Weitere ähnliche Inhalte Ähnlich wie LiBRA 04.2021 / DX_Fundamentals (20) Mehr von Masanori Saito (16) LiBRA 04.2021 / DX_Fundamentals9. 「回避すべき未来」と「選択すべき未来」
コロナ禍で直面する現実を、変革を一気に推し進
める好機と捉えられず、これまでの取組を活かす
ことなく、不十分なものに留まり 「現状維持も
困難になる停滞経済」とも呼べる未来
多様な能力が認められず、働き方も画一的で、新し
い発想やイノベーションが生まれない社会
男性中心の硬直的な働き方や社会構造が変わらず、
所得が伸びずワークライフバランスも実現できない
社会
危機時の負担が女性や高齢者等の社会的に弱い立場
の人に集中し、生活の質における格差も広がり、個
人が幸せを感じられない社会
企業が従来以上にリスクに慎重となり、雇用や投資
を行わず、イノベーションも不活発、持続的な成長
が実現できない社会
長年解決できなかった課題を解決するとともに、
通常 10 年かかるであろう変革を、将来を先取り
する形で一気に進めることができる「新たな日常
(ニューノーマル)」を目指していく未来
創造力を持ちあわせた多様な人材が次々とイノベー
ションを起こせる、自由かつ柔軟性に富み、変化を
取り入れ、失敗への許容力の高い社会
個人が自由度の高い働き方や暮らしができ、ワーク
ライフバランスを実現して豊かさを感じる社会
デジタル技術の活用により、高付加価値の財・サー
ビスを創出するとともに、個人情報等が保護され、
効率性、利便性、安心を皆が享受できる社会
性別等に関わらず人への投資を行うとともに、十分
な所得再分配機能、セーフティネットが提供される
中で全ての人が能力を伸ばし発揮できる包摂的な社
会
地域社会やコミュニティ等において必要な人との交
流やつながり、支え合いの価値を大切にする社会
各国が国内に不安定さを抱え、閉鎖的な対応をとり、
より国際協調が難しくなる中、新しいモノや人の流
れの在り方が求められる世界において、自由で公正
な貿易・投資の基盤を支え、そのメリットを享受す
る社会
回避すべき未来 選択すべき未来
内閣府・2020年7月8日令和2年第10回経済財政諮問会議
「選択する未来2.0」中間報告
11. Withコロナ時代のITビジネス環境の変化
不確実性の増大
Before コロナ
不確実性の常態化
With コロナ
コロナ禍
ITへの期待・役割
IT利用形態・運用方法
働き方・リテラシー
起こりうる変化 求められる対応
意志決定の迅速化のためのデータ活用ニーズの増大
収益に直結するシステム開発の拡大
働き方変革に対応するため環境整備投資の増加
クラウド・ネイティブへの移行
ゼロトラスト・ネットワークへの移行
運用の自動化・省力化上の拡大
雇用形態のメンバーシップ型からジョブ型への移行
自律した個人・チームと会社との信頼関係を前提
リモートワーク・ペーパーレスへの対応
成果をコミットし、どこに居ても高い目標を達成できる人材への期待
社員の個人事業主化・会社を跨ぐジョブローテーションの増加・ニューノーマルに対応できない企業からの人材流出など
業務のデジタル化とERPの次世代化・ペーパーレス化
内製化(アジャイル・DevOps・ローコード開発など)
デジタル・ワークプレイスの整備と物理オフィスの削減
オンプレも含めたクラウド・ネイティブ環境の整備
ゼロトラスト・ネットワークを前提にした環境整備
SaaS/FaaS/PaaSの適用拡大と構築運用負担の削減
ミッション・ステートメントの明確化と企業との契約
心理的安全性・情報の徹底したオープン化と共有
在宅ワーク・リモートワークのための手当や投資
12. Withコロナ時代のITビジネス環境の変化(〜3年)
不確実性の増大
Before コロナ
不確実性の常態化
With コロナ
実行環境 付加価値を生みださないインフラから
アプリケーション・ロジックへ
IaaS
仮想化
PaaS
サーバーレス
コンテナ
ネットワーク 用途に応じたネットワークから
あらゆるネットワークが5Gへ
専用線
IP-VPN
4G/LTE
など
5G(キャリア)
ローカル5G
セキュリティ 後付けのセキュリティから
アーキテクチャーとしての
セキュリティへ
社外NW
社内NW
FW 社内NW
クラウド
境界防衛型
ゼロトラスト
階層構造
アーキテクチャ 安定性×高品質から
柔軟性×俊敏性へ
マイクロ
サービス
開発・運用 予測と計画に対応することから
現場にニーズに即応することへ
アジャイル+DevOps
時間・日・週/成果連動
ウオーターフォール+運用・保守
半年〜数年/工数積算
開発 運用
保守
顧客 業務の生産性やコスト削減への対応から
事業の差別化や競争力の強化へ
情報システム部門 事業部門・経営者
工数提供の対価 価値実現の対価
売上=人数×単金の最大化 利益=利益率×回転数の最大化
