SlideShare ist ein Scribd-Unternehmen logo
1 von 66
教育ICT 基盤としての 
GOOGLE APPS の活用実践 
遠山緑生田尻慎太郎岩月基洋岡本潤白鳥成彦横浜商科大学 
/ 嘉悦大学
自己紹介 
横浜商科大学商学部経営情報学科准教授 
嘉悦大学前情報メディアセンター長 
遠山緑生 
next@shodai.ac.jp, http://nor.10yama.jp/ 
Twitter:10yama, facebook: 名前で
Google Apps の利用経験から 
1. 小規模な社会科学系大学で 
2. 本当に必要となる教育ICT基盤を 
3. 限られた運営体力で提供したい時 
前のめりに 
Google Apps (SaaS) 
を使ったら、どう役に立ったか 
3
Agenda 
 背景 
 嘉悦大学の概略 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
嘉悦大学 
1キャンパス 
2学部 
(+1研究科) 
1600人 
110周年/12年目
嘉悦大学の概略 
 所在地: 東京都小平市 
 ビジネス系教育の2学部 
 経営経済学部: 定員200 
 ビジネス創造学部: 定員200 
 定員400人(一学年) x 4 = 1600人 
 大学院(ビジネス創造研究科) 修士/博士課程 
 ユーザ数総計約1,800人 
 学生総数: 約1,600人 
 専任教職員数: 約100人 
 非常勤教員数: 約100人
嘉悦大学のポジションと課題 
 比較的小規模なビジネス系大学 
 経営/経済/会計/法学などを主とした科目構成 
 実用ビジネスリテラシとしてのICT教育を重視 
 偏差値は高くはない/ 実質的全入 
 教育大学:大学院進学者は少なく、ほとんどが就職 
 ICT基盤運営上の課題 
 限られた人的・資金的リソースでのサービス提供 
 専任技術者を確保する難しさ 
 一方で教育の質向上に必要なサービスの高度化
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
2007〜: ICT基盤改革の課題 
1. 教育内容改革- 「実学」とICTの実践的活用 
1. ICTリテラシ教育の全面的見直し 
2. アクティブラーニング・PBLの全学的導入 
1. 既存の大学ICT基盤が「使えない」 
2. 学生教職員が総合的に使える情報共有基盤の 
必要性 
10
背景1: 教育内容の再考(2008〜) 
 実学: 学生はどうやったら「本気で仕事に」 
大学で学んだリテラシを活用できるようになるか 
 考慮要件 
 デジタルネイティブ世代の学生 
 「社会人基礎力≒コミュ力」に対する社会的要請 
 大学に入ってきた学生が 
「不得意だが必要」なICTリテラシ教育とは 
 幅広いアクティブラーニング・PBLの導入と 
ICTリテラシの実践的活用機会 
 そのためのICT環境基盤の再考
背景2: 使えない大学ICT基盤 
 Google Apps 導入以前の状況(〜2007) 
 学生が 
大学の提供するICT基盤(メール、ファイルサーバ)を 
いやいや使っているか、全然使っていない 
 教職員が 
 信頼して使える情報共有のためのICT基盤が 
提供出来ない 
 なのに 
 システム構築/運用コストはむしろ増加方向 
12
背景3: 学生教職員が 
総合的に使える情報共有基盤の必要 
 建て増しを続け、教育用・研究用・事務用 
といった目的別の個別システムの乱立 
 課題 
 区別をつけてサービスを個別提供する 
運用体力がない 
 → 共用できるものはなるべく共用したい 
 学生/職員/教員という「立場を越えた」 
コラボレーションを阻害 
13
捨てたもの
捨てたもの 
 デスクトップPCが並んだパソコン教室 
 大学内でしか使えないオンプレミスサーバ 
 大学特有の環境・設定をなるべく排除 
 「パソコンの使い方」や「その資格」を 
主目的とした必修講義
2009〜: デジタルネイティブ世代を 
意識したICTリテラシ教育 
 コンピュータとネットワークを教えない 
ICT で教える 
 カリキュラム全体の目標 
 知的生産におけるICT活用リテラシの経験と習得 
 大人のコミュニケーションができるように 
 アカデミック・ビジネスリテラシとしての活用と 
日常的なICT利用経験間のギャップを埋める 
 PCそのものの操作習得を目的としない 
 「能動的学習とコミュニケーション」が必要
アクティブラーニング・PBL 
(Project-based learning)の全面的導入 
 2年生以降の科目におけるPBL/グループワーク 
 グループワークを中心としたゼミ 
 「働ける大学」 
 HRC(Human Resource Center) 
 オープンキャンパススタッフ 
 SA/TA 
 ICT helpdesk、図書館学生スタッフ 
 大学の理念「実学」の実践を支えるICT基盤
新しいICT利用環境
教室環境から変える 
 KALC(Kaetsu Active Learning Classroom) 
 BYOD機器によるコラボレーションを重視 
 マルチプロジェクタ+ 
ホワイトボードスクリーン 
 無線LANと電源 
 教室以外での活動も増やす
新しいICT利用環境 
 SaaS(Google Apps) の積極活用 
 オープンな仕様、講義以外でも使う気になるUX 
 コラボレーションの土台になる情報共有サービス 
 BYOD (Bring Your Own Device) 
 学生自身のPCとケータイを徹底的に利用 
 誰かのものではなく、自分のものを 
 どこでも・いつでも 
 快適なインターネット利用環境 
 Active Learning のための教室整備 
 人的支援体制の整備
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
Q: 
 Google Appsについて 
1. Drive/Docs なども含めて組織ドメインで 
使っている 
2. Drive/Docs なども含めて個人で使っている 
3. Gmail のみを組織ドメインで使っている 
4. Gmail のみを個人で使っている 
5. 全く使っていない
Google Apps の代表的機能 
 Gmail (メールシステム) 
 容量潤沢、SPAM・ウィルス対策 
優秀なWeb UI、検索性 
 Google Drive 
 旧Docs: Officeスイート+ フォーム機能 
 Webストレージ+ Dropboxに近い同期機能 
 Google Sites 
 簡易Webサイト機能 
 Google Calendar (スケジューラ) 
 Google Groups 
 メーリングリスト+アーカイブ+アクセス制御 
 その他: Google+,YouTube,Blogger 等利用可
Google Apps の利点 
 グループウェア・情報共有系の機能が 
一通りそろっている 
 似たようなサービス・ソフトは他にもある 
 基本的に全てWebベース 
 これら全てが大学のアカウントで使える 
