SlideShare ist ein Scribd-Unternehmen logo
1 von 21
Downloaden Sie, um offline zu lesen
産学連携による
実践的プログラミング教育
~スマホアプリ開発~
友利 悟 (沖縄県立宮古工業高等学校)
岡本 雄樹 (アシアル株式会社)
福永 勇二 (有限会社インタラクティブリサーチ)
2017/3/11
本資料はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
ISECON2016
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
本資料は、一般社団法人 情報処理学会 情報処理教育委
員会 情報システム教育委員会主催による第9回情報シス
テム教育コンテスト(ISECON2016)の本審査用資料を元に
再編集されたものです。
本資料(友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実
践 的 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 ~ ス マ ホ ア プ リ 開 発 ~ 」 ,
ISECON2016, 2017.3.11)は、クリエイティブ・コモンズ 表示
4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
2
本資料について
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
基本情報
主な対象 高校生 (中学生から大学生まで適用できる)
教育目標 実践的な手法を用い、スマホアプリという生徒にとってなじみのある
成果物を生み出すことで、プログラミングに対する苦手意識を解消す
る。また、自ら試行錯誤する経験を通じ、ソフトウエアの機能や品質を
高めることへの知的好奇心を呼び起こす。そして、これら一連のポジ
ティブな体験から、プログラミング全体への興味や関心を持たせ、自
己肯定感を高める。
特徴 ・自己完結型での幅広いソフトウエア開発工程の学習
・授業環境を選ばないブラウザベースの統合開発環境の活用
・出前授業や地域人材など外部リソースによる支援
概要 工業高校でのプログラミングの授業にスマホアプリ開発を導入し、生
徒が自分の手で完成形の成果物を作り出す取り組みを行っている。
PCの構成変更に制限がある校内環境に適応できるよう、開発環境に
はブラウザベースの統合開発環境(Monaca)を用いる。授業には、出
前授業や地域人材などの外部リソースを積極的に活用し、高校と地
域のつながりを高めると共に、校内だけに閉じることなく、一緒にキャ
リア教育を考える体制づくりを進めている。
3
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
高校におけるソフトウエア教育の現状
実習も行うが、基本的には座学中心である。そのためプロ
グラムの流れをイメージし、把握することが難しい
授業は学習指導要領に沿って進める
教科書や検定問題にはC言語が多く使われており、言語に
対する現場の選択肢は少ない。データ構造やアルゴリズム
を時間をかけて学ぶのにC言語は好適と考えるが、その一
方で、素のままでは入出力がCUIに限定され、多くの生徒の
目には無味乾燥で退屈な構文の勉強に映る
授業時間がそもそも少ない。 1コマ50分で週に2コマが基
本だが、行事等もあり年間70時間を確保することが難しい
大学ではPBL導入が活発だが高校では稀
4
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
生徒の素性と適性
普通高校志向が強い地域性から、基礎学力が高い生徒は
普通高校に入学することが多い。本校への入学者希望者
は、基礎学力に難がある生徒が多いのが現状である
前項のような事情から、目的意識を持たず入学した生徒が
多く本人たちはギャップで苦労している。同様の理由で、生
徒の学力差は大きく、理解度に差が生じている
情報生産者になる意識が薄く、単なる1人の情報消費者と
してコンピュータやスマートフォンを使っている
大学と同様のソフトウエア教育を行おうとしてもうまくいかない。
ソフトウエア工学を学ぶ前段階として、ソフトウエアに目を向け
興味を持たせる必要がある
5
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
どうすれば興味を持てるか?
"知っているゲームのように
キャラクターを動かせない"
"演習をやっても文字しか
表示されず惹かれない"
"座学ばかりでつまらない"
"プログラムがどんなものか
イメージできない"
生徒たちがよく知っているアプリ
のイメージ、つまりGUIベースの
開発・実行環境を用いる
演習を中心として、自分で
手を動かしてプログラミングを
楽しめるようにする
フレームワークやサンプルに
改良を加えながら、部分から
全体に視野を広げさせる
6
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
知的好奇心を刺激するループの形成
知的好奇心
を刺激
授業の一環としてスマートフォンアプリを開発し、
出来のよいものは一般公開する取り組みを実施
”面白そう”
手を動かして作ってみる
もっとやってみたくなる 思ったとおり動く