人数を増やす
コストをおさえる
できるだけ作る
技術力を高める
単金を上げる
できるだけ作らない
コロナ禍
15. UI/UXとは何か
UI
人とデジタルをつなぐ窓口
User Interface
直ぐに分かる
使い易い
迷わない など
UX
人とデジタルがつながることで得られる体験
User Experience
とても便利
もっと使いたい
感動した など
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×良くないUI 〇良いUI
×良くないUI
ケチャップだとは直ぐ
に分からない。
×良くないUX
口を汚しやすく、少な
くなると使いにくい。
〇良いUI
ケチャップだと直ぐ分
かる。
×良くないUX
口を汚しやすく、少な
くなると使いにくい。
〇良いUI
ケチャップだと直ぐ分
かる。
〇良いUX
口を汚さず、最後まで
使い切ることができる。
17. プラットフォーマーと言われる企業の略称
GAFA
Google,Amazon,Facebook,Apple
FANGAM
Facebook,Amazon,Netflix, Google,Apple,Microsoft
GAFAM
Google,Amazon,Facebook,Apple,Microsoft
BAT
Baidu,Alibaba,Tencent
BATH
Baidu,Alibaba,Tencent,Huawei
米国系企業
中国系企業
FAANG
Facebook,Amazon,Apple, Netflix,Google
デジタル技術を駆使し、ビジネスでの圧倒的な支配力を持つ企業を、下記のように
まとめて呼ぶことがあります。
26. ビジネス発展のサイクル
デジタルの渦
Digital Vortex
コスト・バリュー
無料/超低価格
購入者集約
価格透明性
リバース・オークション
従量課金制(サブスクリプション)
エクスペリエンス・バリュー
カストマー・エンパワーメント
カストマイズ
即時的な満足感
摩擦軽減
自動化
プラットフォーム・バリュー
エコシステム
クラウド・ソーシング
コミュニティ
デジタル・マーケットプレイス
データ・オーケストレーター
デジタル化
領域の拡大
体験/感性
価値の提供
31. 時間感覚の変化がビジネスを変えようとしている
3年間の中長期計画
1年に一度の年度計画
半年に一度の設備投資
月例の定例役員会
週次の部門会議
ビジネス・モデル お客様との関係 働き方 情報システム
階層化された
ビジネス・プロセス
機能分化した組織
段階的意志決定
社会環境の変化が緩やかで中長期的な予測が可能
戦略を動かし続ける
現場に権限委譲する
現場での判断を重視
結果を迅速に事後報告
対話の頻度を増やす
圧倒的な
ビジネス・スピードで
変化に俊敏に対応する
社会環境が複雑性を増し将来の予測が困難な状況
デジタル化された
ビジネス・プロセス
自律したチーム
大幅な権限委譲
VUCA
中長期的な計画を元に
PDCAを回し
確実に目標を達成する
44. デジタル・トランスフォーメーション 2つの解釈
社会や経済の視点/社会現象
2004年、エリック・ストルターマン(ウメオ大学)の定義「ITの浸透により、人々の生活が根底
から変化し、よりよくなっていく」に沿った概念
デジタル・テクノロジーの発展によって社会や経営の仕組み、人々の価値観やライフ・スタイルが
大きく変化し、社会システムの改善や生活の質の向上がすすむという社会現象を意味する
経営や事業の視点/企業文化や体質の変革
2010年以降、ガートナーやマイケル・ウェイド(IMD教授)らによって提唱された概念
デジタル・テクノロジーの進展により産業構造や競争原理が変化し、これに対処できなけれ
ば、事業継続や企業存続が難しくなるとの警鈴を含む
デジタル・テクノロジーの進展を前提に、競争環境 、ビジネス・モデル、組織や体制の再定
義を行い、企業の文化や体質を変革することを意味する
デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション
“デジタルを使うこと”ではなく “ビジネスを変革すること” が目的
デジタル技術とデジタル・ビジネス・モデルを用いて、組織を変化させ、業績を改善すること
1. 企業業績を改善することが目的。
2. デジタルを土台にした変革であること。組織を絶えず変化しているが1つ以上のデジタル技術が大きな影響を及ぼしているものでなければ、デ
ジタル・ビジネス・トランスフォーメーションには分類されない。
3. プロセスや人、戦略など、組織の変化を伴うものであること。
“ デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションには、テクノロジーよりもはるかに多くのものが関与する ”
「DX実行戦略(マイケル・ウェイドら)」 p.27
45. デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションの解釈
企業が、
VUCA時代の予測できない変化の中で、
データやデジタル技術を活用することで、この変化に俊敏に対応し
競争上の優位性を確立し、業績に貢献するための取り組みである。
そのためには、
きめ細かな顧客のニーズや社会の期待(例えば、SDGs)に応えること
製品やサービス、ビジネス・モデルやビジネス・プロセスとともに
収益構造や事業目的、組織や体制、雇用制度などを変革しなくてはならない。
Digital Transformation / Digital Business Transformation
Digital Transformation をDTではなくDXと表記する理由
Transformationの”Trans-”には”交差する”の意味があり、そのイメージを”X”で表現している。また、 Transformationには、
上下を入れ替えるや、ものごとひっくり返すという意味があり、 ”X”にはそんな想いも込められている。
既存を改善すること、あるいはデジタル技術を活用することではない
ビジネス・プロセスやビジネス・モデルの破壊・変革・創造
社内的:ビジネス・プロセスや働き方などの抜本的な変革
対外的:新たな顧客価値の創出、ビジネス・モデルの転換、新規事業分野への進出などのビジネスの変革
47. リアルが最も貴い
デジタルはビジネスの手段である
価値の源泉はリアルにある、デジタルはリ
アルの付加価値に過ぎない
リアルとデジタルは別の仕組み、デジタル
はリアルを補間するもの
DXの常識とDXの実現
デジタルが前提
デジタルはビジネスの基盤である
デジタルとリアルが一体となって価値を創
出する
デジタルとリアルを分けることなく、デジ
タルが統合する1つの仕組みとして捉える
「DXの実現」とは
「デジタルが前提」を当然のことと考え、実践する
企業の文化や風土を実現すること
DXは 既存の常識の転換が前提
デジタルにできることは徹底してデジタルに任せ
人間にしかできないことに人間の役割をシフト
新しい常識
新しい価値
の創出を実現
49. CXとEXを向上させるためのDX
データ
CX : Customer Experience
お客様の事業の成果に貢献し
お客様の社員の幸せを支える
EX : Employee Experience
従業員のやり甲斐を与え
自己の成長の喜びを感じさせる
競争原理
収益構造
業務手順
組織・体制
意志決定方法
など
DX
デジタルを前提に
ビジネス・モデルや
ビジネス・プロセス
を再定義する
デジタル
技術
クラウド
AI
IoT など 変化に俊敏に対応できる
企業の文化や
風土への変革
UX
ユーザーの
体験価値を
高める
業務プロセスのデジタル化
デジタル・ビジネス・モデル
59. DXとPurpose
企業は、利益のためだけに存在してるので
はない。
企業の最大の目的は、永続的に成長し続け
る過程で社会的責任を果たすことだ。
利益は、企業や事業の目的ではなく、条件
である。
purpose beyond profit
企業の存在意義は利益を超える
2018年・IIRC(国際統合報告委員会)レポート「purpose beyond profit」
利益は、企業が自らの存在意義を追求した結果としてもたらされる
その存在意義を貫くために、企業は存続し成長しなくてはならない
IIRC(International Integrated Reporting Council/国際統合報告評議会)
企業などの価値を長期的に高め、持続的投資を可能にする新たな会計(情報開示)基準の確立に取り組む非営利国際団体で、業績などの財務情報だけでなく、社会貢献
や環境対策などの非財務情報をも一つにまとめた統合報告(integrated reporting)という情報開示のルールづくりやその普及に取り組んでいる。
62. After DX 受託開発ではできない
人間とITが一体となってビジネスを動かす
即応力・破壊的競争力・新たな価値の創出
After DX
事業を変革するIT
達成基準と手段を予め決定できない
高速な試行錯誤と改善を繰り返し
最適解を探索しなければならない
要求をあいまいさなく定義することが難しい 試行錯誤が不可避
要件全体を定義することが困難なのに、定義したこととして発注しなければならない
手続きの効率化のため発注単位を大きくまとめる 変化に即応できない
実際に動く成果物を確認するまでにかなりの時間がかかる(開発作業中は変更できない)
作業量(工数)の見積を作る そもそも工数が読めない
作業量の見積が困難であるにもかかわらず人月単価×期間(月数)による見積を作る
要求する人とシステムを作る人は遠く離れている 現場感覚がない
一連の作業は分業化、伝言ゲームで現場の現実を理解できず、臨機応変な対応もできない
67. 内製化の事例:株式会社フジテレビジョン
数万人が同時に視聴できる配信環境を 3 週間ほどで構築