 マルチユーザ・マルチデバイスな用途・環境 
だと優位性がかなり出てくる 
 コラボレーションとコミュニケーションの基盤
現在のICT基盤システムの構成 
 Google Apps for Education Edition 
 メール・カレンダー・グループetc… 
 オンプレミス(42Uラックx 2本強) 
 学内LAN機器 
 OSS on VMWare を主体としたサーバ群 
 認証サーバ・ファイルサーバ・学内用Webサーバ 
 パッケージソフト: 教務システム・図書館OPAC 
 外部VPS 
 公開用Webサーバ
ユーザ管理システムの構成 
オンプレミスサーバ 
OpenLDAP 
Linux 
サーバ 
radius 
LAN 
機器 
Samba 
Windows 
サーバ 
PC等 
OSSTech社 
Unicorn ID Manager 
Google社サービス 
Google Apps 
Provisioning API
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
Gmail以前(〜2007)の課題 
 オンプレミスのUNIXベースローカルサーバ 
 利用者として 
 受信容量・添付ファイルなどの制限高 
 稼働状態が安定性が欠ける 
 運営者として 
 システム全体の老朽化 
 維持管理のコストが高すぎる 
 迷惑メール対策やクラッキング対策の高度化 
→ 運用知識の高度化に職員が対応できない 
 教育担当者として 
 「不合理なサービス」を学生に押しつける不毛感 
28
発生していた状況 
他にコミュニケーション手段があるのに 
不毛なハードルを乗り越えてまで 
大学のメールアドレスなんか使わない 
29
以前: 利用者に愛されないICT基盤の典型例 
 低いUX(User eXperience): 
 学生は「世間のサービス」の品質基準でみるが、 
学内サーバのクオリティはそれ以下 
 検索しても出てこない利用バッドノウハウ 
 本学でのみ通用する「方言」的利用手順の不毛 
さ 
 キャンパス外では限定した利用しかできない 
 誰も本気で使っていない環境 
 大学のメールアドレスで学生・教員に連絡できない 
 外部とのメールによる業務が安心して行えない
「使いにくい」のもたらす悪循環 
 使いにくい・楽しくない・愛せない 
 活用されない 
 教育的効果も低くなる 
 学校の環境を使って活動する気にならない 
 環境自体の存在価値が薄くなり、 
より中途半端な扱いになる 
 新しいサービスの導入も遅れがち 
 保守運用コスト・Secureなサービス維持も大変
Gmail 導入の評価 
 旧システムに比べて非常に高評価 
 大容量・安定・SPAM対策・WebUI 
 運用コストは圧倒的に低下 
 移行時の多少のトラブルを差し引いても 
 学生にも定着・利用頻度も向上 
 ユーザのアクティベート率は100% 
 「学校のメールアドレス」を使うようになった 
 学生に愛される? 使われるシステム 
 教育担当者として 
 学生に使わせることに不毛感がない
2012秋1年生メール利用頻度 
以前に比べると高い利用頻度 
15 
18 
17 
52 
57 
58 
86 
0 20 40 60 80 100 
週に1回未満 
週に1回程度 
週に2,3回程度 
2日に1回程度 
1日に1回程度 
1日に数回程度 
1日に5回以上 
とはいえ、もはやLINEやfacebookやtwitterの方が連絡取りやすかったりもしますが
「使う気になるUXの実現」の大事さ 
 世間のサービス並のサービスをきちんと提供 
 使える・信頼できる・使いやすい 
 活用する気になる 
 教育内容に組み込むことが容易になる 
 学校の環境を使って活動する気が生まれる 
 ICT基盤全体の重要性が上がり、 
組織的により真っ当な運用が可能に 
 手に余らずに運用できるようになる 
 新しい機能の導入やサポートに人手が回せる
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
前提:情報共有基盤の必要性 
 「自由度の高い情報共有基盤」が必要 
 アクティブラーニング、PBL 
学生・教員がグループで活動するのが前提の講義 
 小規模:元々教職員の職能分担が曖昧 
 「働ける大学」:学生も学校運営に参加 
 必要なさそうな状況 
 職員と学生・教員の共同作業があまりないケース 
 「演説型講義」だけやっている大学だったら 
それほど要らない 
 必要なのは一方的な課題ファイル提出などの機能など 
36
情報共有の必要性に気付く学生 
 PBL→学生自身がいろいろ足りないことに気づく 
 連絡を取る方法を重層的にしないといけない 
 ホウレンソウの必要性に気づく 
 スケジュール管理・予定調整ができない 
 必要なファイルを誰かしか持っていない 
 様々な情報を集める必要 
 作った成果をみんなでまとめる場所が必要 
 問題に気づいたときに 
「これを使うといいよ」と言えるツールが 
Google Apps に揃っている
現状:活用ケース 
 Sites: 
 学内部署単位の 
学生・教員向け告知・書式配布 
 講義の資料配付用ポータル 
 Drive: 
 各種文書共有 
 講義内での学生間資料共同作成 
 Calendar: 
 学内会議室等施設の予約 
 職員部署毎のスケジュール管理, 学事暦の共有 
38
Forms の活用• 各種アンケートフォーム 
• 学生からの課題提出 
• 出席を兼ねた小課題
尖兵としてのGmail 
Kaetsu Gmailを 
「普通にみんな使っている」 
他のGoogle Appsサービスの 
利用ハードルが下がる 
他の機能の有用性が上がり 
使われるようになる 
40
Google Apps の利用拡大 
 導入時~: 他の機能も制限を設けず利用可 
 一部教員・学生による利用 
 積極的なサポートは行わないが、利用は止めない 
 2010年4月〜: 
共有制御へのグループ機能の結合で利用機会拡大 
 導入当初になかったGoogle Groups 機能と 
連動したアクセス制御が可能に 
 アクセス制御に利用可能になった結果、 
他の機能(Drive,Sites,Formsなど)も利用シーン拡大
Google Apps の共有制御機能 
42
Google Apps の共有制御機能 
 Google Apps 利用上 
最大の利点の一つ 
 単純で分かり易いUIで 
アクセス制御が可能 
 メールアドレス単位で、 
Google Appsスイートの 
情報共有管理ができる 
 「嘉悦大学の人」も可能 
 実用面・リテラシ教育として、 
「誰に何を見せていいのか」を利用者が 
意識しやすいのはとても重要
情報共有/アクセス制御の対象 
1. 個人単位でのメールアドレス指定共有 
2. 嘉悦大学の全利用者に対する共有 
3. 公式グループ 
 例: 事務部門・教員委員会・全教職員 
 情報メディアセンターで用意 
 管理システムでLDAPグループから自動同期 
4. 非公式グループ 
 強制Suffix (-g) を利用して区別 
