20170823その筋屋勉強会 で発表した資料となります。 講師を務めた群馬県主催「公共交通情報のオープンデータ化に関するデータ入力研修会」に関する報告と、 実際に説明用のデータサンプルを作ろうとした際に直面した数々の「想定外」を共有いたします。

1. 2017年8月23日
「その筋屋」勉強会
群馬県でのデータ入力
研修会を行ってみて
諸星 賢治

2. 自己紹介
2
株式会社ヴァル研究所 コンテンツ開発部
公共交通企画担当 諸星 賢治
• 主な担当業務
– 事業者との渉外業務（バスデータ情報収集）
– 公共交通の利用促進に関するサービス企画
– オープンデータ推進に関する活動
– バスデータ制作
• 10年以上の実務経験
– 今までで一番こだわったデータ作成:熊本都市バス
「循環系統の2週目以降のダイヤ繋ぎと、それに
応じた対キロ運賃の算出」
• 100社以上の事業者データ加工実績
• オープンデータ(GTFS)の取り込み実績

3. 本日の話
3
群馬県で行われたデータ入力研修会とは？
準備過程で見えてきた色々な「想定外」
・標準的なバス情報フォーマットの課題
・データ作成の課題

4. 群馬県で行われたデータ入力研修会とは？
• 正式名称は、「公共交通情報のオープンデータ
化に関するデータ入力研修会」
• 県内のバス事業者や、コミニティバスなどを運
行する自治体の担当者、約40名が出席
• 当日の会の構成 （計2.5H）
– ①講演
– ②「標準的なバス情報フォーマット」の解説
– ③サンプルを用いたデータ入力演習
4

5. 5
群馬県で行われたデータ入力研修会とは？

6. ①講演で伝えた事（抜粋）
• 公共交通＝目的地までの移動手段の１つ
• 経路検索・地図サービスは、利用者の
ニーズと公共交通のマッチングを行う
• マッチングが困難になってきた
– スマホ普及と多様化するサービス
– 乗合バス事業者数の増加
– 外国人観光客の増加
• オープンデータ化のメリット・方法・事例紹介
6

7. 7
講演資料
VAL 諸星 群馬 検索
詳細は
Slideshareで
公開しているので
ご覧ください
https://www.slideshare.net/KenjiMorohoshi/
20170704-77524476

8. ② 「標準的なバス情報フォーマット」の解説
8

9. ③サンプルを用いたデータ入力演習
• サンプルとなる自治体のデータセットを用意
9

10. 「標準的なバス情報フォーマット」の全項目
10
No ファイル名 日本語名 GTFS No ファイル名 日本語名 GTFS
1 agency.txt
事業者
情報
必須 10 calendar_dates.txt
運行日
情報
任意
2 agency_jp.txt
事業者
追加情報
任意 11 fare_attributes.txt
運賃定義
情報
推奨
3 stops.txt
停留所・
標柱情報
必須 12 fare_rules.txt
運賃定義
情報
推奨
4 routes.txt 経路情報 必須 13 shapes.txt 描画情報 任意
5 routes_jp.txt
経路
追加情報
任意 14 frequencies.txt
運行間隔
情報
任意
6 trips.txt 便情報 必須 15 transfers.txt 乗換情報 任意
7 office_jp.txt 営業所情報 任意 16 feed_info.txt 提供情報 必須
8 stop_times.txt
通過時刻
情報
必須 17 translations.txt 翻訳情報 任意
9 calendar.txt
運行区分
情報
必須

11. 用意したファイル（11個）
11
No ファイル名 日本語名 GTFS No ファイル名 日本語名 GTFS
1 agency.txt
事業者
情報
必須 10 calendar_dates.txt
運行日
情報
任意
2 11 fare_attributes.txt
運賃属性
情報
推奨
3 stops.txt
停留所・
標柱情報
必須 12 fare_rules.txt
運賃定義
情報
推奨
4 routes.txt 経路情報 必須 13
5 14
6 trips.txt 便情報 必須 15
7 16 feed_info.txt 提供情報 必須
8 stop_times.txt
通過時刻
情報
必須 17 translations.txt 翻訳情報 任意
9 calendar.txt
運行区分
情報
必須

