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脈状と病理病証(総論)
大上勝行
1,夏期大学で何を学ぶか?
夏期大と脈診
脈診 診察 治療
普通科 六部定位脈診 経絡・虚実 六十九難
高等科 祖脈診
陰陽・表裏
・寒熱
手技
研究科 脈状診 病理 五味論・手技
↓ 脈位脈状診 各部位の病理 五味論・手技
経絡治療とは
すべての疾病を経絡の虚実状態として把握し
、それを主に鍼灸を用いて補瀉し、
治療に導く伝統医術である。
『日本鍼灸医学・基礎編』P8
経絡治療の位置
経絡
治療
古典医学 西洋医学
古典医学とは?
病態を古典医学的物差しで解析
不均衡を是正
古典医学的物差し
 陰陽
 虚実
 内外
 表裏
 臓腑
 人迎気口
 経絡
 寒熱
 気血
 五行
 補瀉
etc
鍼灸の診断・治療学
鍼を
どこに
どの様に
どの程度
刺すか?
六部定位脈差診
「どこに(選経・選穴)」
「どの様に(補瀉)」
の診断法
「どの様に(手技)」
「どの程度(ドーゼ)」
は個人の裁量・感覚・経験で 祖脈診
脈状診
脈状・病理を学ぶ
 よりベターな選穴
 的確な手技の選択
 適切な刺激量
2,病証から病理を導く
病理とは
病の状態を分析・分類する
陰陽・虚実・表裏・寒熱・経絡などの古典
的ものさしを用いる
治療に結びつける
 選穴・手技・刺激量
精気の虚
病因
気血津液
の虚
寒熱の
発生
臓腑経絡
に波及 病症
病気のメカニズム
①精気の虚
肝 心 脾 肺 腎
魂 神 意智 魄 精志
発生 生命 製造 収斂 堅固
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
②病因
内因
 怒・喜・思・憂悲・恐驚
外因
 風・暑・湿・寒・燥
不内外因
 飲食・労倦
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
③病理の虚(気血津液の虚)
肝 血
心
脾 気・血・津液
肺 気
腎 津液
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
④寒熱の発生
陽 温める 動かす 和げる 乾かす 開く 発散 出る 上る
陰 冷やす 鎮める 堅める 潤す 閉じる 収斂 入る 下る
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
⑤寒熱の波及
1. 経絡
2. 表裏
3. 支配部位
4. 熱は上・外へ、寒は下・内へ
5. 隣接する部位
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
⑥病証
寒熱が波及した部位の、
虚実寒熱により現れる
精気の
虚
病因
気血津
液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑経
絡に
波及
病
症
診断とは?
3.どの臓がどの様に
虚したのか?
四診によって得られる情報(虚実寒熱)を分類する
精気の虚
病因
気血津液
の虚
寒熱
の
発生
臓腑
経絡に
波及
病証
2.寒熱は? 1.患者の訴えは
どの経か?