 学生も含めて自由に作成可 
 クラス、ゼミなどは学生SAや半公式に作成 
44
組織単位での共有 
45
Appsで代替廃止していったサービス 
 学内連絡用掲示板・カレンダーCGI 
 独自メーリングリストサービス 
 学生・教員用ファイルサーバサービス 
 学内LANからしかアクセスさせにくい 
 細かい共有制御ができない 
 バッドノウハウが必要 
 Webホスティングサービス 
 おおむねGoogle Appsの別サービスで代替可能 
 セキュアに維持するのが難しかった 
 本格的なサイトはどちらにせよ外部サービスが必要 
46
学務運営用途における使い分け 
 教職員組織の学務運営における文書・情報共有 
▶限定的に利用 
 伝統的なオンプレミスシステムを併用 
 学内用ファイルサーバ・学務システムなど 
 学内LANに閉じた保守的運用 
 中間的な情報共有時はDrive, Sites が有効 
 非定型業務、ワーキンググループなどの 
インフォーマルな情報共有 
 学生や非常勤講師なども交えた情報交換 
47
対象情報の特性による使い分け 
学内専用オンプレミスサーバGoogle Apps (Drive, Sites) 
 専任職員(+教員)メイン 
 定型的業務 
 公式性が高い 
 組織内分掌が明確 
 より機密性高 
 中長期の保存が必要 
 学生や非常勤も含む 
 非定形業務 
 インフォーマル 
 組織を跨ぐ 
 共有対象者が多い 
 比較的短期間の利用 
48
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
全体評価 
割と成功
2007〜: ICT基盤改革の背景 
1. 教育内容改革- 「実学」とICTの実践的活用 
1. ICTリテラシ教育の全面的見直し 
2. アクティブラーニング・PBLの全学的導入 
1. 既存の大学ICT基盤が「使えない」 
2. 学生教職員が総合的に使えるICT基盤の必要性 
51
学生がより日常的にPC・ネットを 
使うようになった 
http://blog.kaetsu-pr.net/ から52
Google Apps の利用経験から 
1. 小規模な社会科学系大学で 
2. 本当に必要となる教育ICT基盤を 
3. 限られた運営体力で提供したい時 
前のめりに 
Google Apps (SaaS) 
を使ったら、どう役に立ったか 
53
「使う気になるUXの実現」の大事さ 
 世間のサービス並のサービスをきちんと提供 
 使える・信頼できる・使いやすい 
 活用する気になる 
 教育内容に組み込むことが容易になる 
 学校の環境を使って活動する気が生まれる 
 ICT基盤全体の重要性が上がり、 
組織的により真っ当な運用が可能に 
 手に余らずに運用できるようになる 
 新しい機能の導入やサポートに人手が回せる
運営側の観点から 
 限られた人的・資金的リソースの中で実現できた 
 世間のサービス同等のUXの提供 
 以前より安定したICT基盤の提供 
 様々な情報共有機能の提供 
 人的・資金的リソースの再配分が可能に 
 人的・資金的なコストカットの実現 
 新しいサービスの提供 
 利用者へのサポートサービスの向上 
55
まとめ: Google Apps で実現できたこと 
1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 
「使われるシステム」の実現 
2. 実用的で有用な情報共有機能の提供 
 適切な費用対効果でこれらを実現 
56
 背景 
 嘉悦大学の概略 
Agenda 
 嘉悦大学におけるICT基盤改革 
 Google Apps と関連システムの構成 
 Google Apps の活用 
 観点1:「使われる」メールサービスの実現 
 観点2: 情報共有基盤としての活用 
 導入の全体評価: 
 Google Apps はどう役に立ったか 
 今後に向けて: 
 クラウドと大学「情シス」の役割
「情シス」の長としての疑問 
世間にこれだけ 
コンシューマ向けICTサービスがあるのに 
教育用のICT基盤サービスを 
大学がわざわざ提供する意味はあるのか? 
あるとすれば本当に必要なのは何か? 
58
まとめ: Google Apps で実現できたこと 
1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 
「使われるシステム」の実現 
2. 実用的で有用な情報共有機能の提供 
 適切な費用対効果でこれらを実現 
59
まとめ: Google Apps で実現できたこと 
1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 
「使われるシステム」の実現 
2. 実用的で有用な情報共有機能の提供 
 適切な費用対効果でこれらを実現 
60
まとめ: Google Apps で実現できたこと 
1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 
「使われるシステム」の実現 
2. 実用的で有用な情報共有機能の提供 
 適切な費用対効果でこれらを実現 
61
「情シス」の長としての疑問 
世間にこれだけ 
コンシューマ向けICTサービスがあるのに 
教育用のICT基盤サービスを 
大学がわざわざ提供する意味はあるのか? 
あるとすれば本当に必要なのは何か? 
62
「情シス」の長としての疑問 
世間にこれだけ 
コンシューマ向けICTサービスがあるのに 
教育用のICT基盤サービスを 
大学がわざわざ提供する意味はあるのか? 
あるとすれば本当に必要なのは何か? 
63
サービスの目利き+ 
大学構成員のIDとメンバーシップ管理 
 大学のアカウントの意味は? 
 「絶対誰にでもコンタクトできる共通手段としての 
メールアカウント」としての価値 
 大学活動における普遍的なIDとしての意義 
 情報共有制御に使える事が大事 
 コラボレーションしやすい基盤整備が重要 
 「グループメンバーシップの適切な管理」 
を組み合わせることで、サービスが力を発揮する
大学とクラウドサービス: 今後の期待 
 「機能」は様々なサービスをオープンに結合 
 なるべく自前でサービスは構築しない 
 システム構築力よりサービスの評価力とモニタ力 
 大学の状況にあった契約・利用体系 
 組織的なサービス選択基準のガイドライン 
 IDとメンバーシップ管理の各種サービス間連携 
 認証・認可連携機構の充実と普及 
 SAML, OAuth, OpenID Connectなど 
 より利用が容易なID・グループ管理サービス 
 IDaaS(Identity as a Service) などの形で 
65
ご清聴ありがとうございました 
お問い合わせ: 
嘉悦大学情報メディアセンター 
imc@kaetsu.ac.jp http://imc.kaetsu.ac.jp/ 
横浜商科大学遠山緑生 
next@shodai.ac.jp http://nor.10yama.net/ 
Twitter: 10yama / facebook :名前

