Abstract sakamoto
- 1. 複雑系工学講座・寄附講座 卒業論文 (2006 年 2 月 16 日)
デジタルコンテンツ市場のゲーム理論的考察に関する基礎研究
複雑系工学講座 調和系研究室 学部4年 坂本大憲
A Game Theoretic Approach for
Digital Contents Market
Research Group of Complex Systems Engineering
Laboratory of Harmonious Systems Engineering
BC4 Hironori Sakamoto
概要
近年インターネットやパソコン,携帯オーディオ機器等の普及に伴い,デジ
タルコンテンツ市場が発展している.デジタルコンテンツの利点として,流通
やパッケージングにコストがかからないこと,またオリジナルと遜色のないコ
ピーを容易に作成できるといったこと等が挙げられる.一方,その利点のため
に,違法にコピーされたコンテンツが流通するという問題が深刻化している.
そこで,本研究ではコピーが容認されるデジタルコンテンツ市場を提案し,
その市場の性質について考察する.特に,デジタルコンテンツの作成者である
クリエイタとその利用者であるコンシューマの取引に着目した市場モデルを構
築し,論理的に社会構造を明らかにする上で有効な方法の一つであるゲーム理
論を用いて考察した.
結果として,1人のクリエイタと1人のコンシューマとの取引では,クリエ
イタはデジタルコンテンツを発表し,コンシューマはそれに対し任意の対価を
払う状況の方がパレート最適であるにもかかわらず,お互いが取引を行わない
ことがナッシュ均衡に陥ることが導かれた.また,1人のクリエイタと複数人
のコンシューマとの取引においても考察した結果,同様にナッシュ均衡に陥る
ことが導かれた.