(例)腰痛症
長時間重いものを運んでから腰が痛い。
脈浮・大 肝虚証
前屈みがつらい
自発痛なし
精気の虚
病因
病理の虚 寒熱の発
生
臓腑経絡
に波及 病症
前屈みになる
とつらい左関尺虚
長時間の労
働
腰痛
熱脈浮大
太陽膀胱経肝虚
虚労
虚熱陰血の虚
肝虚熱証太陽経熱
得られた情報を分類・考察
証の細分化
熱証
肝虚
肺虚
腎虚
病気
脾虚
寒証
熱証
寒証
熱証
寒証
熱証
寒証
五臓
六腑
十二経
五華
五官
五臓
六腑
十二経
五華
五官
精気の虚 寒熱の波及気血津液の虚
3,脈診と治療
治療計画を立てる
どこに
 選経
 選穴
どの様に
 補瀉
 手技
どの程度
 ドーゼ
選経 選経
六部定位脈差診と治療
選穴選経
手技 選穴
選経
手技
精気の虚
病因
病理の虚 寒熱の発
生
臓腑経絡
に波及 病症
本治法
標治法
相生の補瀉
虚すればその母を補い、実すればその子を瀉す
(六十九難)
木 火 土 金 水
肝 太敦 行間 太衝 中封 曲泉
心 少衝 少府 神門 霊道 少海
脾 隠白 大都 太白 商丘 陰陵泉
肺 少商 魚際 太淵 経渠 尺沢
腎 湧泉 然谷 太溪 復溜 陰谷
心包 中衝 労宮 大陵 間使 曲沢
六部定位脈差診の治療
六十九難
 経絡の虚実がわかることで、治療経穴が決ま
る
置鍼
 補に用いる経穴、瀉に用いる経穴が決まって
いる
選穴
手技 選穴
手技
選経 選経
祖脈診と治療
選穴
手技 選穴
手技
精気の虚
病因
病理の虚 寒熱の発
生
臓腑経絡
に波及 病症
本治法
標治法
脈のとらえ方
脈 = 陽気(健康時)
脈 = 熱(病時)
① 浮沈
外
内
沈
浮
①浮沈
穀道
内
外
②虚実
実(強) = 陽気が詰まっている
虚(弱) = 陽気が空ろ
大 = 陽気が多い、広範囲
小 = 陽気が少ない、狭い
大小・強弱
外
内
大
小
強 弱
③遅数
 遅 = 寒
 数 = 熱
寒熱と選穴
木 火 土 金 水
酸 苦 甘 辛 鹹
収 堅 緩 散 軟
「辛甘は発散し陽となす。酸苦は涌泄し陰となす。
鹹味は涌泄し陰となす」 『素問』至真要大論(74)
脈と刺法
脈 刺法
浮 浅く
沈 深く
実 瀉
虚 補
数 短
遅 長
浮実の刺鍼
実
速刺速抜
熱をぬく
浮虚の刺鍼
虚
徐刺速抜
虚 留めて陰
を補う
残った熱は
浅い瀉法
沈実の刺鍼
実
速刺徐抜
熱を拡散
沈虚の刺鍼
虚
徐刺速抜
補瀉の種類(手技)
①大小
②迎随
③深浅
④呼吸
⑤出内
⑥開闔
⑦提按
⑧弾爪
⑨捻転
⑩揺動
手技の分類
虚
裏
表
実
灸頭鍼
温灸
直接灸
接触鍼
散鍼
温灸
六部定位脈差診と祖脈診
六部定位脈差診
 経絡
 虚実
祖脈
 表裏(浮沈)
 寒熱(遅数)
脈診でわかること
六部定位脈差診
祖脈診
4,脈状のとらえ方
脈状のとらえ方
弦=肝、弦=水畜といったとらえ方をしない
脈状を直接臓や症状に結びつけない
弦脈
外
内 「之を按げて有ることなく、
之を按ずれば弓弦の状のごとし」
弦
弦脈の特徴
脈幅が小さい
=
陽気の発散が充分でない
①陽気が少ない
陽虚・陰虚
②陽気が閉じこめられている
陽実・陰実
瘀血・気滞・食滞・水滞
脈状とは?
「これを集めれば、則ち浮沈・遅数の四つの他
なし」
「病、表裏・陰陽を心にかけて、虚実寒熱を分
明にせば、治療の誤りあるべからず。
その虚実・寒熱・表裏・陰陽をば浮沈遅数の四
を分別するなり」
『増補脈論口訣』
脈状とは?
