SlideShare ist ein Scribd-Unternehmen logo
1 von 24
Downloaden Sie, um offline zu lesen
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
ITフォーラム2023
ウェルビーイングを実現する
『空気を読む家』
コンテキスト・コンピューティング グループ
飯沢篤志 (リコーITソリューションズ)
技術視点でウェルビーイングを考える
2
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
アジェンダ
1. 「ウェルビーイング」について
2. 「空気を読む家」のウェルビーイング
3. ウェルビーイングの「見える化」
4. メタバースの活用
3
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「ウェルビーイング」について
• WHOの定義
– 「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、
単に疾病又は病弱の存在しないことではない」
– 「良好な状態」 = ウェルビーイング
• SDGs 3番目: 「すべての人に健康と福祉を」
GOOD HEALTH AND WELL-BEING
• ウェルビーイングの質的な分類
1. 医学的なウェルビーイング
心身が機能的に不全でないこと。健康診断や質問表によって測ることができる
2. 快楽主義的ウェルビーイング
気持ちいいといった一時的な感情。アンケートや、身体の変化で測ることができる
3. 持続的ウェルビーイング
心身の潜在能力を発揮し、意義を感じている「いきいきとした状態」
= フラーリシング(flourishing):「開花」
2022/12/21
4
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「ウェルビーイング」について
• ウェルビーイングの5つの要素
(ポジティブ心理学 マーティン・セリグマン博士)
– P:Positive emotion/ポジティブ感情 嬉しい、面白い、楽しい、感動、感激、感謝、
希望・・・
– E:Engagement/物事への積極的な関わり 没頭、没入、夢中、熱中・・・
– R:Relationship/他者とのよい関係 援助、協力、意思疎通・・・
– M:Meaning/人生の意義の自覚 人生の意義、社会貢献、利他行為、宗教・・・
– A : Accomplishment/達成感 達成、成果、自己効力感・・・
• 幸せの4つの因子 (前野隆司 教授)
第1因子 「やってみよう」 (自己実現と成長の因子)
第2因子 「ありがとう」 (つながりと感謝の因子)
第3因子 「なんとかなる!」 (前向きと楽観の因子)
第4因子 「ありのままに!」 (独立とあなたらしさの因子)
2022/12/21
5
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
矢野和男さんの講演*から
* 2022/12/6 第192回RITS技術交流会
『ウエルビーイングな人生と仕事、そして企業』
6
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
矢野和男さん「H-CONNECT」
用事のない人の間に、いかにつながりをつくるか?
7
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
矢野和男さんの講演*から
* 2022/12/6 第192回RITS技術交流会
『ウエルビーイングな人生と仕事、そして企業』
8
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
The Matrix
9
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
検討すべきウェルビーイング因子
自己 ポジティブ感情
動機づけ&没頭
自己への気づき
マインドフルネス
心理的抵抗力・回復力
社会的 感謝
共感
超越的 思いやり
利他的行動
イントラパーソナル
(個人内)
インターパーソナル
(個人間)
エクストラパーソナル
(超個人) ラファエル・Aカルヴォ
ドリアン・ピーターズ
10
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
ウェルビーイングを統合する
デザインのアプローチ
予防的 ウェルビーイングの損失に対処するための、
あるいは損失を防ぐためのデザイン
積極的 ウェルビーイングの要因や人間の潜在能力の開花を
積極的に向上するデザイン
特化型 ウェルビーイングおよび(または)人間の潜在能力を
何らかの方法で向上させるという目的に特化した
新しいテクノロジーを構築
11
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
自己決定論
by リチャード・ライアン、エドワード・デシ
モチベーション(やる気)の源泉
• 自律性:自分の活動の結果は自分の意図によるという意識
• 有能性:自分には課題を解決する能力があるという自信
• 関係性:安心感、他の人とのつながり
ウェルビーイングには、
人間の自律性(自分で決定しているという意識)が重要
12
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
よい介入
• 「よい介入」とは
– 個別性への配慮
• 要因を一般化し過ぎてはいけない
• 重要度は個人によって、また時期によって異なる
– 自律性への配慮 ⇒内省フィードバック、ナッジ、ゲーミフィケーション
• ウェルビーイングは与えられるものではない
• 選択肢を提示するなど、一定の自律性を担保する
– 潜在性への配慮
• 人間の意思決定は速い意思決定と遅い意思決定の二つのシステムがある
• 潜在的には存在していたが自覚されていなかった速い意思決定システムからの情報を拾う
– 共同性への配慮
• 集団や組織ならではの介入
• 参加者全員がウェルビーイングとなるよう調整された一つのエコシステムを実現する
– 親和性への配慮
• 衝動的な興奮は快楽追及になるため、平穏や思いやり、愛といった親和的な感情をもたらす
• 自身への気づきや環境との新しい関係性の発見など
– 持続性への配慮
• 目標達成の手段が目的化することを避ける
12
「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために」渡邊ら,2020
13
