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身近なところからはじめるマー
ケットデザイン

EconFiesta2 2021.03.05

サイバーエージェント 冨田燿志

自己紹介

冨田 燿志

サイバーエージェント AI Lab 経済学チーム


リサーチサイエンティスト



● 略歴

○ 2018年3月 東京大学経済学部経済学科卒業

○ 2019年3月 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了

○ 2020年4月- サイバーエージェント入社

● 興味

○ ゲーム理論, メカニズムデザイン, マーケットデザイン

今日の話

「身近なところからはじめるマーケットデザイン」



論文投稿前に社内でコメントをもらい合うために、

論文とレビュワーをマッチさせる仕組みを作った話。

マーケットデザイン

● ゲーム理論・ミクロ経済学の知見を活かして

現実のマーケット・制度の設計を行う。

○ オークション

○ マッチング



● 現実の応用例

○ 電波周波数帯オークション

○ 公立学校選択

○ 研修医マッチング

例のスケールが
大きすぎて……

● 論文投稿前に相互にコメントしあったら採択率上がるのでは?

○ AI Labメンバーは(非経済学分野含め)20数名。

○ プロダクトのDSらが論文を執筆する場合も。



● 論文とレビュワーをマッチさせるメカニズムの必要性

○ 各々がコメントを頼む形だと規模的にマッチが難しい

○ プロダクトDSがLabのResearcherにコメントを求めるハードル

○ リモートワークによる距離感の遠さ

○ レビューできる分野の不一致

レビュー可能

レビュー不可能

モチベーション

❌

⭕

● 論文投稿前に相互にコメントしあったら採択率上がるのでは?

○ AI Labメンバーは(非経済学分野含め)20数名。

○ プロダクトのDSらが論文を執筆する場合も。



● 論文とレビュワーをマッチさせるメカニズムの必要性

○ 各々がコメントを頼む形だと規模的にマッチが難しい

○ プロダクトDSがLabのResearcherにコメントを求めるハードル

○ リモートワークによる距離感の遠さ

○ レビューできる分野の不一致

レビュー可能

モチベーション

⭕

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Top Trading Cycleアルゴリズム


TTCアルゴリズム

● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな
るまで, 以下を繰り返す.

○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望
する人を指差す.

○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確
定する.



● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま
しいもの(効率的・コア配分)


● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない
ので正直に申告する(耐戦略性)


Aさん

Bさん

Cさん
 Dさん

Eさん

Fさん

第1希望: B

第2希望: C

第3希望: F

1: C

2: A

3: E

1: A

2: B

1: A

2: E

3: B

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Top Trading Cycleアルゴリズム


TTCアルゴリズム

● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな
るまで, 以下を繰り返す.

○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望
する人を指差す.

○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確
定する.



● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま
しいもの(効率的・コア配分)


● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない
ので正直に申告する(耐戦略性)


Aさん

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第1希望: B

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Top Trading Cycleアルゴリズム


TTCアルゴリズム

● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな
るまで, 以下を繰り返す.

○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望
する人を指差す.

○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確
定する.



● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま
しいもの(効率的・コア配分)


● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない
ので正直に申告する(耐戦略性)


Aさん

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第2希望: C

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3: B

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1: A

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Top Trading Cycleアルゴリズム


TTCアルゴリズム

● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな
るまで, 以下を繰り返す.

○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望
する人を指差す.

○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確
定する.



● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま
しいもの(効率的・コア配分)


● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない
ので正直に申告する(耐戦略性)


