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Haskell Day2012 - 参照透過性とは何だったのか
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Haskell Day2012 - 参照透過性とは何だったのか
1.
参照透過性とは 何だったのか version 0.0.1
ruicc
2.
はじめに • つっこみ所が満載のスライドです。 •
お手柔らかにお願いします。 • 長いです。 • 巻きます。
3.
自己紹介 • @ruicc • Ruichi
Kousuke • 好きな作曲家:A. Bruckner • 好きなバイオリニスト:Hilary Hahn • 好きな言語:Haskell • 爆発すればいい言語:PHP
4.
はじめに • にあふれる •
「Haskellこわい」 • 「関数型こわい」 • 「なごやこわい」 (いやこれは関係ないけど..
5.
Haskellとは • 先人の知識と知恵の蓄積の上に成り立つ • コンピュータサイエンスの結晶
6.
昔の偉い人は言いました 巨人の肩の上に立つ
Bernard of Chartres
7.
「Haskell == 巨人」説
8.
Haskellどう見える • 使った事無い人 •
巨人を見上げる ➡こわい • 使った事ある人 • 巨人の肩の上に立つ ➡頼もしい
9.
ぴったりだ!
10.
巨人の肩の上に立とう!
11.
このスライドの範囲 • 強い型付 • 静的型付 •
参照透過性
12.
強い静的型付け言語 Java
Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
13.
オブジェクト指向 オブジェクト指向言語 Java
Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
14.
みんな大好き強い静的型付関数型
関数型言語 Java Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
15.
よくある認識 オブジェクト指向言語
関数型言語 Java Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
16.
このスライドの範囲
純粋関数型言語 Java Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
17.
交わらない何か オブジェクト指向言語
純粋関数型言語 Java Haskell Scala C# OCaml C++ F# Clean SML# D
18.
Note: OOPLと純粋性 • オブジェクト指向言語に純粋性は相容れない?
• メソッドはメンバの参照が必要 • メソッドを純粋には出来ない • オブジェクト単位で見たら純粋性?は確保出来る • コンストラクタ以外の情報を用いない??
19.
純粋関数型言語とは • Purely Functional
Programming Language • (他パラダイムが混じらない純粋な 関数型) の言語 ←まちがい! • (純粋 && 実用的)な言語 ←せいかい! • 参照透過性を持った言語
20.
参照透過性? • Referencial Transparency
• 式や言語の性質(以降言語の性質として用いる) • 返り値が引数のみによって決まる性質 • 引数が同じなら返り値は常に同じ
21.
つまり? • 非常に厳しい制約に見える •
(実際厳しい)
22.
参考:念能力 • 強い制約 → 強い力 •
This way.
23.
参照透過性のとある説明 • どんな時でも返り値が引数によってのみ決定する • よってメモ化しやすい
24.
えっ...
25.
参照透過性のとある説明2 • どんな時でも返り値が引数によってのみ決定する • マルチコアプログラミングが容易
26.
いやいやいや
27.
そうじゃないだろ
28.
知りたい事 •参照透過性で俺たちは どんな力を得るのか •俺たちの現実はどう変 わるのか
29.
目次 • 型と参照透過性 • 設計と参照透過性 •
抽象化と参照透過性 • テストと参照透過性
30.
型と参照透過性 ——Haskellの型の上に立つ
31.
関数と型
TypeA f TypeB • f :: TypeA -> TypeB • どう読める? • fは、TypeAを引数にとってTypeBを返す関数 ...まあ間違ってはないけど。
32.
関数と型
TypeA f TypeB • f :: TypeA -> TypeB • どう読める? • fは、TypeBを返すために、引数TypeA以外の情 報を一切使わない関数
33.
型2 • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • どう読む?
34.
えーと、モナドって。 • モナドの定義は省略。 • モナドとはコンテクスト、計算、...いろんな呼び名
• 抽象的すぎて一言で表しづらい • ここではコンテクスト/文脈とする • 個々のモナドが提供するいくつかの関数 • コンテクストから情報がとれる • コンテクストに影響を与える • モナドはもっと一般的な概念だが、説明のため以下モナド といったら状態系のモナドを指すとする
35.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • イメージ図 Monad m TypeA f m TypeB Context
36.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • 引数はTypeA 引数 Monad m TypeA f m TypeB Context
37.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • コンテクスト/文脈は背後に存在するイメージ コンテクスト Monad m (状態系) TypeA f m TypeB Context
38.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • 返り値は文脈情報付きで表される 返り値 Monad m (文脈情報付き) TypeA f m TypeB Context
39.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • コンテクストに状態が保持されている Monad m TypeA f m TypeB モナドが保持 する状態 Context
40.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • コンテクストの状態と相互作用出来る • 相互作用のための関数が大抵存在 Monad m TypeA f m TypeB 状態との 相互作用 Context
41.