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「空気を読む家」とは何か
14
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「空気を読む家」とは何か
• 目的
– 「私たちに必要なことを考え」、「それを実現する家」
• 私たち(住人を想定)の志向や明示的・非明示的な望みを推定 ー 空気を読む
• 私たち(住人を想定)の志向や望みを叶えるための補助をする ー イネーブリング
• 手段
– 「私たちの行動を見て」
• 私たち(住人)の過去の言動やそれを引き起こす環境の情報を収集・分析
– 「世の中の知恵を取り入れて」
• 様々な研究・実験の成果や信頼できる発信元からの情報を活用
• 結果
– 「私たちといっしょに成長し、変化します」
• 私たち(住人)の志向や望みの長期的な実現に向けてともに情報を蓄積・活用
• 私たち(住人)が知らない個々の志向や意識を知り、生活を豊かにする
15
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「空気を読む家」とは何か
「居心地の良さ」⇒「ウェルビーイング」
住人の状態・感情を感知し
住人のウェルビーイングが高くなる
環境を提供する家型ロボット
(IT(AI)システム)
16
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
『空気を読む家』のウェルビーイング
• ITを使ってウェルビーイングそのものを向上する例はない
→ 人間関係の改善を通してウェルビーイングを向上する
→ ウェルビーイングを向上させるインターフェース
• ウェルビーイング向上のキー
自律性:自分で決定しているという意識
関係性:安心感、他の人とのつながり
• 『空気を読む家』のウェルビーイング「居心地の良さ」
ひとり:人と家との関係性、自律性を感じられる対応
複数人:人と人との関係性
17
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
安藤英由樹先生「心臓ピクニック」
2022/11/24 AITCオープンラボ第8回
「わたしたちのウェルビーイングを促進する先端ITの活用」
18
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
「余計なお世話」と「ありがた迷惑」
• 「余計なお世話」
– パターナリズム(強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだ
として、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること)
– 内容も把握していないでピントがずれたアドバイス
– 強い承認欲求、空気が読めない、自分のことに無頓着、自信家でせっかち
(自己満足)
• 「ありがた迷惑」
– 受け手が望んでいるかどうか
– 物をくれる、一言多い、恩着せがましい
– 勝手な判断、先回りしすぎる点で類似性
~~避けなければならない対応~~
19
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
ヒント:機械の不完全性・演出
• 演出によって人の受け止め方は変わる
– ファミレスでロボットと人では扱いが異なり、ロボットに優しい
– 人には完全さを求めるが、機械に対しては不完全さを認める場合がある
• 人間は不完全なものに対しては、助けてあげたい
– 赤ちゃん
– 岡田美智男<弱いロボット>
– 不完全を許容するが、成長は期待する(いつまでも不完全ではダメ)
• このような考え方で「空気を読む家」のインターフェース
を設計することはできないか
20
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
ウェルビーイングの「見える化」
• ウェルビーイング向上のためのITシステムには
ウェルビーイング状態の「見える化」が重要
– ウェルビーイングの状態を踏まえた上でフィードバックし、
ウェルビーイングの変化を確認
– 「見える化」の例:道村さんの「AIを活用したウェルビーイング測定」
~カメラなどのセンサーを用いたバイタル情報の可視化~
• ウェルビーイング状態の情報をいかに活用するかが課題
21
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
ウェルビーイング「見える化」の活用
• 多様な個人が対象
– 個人にとって嬉しいこと、楽しいことは、案外ちょっとしたこと
その「ちょっとしたこと」は各自異なる
– 自分がどんなときにウェルビーイングなのかは意外に分からない
何で嬉しさを感じているか分からない
→ 無意識に出た表情をフィードバック
→ 感情のタイムラインを後から見えるようにする
(その時のシーンに加えて)「こんなとき」を提示したいが、難しい
– 複数の人間がインタラクションするときの感情の起伏を提示
• ウェルビーイングを上げる方向に誘導できないか
22
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
メタバースの活用
• メタバース上に実装し、仮想の体験を通し検証を繰り返す
– リアル世界では実装にハードルがある技術も、メタバース上なら実装可能
– すばやく実装し、失敗を繰り返すことができる
– 現実の人間の代わりに、人工のアバタを使うことができる
– 検証のループを素早く回すことができる
→メタバース駆動開発
• メタバース上ではウェルビーイング「見える化」が容易
– アバタの表情:
背後にいる人間の表情と同様、ウェルビーイング状態が表出している
– その状態は、メタバースならば状態をすべて把握できる
– ウェルビーイング「見える化」を活用してコミュニケーション支援
23
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.
まとめ
「空気を読む家」
住人の状態・感情を感知し、住人のウェルビーイングが
高くなる環境を提供する家型ロボット(IT(AI)システム)
1. 人と家、人と人の関係性向上
2. 自律性を感じられる対応
3. ウェルビーイング状態の見える化が重要
4. 「空気を読む家」構築にメタバースを活用
ハルミン
AITC非公式イメージキャラクター
最新情報はこちらをご参照ください
http://aitc.jp
https://www.facebook.com/aitc.jp
Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved.