Aさん

Bさん

Cさん
 Dさん

Eさん

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第1希望: B

第2希望: C

第3希望: F

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2: A

3: E

1: A

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2: F

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3: D

Review Matching System

● ユーザーは論文投稿時に以下を登録


○ 論文タイトル

○ 論文ファイル

○ レビュワーへのコメント・要望 

○ レビュワーの希望順位 

■ 第1希望 〇〇さん

■ 第2希望 △△さん、…

● 一定時にTTCアルゴリズム実行


● マッチした場合、メール/Slackで通知


● システムからレビューコメント送信・確認


論文投稿画面

Review Matching System



● ユーザーは論文投稿時に以下を登録


○ 論文タイトル

○ 論文ファイル

○ レビュワーへのコメント・要望 

○ レビュワーの希望順位 

■ 第1希望 〇〇さん

■ 第2希望 △△さん、…

● 一定時にTTCアルゴリズム実行


● マッチした場合、メール/Slackで通知


● システムからレビューコメント送信・確認


レビューコメント送信画面 

Review Matching System



● ユーザーは論文投稿時に以下を登録


○ 論文タイトル

○ 論文ファイル

○ レビュワーへのコメント・要望 

○ レビュワーの希望順位 

■ 第1希望 〇〇さん

■ 第2希望 △△さん、…

● 一定時にTTCアルゴリズム実行


● マッチした場合、メール/Slackで通知


● システムからレビューコメント送信・確認


レビューコメント確認画面 

現状と今後





Aさん

Bさん

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 Dさん

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第1希望: B

第2希望: C

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2: A

3: E

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3: B

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2: F

1: A

2: E

3: D

● 現状

○ 1回テスト運用実施

○ コード修正を経て本格運用へ

● 今後

○ 反応・利用状況を見て

システム・ルールの修正

○ 他の「レビュー」「交換」にも

■ 説明資料・スライド

■ コードレビュー

■ …

The Economist as Developer

● サービスの流れ



アイデア   設計   開発   運用



見直し・再設計



● 開発・運用も理解して関わっていけるエコノミストが増えればマーケットデ
ザインの応用はさらに広がる(?)

まとめ

● マーケットデザインの知見・仕組み作りは身近なところからはじめて、使える。


○ 今日の「論文-レビューマッチング」など


● 今後マーケットデザイン/メカニズムデザインの応用はビジネスの世界で広がる。


○ 自分で作って使ったり、開発・運用面も理解して関わっていくエコノミストが増えればこの
広がりはきっと加速していく。

● 企業における経済学は因果推論・計量経済学だけじゃない、
マーケット・制度設計を行うエコノミストというキャリアもある。
ありがとうございました。


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身近なところからはじめるマーケットデザイン

  • 2. 自己紹介
 冨田 燿志
 サイバーエージェント AI Lab 経済学チーム 
 リサーチサイエンティスト
 
 ● 略歴
 ○ 2018年3月 東京大学経済学部経済学科卒業
 ○ 2019年3月 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了
 ○ 2020年4月- サイバーエージェント入社
 ● 興味
 ○ ゲーム理論, メカニズムデザイン, マーケットデザイン

  • 4. マーケットデザイン
 ● ゲーム理論・ミクロ経済学の知見を活かして
 現実のマーケット・制度の設計を行う。
 ○ オークション
 ○ マッチング
 
 ● 現実の応用例
 ○ 電波周波数帯オークション
 ○ 公立学校選択
 ○ 研修医マッチング
 例のスケールが 大きすぎて……

  • 5. ● 論文投稿前に相互にコメントしあったら採択率上がるのでは?
 ○ AI Labメンバーは(非経済学分野含め)20数名。
 ○ プロダクトのDSらが論文を執筆する場合も。
 
 ● 論文とレビュワーをマッチさせるメカニズムの必要性
 ○ 各々がコメントを頼む形だと規模的にマッチが難しい
 ○ プロダクトDSがLabのResearcherにコメントを求めるハードル
 ○ リモートワークによる距離感の遠さ
 ○ レビューできる分野の不一致
 レビュー可能
 レビュー不可能
 モチベーション
 ❌
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  • 6. ● 論文投稿前に相互にコメントしあったら採択率上がるのでは?
 ○ AI Labメンバーは(非経済学分野含め)20数名。
 ○ プロダクトのDSらが論文を執筆する場合も。
 
 ● 論文とレビュワーをマッチさせるメカニズムの必要性
 ○ 各々がコメントを頼む形だと規模的にマッチが難しい
 ○ プロダクトDSがLabのResearcherにコメントを求めるハードル
 ○ リモートワークによる距離感の遠さ
 ○ レビューできる分野の不一致
 レビュー可能
 モチベーション
 ⭕
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 ⭕

  • 7. Top Trading Cycleアルゴリズム
 
TTCアルゴリズム
 ● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな るまで, 以下を繰り返す.
 ○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望 する人を指差す.
 ○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確 定する.
 
 ● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま しいもの(効率的・コア配分) 
 ● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない ので正直に申告する(耐戦略性) 
 Aさん
 Bさん
 Cさん
 Dさん
 Eさん
 Fさん
 第1希望: B
 第2希望: C
 第3希望: F
 1: C
 2: A
 3: E
 1: A
 2: B
 1: A
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 3: B
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 1: A
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  • 8. Top Trading Cycleアルゴリズム
 
TTCアルゴリズム
 ● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな るまで, 以下を繰り返す.
 ○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望 する人を指差す.
 ○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確 定する.
 
 ● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま しいもの(効率的・コア配分) 
 ● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない ので正直に申告する(耐戦略性) 
 Aさん
 Bさん
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 Eさん
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 第1希望: B
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 1: A
 2: E
 3: B
 1: D
 2: F
 1: A
 2: E
 3: D

  • 9. Top Trading Cycleアルゴリズム
 
TTCアルゴリズム
 ● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな るまで, 以下を繰り返す.
 ○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望 する人を指差す.
 ○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確 定する.
 
 ● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま しいもの(効率的・コア配分) 
 ● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない ので正直に申告する(耐戦略性) 
 Aさん
 Bさん
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 第1希望: B
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  • 10. Top Trading Cycleアルゴリズム
 
TTCアルゴリズム
 ● 全員レビュワーが確定するか指差せる人がいなくな るまで, 以下を繰り返す.
 ○ 残っている人のうちレビュワーとして最も希望 する人を指差す.
 ○ サイクルに含まれる人はレビュワーとして確 定する.
 
 ● 結果として得られる論文-レビュワーのマッチは望ま しいもの(効率的・コア配分) 
 ● 各人は偽の希望順位を申告して得することがない ので正直に申告する(耐戦略性) 
 Aさん
 Bさん
 Cさん
 Dさん
 Eさん
 Fさん
 第1希望: B
 第2希望: C
 第3希望: F
 1: C
 2: A
 3: E
 1: A
 2: B
 1: A
 2: E
 3: B
 1: D
 2: F
 1: A
 2: E
 3: D

  • 11. Review Matching System
 ● ユーザーは論文投稿時に以下を登録 
 ○ 論文タイトル
 ○ 論文ファイル
 ○ レビュワーへのコメント・要望 
 ○ レビュワーの希望順位 
 ■ 第1希望 〇〇さん
 ■ 第2希望 △△さん、…
 ● 一定時にTTCアルゴリズム実行 
 ● マッチした場合、メール/Slackで通知 
 ● システムからレビューコメント送信・確認 
 論文投稿画面

  • 12. Review Matching System
 
 ● ユーザーは論文投稿時に以下を登録 
 ○ 論文タイトル
 ○ 論文ファイル
 ○ レビュワーへのコメント・要望 
 ○ レビュワーの希望順位 
 ■ 第1希望 〇〇さん
 ■ 第2希望 △△さん、…
 ● 一定時にTTCアルゴリズム実行 
 ● マッチした場合、メール/Slackで通知 
 ● システムからレビューコメント送信・確認 
 レビューコメント送信画面 

  • 13. Review Matching System
 
 ● ユーザーは論文投稿時に以下を登録 
 ○ 論文タイトル
 ○ 論文ファイル
 ○ レビュワーへのコメント・要望 
 ○ レビュワーの希望順位 
 ■ 第1希望 〇〇さん
 ■ 第2希望 △△さん、…
 ● 一定時にTTCアルゴリズム実行 
 ● マッチした場合、メール/Slackで通知 
 ● システムからレビューコメント送信・確認 
 レビューコメント確認画面 

  • 14. 現状と今後
 
 
 Aさん
 Bさん
 Cさん
 Dさん
 Eさん
 Fさん
 第1希望: B
 第2希望: C
 第3希望: F
 1: C
 2: A
 3: E
 1: A
 2: B
 1: A
 2: E
 3: B
 1: D
 2: F
 1: A
 2: E
 3: D
 ● 現状
 ○ 1回テスト運用実施
 ○ コード修正を経て本格運用へ
 ● 今後
 ○ 反応・利用状況を見て
 システム・ルールの修正
 ○ 他の「レビュー」「交換」にも
 ■ 説明資料・スライド
 ■ コードレビュー
 ■ …

  • 15. The Economist as Developer
 ● サービスの流れ
 
 アイデア   設計   開発   運用
 
 見直し・再設計
 
 ● 開発・運用も理解して関わっていけるエコノミストが増えればマーケットデ ザインの応用はさらに広がる(?)

  • 16. まとめ
 ● マーケットデザインの知見・仕組み作りは身近なところからはじめて、使える。 
 ○ 今日の「論文-レビューマッチング」など 
 ● 今後マーケットデザイン/メカニズムデザインの応用はビジネスの世界で広がる。 
 ○ 自分で作って使ったり、開発・運用面も理解して関わっていくエコノミストが増えればこの 広がりはきっと加速していく。
 ● 企業における経済学は因果推論・計量経済学だけじゃない、 マーケット・制度設計を行うエコノミストというキャリアもある。