A session in JAWS DAYS 2019 presented by visually-impaired students of Tsukuba University of TechnologyHinweis der Redaktion スライドの通り、4つのテーマでお話ししていきます。
最初に開発方法。視覚障碍者、特に全盲が、どのようにしてスキル開発を行うのかについて紹介し、そのあとに今回作成したスキルの、コンセプトと概要をお話しし、最後にでも動画をお見せしたいと思います。
スライドの通り、4つのテーマでお話ししていきます。
最初に開発方法。視覚障碍者、特に全盲が、どのようにしてスキル開発を行うのかについて紹介し、そのあとに今回作成したスキルの、コンセプトと概要をお話しし、最後にでも動画をお見せしたいと思います。
開発に必要なツールはスライドに示した通りです。
スクリーンリーダは、PCの画面の文字情報を抽出して合成音声で読み上げるソフトウェアで、これによって文字情報を得ることができます。
次にテキストエディタですが、これはコードを書くために使います。昨今のGUI環境では、マウス操作で部品を配置したり、関数名・メソッド名の一覧から目的のものを選択したり、はたまたグラフや図表でデータ分布を表したりといった視覚的にわかりやすいアプローチがたくさんあります。しかし、これらは全盲の私は使えません。テキストエディタは、コードをベタ打ちするために使います。
次に、コマンドプロンプト。コマンドを覚える必要はありますが、これらは文字情報です。文字であれば、そこにビジュアル的な壁はありません。全盲にとってはコマンドラインツールが提供されているかどうかが重要なことです。
そして、Alexaスキル開発にあたっては、コマンドラインツールが提供されていて、それがASK CLIとAWS CLIです。これにより、コマンドをタイプすることで、スキル作成・デプロイといったことができます。
開発者コンソール←→lambda←→s3←ファイルエンコード開発者コンソールの下にASK CLI、
lambda とs3を囲み,その下にaws cli、
ファイルエンコードの下にFFmpeg. それらをすべて包含して、コマンドプロンプトという枠。 では、CLIツールを使って、スキルデプロイまでを行うデモをご覧ください。
これは、AWSマネジメントコンソールのLambda関数作成ページをブラウザで開いて、スキルパッケージのzipファイルをドラックアンドドロップして保存する、という一連の操作に相当します。
CLIツールを使えば、見えなくてもコマンドをかいして操作できました。
GUIツールでも、キーボードショート化とキーを駆使すれば、使えます。
たとえば、音声編集。
動画をごらんください。
(audacityの音声編集の動画再生)
ショートカットキーで、音声波形の切り取る範囲を選択しています。
では、編集したデータをスキルで使いたいので、S3にアップロードしましょう。
これも、AWS CLIのコマンドを使えば、ブラウザを開かなくてもできます。
(動画を再生)
このように、ビジュアルアプローチの代替となる工夫をすれば、見えなくてもプログラミングしているんだよ、ということを知っていただければ幸いです。
次に、今回作成したスキルについて、紹介していきます。
まぁ私が思わぬ人数にビビっていることはさておき、本題です。なぜここまで体験に関するリアリティを追求しようとしたか。その理由はひとつしかありません。 皆様に、少しでも視覚障害というものを、手軽に、かつ楽しく、知って頂くためです。 人の感覚を理解するということは不可能です。勿論、話を聞いて「想像すること」はできます。例えば全盲なら、目を瞑って歩くようなもの。視野狭窄なら、ドーナツの穴を覗くようなもの。しかし実際に生活の中で、常にこれらが付きまとうということを、体験するのはなかなか難しいことです。(あの間違っても危ないので目を瞑って街中歩かれたりしないでくださいねw) 理解とは、人が人と関わる上で非常に重要なことです。しかし、知識として、単語として、障害者という言葉を皆さんご存知でも、障害なんて人それぞれですし、ましてや視力障害だけだって中心視野欠損だ視野狭窄だ全盲だと様々です。 じゃあそれら一々全部理解しろってか!そんなことはありません。 こんな感じの事例があるのかーと知るだけで、こんな苦労があるのかーとちょっと知るだけで構わないんです。私はその中でもこうだから、こういうふうに配慮してもらえれば普通に生活できます。これを伝えるのは私たち障害者の仕事です。「障害」がどのようなものか相手が少しでもしっている、それだけで、私達はぐっとできることが広がります。気持ちの面でも、実際の面でもです。 先程、視力障害という言葉だけではこれほどの集客力はないと言いました。 Alexaは、視力障害なんてなくても、お年寄りでも子供でも、生活の中で普通に、手にする可能性があるものです。 そんな障害に関して「特別性のない」デバイスでこのスキルを実現したことは、非常に大きな意味を持っていると思います。 ストーリーモードでは、晴眼者の男性が、白杖を着いた女性を車で轢きそうになってしまった、という所からゲームが始まります。あなたの周りにも、実は障害者が普通に生活しているかもしれません。全く知らないものに気を遣うのは難しいことです。だからこそ、ひとつの知識として手に入りやすいように、みんなが知ることで、お互いを尊重し円滑にコミュニケーションが取れるような社会に、このスキルを通して、少しでも貢献できればというのが、今回私(たち?)がこめた思いです。 # 軽く自己紹介。
(動画1を流しながら)まず、スキルを起動したら、モード選択を行います。今回は、ストーリーモードを選択します。
次に難易度の選択ですね。今回は上級ですね。難易度選択が終わると、ストーリーが始まります。
ストーリーの続きは、スキルが公開されてからぜひ皆さん聞いてみてください。ストーリーが再生されると、いよいよ探索の開始です。最初にマップの説明や攻略のヒントが再生されます。次に、「右」「左」「上」「下」の順に、周囲の状況を示す音が再生されます。今回は、右側には道が、左側に溝(?)が、上に道が、下にも道があることが分かります。ではご覧ください。
#動画2
このように、それぞれの方向に何があるのかが示されます。では、右に進んでみます。進むと、先ほどと同じように周囲の状況を示す音が再生されます。お聞きいただくと、上方向の音だけが他と違うことが分かると思います。これは看板を表す音です。今回はあえて看板に突っ込んでみます。ご覧ください。
#動画3
上方向の音だけが違っていたと思います。看板があり進むことができませんでした。
では、続きです。このゲームでは、「リマース」という機能を使うことで、周囲の状況を何度でも確認することができます。動画です。
#動画4
先ほど看板にぶつかったので、ぶつかる直前の位置に復帰していることが分かりますね。
続いて、トラップです。先ほどの看板と違い、トラップにはまってしまうと、そのたびにライフが減ってしまいます。今回は時間とネタバレの事情で先ほどの場所からトラップまでの移動のデモは割愛です。 (動画5を流しながら)1マス上に進むと…左側にマンホールがあります。水を扱うメーカーのサウンドロゴみたいな音がします。あえてトラップにはまってみます。
このように、トラップにはまるとライフが減ってしまいます。そしてトラップや障害物を避けつつ進むといよいよゴールです。
(動画6を流しながら)上に進み…右…上…と進むと、上にゴールがあります。この扉の音がゴールを表す音です。上に進み、無事ゴールです。
(動画7を流しながら)ゴールすると、歩数と残りのライフ、探索時間を確認できます。……(動画再生後)この動画でも話されていますが、このように、私たちは、少しでも皆さんに目の見えない人の世界を知ってもらいたい、また、音のみでゲームをプレーすることができるということを知っていただきたいという思いから、このスキルを作成しました。今後公開を予定していますので、ぜひ皆さんにもこのゲームに挑戦していただきたいと思います。以上でデモを終わります。