Weitere ähnliche Inhalte

Mehr von aitc_jp

2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
aitc_jp
 
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
aitc_jp
 

Mehr von aitc_jp (20)

ITフォーラム2024 AITCセッション(4)
ITフォーラム2024 AITCセッション(4)ITフォーラム2024 AITCセッション(4)
ITフォーラム2024 AITCセッション(4)
 
ITフォーラム2024 AITCセッション(3)
ITフォーラム2024 AITCセッション(3)ITフォーラム2024 AITCセッション(3)
ITフォーラム2024 AITCセッション(3)
 
ITフォーラム2024 AITCセッション(2)
ITフォーラム2024 AITCセッション(2)ITフォーラム2024 AITCセッション(2)
ITフォーラム2024 AITCセッション(2)
 
ITフォーラム2024 AITCセッション
ITフォーラム2024  AITCセッションITフォーラム2024  AITCセッション
ITフォーラム2024 AITCセッション
 
2)AIを活用したウェルビーイングを測定
2)AIを活用したウェルビーイングを測定2)AIを活用したウェルビーイングを測定
2)AIを活用したウェルビーイングを測定
 
5)パネルディスカッション:『空気を読む家』×ウェルビーイング/メタバース・Web3
5)パネルディスカッション:『空気を読む家』×ウェルビーイング/メタバース・Web35)パネルディスカッション:『空気を読む家』×ウェルビーイング/メタバース・Web3
5)パネルディスカッション:『空気を読む家』×ウェルビーイング/メタバース・Web3
 
3-2)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想
3-2)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想3-2)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想
3-2)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想
 
3-1)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想 空間OS モノと社会をつなげる
3-1)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想   空間OS モノと社会をつなげる3-1)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想   空間OS モノと社会をつなげる
3-1)『空気を読む家』とメタバース駆動開発構想 空間OS モノと社会をつなげる
 
1)空気を読む家』のこれまでの取り組み
1)空気を読む家』のこれまでの取り組み1)空気を読む家』のこれまでの取り組み
1)空気を読む家』のこれまでの取り組み
 
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション2 「空間OSと空気を読む家の実証」
 
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
2022/07/22 AITC 第4回オープンラボ「メタバース応用編~空間OSのこれまでとこれから~」セッション1 「空間OSとメタバース」
 