AWS Elemental MediaStore と Amazon CloudFront は、CMAF-ULL の超低遅延配信に必要な技術と
大規模配信に対応し、それをマネージドサービスとしてすぐに利用できる環境や、配信規模に応じたス
ケーリング、障害発生時の切り替え対応などの煩雑な運用業務からの解放してくれた。
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/fuji-tv/?fbclid=IwAR3bdoRp-sdBrOe_1I6JcALo5vHFzzO-tBTQ1wL4us1FLhcOIpzXax7bY3o
69. 受発注型取引と共創型取引
受発注型取引
どうなれば成功なのかを予め決められる
既存の業務プロセスの改善
既存システムの改修や機能の追加
既存業務の効率化や利便性の向上のための社内
ユーザーを対象としたシステム など
主従関係
ルールや手順に従う
効率を追求する
失敗は許さない
横並び・同質性を求める
リーダーの指示に従う
言われたとおりやりました
言われなかったのでやりませんでした
仕様書通りに作りました など
管理者が進捗や成果を管理する
ローコード開発、自動化やクラウド化で
誰もができるようになろうとしている
共創型取引
どうなれば成功なのかを予め決められない
新しいビジネス・モデルの立ち上げ
新しい業務プロセスのための新規システム
新規顧客の獲得や売上/利益の拡大のための社
外ユーザーを対象としたシステム など
チーム関係
ビジョンの達成を目指す
事業の成果を追求する
トライ&エラーを評価する
多様性を認め・補完しあう
対話や議論をして答えを探す
こうした方がいいと思います
事業の成果に貢献するには、こちらですよ
状況が変わったのでこちらにしましょう など
権限を委譲し自分たちで進捗や成果を管理する
専門家としての経験の蓄積と
最新トレンドへの体験的理解がなければできない
70. ベンダー企業の目指すべき方向性
(1) ユーザー企業の変革を共に推進するパートナー
新たなビジネスモデルを顧客と共に創出する
DX の実践により得られた企業変革に必要な知見や技術を広く共有する
レガシー刷新を含め、DX に向けた変革を支援する
(2) DX に必要な技術・ノウハウの提供主体
最先端のデジタル技術等を習得し、特定ドメインに深い経験・ノウハウ・技術を有
する専門技術者を供給する
専門家として、技術、外部リソースの組合せの提案を行い、デジタル化の方向性を
デザインする
(3) 協調領域における共通プラットフォーム提供主体
中小企業を含めた業界ごとの協調領域を担う共通プラットフォームをサービスとし
て提供する
高度なソフトウェア開発(システムの構築技術・構築プロセス・体制)を核にした
サービス化とエコシステムの形成を行う
(4) 新ビジネス・サービスの提供主体
ベンダー企業という枠を超え、デジタル技術を活用して新ビジネス・サービスの提
供を通して社会への新たな価値提供を行う
DXレポート2 / p.16
71. DXと企業文化とアーキテクチャ
法律 :法律を定め、違反者に罰則を課すことで影響を与えること
規範 :社会的常識や世間の評価などで影響を与えること
市場 :製品の魅力や料金の高低、市場の評価などにより影響を与えること
アーキテクチャ :暗黙の決まりごと、行動習慣で、影響を与えること
人のふるまいに影響を及ぼすもの ハーバード大学教授・法学者/Lawrence Lessig
「アーキテクチャ」は、本人が意識することなく、自動的にふる
まいを規制してしまう。また、その規制力を放置しておけば限り
なく大きくなってしまい、行き過ぎると、思考停止に陥り、無自
覚に振る舞ってしまい、結果として、自由が奪われてしまう。
企業文化とはまさにこのアーキテクチャ。つまり、あるインプットがあれば、
どのようにアウトプットをするかを意識することなくやってしまうこと。
DXとは、この企業文化=アーキテクチャを変革すること
「デジタルが前提」を当然のことと受けとめ、実践する企業文化
78. DXの実践とは何をすることか
解決すべき課題をあきらかにする
放置できない脅威
これさえ解決できれば突破できること
是非とも実現したいこと など
課題を解決するための戦略を描く
課題の原因と解決方法についての仮説
解決方法に至る総合的な物語
事業への影響や効果 など
戦略を実践するための手段を組む
ビジネス・モデルとビジネス・プロセス
組織や体制、業績評価基準や報酬制度
技術やITサービス、製品や店舗 など
デジタルが前提を知るため
人々の振る舞いや価値観の変化
社会が要求する時間感覚の変化
技術の進化による最適解の変化
課題の存在に気付く感性
戦略を描く視点の多様化
最適な手段を選ぶ目利力
事業の成果に貢献
DXの実践とは、デジタルが前提の社会に、企業が適応できる能力を獲得すること。
Purpose/存在意義を貫くため
なぜDXやトレンドを知る必要があるのか