Weitere ähnliche Inhalte

Andere mochten auch

2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)
2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)
2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)Yuka Egusa
 
トーナメントは運か実力か
トーナメントは運か実力かトーナメントは運か実力か
トーナメントは運か実力かKazuro Fukuhara
 
情報処理学会 第75回全国大会
情報処理学会 第75回全国大会情報処理学会 第75回全国大会
情報処理学会 第75回全国大会narikei
 
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in Tokyo
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in TokyoCLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in Tokyo
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in TokyoCLOUDIAN KK
 
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419Alberto Garcia Romera
 
初期研修医のための学会スライドのキホン
初期研修医のための学会スライドのキホン初期研修医のための学会スライドのキホン
初期研修医のための学会スライドのキホンk-kajiwara
 

Andere mochten auch (7)

2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)
2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)
2011-11-22 情報処理学会 第104回情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)
 
トーナメントは運か実力か
トーナメントは運か実力かトーナメントは運か実力か
トーナメントは運か実力か
 
情報処理学会 第75回全国大会
情報処理学会 第75回全国大会情報処理学会 第75回全国大会
情報処理学会 第75回全国大会
 
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in Tokyo
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in TokyoCLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in Tokyo
CLOUDIAN Presentation at VERITAS VISION in Tokyo
 
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419
Roland berger best_practices_in_new_product_development_20130419
 
初期研修医のための学会スライドのキホン
初期研修医のための学会スライドのキホン初期研修医のための学会スライドのキホン
初期研修医のための学会スライドのキホン
 
McKinsey: Understanding shifts in consumer behavior
McKinsey: Understanding shifts in consumer behaviorMcKinsey: Understanding shifts in consumer behavior
McKinsey: Understanding shifts in consumer behavior
 

Ähnlich wie 20141024 情報処理学会cle-google apps-open

Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案
Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案
Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案鈴鹿工業高等専門学校
 
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化saireya _
 
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用satonorisan
 
20181119_ICON技術セミナー7_石坂
20181119_ICON技術セミナー7_石坂20181119_ICON技術セミナー7_石坂
20181119_ICON技術セミナー7_石坂ICT_CONNECT_21
 