7
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
開発環境を選択するにあたっての方針
構造化やオブジェクトの概念を
持つ平易な言語が使えること
Android(Java)、iOS(Objective-C)
ともに、ネイティブの開発言語や
クラスライブラリは、知識がない
生徒の手には負えない
統合開発環境を備えていること
エディタ、コンパイラ、シミュレータ
などを、コマンドラインで使い分け
ながら開発を進めさせるのは困難
複雑なインストールが不要なこと
構成変更への制限が厳しい
学内PCでも手間なく使用できる
ことが望ましい
8
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
適用したツール
条件を満たす開発環境を探した結果、次のような点を評価し、
アシアル株式会社が提供するMonacaを選択した。
JavaScriptとDOMモデルを用いて記述したプログラムから、Android、iOS、
Windows、Chromeのアプリを生成できる
統合開発環境がクラウドサービスとして提供されており、ブラウザだけ
で利用できる。言語処理系のインストールやアップデートを必要としな
い。必要ならば自宅でも作業を続けられる
市中にJavaScript関連の書籍や情報が大量に存在する。また豊富なサ
ンプルを提供元が公開している
所有するスマホの種類を問わず動作確認ができる
9
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
・より本格的なチーム開発(含PBL)
・より高度なアプリケーション開発
在学3年間での到達イメージ
・単なる情報消費者としてスマホ等を利用
昨今、アプリケー
ションフレームワーク
とスケルトンを出発点
として、そこに必要な
機能を付加する形で
のプログラミングが主
流となりつつある
これにならい、この
取り組みでも「ひな
形」に手を加える手法
で、学年が進むごとに
プログラミングスキル
の幅を広げていく
・Webサーバアクセス
・データベース利用
・進んだDOMオブジェクト操作
・進んだデータ構造 (多次元配列など)
・基本的なオブジェクトの概念
・基本的なDOMオブジェクト操作
・基本的な制御構造
・基本的なデータ構造
・簡単なGUI操作
プログラミング
スキル
の幅
1
学
年
2
学
年
3
学
年
卒
業
後
入
学
前
10
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
改変の方向性に関する暗黙的誘導
改変の方向性は生徒に任せるが、全ての生徒が自らの自由な
発想で改変を進められるわけではない。そこで、改変の方向性
を一定程度に誘導するようサンプルを選択している。
画面上に視覚的オブジェクトが
列挙されているサンプル
同種処理の追加や
ループを学ばせたい!
大きめの画像がオブジェクトや
背景に含まれるサンプル
画像の読み込みや背景
透明化を学ばせたい!
クイズなどが順次出題されるサンプル乱数を学ばせたい!
11
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
授業の進め方
実習等の授業時間を使い、「ひな形」に手を加えていく手法
でスマホアプリ開発を行った
平成27年度は電気情報科 情報技術コースの3年生、平成
28年度は同コースの2年生と3年生を対象とした
ひな形の内容によるが、ある時は、4時間の作業時間を設
定し、そのうち3時間でベースとなるプログラムを完成させ、
残り時間で好きなように拡張させた
質問に対し教員はヒントのみを与えた。分からない点は生
徒同士で情報共有をしあいピアサポートをさせた
最後に教員とプログラムを共有することで提出とした。これ
に加えて、感想や考察を記述したレポートを提出させた
12
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
学習に対する効果: 生徒の振舞い
【 客観的な反応 】
スマホで動く様子を見て歓喜の声を発していた
生徒間で情報共有を積極的に行っていた
課題の枠を超えて自発的に改良や機能追加を続けた
Webで改良方法を調べてアプリに取り込むようになった
こんなプログラムを作りたいと自ら要望するようになった
ソースコードの修正と実行を試行錯誤する回数が増えた
改良の必要に迫られ新たに獲得する知識が増えた
【 以前と大きく変わった点 】
13
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
学習に対する効果: ソースコード改変量
どれくらい意欲的に改良や機能追加をしたかを数値化するた
め、初期状態のソースコードと、改良後のソースコードを比較
し、その改変量を手計算したところ、次のような結果となった。
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
生徒A 生徒B 生徒C 生徒D 生徒E 生徒F 生徒G 生徒H 生徒I
【対象アプリ】
画面上に3つの宝箱を表示し、そのうち
の1つを乱数で選択しておき、利用者が
それをタッチしたときに宝物の画像を表
示する
【測定条件】
ベースアプリの動作説明を行った後、改
良は加点する旨を伝えインセンティブを
与えてから、ベースアプリのプロジェクト
