PRK近視手術に見られなかったレーシック後の有害事象について

1. 私も遠くを見たい！
人類共通の願い、国際社会、近視矯正術の発展
奥山公道
2017年法政大学社会学部公開授業
ゲスト講演会 「国際社会入門」

2. 人類共通の願い
●狩猟時代の近視は餓死を意味した。
• ダビンチは金魚鉢からメガネのヒントを得た。
• チェコでは、パイロットの目に入った防風ガラス
の破片をヒントに、コンタクトレンズや白内障眼
内レンズが作られた。
• ロシアのフィヨードロフ博士はメガネを破損した
少年の視力が回復した例にヒントを得て近視手術
を開発し、米露のレーザー技術がレーシックをも
たらした。
●けれども日本人の3人に一人はメガネをかけ、カ
メラを持つと言われた状況は今も変わらない。
なぜであろう。

3. 近視とは
●近視はピントが網膜の手前に、遠視は後方に。
近視は眼球の奥行、角膜カーブ、水晶体の状態で決まる。主に10歳前
後から身長と共に眼球の奥行きが伸びて近視が進む。角膜を切開、蒸
発により扁平化させ、ピント矯正をするのが角膜近視手術である。

4. ●近視矯正術の発展
①RK=Radial Keratotomy
➁PARK=Photoanterior referactivekeratoplasty
③LASIK=laser in situ keratomileusis
①RK角膜放射状切開手術：佐藤式・フィヨドロフ式
②レーザーパーク手術③切るレーシック④角膜内リング矯正術
⑤有水晶体眼内レンズを、フィヨドロフが開発、失明の可能性
があり普及せず
④角膜実質蒸散スマイル術、後述のボーマン膜の役割が不明

5. ①RK近視手術の生みの父と育ての父
日本の佐藤、ソ連のフィヨドロフ博士

6. 国際社会で一般化したRK近視手術
（1980年代、世界で100万人が体験）

7. 新医療RK近視手術は身内から
曾祖父弘の残した家訓
レーニンの目に！？
人類共通の願い
博士の先見の明

8. 34年前に受けたRK近視手術後の多焦点性
（放射状角膜切開術）
同一深度の切開が周辺にかけて厚い角膜に屈折移行帯を設ける

9. ②レーザー角膜屈折手術
・PRK=低出力細いビーム使用の為に角膜上皮をそぎ落とす。
一過性ヘイズ混濁を認めた。
・パーク＝高出力太いビーム使用、ヘイズ予防に薬剤塗.
・LASIK=細いビーム使用とヘイズ予防にフタを作り開閉し
て照射するが、フタに関連する諸問題がおきた。

10. 厚さが個々に異なる角膜に、レーシックは160μのフタを一律に作った。
ボーマン膜（赤色表示）は、角膜が薄いと、100％フタに混入。以下仮
説だが、ボーマン膜は下層組織と分断され、数％の薄い角膜では近視
の戻り現象が失われ、矯正され過ぎ状態が長期化すると考えた。
角膜厚が一定以上なら分断されず、近視の戻りに問題はない。
普通の角膜の場合、500μ以上薄い角膜の場合、500μ以下

11. 44.0
43.0
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照射する角膜厚による矯正面の違い
①角膜形状解析上の単焦点性矯正面とは
②角膜形状解析上の多焦点性矯正面とは

12. 日本の近視手術低迷の原因
• 米国は眼医者とメガネ医者が分業し、ロシアはコンタ
クトレンズ産業の未発達を素地に近視手術が速やかに
普及した。
• わが国は権益を守るボスが、70年代に白内障眼内レ
ンズを、眼内異物挿入と非難し、80年代の近視手術
も忖度で導入が遅れた。同時期に暫定的無試験の専門
医発足をテコに、組合員か非組合員かの分別が行われ、
近視手術初期には、非組合員の抜け駆けに圧力をかけ、
盛んになると組合員による寡占化が、更に盛んになる
と、コンタクトレンズ勢力の巻き返しに屈し、近視患
者を放置する状況にある。
・2009年、銀座レーシック事件は、手術器具の使いま
わし感染例がストックされた後に大スキャンダルにさ
れた。
・2013年、消費者庁発表は数％の特異例を根拠に、厚
労省治験に反した非科学的検証による行政介入である。

