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何でも屋のジャック
- 3. 3
わよ。
」 そう言
い
うと、クラインは次
つぎ
に大
おお
きなネジ
回
まわ
しのフィリップスを 紹
しょう
介
かい
しました。
見
み
たところ、
彼
かれ
は昼
ひる
寝
ね
をしていたようで、新
しん
入
い
りを見
み
るのに片
かた
目
め
を開
あ
けただけでした。
「うわぁ
!
」 ジャックが声
こえ
を上
あ
げました。
「ぼく、
いつも本
ほん
物
もの
のフィリップス社
しゃ
製
せい
の専
せん
用
よう
ネジ回
まわ
しに
会
あ
いたいと思
おも
っ
ていたんです。ぼくもたまにちょっ
としたネジ回
まわ
しの仕
し
事
ごと
をするので。これなんです
けど・・・」 ジャックは自
じ
分
ぶん
のネジ回しを引
ひ
っ
張
ぱ
り出
だ
そうとしましたが、出
で
てきません。それに、
フィリップスが目
め
を閉
と
じて、向
む
こう側
がわ
に寝
ね
返
がえ
りし
てしまったので、あきらめてしまいました。
「やあ、おれ様
さま
はスタンリー。みんな、おれ様
さま
のことを
『クールなスタン』って呼
よ
んでるんだ!
」
短
みじか
いピカピカの刃
は
を持
も
つ、がんじょうそうな黒
くろ
い
カッターナイフが口
くち
をはさみました。
「ボンジュール、スタンリーさん。
」 ジャックは
むっつりと返
へん
事
じ
しました。
「実
じつ
は、ぼくも・・・。
いや、どうでもいいや。まぁとにかく、ぼくは結
けっ
構
こう
役
やく
に立
た
つんです。
」
「ですが、そんなに体
からだ
がサビついてて、なかな
か工
こう
具
ぐ
が出
だ
せないなら、どうやってお役
やく
に立
た
てる
のですか?
」とロッドが聞
き
きました。
「そうだよな。
」とスタンリー。
「自
じ
分
ぶん
の工
こう
具
ぐ
を
見
み
せるのにも苦
く
労
ろう
してるんじゃな。
」
「でも、ぼくは1日
にち
中
じゅう
使
つか
われていたんです。
」
とジャックが答
こた
えました。
「ジュディスが誕
たん
生
じょう
日
び
にご主
しゅ
人
じん
からプレゼントされて以
い
来
らい
、ぼくはずっ
と彼
かの
女
じょ
のハンドバッグに入
はい
ってて、どこへ旅
たび
する
にもいっしょだったんです。
」
「そいで、何
なに
が起
お
きたんだい?
」
「空
くう
港
こう
の規
き
制
せい
がきびしくなったんです。それで
彼
かの
女
じょ
は、ぼくを持
も
ち歩
ある
いていると、セキュリティ
やら何
なん
やらでいろいろと面
めん
倒
どう
なことになると思
おも
っ
たんでしょう。
」
「 強
きょう
制
せい
退
たい
職
しょく
の結
けっ
構
こう
な言
い
い訳
わけ
ですね。
」 ロッド
がクスッと笑
わら
って言いました。
「それで、
ジュディは君
きみ
を何
なん
に使
つか
ってたんだい?
」
とウイング。
「あらゆることにちょこちょこと使
つか
ってました。
切
き
ったり、ネジをしめたり、ちょっとした 修
しゅう
理
り
な
んかです。
」
「そういうことですか。
」とロッド。
「何
なん
でも屋
や
で・・
・
」
「秀
ひい
でた技
わざ
はない。
」 ほかのみんなが口
くち
をそろ
えてきっぱりと言
い
いました。
「そういう言
い
い方
かた
はいやなんですけど。
」と
ジャック。
「今
いま
までだって、いいと思
おも
ったことはあ
りませんし。
」
「どうしてだい?
」
「だっ
て
・・
・自
じ
分
ぶん
が役
やく
立
た
たずに感
かん
じますから。
」
ジャックの一
ひと
言
こと
で、工
こう
具
ぐ
や器
き
具
ぐ
たちはみんな、
だまってしまいました。聞
き
こえるのは何
なん
人
にん
かのせ
きばらいだけです。
「それに、ぼくは役
やく
立
た
たずじゃありませんでし
た! ジュディスは、いつもぼくを使
つか
ってましたか
ら。
」
「そんな仕
し
事
ごと
、だれがしたいか?