生成と任意で追加的な改良を行わせた
改変量に関する、より定量的なメトリクスとして、初期状態と改良後のソース
コードからレーベンシュタイン距離を算出するツールを開発し試用中である
平成28年度の3年生
14
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
成果物の外部評価(1)
授業で作成したものに第三者評
価を受けることは稀だが、この取
り組みでは作成した成果物で出
来の良いものはGoogle Playや
AppStore(予定)に登録し、第三
者評価を受けている
生徒は第三者からの評価を通し
て、解決すべきバグはあるか、何
が求められているかを知ることが
できる。これが面白さにつながる
Google Playでのユーザコメント
Google Playに昨年登録したものは、1,098回インストールされ、4.78の評価点となっている。また今年登
録したものは、177回インストールされ、5.0の評価点となっている (いずれも2017/03/09現在)
15
Google および Google ロゴは Google Inc. の登録商標であり、同社の許可
を得て使用しています
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
成果物の外部評価(2)
ある生徒グループが作成したア
プリを沖縄県主催の催しに応募
したところ、高校、専門学校、高
専、大学が対象の部門で最優秀
賞を受賞した。一連の活動は地
元を中心にマスコミでも取り上げ
られた
このような外部からもたらされる
肯定的な評価は、生徒の自己肯
定感につながっている
右は2015年1月9日の宮古新報の紙面。このほか、県内紙、
県広報TV番組、アプリ紹介サイトなどでも紹介された
16
宮古新報 2015年1月9日の紙面
地元紙での紹介例
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
多様性のある授業展開
生徒が興味を持てる環境や手段を用意する以外に、外部
の人材を招いての授業や支援を行い、多様性のある授業
展開を実現した
本取り組みでは、各方面の有識者による出前講座を活用し
た。 Monacaの採用がこのような手法を行いやすくした側面
はある
地域には隠れた人材がおり、それらの外部リソースと連携
することで、情報技術の分野の生きた技術を授業に取り入
れ、また、平素からきめ細やかな技術的なディスカッション
を行っている。これを可能とする背景には地元自治体がテ
レワークに力を入れているという点が挙げられる
17
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
沖縄県における取り組みとの関係
この取り組みが基となり、沖縄県立総合教育センター産業
教育班の主催で、工業高校等の教員を対象とする産業支
援講座(初級編)を平成28年度に3回実施した
平成29年度からは、上記講座の中級編に相当するものが
夏季短期研修に組み込まれる見通しである
プログラミング教育のあるべき姿に頭を悩ませる教員は多
く、1つの方法論としてこの取り組みに注目し、試行する県
内高校の教員が増えていると聞いている
18
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
明らかになった課題: 取組みの継続性
この取り組みを継続する上での課題として、次のような点が明
らかとなった。この背景には、県立高校の教員が3年または5
年程度を周期として転任するという現状がある(離島地区は2
年で異動の可能性あり)。
後任指導者の育成
指導者転任の影響を軽減するための地域との関わり
出前講座の活用
19
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
明らかになった課題: 学習環境の最適化
Monacaはプランによって、プロジェクト共有機能(課題の提
出に利用)の利用可否、最大プロジェクト数などに制限があ
る。実習の進め方や、出題する課題の総数などを勘案し
て、どのプランを用いるべきか事前検討を行う必要がある
学校によっては校内でのスマートフォン利用を校則で禁止
していることがあり(本校もこれに該当する)、授業で使用す
るにしても、他職員の理解を得る必要がある
大部分の生徒がスマートフォンを所有しているが、所有して
いない生徒も当然おり、彼らのケアが欠かせない。本取組
みでは学校の端末を貸し出して対応した。また統合開発環
境のシミュレータでも確認できる
20
ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」,
ISECON2016, 2017.3.11
今後の展開
生徒がより多くのプログラムパターンに触れられるよう、ア
プリのバリエーションを増やしたい。また「在学3年間の到達
イメージ」に近づけるよう1年生にも本格導入したい
取組みの継続には指導者育成が不可欠である。また本取
組みは地域とのつながりが欠かせない。そこで、地域連
携、産学連携の強化に向けて、中長期的な展望を持つ、産
学連携のプロジェクトを立ち上げたい
開発や維持の工程でも地域との連携を強化し、既存アプリ
のブラッシュアップ(語彙追加)や、アプリ種類を増やしたい
Up-to-dateなキャリア教育を行う観点から、各種通信ツール
を活用して、遠近問わず多くの企業と交流を持ちたい
21

