Bose-Einstein凝縮体のAnderson局在2. contents 1/14
• Anderson局在とは
• 今までのAnderson局在に関する研究の一部
• 最近の冷却原子気体を用いた実験結果
• 研究動機
• 本研究で用いるモデル
• モデルの解析結果と考察
• 纏めと展望
3. Anderson局在とは 2/14
P. W. Anderson Phys. Rev. 109, 1492 - 1505 (1958)
1958年にP. W. Andersonにより
金属において不純物濃度がある程
度を越えると電子の波束の拡散が
抑制されることを論じた電子の輸
Anderson局在 送に関する局在-非局在転移の提案
PをドープしたSiにおける電気伝導度
不純物があることにより電気
伝導度はなくなるのではな
Anderson弱局在
く、Siに不純物Pをドープする
ことで弱い電気伝導度を示す σmin 最小金属電気伝導度
σ
不純物による最小金属電気伝導度
を持つ相から不純物効果がなく電 Anderson転移
気伝導度を持たない相への転移
不純物量
T.F Rosenbaum et al. Phys. Rev. Lett. 45, 1723 - 1726 (1980)
4. 今までのAnderson局在に関する研究の一部 3/14
1979年、P. W. Anderson、E.
Abrahams、D. C. Licciardello、T. V.
Ramakrishnanによるスケーリング理論
Phys. Rev. Lett. 42 (1979) 673.
β(g)
試料のサイズと次元に注目することで
3次元で金属絶縁体転移が起こること
と弱局在の効果を電気伝導度で表せる
g
線形応答理論による電気伝導度に GaAsパウダー上
対する久保公式を用いて弱局在効 で光のAnderson
果の厳密解が求められる 局在等、様々な波
動性を示すもので
局在が観測可能
Nature 390, 671-673 (18 December 1997)
5. 研究動機 4/14
Andersonの理論は系の粒子間相互作用をなしとした理論であり金属
中の電子の解析においては電子-電子散乱や電子-フォノン散乱のため
に解析が困難であった
現在、盛んに研究がされている冷却原子気体を用いた系であれば、粒
子間相互作用や光格子により系の次元を変えること等、物理量の制御
のしやすさからAnderson局在を研究するのに都合の良い模擬実験環
境がある
先行研究として冷却原子気体を用いてさまざまな実験手法により
Anderson局在が観測されており、理論的な側面からよりAnderson
局在について理解されることが必要
6. 最近の冷却原子気体を用いた実験 5/14
European Laboratory for Non-Linear Spectroscopy (LENS)
1次元準周期格子にトラップした 39 のBECを
K
time of flightにより吸収イメージを見る
1 1
Vho (x, r⊥ ) = mω x + mω⊥ r⊥
2 2
からBECを解
2 2
2 2
放すれば重力により拡散しながら落下する
1次元準周期光格子
Feshbach共鳴によりs波散乱長を制御
することで粒子間相互作用をゼロにする
Sympathetic coolingにより = 800nK
T Energy
程まで冷却する
1次元準周期光格子の準周期性が
ランダムネスとしての役割になる
Position x(µm)
7. time of flightによるAnderson局在の観測 6/14
TOFによるBECの空間分布
0 ランダム小 1次元準周期光格子のランダムネスの
効果によりAnderson局在している
1.8
∆/J
4.2 物質波に対して直接Anderson
局在が初めて観測された
7 ランダム大
異なるJによる空間広がり
Time(ms) = 750 で固定 実空間の広がり
点線はTOF観測の最初の凝縮体サイズ
いずれのJでも ∆/J = 6 程で
Anderson局在した状態になる
∆/J
8. 乱れの強弱による吸収イメージの違い 7/14
吸収密度を表した波動関数の
実空間の波動関数
フィッティング関数
fα (x) = A exp(−|(x − x0 )/l)|α )
乱れが弱い時、フィッティング関数
はガウシアンによく一致する
Position x(µm)
乱れが強い時、フィッティング関数
は指数関数によく一致する ∆/J ≈ 1 ∆/J ≈ 15
α = 2 の非局在状態から α
=1
α の局在状態へスムーズに
クロスオーバーする
∆/J
9. 本研究で用いるモデル 8/14
1次元Andersonモデル
V
1次元Andersonモデルではon-site energyが完全にラ
ンダムであることを想定したモデルであり冷却原子気体
で用いる光格子でそのランダムネスを実現しずらい
Aubry-Andr´ モデル
e
2つの光格子を用いるだけで