祖脈の組み合わせである
陰陽・虚実・表裏・寒熱に置換して考える
脈状の分類
浮 浮・芤・大・軟
沈 沈・伏・細
遅 遅・緩
数 数・動
虚 虚・芤・微・細・軟・弱
実 実・洪・滑・弦・緊
1. 病証病理の関係を明らかにする
 治療方針が立てられる(選経・選穴・手技・
ドーゼ)
2. 脈状がわかると
 病理状態がより的確につかめる(寒熱の程度
・治療の成否)
5,まとめ
精気の虚
病因
気血津液
の虚
寒熱の
発生
臓腑経絡
に波及 病症
(1)病理を知る
1. 精気の虚から気血津液の虚がおこり、
寒熱の波及により病証が現れる
2. 病証を病理に結びつける、脈状を病理に結びつける
それぞれの臓の生理病理を理解
証の細分化
熱証
肝虚
肺虚
腎虚
病気
脾虚
寒証
熱証
寒証
熱証
寒証
熱証
寒証
五臓
六腑
十二経
五華
五官
五臓
六腑
十二経
五華
五官
精気の虚 寒熱の波及気血津液の虚
診断と治療方針
選穴選経
手技 選穴
選経
手技
精気の虚
病因
病理の虚 寒熱の発
生
臓腑経絡
に波及 病症
本治法
標治法
(2)イメージ
穀
道
内
外
1.望聞問で身体の状態をイメージ
2.脈診で身体の状態をイメージ
3.陰陽虚実のゆがみを是正する
(3)脈診の意義
六部定位脈診(普通科)
 経絡の虚実
祖脈診(高等科)
 病位
 寒熱
脈状診(研究科)
 病理
伝統鍼灸の構造
陰陽虚実寒熱に対するアプローチ(補瀉)
経絡治療 A B C D
擦診・取穴・手技・毫針
基本理論
各流派
共通部分
20160819脈状と病理病証 総論
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20160819脈状と病理病証 総論

Hinweis der Redaktion

  1. 脈診を中心の話をすると、 祖脈診、脈状診を取り入れることで、身体の状態をより詳細に診ることができる。(よりこまかく分類できる) この講義で学ぶこと 1,病理を知る大切さ 2,脈状で何が解るか?(祖脈診の復習)
  2. ひるがえって、経絡治療について どこ(経絡・経穴)に、どのように(補瀉)さすのか?
  3.  経絡治療が鍼灸界で世界基準となるには、まずあまたある鍼灸の治療法・流派の中で、経絡治療がどこに位置するかを理解する必要があります。  鍼灸の世界は大きく分けると古典医学系、西洋医学系の二つがあり、多くの治療法がこの二つの円の中に入ります。  経絡治療は古典医学に位置し、現在は残念ながらその基準となっているわけではありません。経絡治療が世界基準となるには、少なくともこの古典医学の基準となる必要があります。(クリック)
  4.  すべてを取り込む基準となるためには、経絡治療をきちんと定義し直す必要があります。  それではまず、経絡治療が含まれる、古典医学とはなんでしょうか? 古典医学とは「病態を古典医学的物差しで解析」し、「その不均衡を是正する」医学です。
  5.  古典医学的物差しとは、自然現象、身体の状態を理解するための独自の言語・単位のことです。  それは、ここにあるようにたくさんあります。これらは、すべてが相対的に変化するので、必ずしも全体を通して一貫しているものではありません。『素問』『霊枢』の各編の中でも、定義が変わる場合があります  古典医学を標榜している流派、治療法は、これらのどれかに重きを置き、理論を構築しています。
  6. 脈差診採用によって、絞られたもの、捨てられたもの
  7. より的確に身体の状態を知るということ
  8. 脈を診たり、問診をするのは、患者の身体の状態を把握するためである。
  9. 1,精気の虚無き所に、病無し ・精気の虚から病が始まる 2,精気の虚がない人間はいない ・仙人 3,五志を臓の働きとしてとらえる ・種火
  10. 1,精気の虚に病因が加わると、気血津液に変化が起こる ・風を例に
  11. 1,各臓の気血津液に対する支配は違う ・だから、各臓の虚はそれぞれ違う病態を現すことがおおい。 血虚と気虚では病態が違う