2013.06.28 オンライン教育研究会
2013.06.28 オンライン教育研究会2013.06.28 オンライン教育研究会
2013.06.28 オンライン教育研究会Hori Masumi
 
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクスKeiko Tanaka
 
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~Ryoichi Murashima
 
基礎演習V_20141021
基礎演習V_20141021基礎演習V_20141021
基礎演習V_20141021義広 河野
 
Webシステムプログラミング20150413
Webシステムプログラミング20150413Webシステムプログラミング20150413
Webシステムプログラミング20150413義広 河野
 
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発Hori Masumi
 
Itca yammer提案110615
Itca yammer提案110615Itca yammer提案110615
Itca yammer提案110615伸夫 森本
 
Ethical design for learner experience
Ethical design for learner experienceEthical design for learner experience
Ethical design for learner experienceNaoyuki Matsumoto
 
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~Hiroshi Igaki
 
文教ソリューションの特徴 140319
文教ソリューションの特徴 140319文教ソリューションの特徴 140319
文教ソリューションの特徴 140319Rie Arai
 
プログラミング言語に関する学生へのアンケート
プログラミング言語に関する学生へのアンケートプログラミング言語に関する学生へのアンケート
プログラミング言語に関する学生へのアンケートHiroto Yamakawa
 
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdf
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdfA01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdf
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdfAOMORI SIX
 
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践Nobuhiko Kondo
 
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発Masanobu Takagi
 

Ähnlich wie 20141024 情報処理学会cle-google apps-open (20)

Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案
Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案
Moodleを利用した学校ポータルサイト構築の事例紹介とネットワーク化の提案
 
PBL as a Service
PBL as a ServicePBL as a Service
PBL as a Service
 
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化
社会のイノベーションを志向する情報教育の体系化
 
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用
小学生へのプログラミングの学習における 「足場かけ」の適用
 
Cle
CleCle
Cle
 
20181119_ICON技術セミナー7_石坂
20181119_ICON技術セミナー7_石坂20181119_ICON技術セミナー7_石坂
20181119_ICON技術セミナー7_石坂
 
2013.06.28 オンライン教育研究会
2013.06.28 オンライン教育研究会2013.06.28 オンライン教育研究会
2013.06.28 オンライン教育研究会
 
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス
学習分析学会ミートアップ:マイクロクレデンシャルとラーイングアナリティクス
 
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~
第198回熊大ランチョンセミナー資料~ネットワーク・Web2.0とつながった学習者~
 
基礎演習V_20141021
基礎演習V_20141021基礎演習V_20141021
基礎演習V_20141021
 
Webシステムプログラミング20150413
Webシステムプログラミング20150413Webシステムプログラミング20150413
Webシステムプログラミング20150413
 
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発
学認と電子書籍を利用したオープンエデュケーションツールの開発
 
Itca yammer提案110615
Itca yammer提案110615Itca yammer提案110615
Itca yammer提案110615
 
Ethical design for learner experience
Ethical design for learner experienceEthical design for learner experience
Ethical design for learner experience
 
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~
CloudSpiralの振り返りと今後~反転授業とポートフォリオ~
 
文教ソリューションの特徴 140319
文教ソリューションの特徴 140319文教ソリューションの特徴 140319
文教ソリューションの特徴 140319
 
プログラミング言語に関する学生へのアンケート
プログラミング言語に関する学生へのアンケートプログラミング言語に関する学生へのアンケート
プログラミング言語に関する学生へのアンケート
 
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdf
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdfA01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdf
A01 角田研究室1四戸洸大 ポスタ.pdf
 
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践
クラウドサービスを活用した相互閲覧・相互評価ベースの授業設計と実践
 