例えば状態系のモナド • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • モナド(状態系)はそんな感じのイメージ Monad m TypeA f m TypeB Context
42.
例えば状態系のモナド • 個々のモナド(状態系)を見てみる •
Reader • Writer • State • IO
43.
Readerモナド • Readerモナド
• ReadOnlyの値をコンテクストに持つ • f :: (MonadReader m) => TypeA -> m TypeB MonadReader m TypeA f m TypeB ReadOnly!! Config情報 Config
44.
Writerモナド • Writerモナド
• WriteOnlyの値をコンテクストに持つ • f :: (MonadWriter m) => TypeA -> m TypeB MonadWriter m TypeA f m TypeB WriteOnly!! Log情報 Log
45.
Stateモナド • Stateモナド
• 書き換え可能な値をコンテクストに持つ • f :: (MonadState m) => TypeA -> m TypeB MonadState m TypeA f m TypeB Read / Write 所謂「状態」 可能 State
46.
IOモナド • IOモナド
• 外界とやりとり出来るぜー • f :: TypeA -> IO TypeB IO TypeA f IO TypeB 副作用! 外部の世界! World
47.
モナド変換子
• モナドとモナド変換子からモナドを作る • コンテクスト同士を組み合わせる TypeA f m TypeB State StateT モナド変換子 Config ReaderT モナド変換子 World IO モナド
48.
モナド変換子
• モナドとモナド変換子からモナドを作る • 組み合わせた結果もモナドになる TypeA f m TypeB State 組み合わせた StateT 結果もモナド Config ReaderT World IO
49.
モナド変換子
• モナドとモナド変換子からモナドを作る • それぞれの文脈と相互作用出来る TypeA f m TypeB それぞれの文脈と State 相互作用可能 StateT Config ReaderT World IO
50.
設計観点から見たモナド
• モナドとはコンテクストの部品 • 既存のコンテクストを組み合わせて目的に適した コンテクストを作る TypeA f m TypeB State StateT Config ReaderT World IO
51.
モナド • 実際にはモナドはもっと強力なものです
52.
もう一度、型2 • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • どう読む? • 引数TypeAに加え、コンテクストmと相互作用をする Monad m TypeA g m TypeB Context
53.
もう一度、型2 • g ::
(Monad m) => TypeA -> m TypeB • どう読む? • gの返り値であるコンテクストm上の計算結果 TypeBは、 • 引数TypeAとコンテクストmから取得できる情報 以外の情報を一切使わない
54.
つまり? • 情報の依存関係が明確に現れる
TypeA f TypeB ※fの結果 TypeBはTypeAにのみ依存する TypeA g m TypeB Context ※ gの結果TypeBはTypeAとコンテクストmに依存する
55.
参照透過性とは何だったのか • 実装に制限を加えることにより、 • 型の言及力を増加させている
56.
参照透過性により 型は雄弁に語りだす
57.
設計と参照透過性 ——そして型は設計図へ
58.
設計とは何か • 責務の割り当て •
参照出来る情報の制限 • 影響を与える範囲の制限
59.
設計とは何か • アーキテクチャ •
責務ごとに分割 • レイヤー • 下位レイヤーに依存、上位レイヤーと疎 • モジュール • オブジェクトを責務ごとに分類 • オブジェクト • 扱う情報、責務ごとに分割
60.
参照出来る情報の制限
• f :: TypeA -> TypeB 参照情報は 引数のみ TypeA f TypeB • g :: (Monad m) => TypeA -> m TypeB TypeA g m TypeB 参照情報1 Context 参照情報2
61.
影響を与える範囲の制限
外部への影響は • f :: TypeA -> TypeB 一切無い! TypeA f TypeB • g :: (Monad m) => TypeA -> m TypeB TypeA g m TypeB Context 影響を与える範囲 はここだけ!
62.
副作用の明示 • h ::
TypeA -> IO TypeB TypeA g IO TypeB World 外界とのやり取りは 副作用!
63.
どういうこと? • 純粋関数型言語の「型」はUMLのクラス図以上の 言及力を持っている •
純粋関数型言語では「型」を決める事が「設計」 • 「設計」がソースコードについてくる! • 実装から乖離されることなく保守され続ける!