Weitere ähnliche Inhalte

Ähnlich wie 産学連携による実践的プログラミング教育

目指したいプログラミング教育
目指したいプログラミング教育目指したいプログラミング教育
目指したいプログラミング教育Naoki Kato
 
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」Infosign, Inc.
 
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4Oishi Yuichi
 
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さん
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さんAPI MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さん
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さんNihei Tsukasa
 
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育情報処理学会 情報システム教育委員会
 
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話Takanori Kawahara
 
低学年でのプログラミング教育/honcho3
低学年でのプログラミング教育/honcho3低学年でのプログラミング教育/honcho3
低学年でのプログラミング教育/honcho3Naoki Kato
 
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料Yuta Tonegawa
 
Java kuche agile japan 2017
Java kuche agile japan 2017Java kuche agile japan 2017
Java kuche agile japan 2017Akichika Higa
 
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担Kenichi Inoue
 
バリューハッカソン@八王子
バリューハッカソン@八王子バリューハッカソン@八王子
バリューハッカソン@八王子Yuichi Terada
 
A07  角田研究室7 板垣百華
A07  角田研究室7 板垣百華A07  角田研究室7 板垣百華
A07  角田研究室7 板垣百華aomorisix
 
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価 ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価 abemanabu
 
Ioddプレイベント資料 岐阜県
Ioddプレイベント資料 岐阜県Ioddプレイベント資料 岐阜県
Ioddプレイベント資料 岐阜県okfjevent
 

Ähnlich wie 産学連携による実践的プログラミング教育 (20)

社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案
社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案
社会システムの分解と理解で学ぶ教育手法「ReBaLe」の提案
 
サイエンスとプログラミングを 合わせた小中学生向け教育の実践
サイエンスとプログラミングを 合わせた小中学生向け教育の実践サイエンスとプログラミングを 合わせた小中学生向け教育の実践
サイエンスとプログラミングを 合わせた小中学生向け教育の実践
 
職種研究ワークショップを通したIT人材育成の取組み
職種研究ワークショップを通したIT人材育成の取組み職種研究ワークショップを通したIT人材育成の取組み
職種研究ワークショップを通したIT人材育成の取組み
 
大学における地域連携型社会実装PBLのカリキュラムデザイン
大学における地域連携型社会実装PBLのカリキュラムデザイン大学における地域連携型社会実装PBLのカリキュラムデザイン
大学における地域連携型社会実装PBLのカリキュラムデザイン
 
システム開発プロセスの実践的学修
システム開発プロセスの実践的学修システム開発プロセスの実践的学修
システム開発プロセスの実践的学修
 
目指したいプログラミング教育
目指したいプログラミング教育目指したいプログラミング教育
目指したいプログラミング教育
 
さくらの学校支援プロジェクト PyCon mini Sapporo 2019
さくらの学校支援プロジェクト PyCon mini Sapporo 2019さくらの学校支援プロジェクト PyCon mini Sapporo 2019
さくらの学校支援プロジェクト PyCon mini Sapporo 2019
 
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」
「まずデータをためましょう ~ ラーニングアナリティクスに必要なことと最新動向~」
 
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4
副業推奨とオープンソース @ 俺聞け4
 
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さん
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さんAPI MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さん
API MeetUp Online#8 セッション3 ツクレル馬場さん
 
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育
卒業生・企業人・教員のチームティーチングによる実践的ICT人材育成教育
 
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話
[CTO of the year 2018] Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット、1年で大手塾の2割に導入するまで至った話
 
低学年でのプログラミング教育/honcho3
低学年でのプログラミング教育/honcho3低学年でのプログラミング教育/honcho3
低学年でのプログラミング教育/honcho3
 
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料
小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第1回) みんなのコード 発表資料
 
Java kuche agile japan 2017
Java kuche agile japan 2017Java kuche agile japan 2017
Java kuche agile japan 2017
 
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担
Watson IoTとIBM DSXでWatsonと役割分担
 
バリューハッカソン@八王子
バリューハッカソン@八王子バリューハッカソン@八王子
バリューハッカソン@八王子
 
A07  角田研究室7 板垣百華
A07  角田研究室7 板垣百華A07  角田研究室7 板垣百華
A07  角田研究室7 板垣百華
 
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価 ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価
ゲーム機でのネット接続を題材とした情報モラル授業の開発と評価
 