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
 

20141024 情報処理学会cle-google apps-open

  • 1. 教育ICT 基盤としての GOOGLE APPS の活用実践 遠山緑生田尻慎太郎岩月基洋岡本潤白鳥成彦横浜商科大学 / 嘉悦大学
  • 2. 自己紹介 横浜商科大学商学部経営情報学科准教授 嘉悦大学前情報メディアセンター長 遠山緑生 next@shodai.ac.jp, http://nor.10yama.jp/ Twitter:10yama, facebook: 名前で
  • 3. Google Apps の利用経験から 1. 小規模な社会科学系大学で 2. 本当に必要となる教育ICT基盤を 3. 限られた運営体力で提供したい時 前のめりに Google Apps (SaaS) を使ったら、どう役に立ったか 3
  • 4. Agenda  背景  嘉悦大学の概略  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 5.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 6. 嘉悦大学 1キャンパス 2学部 (+1研究科) 1600人 110周年/12年目
  • 7. 嘉悦大学の概略  所在地: 東京都小平市  ビジネス系教育の2学部  経営経済学部: 定員200  ビジネス創造学部: 定員200  定員400人(一学年) x 4 = 1600人  大学院(ビジネス創造研究科) 修士/博士課程  ユーザ数総計約1,800人  学生総数: 約1,600人  専任教職員数: 約100人  非常勤教員数: 約100人
  • 8. 嘉悦大学のポジションと課題  比較的小規模なビジネス系大学  経営/経済/会計/法学などを主とした科目構成  実用ビジネスリテラシとしてのICT教育を重視  偏差値は高くはない/ 実質的全入  教育大学:大学院進学者は少なく、ほとんどが就職  ICT基盤運営上の課題  限られた人的・資金的リソースでのサービス提供  専任技術者を確保する難しさ  一方で教育の質向上に必要なサービスの高度化
  • 9.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 10. 2007〜: ICT基盤改革の課題 1. 教育内容改革- 「実学」とICTの実践的活用 1. ICTリテラシ教育の全面的見直し 2. アクティブラーニング・PBLの全学的導入 1. 既存の大学ICT基盤が「使えない」 2. 学生教職員が総合的に使える情報共有基盤の 必要性 10
  • 11. 背景1: 教育内容の再考(2008〜)  実学: 学生はどうやったら「本気で仕事に」 大学で学んだリテラシを活用できるようになるか  考慮要件  デジタルネイティブ世代の学生  「社会人基礎力≒コミュ力」に対する社会的要請  大学に入ってきた学生が 「不得意だが必要」なICTリテラシ教育とは  幅広いアクティブラーニング・PBLの導入と ICTリテラシの実践的活用機会  そのためのICT環境基盤の再考
  • 12. 背景2: 使えない大学ICT基盤  Google Apps 導入以前の状況(〜2007)  学生が 大学の提供するICT基盤(メール、ファイルサーバ)を いやいや使っているか、全然使っていない  教職員が  信頼して使える情報共有のためのICT基盤が 提供出来ない  なのに  システム構築/運用コストはむしろ増加方向 12
  • 13. 背景3: 学生教職員が 総合的に使える情報共有基盤の必要  建て増しを続け、教育用・研究用・事務用 といった目的別の個別システムの乱立  課題  区別をつけてサービスを個別提供する 運用体力がない  → 共用できるものはなるべく共用したい  学生/職員/教員という「立場を越えた」 コラボレーションを阻害 13
  • 15. 捨てたもの  デスクトップPCが並んだパソコン教室  大学内でしか使えないオンプレミスサーバ  大学特有の環境・設定をなるべく排除  「パソコンの使い方」や「その資格」を 主目的とした必修講義
  • 16. 2009〜: デジタルネイティブ世代を 意識したICTリテラシ教育  コンピュータとネットワークを教えない ICT で教える  カリキュラム全体の目標  知的生産におけるICT活用リテラシの経験と習得  大人のコミュニケーションができるように  アカデミック・ビジネスリテラシとしての活用と 日常的なICT利用経験間のギャップを埋める  PCそのものの操作習得を目的としない  「能動的学習とコミュニケーション」が必要
  • 17. アクティブラーニング・PBL (Project-based learning)の全面的導入  2年生以降の科目におけるPBL/グループワーク  グループワークを中心としたゼミ  「働ける大学」  HRC(Human Resource Center)  オープンキャンパススタッフ  SA/TA  ICT helpdesk、図書館学生スタッフ  大学の理念「実学」の実践を支えるICT基盤
  • 19. 教室環境から変える  KALC(Kaetsu Active Learning Classroom)  BYOD機器によるコラボレーションを重視  マルチプロジェクタ+ ホワイトボードスクリーン  無線LANと電源  教室以外での活動も増やす
  • 20. 新しいICT利用環境  SaaS(Google Apps) の積極活用  オープンな仕様、講義以外でも使う気になるUX  コラボレーションの土台になる情報共有サービス  BYOD (Bring Your Own Device)  学生自身のPCとケータイを徹底的に利用  誰かのものではなく、自分のものを  どこでも・いつでも  快適なインターネット利用環境  Active Learning のための教室整備  人的支援体制の整備
  • 21.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 22. Q:  Google Appsについて 1. Drive/Docs なども含めて組織ドメインで 使っている 2. Drive/Docs なども含めて個人で使っている 3. Gmail のみを組織ドメインで使っている 4. Gmail のみを個人で使っている 5. 全く使っていない
  • 23. Google Apps の代表的機能  Gmail (メールシステム)  容量潤沢、SPAM・ウィルス対策 優秀なWeb UI、検索性  Google Drive  旧Docs: Officeスイート+ フォーム機能  Webストレージ+ Dropboxに近い同期機能  Google Sites  簡易Webサイト機能  Google Calendar (スケジューラ)  Google Groups  メーリングリスト+アーカイブ+アクセス制御  その他: Google+,YouTube,Blogger 等利用可
