2019 Society of Kansei Engineering

1. 上田佳美名(1)，征矢一輝(2)，中村美貴(3)，
亀山裕平(1)，山田光宏(1)
Perceptual User Interface
におけるポインタの感性評価
(1)茨城大学大学院 理工学研究科 電気電子システム工学専攻
(2)茨城大学大学院 理工学研究科 メディア通信工学専攻
(3)茨城大学 工学部 メディア通信工学科
Kansei Evaluation of the Pointer in Perceptual User Interface

2. はじめに
Perceptual User Interface(PUI)
⇒没入型環境が期待される
次世代のユーザインタフェース
3次元でのジェスチャ操作など
Natural User Interface (NUI)
+
3次元コンピュータグラフィックス
(3DCG)などによる表示
人間の脳の特性：
視覚による情報 ＞ 視覚以外の情報
優勢になる
⇒ ポインタの形状は自分の手の形が
反映されるフォトリアルな手
(自己アバタ)が適するのではないか
本研究の目的
PUIにおけるポインタの設定に関して
比較検討するための感性評価実験の設定
PUIにおいては自己の動作を反映させた
操作対象を指し示す「ポインタ」が用いられる 一定形状 ⇔ 自己アバタ
球 フォトリアルな手
GUIで広く使われてい
るファイルマネージャ
について考える

3. 本研究におけるPUIの概要
出力 3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)
⇒ UE4(Unreal Engine 4)
リアルタイム３次元コンピュータグラフィックスによる
自己動作の反映が可能
[4] Leap Motion, “API Overview”, https://developer.leapmotion.com/documentation/cpp/devguide/Leap_O
verview.html?proglang=current, 参照 July. 16, 2019.
Leap Motion[4]
入力 Natural User Interface (NUI)
⇒ Leap Motion
・ユーザの手と指の動きを感知
・コンピュータを直感的に操作できる
・手の3次元座標の計測が可能

4. [1] Dotov, D.G., Nie, L., and Chemero, A. : A demonstration of the transition from ready-to-hand to unready-to-
hand, PLoS ONE (www.plosone.org), 5, Issue 3, pp.2-9, 2010.
PUIの評価に用いることが可能と
考えられるGUIに関する従来研究[1]
⇒ポインタによる差異が比較的明確に現れると考えられる
正しく機能している状態 正しく機能していない状態
⇒ 被験者がどのような反応を示すか？
正しく機能している状態 正しく機能していない状態
ファイルマネージャ
機能不全
機能不全

5. PUIの評価に用いることが
可能と考えられる従来研究[2,3]
[2] Mentzelopoulos, M., Ferguson, J., and J. Protopsaltis,A., “Perceptual user interface framework for immersive
information retrieval environments,” International Journal of Interactive Mobile Technologies, 10, 2, pp.64-71, 2016.
[3] Christianne Falcao, Ana Catarina Lemos, Marcelo Soares “Evaluation of Natural User Interface: A Usability Study
Based on The Leap Motion Device,” Procedia Manufacturing, 3, pp.5490-5495, 2015.
PUIの評価に用いられた感性評価項目[2]
NUIの評価に用いられた感性評価項目[3]
・技術を知っている人
のサポートの必要性
・タスクの容易さ
・操作の適当さ など
Likert尺度により評価
本研究でも同様な
感性評価項目により
比較検討することとした
⇒感性評価票の評価項目に関して検討

6. 評価実験の構成要素の設定
・従来のGUIと同様
な一定の形状
・手の回転による
形の変化がない
・ファイルを表す
・一辺の長さ１
ポインタの座標⇒被験者の右手の位置に対応
各段に配置可能
なアイコンは3個
計9個配置可能
球 自己アバタ
ポインタ
GUIのファイルマネージャにおいて
アイコンは自動配置される
⇒本研究でも同様に自動配置されることとした
立方体 棚
アイコン フォルダ
自動配置用オブジェクト
直径１

7. オブジェクト間の間隔
本研究室内の
予備実験に基づき，
ポインタの比較検討に
適切な値と考えられる
n＝4
に設定
人間の感覚は物理量の
対数に比例するため
間隔 広 狭
操作 易 難
ファイルを表す立方体も同様の配置

8. タスクのタイムチャート
⇒ポインタによる差異が比較的明確に現れる
適切な雑音の大きさについては
本研究室内の予備実験によって決定

9. 感性評価
従来研究[2,3]で用いられた評価項目を検討
・ユーザの情緒を問う評価項目(情緒)
・システムの認知的機能を問う評価項目(認知)
・システムの物理的機能を問う評価項目(物理)
の3種類に分類が可能であると考えられた
・情緒，認知，物理の3種類の評価項目を残す
・類似した評価項目，ポインタの比較検討に
関連性のない評価項目を除外
（「使われている言語は適切である-適切でない」など）
・被験者への負担が大きくならない
評価項目数と考えられる10項目とした
・2から-2の5段階評定尺度法による感性評価票

10. ポインタ間で差異が出る評価項目が
適切な評価項目であると考えられる
赤：情緒
⇒予備実験によって適切な評価項目であるかを確認
青：認知 緑：物理
質問 2 1 0 -1 -2
情緒 頻繫に使ってみたい 頻繫に使ってみたくない
情緒 使いやすい 使いにくい
認知 画面の表示はユーザに何が行われているかを 伝えている 伝えていない
認知 無駄に複雑な 無駄に複雑でない
認知 技術を知っている人のサポートが 必要である 必要でない
認知 使いこなすことに 自信がある 自信がない
認知 使用前の学習が 必要である 必要でない
認知 操作方法の学習が 容易な 困難な
物理 タスクを実行する基本操作が 適当な 適当でない
物理 配置の修正が 容易な 困難な

11. スタート時の画面
（3色のアイコンを3個づつランダムに配置）
・棚の外へアイコンを一旦配置
・上段に赤、中段に緑、下段に青のアイ
コンを配置（自動配置用オブジェクトと
立方体の色が一致するように配置）
・正しく配置できていれば
状態識別用の正方形が黄色に変化
予備実験による感性評価票の検討 タスクの内容

12. タスクの実際の動画

13. 感性評価結果 本研究室内で6名（21歳から26歳，平均22.3歳，
男性5名，女性1名）の被験者により予備実験を実施
・分散
・評価の平均値
(被験者間平均値)
で検討
・被験者間平均値が
0に近い評価項目
かつ
・分散が
0に近い評価項目
⇒ポインタ間での
差異が比較的
小さい評価項目
であると考えられる
画面の表示は
ユーザに何が
行われているかを
技術を知っている
人のサポートが
使いこなすことに
使用前の学習が
操作方法の学習が
タスクを実行する
基本操作が
配置の修正が

14. 「無駄に複雑な-複雑でない」は
ポインタ間での差異が比較的小さい評価項目
と考えられ，本研究には適切でないと考えられる

15. まとめ
PUIにおけるポインタの設定に関して比較検討
するための感性評価実験の設定を行った
・タスクの設定 ・感性評価票の設定
予備実験の結果
被験者間平均値と分散から，
本研究に適切と考えられる
9項目の感性評価項目を決定した

16. 〇カメラ
⇒画像・映像ファイル
〇ヘッドフォン
⇒音声ファイル
〇本
⇒文書ファイル
今後の課題
・アイコンをファイルの種類を表す形状に変更
・ポインタの比較検討を行う本実験の実施

17. ご清聴ありがとうございました