Ioddプレイベント資料 岐阜県
Ioddプレイベント資料 岐阜県Ioddプレイベント資料 岐阜県
Ioddプレイベント資料 岐阜県
 

Mehr von 情報処理学会 情報システム教育委員会

社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践
社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践
社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践情報処理学会 情報システム教育委員会
 
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価情報処理学会 情報システム教育委員会
 

Mehr von 情報処理学会 情報システム教育委員会 (10)

PCに依存しない幼児・低学年の プログラミング教育カリキュラム
PCに依存しない幼児・低学年の プログラミング教育カリキュラムPCに依存しない幼児・低学年の プログラミング教育カリキュラム
PCに依存しない幼児・低学年の プログラミング教育カリキュラム
 
ゲームを用いた疑似体験によるシステムデザインの導入教育
ゲームを用いた疑似体験によるシステムデザインの導入教育ゲームを用いた疑似体験によるシステムデザインの導入教育
ゲームを用いた疑似体験によるシステムデザインの導入教育
 
簡易的IoTプロトタイプ構築を通したSTEAM教育講座の開発
簡易的IoTプロトタイプ構築を通したSTEAM教育講座の開発簡易的IoTプロトタイプ構築を通したSTEAM教育講座の開発
簡易的IoTプロトタイプ構築を通したSTEAM教育講座の開発
 
プログラミングロボットを用いたオンライン併用型の協調学習実践
プログラミングロボットを用いたオンライン併用型の協調学習実践プログラミングロボットを用いたオンライン併用型の協調学習実践
プログラミングロボットを用いたオンライン併用型の協調学習実践
 
遠隔演習環境の開発と運用を通したプログラミング教育の改革
遠隔演習環境の開発と運用を通したプログラミング教育の改革遠隔演習環境の開発と運用を通したプログラミング教育の改革
遠隔演習環境の開発と運用を通したプログラミング教育の改革
 
オープンデータ観光アプリ開発を題材とした発展的多学年PBL
オープンデータ観光アプリ開発を題材とした発展的多学年PBL オープンデータ観光アプリ開発を題材とした発展的多学年PBL
オープンデータ観光アプリ開発を題材とした発展的多学年PBL
 
社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践
社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践
社会人向けサイバーセキュリティ講座「セキュアシステム設計・開発」の実践
 
1人1台情報端末時代に向けた小学校英語教材オンライン化の取組
1人1台情報端末時代に向けた小学校英語教材オンライン化の取組1人1台情報端末時代に向けた小学校英語教材オンライン化の取組
1人1台情報端末時代に向けた小学校英語教材オンライン化の取組
 
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価
企業と連携した情報システム企画の実践的教育取り組み、改善とその評価
 
アルゴリズムのハードウェア化から学ぶ問題解決教育プログラム
アルゴリズムのハードウェア化から学ぶ問題解決教育プログラムアルゴリズムのハードウェア化から学ぶ問題解決教育プログラム
アルゴリズムのハードウェア化から学ぶ問題解決教育プログラム
 

Kürzlich hochgeladen

UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScript
UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScriptUniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScript
UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScriptyuitoakatsukijp
 
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料Takayuki Itoh
 
TokyoTechGraduateExaminationPresentation
TokyoTechGraduateExaminationPresentationTokyoTechGraduateExaminationPresentation
TokyoTechGraduateExaminationPresentationYukiTerazawa
 
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024The_Five_Books_Overview_Presentation_2024
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024koheioishi1
 
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2Tokyo Institute of Technology
 
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学ssusere0a682
 
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学ssusere0a682
 

Kürzlich hochgeladen (7)

UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScript
UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScriptUniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScript
UniProject Workshop Make a Discord Bot with JavaScript
 
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料
生成AIの回答内容の修正を課題としたレポートについて:お茶の水女子大学「授業・研究における生成系AIの活用事例」での講演資料
 
TokyoTechGraduateExaminationPresentation
TokyoTechGraduateExaminationPresentationTokyoTechGraduateExaminationPresentation
TokyoTechGraduateExaminationPresentation
 
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024The_Five_Books_Overview_Presentation_2024
The_Five_Books_Overview_Presentation_2024
 
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2
東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 大学院入学入試・進学説明会2024_v2
 
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習105 -n人囚人のジレンマモデル- #ゲーム理論 #gametheory #数学
 
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学
ゲーム理論 BASIC 演習106 -価格の交渉ゲーム-#ゲーム理論 #gametheory #数学
 

