Tech-on MeetUp Online#07「人の行動を理解する、行動変容を促すAIの活用」KDDI総合研究所・多屋さんの資料です。

1. ⼼理学・⾏動経済学を活⽤した⾏動変容とAI
2021/11/29
KDDI総合研究所
多屋優⼈

2. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
n ナッジ・⾏動変容とは
n KDDI総合研究所の取組み事例
l ⾏動変容実験事例
l ⾏動変容のためのAI/説得AI事例
本⽇の紹介内容
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3. 3
出典 https://ichi.pro/shukan-o-kaeru-najji-no-7-tsu-no-mottomo-sozoteki-na-rei-132438707666762
ナッジの例

4. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
n R. セイラー・C. R. サンスティーン(2008)
『実践 ⾏動経済学:健康、富、 幸福への聡明な選択』(邦訳2009、⽇経BP)
l われわれの⾔う「ナッジ」は、選択を禁じることも、経済的なインセンティブを⼤きく変えることもなく、⼈々の⾏動を予測可能な形で変
える選択アーキテクチャーのあらゆる要素を意味する。純粋なナッジとみなすには、介⼊を低コストで容易に避けられなければいけな
い。ナッジは命令ではない。果物を⽬の⾼さに置くことはナッジであり、ジャンクフードを禁⽌することはナッジではない。
n 英語でのnudge ︓ 肘で軽く突く、(軽く押して)ゆっくりと動かす
n 学術⽤語としてのNUDGE : ⼈が意思決定を下す環境や 選択肢の設計を通じて、
本⼈や社会にとって望ましい結果を得るためのアプローチ(セイラーらの造語)
1. iNcentives(インセンティブ)
2. Understand mappings(マッピングを理解する)
3. Defaults(デフォルト)
4. Give feedback(フィードバックを与える)
5. Expect error(エラーを予測する)
6. Structure complex choices(複雑な選択を体系化する)
ナッジ（nudge）
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5. 出典 キャンサースキャン社 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000015303.html
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6. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
「お⼀⼈様XX個まで」
「ただ今、電話が混み合っています」
「XXさんも使っている商品です」
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7. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
「お⼀⼈様XX個まで」
→ 希少性
「ただ今、電話が混み合っています」
→ 社会的証明
「XXさんも使っている商品です」
→ 好意
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8. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
⾏動に影響を与える介⼊
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⼈への介⼊・影響
説 得
Persuasion
誘 発
Inducements
強 制
Coercion
だ ま し
Deception
⾏動を起こした何か
の⾏動に影響を受け
て引き起こす⾏動
⼼理的及び、経済的
な圧⼒によって起こ
す⾏動
意図したわけではな
く、ごまかしによっ
て引き起こした⾏動
介⼊をきっかけとし
て、明確な⽬標に向
けて⾃発的に引き起
こされる⾏動
ナッジ
我々の考える
⾏動変容

9. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
⾏動変容とは
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ユーザの⽬標達成を実現するために、⼼理的なコミュニケーションによって
⽬標達成に向けて必要な⾏動や態度を形成・変容・強化すること
形 成
変 容
強 化
⾏動/態度 A
⼼理介⼊
コミュニケーション
ユーザ
⾏動変容
⽀援システム
⾏動/態度 A ⾏動/態度 A
⾏動/態度 A
⾏動/態度 B
~に関⼼を持つ
〜に変化する
〜を継続する

10. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
⼼理介⼊︓説得⼿段の選択
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ユーザ
知⼈
他⼈
社会的影響
Social
influence
ユーザとシステムの対話
Dialogue support
ユーザとシステム信頼関係
Perceived
system credibility
ユーザの主作業⽀援
Primary task support
主作業⽀援
対話⽀援
• Tailoring
• Tunneling
• Reduction
• Self-monitoring
• Praise
• Rewards
• Reminders
• Suggestion
社会的影響
• Social learning
• Social comparison
• Social facilitation
• Normative influence
• Recognition
• Cooperation
• Competition
• Simulation
• Personalization
• Rehearsal
信頼⽀援
• Surface credibility
• Authority
• Trustworthiness
• Expertise
• Real-world feel
• 3rd party
endorsement
• Verifiability
• Liking
• Similarity
• Social role

11. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
トランスセオレティカル・モデル（transtheoretical model: TTM）
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⾏動を維持できている段階
→⾏動変容が完了
⾏動変容を必要だと思っていない段階
→⾏動に関する「認識」の不⾜
⾏動を実⾏しているが，維持できていない段階
→⾏動に対する「報酬」の不⾜
無関⼼期
関⼼期
準備期
実⾏期
維持期
⾏動を実⾏したいが，実⾏できていない段階
→⾏動に対する「⾃信」の不⾜
⾏動変容に関⼼を持っているが，どう⾏動すれば良いかわからない段階
→⾏動に関する「知識」の不⾜
認知・感情の変化 ⾏動の変化

12. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
KDDI総合研究所の取組事例
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n ⾏動変容実験事例
• ⾼速道路の渋滞迂回促進
• テレワーク利⽤促進
n ⾏動変容のためのAI/説得AI
• 街中での混雑緩和

13. 事例︓⾼速道路の迂回誘導
複数の⼼理効果で迂回誘導
論理的アプローチ 視覚効果 感情的アプローチ
特定のユーザ属性ごとに有効な⼼理効果を確認
⼦供同⾏
運転しない⼈
運転する⼈
パターン② 迂回経路の写真
視覚効果
論理的アプローチ
パターン①⽐較
パターン③ ⼦供が泣いてる写真
感情的アプローチ
迂回意向
6%増
迂回意向
17%増
迂回意向
13%増
• KDDI接点（auサービスTOP）を活⽤した⼼理介⼊を実施し、迂回誘導を⾼度化
• 特定のユーザ属性ごとに有効な⼼理効果を確認
*1︓https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/04/24/3736.html
*2︓Xu W. et al. “Does Traffic Information Provided by Smartphones Increase Detour Behavior?” Proc. of PERSUASIVE 2020, pp.45-57, 2020

14. 事例︓テレワーク利⽤促進
• デジタル接点を活⽤した⼼理介⼊の有効性を検証
• ⼼理効果を活⽤したアンケートにより、テレワーク利⽤促進の可能性を確認
auチャネルによる⼼理効果を使った介⼊ 介⼊によるテレワーク利⽤結果
多元的無知の解消(*)
に関するアンケートが最も効果あり
(＊)他⼈も実施しているのに⾃分だけ実施し
ていないと思い込むまたはその逆の⼼理
多元的無知
に関する設問
プレスリリース: 位置情報ビッグデータを活⽤した「テレワーク・デイズ2019」効果測定を実施
https://www.kddi-research.jp/newsrelease/2019/111201.html
コロナ禍前の実施案件

15. KDDI Accelerate 5.0でのAI
フィジカル空間サービスの実現を加速する３つのカテゴリに注⼒
Society 5.0を5Gで加速する
KDDIの次世代社会基盤構想
• フィジカル空間指向 AI
– 学習データが少量多種で環境が変化し
やすいなどのフィジカル空間特有の課
題を解決するAI
• ⾏動変容のためのAI
– ⼼理学の知⾒を活⽤して、⼈間⼼理を
深く理解し、⼀⼈⼀⼈に最適な⼿段で
働きかけるAI
• 信頼できるAI
– AIの判断根拠の提⽰などで信頼性を
向上するAI

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⾏動変容のためのAI 取組み概要
⼈の⾏動や態度の形成・変容・強化を⽬的とし、社会⼼理学や認知⼼理学等の知⾒をもとに
⼼理特性をモデル化、⼀⼈ひとりに対して最も効果的かつ⼼地よい説得⼿段や効果を予測
(*1) 社会⼼理学や認知⼼理学の知⾒を活⽤
⼈間⼼理を理解し、
⼀⼈⼀⼈に最適な⽅法、⼼理効果で説得
顧客に対して⼼理学的知⾒やノウハウを活⽤し
たコミュニケーションを実施するが、属⼈的
画⼀的、属⼈的なコミュニケーション
ターゲティング(誰に何を提⽰）が主流、
コミュニケーション（どう提⽰するか）は画⼀的
レコメンドシステム
マーケター
例︓会社員/協調性⾼ 向け
感染症の拡散抑⽌のため、
時差通勤をしてください
【傍観者効果の低減*1
】

17. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
説得AIの例
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18. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential 18

19. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
説得AIのインプット例︓ユーザの属性情報の取得
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20. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
説得AIのアウトプット例︓介⼊の受容性スコアのフィードバック
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21. KDDI Research, Inc. Proprietary and Confidential
l⾏動変容技術を活⽤したコミュニケーションは、強制ではなく、⾃発的な⾏動を促す
l情報伝達・コミュニケーションの演出⽅法を変えることで介⼊効果は異なる
lコミュニケーションデータを蓄積し、機械学習を適⽤することによって、
ユーザの⽬標実現／社会課題の解消をシステムが⽀援することが可能になる可能性がある
倫理観をもって、システム設計・活⽤を⾏うことが重要
ご静聴ありがとうございました。
KDDI総合研究所 多屋優⼈
ma-taya@kddi-research.jp
まとめ
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