OECD諸国のうち上位20カ国では、合計で約78兆ドルの公的年金債務に達すると試算されています。多くの大企業の年金制度も同様に大幅に資金不足に陥っていると想定されます。
今後男性の約45%、女性の約55%以上が90歳代まで長生きすると予想されているため、多くの人々は約5年で、大多数は10年以上で貯蓄の大半を失うことになると考えられます。
終身年金などの退職後の所得を補填する金融商品は、主に中央集権的な保険会社によって負担させられる莫大なコストのため収益率が低く人気がありません。
当社は、積み立てられた年金が常に資金不足にならないことを保証できるように、中立的で自律的なスマートアクチュアリーというシステムを導入します。これによって運用されているTontine年金という新たな終身年金を提供することにより、莫大なコストのかかる中央集権的な既存の年金に関する問題の解決策を提案します。Tontine年金は中央集権的な管理をしないで終身にわたる年金給付を行うので、コストを大幅に削減し、退職者に支払われる年金を大幅に増加させることができます。
Tontine年金はもともと365年前に考案された画期的な金融商品であり、多くの欧州諸国のほか、道路、橋、ホテル建設などの民間プロジェクトにも資金を提供しています。Tontines年金では年金受給者が生存している限り、年金受給者によって積み立てられた資金の範囲内で定期的な年金給付を共有します。将来生存中の年金受給者数が減少するにつれて、一人あたりの年金給付がしばしば劇的に増加します。
Tontine年金は、1868年に米国の保険会社によって最初に販売され、大成功しました。しかし保険会社のずさんな経営により1906年に規制当局に調査されると、会計帳簿の改竄や資本の不適切な使用が明らかになり販売が停止させられました。販売停止前には米国の世帯の50%以上が、現在の価値に換算すると1700億ドル相当をTontine年金に投資していました。
それ以降ずっとTontine年金は販売されることなく、そのため退職貯蓄率は激減しました。
2009年には、改竄不可能な金融データベース管理のための分散型元帳技術の登場により、高度な暗号理論に基づいてユーザー間で匿名性を保ったままの新しい信頼の形式が生まれました。
そのため、消費者は中間業者を排した低コストのTontine年金に入ることで、長寿リスクを安全かつ集団的に回避することができます。
本稿では、以下に示されるような法令に準拠したTontine年金のエコシステムを提案しています:
● 退職後の所得を補填するために年間約3500億ドルをも費やしている何億人もの世界中の人々に大幅に増額した年金を支給すること
● デジタル通貨を導入して低コストのTontine年金を仲介する独立系ファイナンシャルアドバイザーや個人向け投資顧問業者にインセンティブを与えること
● Tontine年金の積立金が常に資金不足になることなく常に年金受給者の最善の利益を保証する、年金支給額を逐次変動させる自律型のスマートアクチュアリーを導入すること