産学連携による実践的プログラミング教育

  • 1. 産学連携による 実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~ 友利 悟 (沖縄県立宮古工業高等学校) 岡本 雄樹 (アシアル株式会社) 福永 勇二 (有限会社インタラクティブリサーチ) 2017/3/11 本資料はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 ISECON2016
  • 2. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 本資料は、一般社団法人 情報処理学会 情報処理教育委 員会 情報システム教育委員会主催による第9回情報シス テム教育コンテスト(ISECON2016)の本審査用資料を元に 再編集されたものです。 本資料(友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実 践 的 プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 ~ ス マ ホ ア プ リ 開 発 ~ 」 , ISECON2016, 2017.3.11)は、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 2 本資料について
  • 3. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 基本情報 主な対象 高校生 (中学生から大学生まで適用できる) 教育目標 実践的な手法を用い、スマホアプリという生徒にとってなじみのある 成果物を生み出すことで、プログラミングに対する苦手意識を解消す る。また、自ら試行錯誤する経験を通じ、ソフトウエアの機能や品質を 高めることへの知的好奇心を呼び起こす。そして、これら一連のポジ ティブな体験から、プログラミング全体への興味や関心を持たせ、自 己肯定感を高める。 特徴 ・自己完結型での幅広いソフトウエア開発工程の学習 ・授業環境を選ばないブラウザベースの統合開発環境の活用 ・出前授業や地域人材など外部リソースによる支援 概要 工業高校でのプログラミングの授業にスマホアプリ開発を導入し、生 徒が自分の手で完成形の成果物を作り出す取り組みを行っている。 PCの構成変更に制限がある校内環境に適応できるよう、開発環境に はブラウザベースの統合開発環境(Monaca)を用いる。授業には、出 前授業や地域人材などの外部リソースを積極的に活用し、高校と地 域のつながりを高めると共に、校内だけに閉じることなく、一緒にキャ リア教育を考える体制づくりを進めている。 3
  • 4. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 高校におけるソフトウエア教育の現状 実習も行うが、基本的には座学中心である。そのためプロ グラムの流れをイメージし、把握することが難しい 授業は学習指導要領に沿って進める 教科書や検定問題にはC言語が多く使われており、言語に 対する現場の選択肢は少ない。データ構造やアルゴリズム を時間をかけて学ぶのにC言語は好適と考えるが、その一 方で、素のままでは入出力がCUIに限定され、多くの生徒の 目には無味乾燥で退屈な構文の勉強に映る 授業時間がそもそも少ない。 1コマ50分で週に2コマが基 本だが、行事等もあり年間70時間を確保することが難しい 大学ではPBL導入が活発だが高校では稀 4
  • 5. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 生徒の素性と適性 普通高校志向が強い地域性から、基礎学力が高い生徒は 普通高校に入学することが多い。本校への入学者希望者 は、基礎学力に難がある生徒が多いのが現状である 前項のような事情から、目的意識を持たず入学した生徒が 多く本人たちはギャップで苦労している。同様の理由で、生 徒の学力差は大きく、理解度に差が生じている 情報生産者になる意識が薄く、単なる1人の情報消費者と してコンピュータやスマートフォンを使っている 大学と同様のソフトウエア教育を行おうとしてもうまくいかない。 ソフトウエア工学を学ぶ前段階として、ソフトウエアに目を向け 興味を持たせる必要がある 5
  • 6. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 どうすれば興味を持てるか? "知っているゲームのように キャラクターを動かせない" "演習をやっても文字しか 表示されず惹かれない" "座学ばかりでつまらない" "プログラムがどんなものか イメージできない" 生徒たちがよく知っているアプリ のイメージ、つまりGUIベースの 開発・実行環境を用いる 演習を中心として、自分で 手を動かしてプログラミングを 楽しめるようにする フレームワークやサンプルに 改良を加えながら、部分から 全体に視野を広げさせる 6
  • 7. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 知的好奇心を刺激するループの形成 知的好奇心 を刺激 授業の一環としてスマートフォンアプリを開発し、 出来のよいものは一般公開する取り組みを実施 ”面白そう” 手を動かして作ってみる もっとやってみたくなる 思ったとおり動く 7