12. 課題「stop_times.txt」のエクセル上での作成
12
No ファイル名 日本語名 GTFS No ファイル名 日本語名 GTFS
1 10
2 11
3 12
4 13
5 14
6 15
7 16
8 stop_times.txt
通過時刻
情報
必須 17
9

13. 課題「stop_times.txt」のエクセル上での作成
13
便ID 到着時刻 出発時刻 標柱ID 通過順位乗車区分 降車区分

14. 課題「stop_times.txt」のエクセル上での作成
14
便ID 到着時刻 出発時刻 標柱ID 通過順位乗車区分 降車区分
Stop_idを入力できない方が、かなり多かった

15. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」①
• エクセルの通過時刻表があれば、
「その筋屋」を使って、
すぐに「標準的なバス情報フォーマット」
のデータセットが作れると思っていた
15

16. 【想定外】エクセルデータの取り込み
16
自治体から提供頂いた通過時刻表 「その筋屋」の便情報インプット形式

17. 【想定外】エクセルデータの取り込み（イメージ）
17
① ② ③ ④ ⑤
①
②
③
④
⑤
自治体から提供頂いた通過時刻表 「その筋屋」の便情報インプット形式

18. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」①
• エクセルの通過時刻表があれば、「その筋屋」を使って、
すぐに「標準的なバス情報フォーマット」の
データセットが作れると思っていた
→エクセルデータを取り込むのには
かなりの手間がかかる
※そもそも「その筋屋」はダイヤ編成システム
改正時などはシステム内のデータを変更するのが基本
※「その筋屋」のインプット機能を利用する場合には、
元データを一次加工する手段があると効果的
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19. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」②
• 「その筋屋」で出力された「標準的なバ
ス情報フォーマット」のデータは、研修
用としてはそのまま利用できなかった
19

20. 【想定外】出力データ
20
「その筋屋」から出力した
カレンダーデータ
研修用に用意したデータ

21. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」②
• 「その筋屋」で出力された
「標準的なバス情報フォーマット」のデータは、
研修用としてはそのまま利用できなかった
→フォーマットは使い方次第で
データの量などが大きく異なってくる
→研修で使うデータは極力シンプルなものにしたかった
※どちらのデータでも同じ結果となるので問題は無い
※データを手で作る場合には、書き方を工夫すると、
全体のデータ量を減らせる
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22. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」③
• 作成したデータが、正しい物なのか
判断が付かなかった。
22

23. FeedValidatorの結果
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24. FeedValidatorの結果（ブラウザ機能で翻訳）
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25. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」③
• 作成したデータが、正しい物なのか判断が付かなかった。
→「FeedValidator」でGTFSデータとしてチェックは
出来るが、あくまで簡易的なチェックに過ぎない。
GoogleMap掲載データとして問題ない訳ではない。
また、国交省のフォーマット仕様として
正解かは確かめる手段が何も無い。
※GTFSとしても、もう少し強力なチェッカーは欲しい
※ 「標準的なバス情報フォーマット」としての
チェッカーもフォーマットの普及には必須
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26. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」④
• 「標準的なバス情報フォーマット」の解
説書通りデータを作ったら、
GTFSデータとして、エラーになった。
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27. FeedValidatorの結果（ブラウザ機能で翻訳）
27

28. 「route_short_name」 の文字数制限
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国交省「標準的なバス情報フォーマット」解説

29. 停留所と標柱の関係 など
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• この考え方も、GTFSデータとしては問題
が発生したケースもあるとの話もある
（1つのバス停にぶら下がるポールが遠すぎる場合）
国交省「標準的なバス情報フォーマット」解説
その他の互換性に関する問題

30. 準備過程で見えてきた色々な「想定外」④
• 「標準的なバス情報フォーマット」の解説書通り
データを作ったら、GTFSデータとして、エラーに
なった。
→フォーマット作成時に、互換性の確認
を行いきれていない可能性がある
※「GTFS」「標準的なバス情報フォーマット」の
互換性を再検討
※昨年度に行ったWGのように議論できる場が必要
※「標準的なバス情報フォーマット」解説書の
アップデート、より良いフォーマットを育てる
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