2022/04/20 AITCオープンラボ第2回「田園都市国家構想とデジタル政策について」
2022/04/20 AITCオープンラボ第2回「田園都市国家構想とデジタル政策について」2022/04/20 AITCオープンラボ第2回「田園都市国家構想とデジタル政策について」
2022/04/20 AITCオープンラボ第2回「田園都市国家構想とデジタル政策について」
 
2022/03/23 AITCオープンラボ第1回「メタ―バース入門」
2022/03/23 AITCオープンラボ第1回「メタ―バース入門」2022/03/23 AITCオープンラボ第1回「メタ―バース入門」
2022/03/23 AITCオープンラボ第1回「メタ―バース入門」
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(3-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(3-1)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(3-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(3-1)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-2)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-2)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-1)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(5-1)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-2)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-2)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-1)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(4-1)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(2)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(2)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(2)
 
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(1)ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(1)
ITフォーラム2022 先端IT活用推進コミュニティ(1)
 

Kürzlich hochgeladen

Kürzlich hochgeladen (12)

Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 
新人研修 後半 2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
新人研修 後半        2024/04/26の勉強会で発表されたものです。新人研修 後半        2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
新人研修 後半 2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 
LoRaWANスマート距離検出センサー DS20L カタログ LiDARデバイス
LoRaWANスマート距離検出センサー  DS20L  カタログ  LiDARデバイスLoRaWANスマート距離検出センサー  DS20L  カタログ  LiDARデバイス
LoRaWANスマート距離検出センサー DS20L カタログ LiDARデバイス
 
Utilizing Ballerina for Cloud Native Integrations
Utilizing Ballerina for Cloud Native IntegrationsUtilizing Ballerina for Cloud Native Integrations
Utilizing Ballerina for Cloud Native Integrations
 
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
 
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
 
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
 
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアルLoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
 
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
 
知識ゼロの営業マンでもできた!超速で初心者を脱する、悪魔的学習ステップ3選.pptx
知識ゼロの営業マンでもできた!超速で初心者を脱する、悪魔的学習ステップ3選.pptx知識ゼロの営業マンでもできた!超速で初心者を脱する、悪魔的学習ステップ3選.pptx
知識ゼロの営業マンでもできた!超速で初心者を脱する、悪魔的学習ステップ3選.pptx
 