  • 8. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 開発環境を選択するにあたっての方針 構造化やオブジェクトの概念を 持つ平易な言語が使えること Android(Java)、iOS(Objective-C) ともに、ネイティブの開発言語や クラスライブラリは、知識がない 生徒の手には負えない 統合開発環境を備えていること エディタ、コンパイラ、シミュレータ などを、コマンドラインで使い分け ながら開発を進めさせるのは困難 複雑なインストールが不要なこと 構成変更への制限が厳しい 学内PCでも手間なく使用できる ことが望ましい 8
  • 9. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 適用したツール 条件を満たす開発環境を探した結果、次のような点を評価し、 アシアル株式会社が提供するMonacaを選択した。 JavaScriptとDOMモデルを用いて記述したプログラムから、Android、iOS、 Windows、Chromeのアプリを生成できる 統合開発環境がクラウドサービスとして提供されており、ブラウザだけ で利用できる。言語処理系のインストールやアップデートを必要としな い。必要ならば自宅でも作業を続けられる 市中にJavaScript関連の書籍や情報が大量に存在する。また豊富なサ ンプルを提供元が公開している 所有するスマホの種類を問わず動作確認ができる 9
  • 10. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 ・より本格的なチーム開発(含PBL) ・より高度なアプリケーション開発 在学3年間での到達イメージ ・単なる情報消費者としてスマホ等を利用 昨今、アプリケー ションフレームワーク とスケルトンを出発点 として、そこに必要な 機能を付加する形で のプログラミングが主 流となりつつある これにならい、この 取り組みでも「ひな 形」に手を加える手法 で、学年が進むごとに プログラミングスキル の幅を広げていく ・Webサーバアクセス ・データベース利用 ・進んだDOMオブジェクト操作 ・進んだデータ構造 (多次元配列など) ・基本的なオブジェクトの概念 ・基本的なDOMオブジェクト操作 ・基本的な制御構造 ・基本的なデータ構造 ・簡単なGUI操作 プログラミング スキル の幅 1 学 年 2 学 年 3 学 年 卒 業 後 入 学 前 10
  • 11. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 改変の方向性に関する暗黙的誘導 改変の方向性は生徒に任せるが、全ての生徒が自らの自由な 発想で改変を進められるわけではない。そこで、改変の方向性 を一定程度に誘導するようサンプルを選択している。 画面上に視覚的オブジェクトが 列挙されているサンプル 同種処理の追加や ループを学ばせたい! 大きめの画像がオブジェクトや 背景に含まれるサンプル 画像の読み込みや背景 透明化を学ばせたい! クイズなどが順次出題されるサンプル乱数を学ばせたい! 11
  • 12. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 授業の進め方 実習等の授業時間を使い、「ひな形」に手を加えていく手法 でスマホアプリ開発を行った 平成27年度は電気情報科 情報技術コースの3年生、平成 28年度は同コースの2年生と3年生を対象とした ひな形の内容によるが、ある時は、4時間の作業時間を設 定し、そのうち3時間でベースとなるプログラムを完成させ、 残り時間で好きなように拡張させた 質問に対し教員はヒントのみを与えた。分からない点は生 徒同士で情報共有をしあいピアサポートをさせた 最後に教員とプログラムを共有することで提出とした。これ に加えて、感想や考察を記述したレポートを提出させた 12
  • 13. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 学習に対する効果: 生徒の振舞い 【 客観的な反応 】 スマホで動く様子を見て歓喜の声を発していた 生徒間で情報共有を積極的に行っていた 課題の枠を超えて自発的に改良や機能追加を続けた Webで改良方法を調べてアプリに取り込むようになった こんなプログラムを作りたいと自ら要望するようになった ソースコードの修正と実行を試行錯誤する回数が増えた 改良の必要に迫られ新たに獲得する知識が増えた 【 以前と大きく変わった点 】 13
  • 14. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 学習に対する効果: ソースコード改変量 どれくらい意欲的に改良や機能追加をしたかを数値化するた め、初期状態のソースコードと、改良後のソースコードを比較 し、その改変量を手計算したところ、次のような結果となった。 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 生徒A 生徒B 生徒C 生徒D 生徒E 生徒F 生徒G 生徒H 生徒I 【対象アプリ】 画面上に3つの宝箱を表示し、そのうち の1つを乱数で選択しておき、利用者が それをタッチしたときに宝物の画像を表 示する 【測定条件】 ベースアプリの動作説明を行った後、改 良は加点する旨を伝えインセンティブを 与えてから、ベースアプリのプロジェクト 生成と任意で追加的な改良を行わせた 改変量に関する、より定量的なメトリクスとして、初期状態と改良後のソース コードからレーベンシュタイン距離を算出するツールを開発し試用中である 平成28年度の3年生 14