」とフィリップ
スが言
い
いました。
「働
はたら
きすぎさね。
」
「だけど、仕
し
事
ごと
をしてないから、油
あぶら
を差
さ
しても
らったりきれいにしてもらえないでいるんです。
」
とジャック。
「それで、接
せつ
合
ごう
部
ぶ
がこわばってきしる
- 6. 6
んだと言
い
えば 十
じゅう
分
ぶん
でしょう。それでは、 強
きょう
制
せい
退
たい
職
しょく
生
せい
活
かつ
をお楽
たの
しみください、ジャック君
くん
。
」
器
き
具
ぐ
や工
こう
具
ぐ
たちは、ジャックが役
やく
立
た
たずに思
おも
える自
じ
分
ぶん
の 将
しょう
来
らい
に思
おも
いをめぐらせるままにして
おいて、自
じ
分
ぶん
たちの会
かい
話
わ
にもどってまた 冗
じょう
談
だん
を
言
い
ったり笑
わら
ったりし始
はじ
めました。ジャックは、自
じ
分
ぶん
の拡
かく
大
だい
鏡
きょう
を見
み
て思
おも
い出
だ
しました。ジュディス
の息
むす
子
こ
ジミーは、自分を使
つか
って太
たい
陽
よう
の光
ひかり
を集
あつ
め、
木
き
の板
いた
に彼
かれ
の名
な
前
まえ
を焼
や
き付
つ
けたっけ。その板
いた
切
き
れも、ジュディスが自
じ
分
ぶん
の小
ちい
さなのこぎりを使
つか
っ
てカシの木
き
から切
き
り取
と
ったんだったなぁ。
ジュディスのコンピューターから木
もく
ネジがはず
れ、彼
かの
女
じょ
がジャックを使
つか
ってそれをしめ直
なお
した時
とき
のことを思
おも
い出
だ
すと、ジャックは思
おも
わずなつかし
そうにクスッと笑
わら
いました。今
いま
では取
と
るに足
た
らな
いことのように思えますが、ある時
とき
などは、ジュ
ディスが 休
きゅう
日
じつ
に1
ひとり
人っきりだった時
とき
、コーヒー
メーカーのプラグを変
か
えるために、ジャックが
ワイヤーストリッパー代
が
わりになることを発
はっ
見
けん
し、
ジャックを持
も
ってきてよかったと喜
よろこ
んだこともあ
りました。また、ハイキング中
ちゅう
に大
おお
ケガをしたジ
ミーの手
て
当
あ
てをするために、ジュディスがジャッ
クの小
ちい
さなはさみを使
つか
って包
ほう
帯
たい
を作
つく
った時のこと
も思い出しました。
そうそう、方
ほう
位
い
磁
じ
石
しゃく
も使
つか
いましたっけ。その
運
うん
命
めい
の旅
たび
では、ジャックは暗
くら
い森
もり
の中
なか
でまよった
ジュディスとジミーが主
しゅ
要
よう
道
どう
路
ろ
に出
で
るのを導
みちび
きま
した。彼
かれ
らはヒッチハイクをして自
じ
分
ぶん
のキャンプ
場
じょう
にもどることができたのです。そんななつかし
い思
おも
い出
で
でいっぱいでした。だけど、今
いま
はどうで
しょう
?
太
たい
陽
よう
はしずみ、物
もの
置
おき
の明
あ
かりも消
き
えています。
木
き
箱
ばこ
の中
なか
でじっと横
よこ
になって他
た
の工
こう
具
ぐ
たちがお
しゃべりするのを聞
き
いていたら、そんな幸
しあわ
せな
思
おも
い出
で
も、悲
かな
しみに取
と
って代
か
わってしまいました。
するとその時
とき
です。扉
とびら
が開
ひら
いて、白
はく
熱
ねつ
球
きゅう
がこ
うこうとつきました。
工
こう
具
ぐ
たちは話
はなし
をやめて、
ジェ
フ・ハンターが一
いっ
体
たい
何
なん
のために来
き
たのだろうと考
かんが
えていました。
「大
だいく
工仕
し
事
ごと
の仕
し
上
あ
げかな。
」 ジェフが工
こう
具
ぐ
箱
ばこ
の
中
なか
をくまなく探
さぐ
っているのを見
み
て、スタンリーが
言
い
いました。
「それとも、ゆるんだネジをしめ直
なお
したいのか
な。
」とフィリップスがささやきました。
「それか、おそい夜
よる
のパーティーを開
ひら
くことにし
たのかな。
」とウイング。
「今
こんや
夜はビジネス関
かん
係
けい
の
知
し
り合
あ
いを招
まね
くって話
はな
してましたからね。たくさ
んのワインのびんを開
あ
けるのかも。
」
「もしそうなら、とっくの前
まえ
にあんたが呼
よ
び出
だ
されてたはずでしょ。もう2時
じ
間
かん
くらいはテー
ブ
ルで 食
しょく
事
じ
してたの、気
き
がつかなかった? もし
かしたら、停
てい
電
でん
したのかも。
」とクライン。
「きっと停
てい
電
でん
ですよ。
」とフィリップスが自
じ
信
しん
あ
りげに結
けつ
論
ろん
を下
くだ
しました。
「メイヴィスとジミーもいっしょよ。
」とキャン
ディが言
い
いました。
「もしかしたら、桃
もも
の缶
かん
詰
づめ
を
開
あ
けたいのかしら。
」
「ふぅ~ん。
子
こ
供
ども
に関
かん
係
けい
ありそうですね。
」
とロッ
ド。
「魚
さかな
つりに行
い
く 準
じゅん
備
び
でもしているんでしょう
かねぇ。
」
「もしそうなら、何
なん
で工
こう
具
ぐ
箱
ばこ
の中
なか
を探
さが
してるん
だ?
」とウィルキンソン。