  12. 1,気血津液には陰的な性質と陽的な性質がある 2,陽的な性質が虚すということは冷え、陰的な性質が虚すということは熱が出る 3,発生した寒熱が各臓腑経絡に波及して、病証を現す
  13. 肝虚陰虚を例に 1,経絡 厥陰肝経・少陰腎経 2,表裏 胆・少陽胆経・少陽三焦経 3,支配部位(五華・五竅・五官) 目・爪・筋 4,熱は上・外へ  上焦(心・肺)、肩・頭・胸、皮毛・肌肉 5,隣接する部位  脾・胃・小腸・大腸・腎・膀胱
  14. 1,部位 ・表裏 2,虚実 ・寒熱を含む
  15. 気血津液の虚、寒熱の波及を取り入れることで、証が細かくたてられるようになる。 1,細分化することで、患者それぞれにあった証がたてられる ・経絡治療はオーダーメイド? パターン治療じゃないか。 2,初心者は初心者の、上級者は上級者の治療ができる
  16. 病気のメカニズムが解れば、治療すべき経絡・経穴が解り、そこにどの様な手技を加えればいいかが解る。
  17. 病気のメカニズムが解れば、治療すべき経絡・経穴が解り、そこにどの様な手技を加えればいいかが解る。
  18. ここからは身体の状態を知る方法 虚実だけでなく脈の大きさ、強さも大事にみる
  19. ここからは身体の状態を知る方法 虚実だけでなく脈の大きさ、強さも大事にみる
  20. 病気とは祖脈の組み合わせ 浮沈 表裏 遅数 寒熱 虚実 虚実(陽気の状態)
  21. 五味の性質を応用して、病理に対応した選穴をする。『素問』蔵気法時論(22) 鹹は腎の陽気を助け、水の巡りをよくする。
  22. ①大小 材質・太さ ②迎随 補う時には流れに従って、瀉す時には流れを迎えて、 ③深浅 浅く 表・腑・陽 深く 裏・臓・陰 ④呼吸 補 吐くとともに刺鍼し、吸うとともに抜鍼する 瀉 吸うとともに刺鍼し、吐くとともに抜鍼する ⑤出内 補 徐刺速抜 瀉 速刺徐抜 徐刺 陽気を集める 速刺 素速く治療点まで到達する(他の部位の気を傷らない) 徐抜 陽気を拡散する 速抜 陽気を留める。他の部位に気を傷らない。 開闔 提按 弾爪 捻転 揺動
  23. 部位・虚実寒熱の状態によって手技も使い分ける。
  24. たとえば弦という脈は「軽按では感じられず、重按すると弓の弦を張ったように感じる脈」と表現されますが、「陽気が外に出てこれない脈」と置き換えることができます 実 何らかのものに閉じ込められている 瘀血 痰飲 虚 陽気が少ないために出て行けない 実の手技 だから、このような脈をうつときは、内に熱がこもっているために、痰飲ができやすく、こもった熱が出入りするときに寒熱の往来があるのでは、と考えるのです。このような時には、鍼は脈動や硬結を目標にやや深めに刺し、気の至りを感じたら、中の陽気を全体に散らすように、ゆっくりと抜鍼します。脈が浮いて、軟らかくなれば成功です。 虚の手技
  25. 病気とは、 どこが、どのように、虚実寒熱状態を表しているか? しかるべき部位(経・深さ)に適切な補瀉を加える。 浮沈 深さ 遅数 寒熱 虚実  脉法指南 ・人は血と気からできており、 ・病んでいるか病んでいないかを診るには脈をみなければならない。  (血と気の状態をうかがい知る) ・しかし脈の形はさまざまで、完全に分けきることはできない。 ・しかし、病気の原因は虚実寒熱の四つに集約されるので、 ・脈を診るときも、まずは要点を決めて、そこから細かく分類すれば解りやすい。 ・浮で大なら洪、浮で虚なら軟・芤 ①浮に属す脈が現われている場合。 病理=浮は気が陽経に多く集まっている時に現われる。その病理はいろいろあるが、浮実であれば外邪によるものであり、浮虚であれば陰虚(血か津液の虚)によるものである。 補瀉=基本的には浅く刺して補うが、浮実であれば陰経を補ってから陽経を瀉すことがある。浮で虚なら陰経を補うだけか、時には陽経も補う。 ②沈に属す脈が現われている場合。 病理=沈は気が陰経や臓腑に多くなっている時に現われる。病理はいろいろあるが、沈実であれば血や熱の停滞がある。沈虚であれば水が多いか、陽気が少なくて寒が多くなっていることを示している。 補瀉=基本的には少し深く刺す。