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
 

4)技術視点でウェルビーイングを考える

  • 1. Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. ITフォーラム2023 ウェルビーイングを実現する 『空気を読む家』 コンテキスト・コンピューティング グループ 飯沢篤志 (リコーITソリューションズ) 技術視点でウェルビーイングを考える
  • 2. 2 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. アジェンダ 1. 「ウェルビーイング」について 2. 「空気を読む家」のウェルビーイング 3. ウェルビーイングの「見える化」 4. メタバースの活用
  • 3. 3 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「ウェルビーイング」について • WHOの定義 – 「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、 単に疾病又は病弱の存在しないことではない」 – 「良好な状態」 = ウェルビーイング • SDGs 3番目: 「すべての人に健康と福祉を」 GOOD HEALTH AND WELL-BEING • ウェルビーイングの質的な分類 1. 医学的なウェルビーイング 心身が機能的に不全でないこと。健康診断や質問表によって測ることができる 2. 快楽主義的ウェルビーイング 気持ちいいといった一時的な感情。アンケートや、身体の変化で測ることができる 3. 持続的ウェルビーイング 心身の潜在能力を発揮し、意義を感じている「いきいきとした状態」 = フラーリシング(flourishing):「開花」 2022/12/21
  • 4. 4 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「ウェルビーイング」について • ウェルビーイングの5つの要素 (ポジティブ心理学 マーティン・セリグマン博士) – P:Positive emotion/ポジティブ感情 嬉しい、面白い、楽しい、感動、感激、感謝、 希望・・・ – E:Engagement/物事への積極的な関わり 没頭、没入、夢中、熱中・・・ – R:Relationship/他者とのよい関係 援助、協力、意思疎通・・・ – M:Meaning/人生の意義の自覚 人生の意義、社会貢献、利他行為、宗教・・・ – A : Accomplishment/達成感 達成、成果、自己効力感・・・ • 幸せの4つの因子 (前野隆司 教授) 第1因子 「やってみよう」 (自己実現と成長の因子) 第2因子 「ありがとう」 (つながりと感謝の因子) 第3因子 「なんとかなる!」 (前向きと楽観の因子) 第4因子 「ありのままに!」 (独立とあなたらしさの因子) 2022/12/21
  • 5. 5 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 矢野和男さんの講演*から * 2022/12/6 第192回RITS技術交流会 『ウエルビーイングな人生と仕事、そして企業』
  • 6. 6 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 矢野和男さん「H-CONNECT」 用事のない人の間に、いかにつながりをつくるか?
  • 7. 7 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 矢野和男さんの講演*から * 2022/12/6 第192回RITS技術交流会 『ウエルビーイングな人生と仕事、そして企業』
  • 8. 8 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. The Matrix
  • 9. 9 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 検討すべきウェルビーイング因子 自己 ポジティブ感情 動機づけ&没頭 自己への気づき マインドフルネス 心理的抵抗力・回復力 社会的 感謝 共感 超越的 思いやり 利他的行動 イントラパーソナル (個人内) インターパーソナル (個人間) エクストラパーソナル (超個人) ラファエル・Aカルヴォ ドリアン・ピーターズ
  • 10. 10 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. ウェルビーイングを統合する デザインのアプローチ 予防的 ウェルビーイングの損失に対処するための、 あるいは損失を防ぐためのデザイン 積極的 ウェルビーイングの要因や人間の潜在能力の開花を 積極的に向上するデザイン 特化型 ウェルビーイングおよび(または)人間の潜在能力を 何らかの方法で向上させるという目的に特化した 新しいテクノロジーを構築
  • 11. 11 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 自己決定論 by リチャード・ライアン、エドワード・デシ モチベーション(やる気)の源泉 • 自律性:自分の活動の結果は自分の意図によるという意識 • 有能性:自分には課題を解決する能力があるという自信 • 関係性:安心感、他の人とのつながり ウェルビーイングには、 人間の自律性(自分で決定しているという意識)が重要
  • 12. 12 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. よい介入 • 「よい介入」とは – 個別性への配慮 • 要因を一般化し過ぎてはいけない • 重要度は個人によって、また時期によって異なる – 自律性への配慮 ⇒内省フィードバック、ナッジ、ゲーミフィケーション • ウェルビーイングは与えられるものではない • 選択肢を提示するなど、一定の自律性を担保する – 潜在性への配慮 • 人間の意思決定は速い意思決定と遅い意思決定の二つのシステムがある • 潜在的には存在していたが自覚されていなかった速い意思決定システムからの情報を拾う – 共同性への配慮 • 集団や組織ならではの介入 • 参加者全員がウェルビーイングとなるよう調整された一つのエコシステムを実現する – 親和性への配慮 • 衝動的な興奮は快楽追及になるため、平穏や思いやり、愛といった親和的な感情をもたらす • 自身への気づきや環境との新しい関係性の発見など – 持続性への配慮 • 目標達成の手段が目的化することを避ける 12 「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために」渡邊ら,2020