  • 24. Google Apps の利点  グループウェア・情報共有系の機能が 一通りそろっている  似たようなサービス・ソフトは他にもある  基本的に全てWebベース  これら全てが大学のアカウントで使える  マルチユーザ・マルチデバイスな用途・環境 だと優位性がかなり出てくる  コラボレーションとコミュニケーションの基盤
  • 25. 現在のICT基盤システムの構成  Google Apps for Education Edition  メール・カレンダー・グループetc…  オンプレミス(42Uラックx 2本強)  学内LAN機器  OSS on VMWare を主体としたサーバ群  認証サーバ・ファイルサーバ・学内用Webサーバ  パッケージソフト: 教務システム・図書館OPAC  外部VPS  公開用Webサーバ
  • 26. ユーザ管理システムの構成 オンプレミスサーバ OpenLDAP Linux サーバ radius LAN 機器 Samba Windows サーバ PC等 OSSTech社 Unicorn ID Manager Google社サービス Google Apps Provisioning API
  • 27.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 28. Gmail以前(〜2007)の課題  オンプレミスのUNIXベースローカルサーバ  利用者として  受信容量・添付ファイルなどの制限高  稼働状態が安定性が欠ける  運営者として  システム全体の老朽化  維持管理のコストが高すぎる  迷惑メール対策やクラッキング対策の高度化 → 運用知識の高度化に職員が対応できない  教育担当者として  「不合理なサービス」を学生に押しつける不毛感 28
  • 30. 以前: 利用者に愛されないICT基盤の典型例  低いUX(User eXperience):  学生は「世間のサービス」の品質基準でみるが、 学内サーバのクオリティはそれ以下  検索しても出てこない利用バッドノウハウ  本学でのみ通用する「方言」的利用手順の不毛 さ  キャンパス外では限定した利用しかできない  誰も本気で使っていない環境  大学のメールアドレスで学生・教員に連絡できない  外部とのメールによる業務が安心して行えない
  • 31. 「使いにくい」のもたらす悪循環  使いにくい・楽しくない・愛せない  活用されない  教育的効果も低くなる  学校の環境を使って活動する気にならない  環境自体の存在価値が薄くなり、 より中途半端な扱いになる  新しいサービスの導入も遅れがち  保守運用コスト・Secureなサービス維持も大変
  • 32. Gmail 導入の評価  旧システムに比べて非常に高評価  大容量・安定・SPAM対策・WebUI  運用コストは圧倒的に低下  移行時の多少のトラブルを差し引いても  学生にも定着・利用頻度も向上  ユーザのアクティベート率は100%  「学校のメールアドレス」を使うようになった  学生に愛される? 使われるシステム  教育担当者として  学生に使わせることに不毛感がない
  • 33. 2012秋1年生メール利用頻度 以前に比べると高い利用頻度 15 18 17 52 57 58 86 0 20 40 60 80 100 週に1回未満 週に1回程度 週に2,3回程度 2日に1回程度 1日に1回程度 1日に数回程度 1日に5回以上 とはいえ、もはやLINEやfacebookやtwitterの方が連絡取りやすかったりもしますが
  • 34. 「使う気になるUXの実現」の大事さ  世間のサービス並のサービスをきちんと提供  使える・信頼できる・使いやすい  活用する気になる  教育内容に組み込むことが容易になる  学校の環境を使って活動する気が生まれる  ICT基盤全体の重要性が上がり、 組織的により真っ当な運用が可能に  手に余らずに運用できるようになる  新しい機能の導入やサポートに人手が回せる
  • 35.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 36. 前提:情報共有基盤の必要性  「自由度の高い情報共有基盤」が必要  アクティブラーニング、PBL 学生・教員がグループで活動するのが前提の講義  小規模:元々教職員の職能分担が曖昧  「働ける大学」:学生も学校運営に参加  必要なさそうな状況  職員と学生・教員の共同作業があまりないケース  「演説型講義」だけやっている大学だったら それほど要らない  必要なのは一方的な課題ファイル提出などの機能など 36
  • 37. 情報共有の必要性に気付く学生  PBL→学生自身がいろいろ足りないことに気づく  連絡を取る方法を重層的にしないといけない  ホウレンソウの必要性に気づく  スケジュール管理・予定調整ができない  必要なファイルを誰かしか持っていない  様々な情報を集める必要  作った成果をみんなでまとめる場所が必要  問題に気づいたときに 「これを使うといいよ」と言えるツールが Google Apps に揃っている
  • 38. 現状:活用ケース  Sites:  学内部署単位の 学生・教員向け告知・書式配布  講義の資料配付用ポータル  Drive:  各種文書共有  講義内での学生間資料共同作成  Calendar:  学内会議室等施設の予約  職員部署毎のスケジュール管理, 学事暦の共有 38
  • 39. Forms の活用• 各種アンケートフォーム • 学生からの課題提出 • 出席を兼ねた小課題
  • 40. 尖兵としてのGmail Kaetsu Gmailを 「普通にみんな使っている」 他のGoogle Appsサービスの 利用ハードルが下がる 他の機能の有用性が上がり 使われるようになる 40
  • 41. Google Apps の利用拡大  導入時~: 他の機能も制限を設けず利用可  一部教員・学生による利用  積極的なサポートは行わないが、利用は止めない  2010年4月〜: 共有制御へのグループ機能の結合で利用機会拡大  導入当初になかったGoogle Groups 機能と 連動したアクセス制御が可能に  アクセス制御に利用可能になった結果、 他の機能(Drive,Sites,Formsなど)も利用シーン拡大
  • 43. Google Apps の共有制御機能  Google Apps 利用上 最大の利点の一つ  単純で分かり易いUIで アクセス制御が可能  メールアドレス単位で、 Google Appsスイートの 情報共有管理ができる  「嘉悦大学の人」も可能  実用面・リテラシ教育として、 「誰に何を見せていいのか」を利用者が 意識しやすいのはとても重要