13. わが国のレーシック手術激減！
（産経新聞記事2016年6月27日一部引用）
・2010年のレーシック45万件は、
2014年は9分の1に当たる5万件、逆
にコンタクトレンズ市場は約1600億
円が2154億円に規模を拡大したと指
摘した。
• 日米露で数％の切るレーシック有害事象の
説明がつかないのは、大方のレーシックで、
角膜が薄くなければ問題がないからである
が、真剣に患者と向き合う必要がある。

14. 世界的減少のレーシック
※ 2009年以降のレーシックは95％以上が切るレーシクを意味する
• 2016年12月号、ユーロタイムズ誌によると、米
国のレーシック件数は、2007年の年間380万件を
ピークに、最近5年の総数は合計で60万件に減少
した。
• 近視手術予備軍が毎年120万人発生しているのに
12％しか手術を受けず、毎年300万人がドライア
イでコンタクトレンズをあきらめているのに手術
に回るのはわずか10％である。
• 他方手術に対する満足回答は民間で95％、軍人で
98％と、わが国とほぼ同様の結果であるが、不満
回答した数％の原因を探る。

15. [序文]
• エキシマレーザー屈折手術は、レーザーを角膜照射して近
視等の屈折異常を、照射前に角膜を切ってフタを作るレー
シックとフタ無しの切らないパークがある。
・2000年、厚労省は切らない PRK を５年に及ぶ治験の結果、
安全で有効と認可。
2013年、消費者庁はレーシック被害をネット調査して発表。
切らないパークになかった切るレーシックの有害事象は：
①矯正され過ぎ、②肩こり等 ②強いドライアイ ③有害事象
の長期化
• 有害事象の公式見解がないまま、巷では、薄い角膜のレー
シック患者が手術を断られ、近視手術の不安が拡散する。
切らないパークと比較して数％の切るレーシック有害事象
の原因を追究する。

16. [対象および方法]
5年以上経過した後ろ向きスタディ
• 被術者30歳代、40歳代の男性2名、女性2名で、
全例角膜厚は500マイクロン以上で、フタを作
成した場合は160マイクロンであった。
• PRKはプロファイル500（独ラムダフィジック
ス社製）、レーシックはAPEX plus（米サミッ
ト社製）, マイクロケラトームはHanzatome
（Chiron社製）
• 角膜形状解析TMS “II-N （トーメイ社）、スペ
キュラスコープ、グレアテスター、シルマーテ
スト、BUT

17. ●角膜形状解析、等価球面度 右眼ODレーシック SE－3D
左眼OS PRK SE－3D
左図レーシックは右図パークと比べ、移行帯が狭く単焦
点傾向,被写界深度が浅い。男性30歳、パキ

18. 角膜形状解析図
46歳男性 パキ値R560μ,L567μ （等価球面度数）、
左図右眼レーシック－11D,右図左眼PRK －12D
左図レーシックは右図パークと比べて矯正面が小さ
い。両眼共560μ以上と角膜は厚く、多焦点性である。
切るレーシックの矯正面はフタを作成するために小
さめで、移行帯も狭く、レンズ深度が浅い。

19. 角膜形状解析、等価球面度両眼PRK SE －16D
両眼パーク －16Dの移行帯は広く、多焦点性で，レ
ンズ深度が深い。42歳女性パキ値R515μ,L527 μ

20. 角膜形状解析、等価球面度両眼レーシックSE－4D
女性31歳パキ値Ｒ501μ,L503μ
●
両眼レーシックSE－4D矯正を角膜厚500μに実施。2枚前のSE
－3Dのパークと比較し、浅い被写界深度で単焦点性傾向を示
す. [結果]レーシックは角膜が薄いと被写界深度が浅く、単焦
点性矯正面を呈する。

21. [結論]１．矯正され過ぎは薄い角膜にレーシックを実施すると、
単焦点性矯正が起きて調節負担が増加すると考えた。
２．ドライアイは、調節負担増加と瞬目減少を角膜知
覚神経遮断との影響を合わせ、研究を要する。
３．有害事象の長期化を避ける為、薄い角膜や強度近
視の矯正は切らないパークを推奨する。

22. レーシックで遠方が見えるように
なっても見え具合にクレームが付
くのはなぜか？
•切らないパークでは調節負担の長期化報告がな
かった。切るレーシックの登場で、調節負担が
無視できないことを患者側が指摘した。病を治
して、病人を治さずの戒めを新たにした。