ただし、沈で虚であれば浅く刺して陰経も陽経も補わないといけない。沈で実なら陰経を瀉すことがある。 ③遅に属す脈が現われている場合。 病理=遅は慢性的に冷えがあり、それが血にまで及んでいる時に現われる。遅で実であれば血の停滞がある。遅で虚なら冷えと水の停滞がある。 補瀉=基本的にはゆっくりと刺して置鍼する。ただし、遅で実であれば少し深く置鍼する。遅で虚なら長時間の補法が必要になる。あるいは灸で補う。 ④数に属す脈が現われている場合。 病理=数は熱がある時に現われるが、数で実ならどこかに熱の停滞がある。数で虚なら血と津液の不足である。 補瀉=基本的には速刺速抜で熱を取る刺法を用いる。ただし、数で虚の時は補法を中心とする。 祖脈によってだいたいの脈状は分類できたが、浮沈、遅数、虚実に属す脈はいろいろある。そこでこれら祖脈の内容を更に詳しく分類しようというのが脈状診である。各脈状については後に詳しく説明するが、脈状を区別するのは次のような意味がある。 脈状を知ることによって、より詳しい病位、病因、病理、病証がわかり、病態把握が容易になる。 病位、病因、病理、病証がわかれば、さまざまな手技手法を間違いなく使えるようになり、誤治も少なく治癒が早まる。 あちこちが虚しているために脈差では決定できなかった証が、脈状から病理を考えることによって誤診しなくなる。
  26. 脈を診たり、問診をするのは、患者の身体の状態を把握するためである。
  27. 気血津液の虚、寒熱の波及を取り入れることで、証が細かくたてられるようになる。 1,細分化することで、患者それぞれにあった証がたてられる ・経絡治療はオーダーメイド? パターン治療じゃないか。 2,初心者は初心者の、上級者は上級者の治療ができる
  28. 病気のメカニズムが解れば、治療すべき経絡・経穴が解り、そこにどの様な手技を加えればいいかが解る。
  29. 脈状はイメージである。
  30. 病気とは、 どこが、どのように、虚実寒熱状態を表しているか? しかるべき部位(経・深さ)に適切な補瀉を加える。 ①浮に属す脈が現われている場合。 病理=浮は気が陽経に多く集まっている時に現われる。その病理はいろいろあるが、浮実であれば外邪によるものであり、浮虚であれば陰虚(血か津液の虚)によるものである。 補瀉=基本的には浅く刺して補うが、浮実であれば陰経を補ってから陽経を瀉すことがある。浮で虚なら陰経を補うだけか、時には陽経も補う。 ②沈に属す脈が現われている場合。 病理=沈は気が陰経や臓腑に多くなっている時に現われる。病理はいろいろあるが、沈実であれば血や熱の停滞がある。沈虚であれば水が多いか、陽気が少なくて寒が多くなっていることを示している。 補瀉=基本的には少し深く刺す。ただし、沈で虚であれば浅く刺して陰経も陽経も補わないといけない。沈で実なら陰経を瀉すことがある。 ③遅に属す脈が現われている場合。 病理=遅は慢性的に冷えがあり、それが血にまで及んでいる時に現われる。遅で実であれば血の停滞がある。遅で虚なら冷えと水の停滞がある。 補瀉=基本的にはゆっくりと刺して置鍼する。ただし、遅で実であれば少し深く置鍼する。遅で虚なら長時間の補法が必要になる。あるいは灸で補う。 ④数に属す脈が現われている場合。 病理=数は熱がある時に現われるが、数で実ならどこかに熱の停滞がある。数で虚なら血と津液の不足である。 補瀉=基本的には速刺速抜で熱を取る刺法を用いる。ただし、数で虚の時は補法を中心とする。  祖脈によってだいたいの脈状は分類できたが、浮沈、遅数、虚実に属す脈はいろいろある。そこでこれら祖脈の内容を更に詳しく分類しようというのが脈状診である。各脈状については後に詳しく説明するが、脈状を区別するのは次のような意味がある。 脈状を知ることによって、より詳しい病位、病因、病理、病証がわかり、病態把握が容易になる。 病位、病因、病理、病証がわかれば、さまざまな手技手法を間違いなく使えるようになり、誤治も少なく治癒が早まる。 あちこちが虚しているために脈差では決定できなかった証が、脈状から病理を考えることによって誤診しなくなる。