  • 44. 情報共有/アクセス制御の対象 1. 個人単位でのメールアドレス指定共有 2. 嘉悦大学の全利用者に対する共有 3. 公式グループ  例: 事務部門・教員委員会・全教職員  情報メディアセンターで用意  管理システムでLDAPグループから自動同期 4. 非公式グループ  強制Suffix (-g) を利用して区別  学生も含めて自由に作成可  クラス、ゼミなどは学生SAや半公式に作成 44
  • 46. Appsで代替廃止していったサービス  学内連絡用掲示板・カレンダーCGI  独自メーリングリストサービス  学生・教員用ファイルサーバサービス  学内LANからしかアクセスさせにくい  細かい共有制御ができない  バッドノウハウが必要  Webホスティングサービス  おおむねGoogle Appsの別サービスで代替可能  セキュアに維持するのが難しかった  本格的なサイトはどちらにせよ外部サービスが必要 46
  • 47. 学務運営用途における使い分け  教職員組織の学務運営における文書・情報共有 ▶限定的に利用  伝統的なオンプレミスシステムを併用  学内用ファイルサーバ・学務システムなど  学内LANに閉じた保守的運用  中間的な情報共有時はDrive, Sites が有効  非定型業務、ワーキンググループなどの インフォーマルな情報共有  学生や非常勤講師なども交えた情報交換 47
  • 48. 対象情報の特性による使い分け 学内専用オンプレミスサーバGoogle Apps (Drive, Sites)  専任職員(+教員)メイン  定型的業務  公式性が高い  組織内分掌が明確  より機密性高  中長期の保存が必要  学生や非常勤も含む  非定形業務  インフォーマル  組織を跨ぐ  共有対象者が多い  比較的短期間の利用 48
  • 49.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 51. 2007〜: ICT基盤改革の背景 1. 教育内容改革- 「実学」とICTの実践的活用 1. ICTリテラシ教育の全面的見直し 2. アクティブラーニング・PBLの全学的導入 1. 既存の大学ICT基盤が「使えない」 2. 学生教職員が総合的に使えるICT基盤の必要性 51
  • 53. Google Apps の利用経験から 1. 小規模な社会科学系大学で 2. 本当に必要となる教育ICT基盤を 3. 限られた運営体力で提供したい時 前のめりに Google Apps (SaaS) を使ったら、どう役に立ったか 53
  • 54. 「使う気になるUXの実現」の大事さ  世間のサービス並のサービスをきちんと提供  使える・信頼できる・使いやすい  活用する気になる  教育内容に組み込むことが容易になる  学校の環境を使って活動する気が生まれる  ICT基盤全体の重要性が上がり、 組織的により真っ当な運用が可能に  手に余らずに運用できるようになる  新しい機能の導入やサポートに人手が回せる
  • 55. 運営側の観点から  限られた人的・資金的リソースの中で実現できた  世間のサービス同等のUXの提供  以前より安定したICT基盤の提供  様々な情報共有機能の提供  人的・資金的リソースの再配分が可能に  人的・資金的なコストカットの実現  新しいサービスの提供  利用者へのサポートサービスの向上 55
  • 56. まとめ: Google Apps で実現できたこと 1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 「使われるシステム」の実現 2. 実用的で有用な情報共有機能の提供  適切な費用対効果でこれらを実現 56
  • 57.  背景  嘉悦大学の概略 Agenda  嘉悦大学におけるICT基盤改革  Google Apps と関連システムの構成  Google Apps の活用  観点1:「使われる」メールサービスの実現  観点2: 情報共有基盤としての活用  導入の全体評価:  Google Apps はどう役に立ったか  今後に向けて:  クラウドと大学「情シス」の役割
  • 58. 「情シス」の長としての疑問 世間にこれだけ コンシューマ向けICTサービスがあるのに 教育用のICT基盤サービスを 大学がわざわざ提供する意味はあるのか? あるとすれば本当に必要なのは何か? 58
  • 59. まとめ: Google Apps で実現できたこと 1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 「使われるシステム」の実現 2. 実用的で有用な情報共有機能の提供  適切な費用対効果でこれらを実現 59
  • 60. まとめ: Google Apps で実現できたこと 1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 「使われるシステム」の実現 2. 実用的で有用な情報共有機能の提供  適切な費用対効果でこれらを実現 60
  • 61. まとめ: Google Apps で実現できたこと 1. 「世間並みのサービス」を提供出来る 「使われるシステム」の実現 2. 実用的で有用な情報共有機能の提供  適切な費用対効果でこれらを実現 61
  • 62. 「情シス」の長としての疑問 世間にこれだけ コンシューマ向けICTサービスがあるのに 教育用のICT基盤サービスを 大学がわざわざ提供する意味はあるのか? あるとすれば本当に必要なのは何か? 62
  • 63. 「情シス」の長としての疑問 世間にこれだけ コンシューマ向けICTサービスがあるのに 教育用のICT基盤サービスを 大学がわざわざ提供する意味はあるのか? あるとすれば本当に必要なのは何か? 63
  • 64. サービスの目利き+ 大学構成員のIDとメンバーシップ管理  大学のアカウントの意味は?  「絶対誰にでもコンタクトできる共通手段としての メールアカウント」としての価値  大学活動における普遍的なIDとしての意義  情報共有制御に使える事が大事  コラボレーションしやすい基盤整備が重要  「グループメンバーシップの適切な管理」 を組み合わせることで、サービスが力を発揮する
  • 65. 大学とクラウドサービス: 今後の期待  「機能」は様々なサービスをオープンに結合  なるべく自前でサービスは構築しない  システム構築力よりサービスの評価力とモニタ力  大学の状況にあった契約・利用体系  組織的なサービス選択基準のガイドライン  IDとメンバーシップ管理の各種サービス間連携  認証・認可連携機構の充実と普及  SAML, OAuth, OpenID Connectなど  より利用が容易なID・グループ管理サービス  IDaaS(Identity as a Service) などの形で 65
  • 66. ご清聴ありがとうございました お問い合わせ: 嘉悦大学情報メディアセンター imc@kaetsu.ac.jp http://imc.kaetsu.ac.jp/ 横浜商科大学遠山緑生 next@shodai.ac.jp http://nor.10yama.net/ Twitter: 10yama / facebook :名前