64.
モジュール同士の疎結合 • モジュール化 •
疎結合が良いって言うよねー • 純粋函数型言語では関数同士全てが完全に疎 • 依存関係が絡まったスパゲッティにならない!
65.
モジュール内の密結合 • かんたん! •
モジュール内部でのみ扱う型をつくる • モナドでコンテクストを特定させる
66.
参照透過性により 型は設計図となる
67.
抽象化と参照透過性 ——抽象化を加速する世界
68.
日々のタスク(理想) • ドメインに適した抽象度を持つ機能が既にあって、 • それらを適切に特殊化して、 •
直交した機能同士を組み合わせて、 • パフォーマンスに問題なく、 • バグは出ない
69.
日々のタスク(理想) • ドメインに適した抽象度を持つ機能が既にあって、 • それらを適切に特殊化して、 •
直交した機能同士を組み合わせて、 • パフォーマンスに問題なく、 • バグは出ない
70.
日々のタスク(理想)の為に • ドメインに合わせてほどよく抽象された機能を作 る必要がある
• 抽象力が要る • バグ無く組み合わせられる必要がある • コンビネータが要る • パフォーマンスが高い必要がある • 参照透明でありながら高いパフォーマンス...
71.
抽象力が要る • 抽象力とはプログラマーの力の源泉 •
抽象化の敵、IO
72.
IOと抽象化 • IOがある関数は抽象化出来ない •
外界とのやり取りは常に直接的 • 部分的な捨象が出来ない • 抽象度に応じた扱いが出来ない ➡IOは切り取る/隔離するしかない
73.
参照透明な世界へ • 参照透明な言語はIOを明示的に扱う •
型を調べれば副作用の有無が分かる ➡参照透明な世界が見える! 参照透明な海を守る会 http://www.paraiso-lang.org/ikmsm/
74.
コンビネータが要る • バグなく •
疎結合! • 参照透過性! • 組み合わせる • モナド! • 高階関数! もう何度も同じ事繰り返してる感が...
75.
高いパフォーマンス • 先人の蓄積 •
STモナド • 参照透明で安全な破壊的代入 • Vector • Deforestation/recycling • BlazeBuilder • 差分リスト • Repa • IntMap
76.
参照透過性により 抽象化が容易な世界 が現れる
77.
テストと参照透過性 ——型による自動化
78.
Haskellのテスト • @kazu_yamamotoさんが色々言及しましたし • 省略していいですか。
79.
Haskellのテスト • コンパイルが通れば型のエラーはない 1.
型でなんとかする 2. 値のテストを行う 1. 純粋関数 2. 非純粋関数
80.
型でなんとかする • j ::
Int -> TypeD • Int指定しているが、実際にはその部分集合で十分 • 型は値の集合 • 使わない値はバグの元 • data OneToThree = One | Two | Three • Intで使わない部分を排除する ➡ コンパイルがテストになる!
81.
型でなんとかする • デメリット •
コストが高い • 適用範囲が少ない • 1000個の場合はどうするの? • えーとTemplate Haskellで... • あまり実用的ではないか... • 依存型、軽い構文が望まれるか...
82.
値のテスト • 純粋関数
• 参照情報は引数のみ • 外部への影響は一切無い ➡ 引数に対する返り値のみチェックすればいい 外部への影響は 一切無い! 参照情報は 引数のみ TypeA f TypeB
83.
値のテスト • 純粋関数 •
QuickCheck • 型からテストケースを自動生成する • 参照透過性を持つ言語で力を最大限発揮 • SmallCheck • 値の範囲を制限して総当たりテスト(確か)
84.
値のテスト • 副作用ありの関数
• HUnit • HSpec • 事前条件、事後条件チェック
85.
リファクタリング • テストが簡単 •
リファクタリングが簡単! • 関数同士の依存が極めて少ない • 大規模なリファクタリングにはならない(多分
86.
仕様変更 • 変更に伴う箇所をコンパイラが教えてくれる! •
コンパイラに教えてもらえる様に型を作ろう
87.
参照透過性により 安全な世界が現れる
88.
まとめ •参照透過性便利! •参照透過性を持つ言語を 使おう!
89.
まとめ •参照透過性を持つ言語な らHaskellがオススメ!
90.
まとめ •Haskellやろうぜ!
91.
Enjoy Your Happy Hacking Haskell!!
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