Anderson転移を示すことが可能
10. 本研究で用いるモデル 8/14
1次元Andersonモデル
V
ワニエ関数 完全にランダム
1次元Andersonモデルではon-site energyが完全にラ
ンダムであることを想定したモデルであり冷却原子気体
で用いる光格子でそのランダムネスを実現しずらい
Aubry-Andr´ モデル
e
2つの光格子を用いるだけで
Anderson転移を示すことが可能
11. 本研究で用いるモデル 8/14
1次元Andersonモデル
V
ワニエ関数 完全にランダム
U
+ nj (ˆ j − 1) 1次元Andersonモデルではon-site energyが完全にラ
ˆ n
2 j
ンダムであることを想定したモデルであり冷却原子気体
で用いる光格子でそのランダムネスを実現しずらい
Aubry-Andr´ モデル
e
2つの光格子を用いるだけで
Anderson転移を示すことが可能
12. 本研究で用いるモデル 8/14
1次元Andersonモデル
V
ワニエ関数 完全にランダム
U
+ nj (ˆ j − 1) 1次元Andersonモデルではon-site energyが完全にラ
ˆ n
2 j
ンダムであることを想定したモデルであり冷却原子気体
で用いる光格子でそのランダムネスを実現しずらい
Aubry-Andr´ モデル
e
2つの光格子を用いるだけで
準周期的 tight-binding limit
Anderson転移を示すことが可能
13. モデルへのマッピング
Aubry-Andr´
e 9/14
系のハミルトニアン
Er1
:格子の高さ :任意の位相
固有関数をWannier関数で展開しtight-binding limitを取る
x(µm)
14. モデルへのマッピング
Aubry-Andr´
e 9/14
系のハミルトニアン
Er1
:格子の高さ :任意の位相
固有関数をWannier関数で展開しtight-binding limitを取る
x(µm)
15. モデルへのマッピング
Aubry-Andr´
e 9/14
系のハミルトニアン
Er1
:格子の高さ :任意の位相
固有関数をWannier関数で展開しtight-binding limitを取る
x(µm)
16. モデルへのマッピング
Aubry-Andr´
e 9/14
系のハミルトニアン
Er1
:格子の高さ :任意の位相
固有関数をWannier関数で展開しtight-binding limitを取る
x(µm)
17. モデルへのマッピング
Aubry-Andr´
e 9/14
系のハミルトニアン
Er1
:格子の高さ :任意の位相
固有関数をWannier関数で展開しtight-binding limitを取る
x(µm)
Aubry-Andr´ モデル
e
19. ハミルトニアンの対角化の結果 11/14
実空間の波動関数
site index β = 1032/862
s1 = 10
s2 = 0.47
φ=0
∆/J
広がったBloch波の波動関数 局在した波動関数
20. モデルの双対性
Aubry-Andr´
e 12/14
quasi momentum vector によりフーリエ変換する
( )
実空間の波動関数 運動量空間の波動関数
site index
β = 1032/862 ∆/J ∆/J
s1 = 10
s2 = 0.47 において実空間も運動量空間の波動関
φ=0 数もどちらも局在への転移の対称性の持つモデル
21. 基底状態における光格子の位相差の考察 13/14
光格子の位相差 π/2 光格子の位相差 π/4
38 site index 19
光格子の位相が異なる実空間の波動関数
38
19
site index
site index
38
∆/J ∆/J
基底状態では準周期光格子ポテンシャルの一番小さなサイトに局在する、
また光格子がサイト0で対照的であればどちらかに局在する
22. 波動関数の指数的な局在の様子 14/14
実空間の波動関数
f2 (x) = A exp(−|(x − x0 )/l|2 )
∆/J = 0.1
∆/J = 2.0
2
|ψ|
∆/J = 5.0
∆/J = 10
∆/J = 20
site index f1 (x) = A exp(−|(x − x0 )/l|1 )
実空間の波動関数が指数関数的に局在した状態になっている
23. 纏めと展望
纏め
• 1次元準周期光格子中のBECのAnderson局在および転移についてAubry-
Andre モデルを用いて解析した
• Aubry-Andre モデルが持つ非局在-局在転移や基底状態について考察した
• Anderson局在の特徴であるフィッティング関数についてα=2からα=1へ
の転移を実際に波動関数で確認した
展望
• 有限温度の理論に拡張し熱の効果でAnderson局在の振る舞いがどう変化
するかについて解析する
• 相互作用を含めて理論を展開することでより現実的な物理的考察をする