
接続法を用いて作られている
●
どう分割点を認定するか？

10. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 10/30
連用中止の分割
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連用中止を「連用中止」、「連用形＋て」とする
●
例
●
海部総理大臣はきょうの閣議のあと、吹田自治大臣と会談
し、今後の政治改革への取り組みについて競技しました。
●
海部総理大臣はきょうの閣議の後、吹田自治大臣と会談し
ました。海部総理大臣は今後の政治改革への取り組みについ
て協議しました。

11. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 11/30
連用中止の例外
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文脈により副詞的性質を表す連用形
●
「をはじめ、に関し、に引き続き・・」など40個
●
連用形に接尾辞や接尾的な述語成分が持続
●
「起きて以来、降りしだい・・」など
●
連用形にすぐ連体形が接続する場合
●
「利用して出かけた人」（連体節の一部の可能性大）
●
主語のない連用節で始まる場合
●
「カムチャッカで大やけどをして札幌医大で治療を受けている・・・」

12. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 12/30
●
分割対象文を形態素解析
●
分割点のパターン・マッチ
ングを効率よくかつ、効果的
にするため形態素情報を工夫
分割点の認定手順

13. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 13/30
情報素列の抽出
「記号素列」は「品詞」に相当

14. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 14/30
パターンマッチング
●
パターンの仕組み
●
ポインタと組み合わせ検索
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I ：表面素列
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％：標準素列
●
Null：記号素列
●
＆：短文素列

15. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 15/30
パターンマッチング
●
Nパターン(分割不可)
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「合わせて＋凡そ＋数詞」
●
「連用形＋以来」
●
「連用形＋副詞」
●
「連用形＋接尾辞」
●
Yパターン(分割可)
●
「連体形＋際＋に」
●
「終止形＋と＋共＋に＋“，”」
●
「連用形＋”，”」
●
「連用形」
パターンの長さ優先でマッチング
2重判断「Nパターンにマッチしない」かつ「Yパターンにマッチ」

16. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 16/30
主語補完

17. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 17/30
主語の補完
●
必要性
●
主語がない場合、受動形化して機械翻訳を行う
→英語は受動形より能動形が選好される傾向がある
●
分割文の構文分析の失敗の大きな原因は主語省略
→分割文の翻訳に、主語補完は必要

18. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 18/30
主語補完の前提
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主語は補完対象述語の左側にある
●
主語は分割対象文内にある
●
主語は「は、では、が、には、を、の、も、
に、で」のいずれかを持つ名詞である

19. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 19/30
主語補完手法（統計的）
●
「主語・述語」と「非主語・述語」のベクトル化
●
主語になれる名詞、なれない名詞の特徴ベクトルの分布を推定
●
特徴ベクトルの確率分布が多次元正規分布と仮定
●
各主語候補が主語になれる確率値を主語になれない確
率値で割った値を判断基準とする

20. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 20/30
主語・述語間の特徴と数量化
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７つの特徴に分けて捉える
１．主語候補に付属する格助詞の種別
２．連体節との関係
３．主語候補と補完対象述語の意味的整合度
・主語候補と補完対象述語間の距離
４．主語候補と述語との間にある「は」格要素の数
５．主語候補と述語との間にある「が」格の要素の数
６．主語候補と述語との間にある「は」と「が」以外の格要素の数
７．主語候補と述語との間にある動詞の数

21. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 21/30
統計処理による主語の認定手法
●
学習データ
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処理対象から標本文を抽出し、各標本内のすべての述語
に対する主語候補から主語と非主語を人手で分離
●
主語になる名詞の特徴ベクトルの確率分布を求める
●
平均値ベクトルと分散共分散行列を学習データを用
いて推定

22. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 22/30
統計処理による主語の認定手法
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これらを用いて、ある特定の候補が主語になれ
る確率密度 P を算出
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主語になれない確率密度 Q も算出
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P / Q を評価関数として利用
●
その値が最大となる候補を主語として補完

23. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 23/30
評価

24. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 24/30
短文分割実験
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テスト文
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テレビニュース文381文をランダムに選択
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23文は短文で分割点がないため、実験の対象外
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実験
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人手と機械による分割の比較
●
両者のすべての分割点が完全一致する文を成功とする

25. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 25/30
短文分割実験
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結果
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358文中、315文が成功（87.9%）
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失敗例
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「連用形＋て」が副詞的に使用
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「2年連続して全国で最も高い・・・」
●
パターン追加で解決

26. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 26/30
短文分割実験
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連用節が連体節の一部分になる場合
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到着ロビーは、スキーや海水浴などで日焼けし、お
みやげをいっぱい抱えた家族連れなどで、ごったがえ
し、宅急便の窓口や都心に向かうバス乗り場に一日
中、長い列ができてしまいました。
●
これは今後の課題

27. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 27/30
主語補完の実験
分割によって主語のなくなった108個の分割文に対
して実験し、主語補完法の精度を評価
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補完対象文の数が少ないため、75％を学習データ
として利用
●
残り25％を試験データとして利用
●
これを4回繰り返し、結果の平均値を精度評価の対象に

28. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 28/30
主語補完の実験

29. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 29/30
おわりに
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日英機械翻訳のための分割法を提案
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長いニュース文の分割点の認定手法
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主語のない分割文の主語補完手法
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まだ長い分割文が頻繁に生成
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長い連体節の分割が難しい

30. 日英機械翻訳のための日本語長文自動短文分割と主語の補完 30/30
おわりに
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Nパターンの数が多くなる可能性あり
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どう効率的にパターンを記述するか
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主語補完は統計的アプローチで良い結果を得た
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より的確な主語認定結果を得るために検討すべきこと
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提案した主語・述語の特徴で充分か？
●
提案した数量化方式より効果的な方式は？
●
提案した学習モデルより優れたモデルは？