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IIJmio meeting 16 スマートフォンがつながる仕組み
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IIJmio meeting 16
「スマートフォンがつながる仕組み」
2017/7/8
株式会社インターネットイニシアティブ
佐々木 太志
- 2. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 2
スマートフォンがつながる仕組み
• 電話機と基地局が無線で通信
• 電話機の個体識別
⇒SIMカード
• SIMカードを管理するデータベース
⇒HLR/HSS
• 過去のIIJmio meetingでも断片的な情報を話してきましたが、
今日はこのあたりをもう少し掘り下げてご説明します
- 3. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 3
コアネットワークの説明図
• 前回のIIJmio meetingでも使った図
• 今日は のへんに注目します
• 今回は、4G(LTE)のネットワークのみ説明します
– 3Gでも似たような処理が行われるのですが、いちいちノードやプロ
トコルの名前が違うので…
電話交換網
インターネット
コア
ネットワーク
IMSMSC
SPGW/P-CSCF
MME/SGW
SGSN
HSS/HLR
SMS-C
通信制御サーバ
MNO
顧客管理システム
PGW
GGSN
MVNO
- 5. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 5
携帯電話に係る無線通信
• 第1世代携帯電話(自動車電話等)ではアナログ無線を利用
• 第2世代携帯電話(PDC方式、海外ではGSM)以降はデジタル無線
– 現行の第4世代(LTE)でもデジタル無線
• デジタル無線の仕組み
– 上り方向(携帯電話→基地局)、下り方向(基地局→携帯電話)を同
時に実現するため、次のいずれかが使われる
• 上り下りに別の周波数を割り当てる周波数分割多重(FDD)
• 上り下りを時間で切り替える時分割多重(TDD)
– 上り(携帯電話から)・下り(基地局から)のそれぞれについて、搬
送波(キャリア)にデジタル信号(0,1)を載せて発信
• 搬送波とは、信号を運ぶための周波数(2.1GHzや800MHzが代表例)
• 信号を搬送波に載せて運べるようにすることを変調と呼ぶ
– 受信側(上りの場合は基地局、下りの場合は携帯電話)は、受信した
電波を復調して信号を復元
- 6. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 6
デジタル変調
• 代表的なデジタル変調方式
変調方式の名称 略称 説明 音に例えるなら…
振幅偏移変調 ASK • 電波の強さを変えることで0,1を表す
• アナログ変調のAMに相当
音量
周波数偏移変調 FSK • 電波の周波数を変えることで0,1を表す
• アナログ変調のFMに相当
音の高さ
位相偏移変調 PSK • 電波の位相(波の時間的ずれ)を変える
ことで0,1を表す
ノイズキャンセラー
が作る逆位相の音
直角位相振幅変調 QAM • ASKとPSKの組み合わせ
• かつ、直交する2つの波を重畳すること
で更なる効率化を達成
???
- 7. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 7
QAM(Quadrature Amplitude Modulation)
• 1bitのデータを振幅偏移変調(振幅は「強」「弱」の2段階)し、
さらにもう一つ作って90度位相をずらした上で加算すると、1回
の信号送出で2bitのデータを送ることができる
– 90度位相が異なる(直角位相の)2つの波は、数学的に複合・分離で
きるため、波を加算してもそれぞれの信号が干渉し合うことがない
• 振幅(Amplitude)でデジタル信号を載せた搬送波を2つ作り、直
角位相(Quadrature)で1波にまとめる変調方式をQAMと呼び、
現在の携帯電話では主流となっている
– QAMはWiFi、ケーブルモデム、デジタルTVなど有線・無線の様々な
デジタル信号の伝送に使われる基礎技術
• 最新のドコモのLTE Advancedでは、振幅を16段階(4bit)とし、
1クロックあたり8bitのデータを送出可能
– LTEでは、この搬送波を更に多数重ね合わせることで高速通信を実現
- 8. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 8
(参考)OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)
• QAMによって作られた搬送波を複数用意し、それらを90度ずつ
位相多重(波をずらして重ねること)することで、同時にデータ
を伝送する⇒OFDM
• 周波数が接近している複数の搬送波でデータを送る場合、通常だ
と搬送波の干渉による影響が生じてしまうが、OFDMで多重する
と、周波数を余すことなく利用することができる(ガードバンド
不要)
• この技術により、周波数の利用効率が上がり、多数の携帯電話に
対して高速な通信を提供できる
• 3Gでは、複数の信号の多重にCDMA(Code Division Multiple
Access)が用いられたが、LTEではOFDMを用いたOFDMAに
取って代わられた
- 10. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 10
今回説明する部分
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
いわゆる基地局 SIMを管理する
データベース
MME: Mobility Management Entity
HSS : Home Subscriber Server
SGW PGW インターネット
- 11. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 11
スマートフォンに電源が入る前
• eNodeBは、報知情報と呼ばれる信号を定期的に送信
– eNodeBは、報知したい情報の種類に応じ、12のブロック(MIB、
SIB1~11)によって送信する
– 受信側はMIB/SIB1をまず受信し、SIB1に含まれるスケジュールに
従って残りのSIBを受信する
• 報知情報に含まれる情報
– PLMN(事業者を識別するための番号。例:44010=NTTドコモ)
– バンド番号
– CellId(基地局を識別するための番号)
– 無線関連のパラメータ
– 緊急地震速報や基地局のアクセス規制等、端末に同報したい情報
• 報知情報により、eNodeBの近辺に存在する携帯電話は、基地局
の存在を知ることができる
PLMN: Public Land Mobile Network
- 12. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 12
スマートフォンの電源が入ると…
• まず対応している全ての周波数(バンド)から、報知情報を受信
し、近隣の全ての基地局をリストアップする
C社eNodeB
スマートフォン
SIM
B社eNodeB
A社eNodeB D社
eNodeB
- 13. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 13
スマートフォンの電源が入ると…①
• SIMカードに記録されているRPLMN(Registered PLMN)を
チェック
• もしRPLMNがSIMカードに記録されている場合、そのeNodeB