  • 13. 13 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「空気を読む家」とは何か
  • 14. 14 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「空気を読む家」とは何か • 目的 – 「私たちに必要なことを考え」、「それを実現する家」 • 私たち(住人を想定)の志向や明示的・非明示的な望みを推定 ー 空気を読む • 私たち(住人を想定)の志向や望みを叶えるための補助をする ー イネーブリング • 手段 – 「私たちの行動を見て」 • 私たち(住人)の過去の言動やそれを引き起こす環境の情報を収集・分析 – 「世の中の知恵を取り入れて」 • 様々な研究・実験の成果や信頼できる発信元からの情報を活用 • 結果 – 「私たちといっしょに成長し、変化します」 • 私たち(住人)の志向や望みの長期的な実現に向けてともに情報を蓄積・活用 • 私たち(住人)が知らない個々の志向や意識を知り、生活を豊かにする
  • 15. 15 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「空気を読む家」とは何か 「居心地の良さ」⇒「ウェルビーイング」 住人の状態・感情を感知し 住人のウェルビーイングが高くなる 環境を提供する家型ロボット (IT(AI)システム)
  • 16. 16 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 『空気を読む家』のウェルビーイング • ITを使ってウェルビーイングそのものを向上する例はない → 人間関係の改善を通してウェルビーイングを向上する → ウェルビーイングを向上させるインターフェース • ウェルビーイング向上のキー 自律性:自分で決定しているという意識 関係性:安心感、他の人とのつながり • 『空気を読む家』のウェルビーイング「居心地の良さ」 ひとり:人と家との関係性、自律性を感じられる対応 複数人:人と人との関係性
  • 17. 17 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 安藤英由樹先生「心臓ピクニック」 2022/11/24 AITCオープンラボ第8回 「わたしたちのウェルビーイングを促進する先端ITの活用」
  • 18. 18 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. 「余計なお世話」と「ありがた迷惑」 • 「余計なお世話」 – パターナリズム(強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだ として、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること) – 内容も把握していないでピントがずれたアドバイス – 強い承認欲求、空気が読めない、自分のことに無頓着、自信家でせっかち (自己満足) • 「ありがた迷惑」 – 受け手が望んでいるかどうか – 物をくれる、一言多い、恩着せがましい – 勝手な判断、先回りしすぎる点で類似性 ~~避けなければならない対応~~
  • 19. 19 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. ヒント:機械の不完全性・演出 • 演出によって人の受け止め方は変わる – ファミレスでロボットと人では扱いが異なり、ロボットに優しい – 人には完全さを求めるが、機械に対しては不完全さを認める場合がある • 人間は不完全なものに対しては、助けてあげたい – 赤ちゃん – 岡田美智男<弱いロボット> – 不完全を許容するが、成長は期待する(いつまでも不完全ではダメ) • このような考え方で「空気を読む家」のインターフェース を設計することはできないか
  • 20. 20 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. ウェルビーイングの「見える化」 • ウェルビーイング向上のためのITシステムには ウェルビーイング状態の「見える化」が重要 – ウェルビーイングの状態を踏まえた上でフィードバックし、 ウェルビーイングの変化を確認 – 「見える化」の例:道村さんの「AIを活用したウェルビーイング測定」 ~カメラなどのセンサーを用いたバイタル情報の可視化~ • ウェルビーイング状態の情報をいかに活用するかが課題
  • 21. 21 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. ウェルビーイング「見える化」の活用 • 多様な個人が対象 – 個人にとって嬉しいこと、楽しいことは、案外ちょっとしたこと その「ちょっとしたこと」は各自異なる – 自分がどんなときにウェルビーイングなのかは意外に分からない 何で嬉しさを感じているか分からない → 無意識に出た表情をフィードバック → 感情のタイムラインを後から見えるようにする (その時のシーンに加えて)「こんなとき」を提示したいが、難しい – 複数の人間がインタラクションするときの感情の起伏を提示 • ウェルビーイングを上げる方向に誘導できないか
  • 22. 22 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. メタバースの活用 • メタバース上に実装し、仮想の体験を通し検証を繰り返す – リアル世界では実装にハードルがある技術も、メタバース上なら実装可能 – すばやく実装し、失敗を繰り返すことができる – 現実の人間の代わりに、人工のアバタを使うことができる – 検証のループを素早く回すことができる →メタバース駆動開発 • メタバース上ではウェルビーイング「見える化」が容易 – アバタの表情: 背後にいる人間の表情と同様、ウェルビーイング状態が表出している – その状態は、メタバースならば状態をすべて把握できる – ウェルビーイング「見える化」を活用してコミュニケーション支援
  • 23. 23 Copyright © 2023 Advanced IT Community to Evaluate, Apply and Drive All Rights Reserved. まとめ 「空気を読む家」 住人の状態・感情を感知し、住人のウェルビーイングが 高くなる環境を提供する家型ロボット(IT(AI)システム) 1. 人と家、人と人の関係性向上 2. 自律性を感じられる対応 3. ウェルビーイング状態の見える化が重要 4. 「空気を読む家」構築にメタバースを活用