2006年に自殺対策基本法が施行され、自死が社会問題として認識されるようになったが、自死遺児(以下遺児)への支援は緒についたばかりである。社会における自死へのスティグマは根強く、周囲の大人の対応によって、遺児はそれを内在化せざるを得ない環境に置かれている。遺児の経済的支援と自助グループによる心のケアを行っているあしなが育英会で活動する遺児たちが体験を綴った手記は、その内面を知る貴重な資料である。手記をテキストマイニングによる量的分析及び原文参照による質的分析した結果、セルフスティグマを抱えながらも、仲間と支え合う場によってリカバリーの過程にあること、すなわち自己開示―発見―回復(UDR-Peer)サイクルを見出すことができた。