に接続しようとする
– 下図の場合は、A社のeNodeBがターゲット
C社eNodeB
(44050)
スマートフォン
SIM
B社eNodeB
(44020)
A社eNodeB
(44010)
D社eNodeB
(44051)
RPLMN=44010
- 14. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 14
スマートフォンの電源が入ると…②
• もしRPLMNがSIMカードにない、もしくはRPLMNのeNodeB
が近隣になければ、SIMカードに記録されているHPLMN(Home
PLMN)をチェック
• HPLMNのeNodeBがあれば、そこに接続しようとする
– 下図の場合は、B社のeNodeBがターゲット
C社eNodeB
(44050)
スマートフォン
SIM
B社eNodeB
(44020)
A社eNodeB
(44010)
D社eNodeB
(44051)
RPLMN=なし
HPLMN=44020
- 15. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 15
スマートフォンの電源が入ると…③
• もしRPLMNのeNodeBも、HPLMNのeNodeBもなければ、
SIMカードに記録されたOperator controlled PLMNをチェッ
ク
• Operator controlled PLMNには複数のPLMNのリストであり、
上から順に見ていって、そのeNodeBが近隣にあればそこに接続
しようとする
C社eNodeB
(20810)
スマートフォン
SIM
B社eNodeB
(20820)
A社eNodeB
(20801)
D社eNodeB
(20815)
RPLMN=なし
HPLMN=44010
OPLMN=20810
- 16. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 16
スマートフォンの電源が入ると…④
• もしRPLMNのeNodeBも、HPLMNのeNodeBも、OPLMNの
eNodeBもなければ、電波の強いeNodeBに接続しようとする
C社eNodeB
(45412)
スマートフォン
SIM
B社eNodeB
(45407)
A社eNodeB
(45403)
D社eNodeB
(45422)
RPLMN=なし
HPLMN=44010
OPLMN=なし
一番電波の強いeNodeBを選択
- 17. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 17
接続するeNodeBが決まったら①
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
物理層の信号(RA-preamble)を
他のスマートフォンの邪魔にならない
preamble専用チャネルで送出
問題がなければ応答(RA-response)を
送出。併せて送信可能タイミングを
指示
- 18. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 18
接続するeNodeBが決まったら②
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
端末と基地局間のリンクとなるRRCの
接続要求(connection request)を
指定された送信タイミングで送出
RRC確立のためのパラメータを、
RRC connection setupとして送信
- 19. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 19
接続するeNodeBが決まったら③
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
RRCの確立を意味する
RRC connection setup complete
メッセージと同時に、
コアネットワークへの接続要求と
なるAttach Requestを送信
MMEから端末に
Authentication Requestが送られる
その後、MME~端末間、および
eNodeB~端末間の暗号化が確立
Attach Requestは
eNodeBを透過し、
MMEに送られる
SIMの認証要求
(Authentication Request)
が送られる
SIM認証のための
RAND, AUTN, XRES,
暗号化のための
KASMEが送られる
- 20. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 20
接続するeNodeBが決まったら④
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
端末の位置登録、および
加入者情報の要求を行う
加入者情報のコピーが
MMEにダウンロードされる
- 21. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 21
接続するeNodeBが決まったら⑤
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
APNを要求
APNから、接続先のPGW(イン
ターネットへのゲートウェイ)の
情報を調べる(DNSを利用)
APNを通知
- 22. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 22
接続するeNodeBが決まったら⑥
eNodeB MME HSSスマートフォン
SIM
APNのFQDN、
PGWのIPアドレスを通知
MMEからSGWに対し、データを流
すためのトンネルを張るための
Create Session Requestを送出
SGW PGW インターネット
- 23. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 23
接続するeNodeBが決まったら(ローミングのケース)
MME
HSS
MMEからみて他事業者の
IMSIの場合は、IPXと呼ばれる
中継事業者を経由して、その
SIMの発行事業者のHSSに
問い合わせる
IPX
IPX事業者は世界にいくつも
存在するが、ローミングが
提供される携帯電話事業者同士は、
必ずどこかのIPX経由で繋がって
いる必要がある
- 24. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 24
その後
• データ通信については、APNにより識別されるPGW(インター
ネット等外部ネットワークとのゲートウェイ)に対しコネクショ
ンを確立することで実現
• 音声通話(VoLTE)については、専用のPGWにコネクションを確
立し、その奥にあるIP電話交換設備(IMS)に接続を行う
– IMSへの接続の認証にもHSSが使われる
– VoLTEが使えない端末・事業者の場合は、音声通話は3Gネットワー
クを経由する
- 25. © 2017 Internet Initiative Japan Inc. 25
まとめとこれから
• 携帯電話会社のコアネットワークのうち、PGWしかこれまで運用
してこなかった日本のMVNOには、PGWへのアクセスが行われ
るまでのテクノロジは不要だった
• ただ、SIMフリースマートフォンのトラブルシュートや、緊急地
震速報にかかる問題の検証等の中で、携帯電話会社の無線アクセ
スやコアネットワークの動作について、より深く知る必要が出て
きている
• 今後、日本のMVNOがHSS/HLRを運用するようになると、無線
アクセスの部分はともかく、コアネットワークの技術により深く
関わるようになっていく
– サービスの安定運用のため
– 新サービス開発のため