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深層学習よもやま話
~DL的思考~
3/23, 2018
Preferred Networks, 丸山 宏
DLL 勉強会
 普通のIT技術者から見ると
– 「DLはなんか違うぞ」
– DL的思考って何?
 今日のテーマ
– データがあればDLができるのか?
– DLをシステムに組み込むには?
– ハイパーパラメターをどのように選ぶか?
2
深層学習って何だったっけ?
 関数(プログラム)の作り方
– 演繹でなくて帰納
– つまり、モデルフリー
 モデルやアルゴリズムがわからなくても、訓練データセットさえあれ
ば作れる
– 教師信号の与え方次第で、驚くようなことが…
 本質的に統計モデリング
– 元分布が独立・同分布であることが前提
– 近似しかできない(バイアスが入ることを避けられない)
3
1.データがあれば深層機械学習ができるのか?
人工知能 = ビッグデータ??
「我が社にはビッグデータがあるので、これで人工知能を作って欲しい」
4
1. そのデータ、独立・同分布ですか?
(バイアスはありませんか?)
2. 教師信号はありますか?
5
統計的機械学習の本質的仮定
元分布 訓練データ
学習済みモデル
独立・同分布
(i.i.d.)
別分布データを混ぜないで!
6
教師信号の工夫
 人手によるアノテーション
 逆問題としての定式化
 シミュレーションによるフィードバック
7
8
教師信号の与え方:人手による正解アノテーション(1)
音声によるロボットのコントロール
9
教師信号の与え方:人手による正解アノテーション(2)
Consumer Electronics Show (CES) 2016
CESにおける自動運転デモ
教師信号の与え方:強化学習によるフィードバック
線画への自動着色アプリPaintsChainer
教師信号の与え方:逆問題として定式化
深層学習のためのデータ設計
 バイアスを補正できる情報を同時に記録する
– 最初に同じ対象を観測する、など
 教師信号(に代わるもの)を同時に設計する
– アノテーション、逆問題、シミュレーション …
– アイディア次第で驚くようなことが。。。
12
ITシステムの中に
どのようにDLを組み込むか?
13
14
モデルベース開発か、モデルフリー開発か?
モデルベース開発
(演繹的)
モデルフリー開発
(帰納的)
• モデルがよく知られている
• アルゴリズムが構成できる
• 常に正確な解を必要とする
• 教師信号がない
• モデルが不明
• アルゴリズムが不明
• 近似解で構わない
• 教師信号が得られる
適材適所
確率的に出てきてしまう「あってはならない解」をどのよう
に排除するか
15
 ポリシー・モジュールで、不適切な解をフィルタする
 DL出力(Rn空間の点)を、実行可能空間にマップする
 実行可能空間を探索するプログラムのオラクルとしてDLを使う
DLモジュール
ポリシーモ
ジュール
教師信号
DLモジュール
空
間
変
換
教師信号
16
AlphaGoは木探索とDLの融合
Silver, David, et al. "Mastering the game of Go with deep neural networks and tree
search." nature 529.7587 (2016): 484-489.
17
実行可能解を、非決定的探索問題の解として定式化し、探索
オラクルとしてDLを使う
探索オラクル
NP困難問題に対する新しいアーキテクチャ・パターン
ハイパーパラメターの与え方(丸山流)
 ネットワーク構造
– まずは黙ってMLP!
– 格子構造だったらCNN (Chainer CV)
– 時系列だったらRNN
– グラフ構造だったらGraph CNN (Chainer Chemistry)
 サンプルコードのマジックナンバーは基本いじらない
– バッチサイズ、学習率、…
 学習曲線を見て、汎化誤差が大きくなりはじめたら止める
18
例:指の振動から個人を特定(名工大田中先生の例)
Hiroshi Maruyama19
これは誰の指か?
4,301次元の入力
0, 1, 2, …, 9 を判別
100サンプル✕10名の振動データ
Hiroshi Maruyama20
5,000ノード
10通り
4,301次元の入力
5,000ノード
4層、中間ノード5,000のパーセプトロンで学習
40秒ほどの学習で、45%くらいの精度
終わりに:機械学習工学研究会シンポジウム (5/17)
21
ストリーミングのための予算が不足し
ています。スポンサーお願いします!
22
Thank You

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