先延ばしシンポジウム:先延ばし中の不適応に関する検討
- 4. 先延ばしとは?
• 定義
やらなければと思いながらも,一時的に課題とは無関連,
あるいは課題を妨害する行動をとる現象(小浜,2010)
• 両義性
➢ 不適応的効果:自己嫌悪感情の生起,課題成果の悪化
(e.g., 林,2010; 小浜,2010;Steel,2007)
➢ 適応的効果:気分/動機づけの向上,課題成果の向上
(e.g., Corkin, Yu, & Lindt, 2011; 小浜, 2012;Mcmahon, Sparrow, Chatman, &Riddle, 2011)
- 7. • 3つの段階(小浜,2010;Krause & Freund, 2013)
先延ばしの段階;プロセス論(1)
前段階 後段階
中段階
:課題をしておらず,先延ばしを
している感覚が生じる時点,
あるいは,結果的に先延ばしを
していたと回顧される時点
- 11. 先行研究の限界: “中段階” の検討不足
• “前/後段階” 研究の充実
➢ 先延ばし前;なぜ先延ばしにするのか
発生の方程式 (:右式;Steel, 2007)
意図による調整効果(小浜,2010)
➢ 先延ばし後;先延ばしにどんな影響があるのか
課題成果/精神的健康への影響
• “中段階” の検討を促す視点
目標の達成に向けた過程との対比から,
“先延ばし中段階”に独自の不適応性が示唆
遅延への鋭敏性
- 16. • 予測の不完全を示す知見(cf 計画錯誤:planning fallacy)
➢所要時間の見積もりの甘さ(Kanten, 2011; 増田, 2010; 村田・高木・高田・藤島, 2007)
➢楽観視による先延ばし → 課題着手時の“後悔・自己嫌悪”(小浜,2010)
• 日常的マルチタスクの弊害の可能性を示す知見
➢ 大学生が「1週間以内に成し遂げること」平均8.42/1人(福沢,2014)
➢ 他の課題への従事に伴う時間の搾取(Zhu, Li, Yang, & Xie, 2019)
最適化の阻害に“無自覚”な型(2)
計画時には充分な時間を確保できていない可能性
修正が可能な時点で気付けない可能性
- 21. • 最適化への望ましい対応との対比
➢ 無自覚な型 → 予測の不完全性を考慮して,
自身の進捗状況を確認すべき
➢ 自覚を伴う型 → 自身の不適切な進捗状況を改善すべき
先延ばし維持の起点
→ モニタリング ⇔ 防衛的情報処理
進捗状況の把握/対応に関する不適応である可能性
- 22. • 定義
➢ 目標達成への進捗を個人が記録し続ける過程(Frayne &
Geringer, 2000, pp362)
➢ 自身の行為のある側面に対する意識的な注意(Lan, 1996;
Schmitz & Klug, 2011)
• 適応性を示す知見
➢セルフマネジメント/自己調整学習を構成する中核的概念
(e.g., Frayne & Geringer, 2000; Schmitz & Wiese, 2006)
➢大学生における学業達成の向上(Lan, 1996)
➢方略として先延ばし行動の低減(Wolters, 2003;藤田,2010)
目標の達成度の把握:モニタリング(1)