23. 脳との関係をお忘れなく
深海魚デメ二ギスの目は頭の中にあるように、人
の場合も眼は脳の影響下にあり、近視手術を受け
る際は納得と信頼関係が重要である。

24. ベーシック・エコノミーに習う
レーシック・エコノミー
• 武蔵岡診療所は当初内科で出発し、近視
手術の関連で眼科を専攻し、現在内科・
眼科で団地と地元相原、城山の医療に従
事してまいりました。
• 同時に隣人の法政大学多摩キャンパスの
学生さんを見る機会があり、
気持ちとして支えて上げたいと思ってお
ります。皆さま、今後ともよろしくお願
いします。

25. 文明評論家の船瀬俊介氏は
切らないPRKをパークと呼ぶ
• レーシックがバカチョンカメラなら
• パークは多焦点でファジー機能を兼ね備え
た高級カメラだ。
• パークは切らないPRKを完成させた究極の
手術だ。
• 船瀬俊介 1950年、福岡生まれ。九大理学部を経て、早
大文学部、社会学科卒業。日本消費者連盟スタッフとして活
動の後、1985年、独立。以来、消費・環境問題を中心に執筆、
評論、講演活動を行う。主なテーマは「医・食・住」から文
明批評にまで及ぶ。

28. わが国の近視手術低迷の原因
• 米国は眼医者とメガネ医者が分権し、ロシアはコンタクトレンズ
未発達で近視手術が速やかに普及した。
• わが国の眼科医は学問の為の学会と医療権益保護の医会組合に所
属するが、1970年代の白内障手術後の眼内レンズ移植が学会のボ
スにより、異物の眼内挿入を非難された。1980年代の近視手術も
ボスへの忖度で導入が遅れた。同時期に発足した私的で暫定的な
無試験による専門医制度を盾に、非組合員による近視手術の抜け
駆けに対し、圧力がかかり、手術が盛んになると組合員である専
門医による寡占化が図られた。
・有名な銀座レーシック事件は手術器具の使いまわし感染例を集積合
算後、大々的スキャンダルに仕立てあげられた。
・消費者庁発表はネット書き込みと数％の特異例を根拠に厚労省治験
を無視した一部非科学的な検証による行政介入である。
• 数％の切るレーシック有害事象に対し説明がなく、欧米でも手術
が減少する。説明がないのは、90％、以上の医師がレーシックに
頼り、角膜が薄くなければ問題がないので、真剣に患者と向かい
合う必要がある。現在多くのわが国の眼科医は再びコンタクトレ
ンズにシフトした。
• それでも近視手術の普及で、皆さんのコンタクトレンズは、かつて1
枚3万円が数百円になったのです。

29. 切るレーシックと切らないパークの違い
レーシックとパークは、ボーマン膜処理法が異なる。
処理は角膜が混濁しないように、切ってフタを作るか切らな
いで、フタを作らずに薬品処理をする点にある。
フタを作ると：
①フタは照射面積を小さくする。
②角膜の残りが薄く、単焦点性、浅い被写界深度になる。
③近視に戻す能力が薄い角膜では消失する可能性がある。

30. ぼ
ボーマン膜とは何か
ボーマン膜は角膜上皮と実質に挟まれた厚さ10μの無構造な組織、機能不
明、入刀等の物理的侵襲後に再生不能とされた。ところが、エキシマレー
ザー照射直後に消失したボーマン膜は、2か月目に不連続、厚さ不揃えの
仮再生を経て、6か月後に再生完了する。上の写真の斜めに走る上皮基底
層左隣のゴマ塩状の無構造体である。
ボーマン膜再生

31. ボーマン膜再生過程
1987年、モスクワ・フィヨドロフ研究所、G.カチャリナ医師等が動物実
験でエキシマ照射後ボーマン膜再生を、写真左から1.5か月 2.5か月
6か月の過程で、走査電子顕微鏡像において確認した。
（実技角膜屈折手術、南山堂 1997年 215P）
2.5か月 6か月1.5か月

32. 厚さが個々に異なる角膜に、レーシックは160μのフタを一律に作った。
下段左図、ボーマン膜（赤色表示）は、角膜が薄いと、100％フタに混
入。以下仮説だが、混入により下層組織と分断、近視の戻りが数％の
薄い角膜で失われ、矯正され過ぎ状態が長期化すると考えた。
平均的な角膜の厚さでは分断されず、近視の戻りに問題はない。
普通の角膜の場合、500μ以上薄い角膜の場合、500μ以下

33. 34年前に受けたRK近視矯正手術後の多焦点性
（放射状角膜切開術）
同一深度の切開が周辺にかけて厚い角膜に屈折移行帯を設ける

34. ④スマイル手術におけるボー
マン膜の役割が不明である.