  • 15. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 成果物の外部評価(1) 授業で作成したものに第三者評 価を受けることは稀だが、この取 り組みでは作成した成果物で出 来の良いものはGoogle Playや AppStore(予定)に登録し、第三 者評価を受けている 生徒は第三者からの評価を通し て、解決すべきバグはあるか、何 が求められているかを知ることが できる。これが面白さにつながる Google Playでのユーザコメント Google Playに昨年登録したものは、1,098回インストールされ、4.78の評価点となっている。また今年登 録したものは、177回インストールされ、5.0の評価点となっている (いずれも2017/03/09現在) 15 Google および Google ロゴは Google Inc. の登録商標であり、同社の許可 を得て使用しています
  • 16. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 成果物の外部評価(2) ある生徒グループが作成したア プリを沖縄県主催の催しに応募 したところ、高校、専門学校、高 専、大学が対象の部門で最優秀 賞を受賞した。一連の活動は地 元を中心にマスコミでも取り上げ られた このような外部からもたらされる 肯定的な評価は、生徒の自己肯 定感につながっている 右は2015年1月9日の宮古新報の紙面。このほか、県内紙、 県広報TV番組、アプリ紹介サイトなどでも紹介された 16 宮古新報 2015年1月9日の紙面 地元紙での紹介例
  • 17. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 多様性のある授業展開 生徒が興味を持てる環境や手段を用意する以外に、外部 の人材を招いての授業や支援を行い、多様性のある授業 展開を実現した 本取り組みでは、各方面の有識者による出前講座を活用し た。 Monacaの採用がこのような手法を行いやすくした側面 はある 地域には隠れた人材がおり、それらの外部リソースと連携 することで、情報技術の分野の生きた技術を授業に取り入 れ、また、平素からきめ細やかな技術的なディスカッション を行っている。これを可能とする背景には地元自治体がテ レワークに力を入れているという点が挙げられる 17
  • 18. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 沖縄県における取り組みとの関係 この取り組みが基となり、沖縄県立総合教育センター産業 教育班の主催で、工業高校等の教員を対象とする産業支 援講座(初級編)を平成28年度に3回実施した 平成29年度からは、上記講座の中級編に相当するものが 夏季短期研修に組み込まれる見通しである プログラミング教育のあるべき姿に頭を悩ませる教員は多 く、1つの方法論としてこの取り組みに注目し、試行する県 内高校の教員が増えていると聞いている 18
  • 19. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 明らかになった課題: 取組みの継続性 この取り組みを継続する上での課題として、次のような点が明 らかとなった。この背景には、県立高校の教員が3年または5 年程度を周期として転任するという現状がある(離島地区は2 年で異動の可能性あり)。 後任指導者の育成 指導者転任の影響を軽減するための地域との関わり 出前講座の活用 19
  • 20. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 明らかになった課題: 学習環境の最適化 Monacaはプランによって、プロジェクト共有機能(課題の提 出に利用)の利用可否、最大プロジェクト数などに制限があ る。実習の進め方や、出題する課題の総数などを勘案し て、どのプランを用いるべきか事前検討を行う必要がある 学校によっては校内でのスマートフォン利用を校則で禁止 していることがあり(本校もこれに該当する)、授業で使用す るにしても、他職員の理解を得る必要がある 大部分の生徒がスマートフォンを所有しているが、所有して いない生徒も当然おり、彼らのケアが欠かせない。本取組 みでは学校の端末を貸し出して対応した。また統合開発環 境のシミュレータでも確認できる 20
  • 21. ISECON2016 友利悟, 岡本雄樹, 福永勇二, 「産学連携による実践的プログラミング教育 ~スマホアプリ開発~」, ISECON2016, 2017.3.11 今後の展開 生徒がより多くのプログラムパターンに触れられるよう、ア プリのバリエーションを増やしたい。また「在学3年間の到達 イメージ」に近づけるよう1年生にも本格導入したい 取組みの継続には指導者育成が不可欠である。また本取 組みは地域とのつながりが欠かせない。そこで、地域連 携、産学連携の強化に向けて、中長期的な展望を持つ、産 学連携のプロジェクトを立ち上げたい 開発や維持の工程でも地域との連携を強化し、既存アプリ のブラッシュアップ(語彙追加)や、アプリ種類を増やしたい Up-to-dateなキャリア教育を行う観点から、各種通信ツール を活用して、遠近問わず多くの企業と交流を持ちたい 21