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リーンスタートアップを理解する
1.
リーンスタートアップの概要 2013年7月
2.
Contents ① リーンスタートアップって何? ② コアの概念
– Overview ③ MVP とは? ④ ピボットとは?
3.
Contents ① リーンスタートアップって何? ② コアの概念
– Overview ③ MVP とは? ④ ピボットとは?
4.
リーン・スタートアップによる新規事業の立ち上げ 投資リスクを最小限に抑える手法として、「リーン・スタートアップ」が注目されている。 フィードバックに 掛る時間を最小化 リーン・スタートアップの概念 仮説の構築と検証を最低限のコストと短いサイクルで 繰り返しながら、市場や顧客のニーズを探り当てていく
5.
リーン・スタートアップの本質 リーン・スタートアップの本質をわかりやすく表現すると「地図を捨ててコンパスを頼りに 進め」ということになる。 イノベーションに必要なコストが劇的に下がった現代においては、あるプロダクトを 生み出すために、それを成功に導くまでの「地図」を描こうとすると、その作業だけで プロダクトを開発する以上のコストがかかってしまう。 たとえ地図ができたとしても、イノベーションが急速に進むいまの世の中では、プロダクトを 開発している途中でゴールが変わり、地図そのものが陳腐化する可能性が高い。こうした 状況下においてはむしろ地図などはじめから持たずに、市場の変化を敏感に感じ取るコン パスを手に、しなやかにプロダクトの方向性を変えていった方がよい。
6.
① リーンスタートアップって何? (1/4) Lean
Startup とにかくお金を使わない、 気合の入った節約(ケチ) スタートアップ Leanとは贅肉がなく効率的なこと。 Lean Startupとは真の成功に向けて如何に無駄をせず着実に 歩むかという考え方であり、コストの話しではなくスピードに重点を 置いている。
7.
① リーンスタートアップって何? (2/4) Lean
Startup アジャイルなど ソフトウェア 開発手法の一つ 開発にアジャイル手法が使われることが多いのは確かだが、 Lean Startupはそれより上位の概念で、ソフトウェア開発だけ ではなく、アイディア形成、顧客開発、メトリックス分析など 様々な側面を含む。
8.
① リーンスタートアップって何? (3/4) Lean
Startup MVP (Minimum Viable Product)とかいうデモ版を 創る話 MPVはLean Startupにおいてコアの考え方・手法だが、 正しくフィードバックを得る過程の一部に過ぎない。
9.
① リーンスタートアップって何? (4/4)
スタートアップの成功は運や限られた天才によってのみ可能なのではなく、科学的に マネージできるはずだという考えを基にしている Eric Ries氏を中心として多くの実践者・企業によって形成されつつある大枠のメソド ロジー(方法論)で複数の個別の方法論や手法から成り立っている 名称・発想はリーン生産方式から来ており、リーンの考え方をイノベーションに適応す ることで、正しいことを正しく実行すべく無駄を排除して、成功の確度を高めることを 主眼としている 極端な不確実性の中、新しいプロダクトやサービスを創り、ローンチし、継続可能なビ ジネスにすることに応用可能なため、必ずしも小さなスタートアップ企業である必要 はない Lean Startupとは
10.
Contents ① リーンスタートアップって何? ② コアの概念
– Overview ③ MVP とは? ④ ピボットとは?
11.
② コアの概念 (1/10)
誰も欲しがらないものであれば、如何にオンスケで予算内に作ろうが、 全く意味をなさない。 スタートアップの難しさは、そもそもユーザー/カスタマーがどんな人々で、 彼らに提供すべきものが何であるかが不明なことにある。 リーンスタートアップは、それらをシステマティックな実験によって明らかにしながら 正しい方向に歩むためのメソドロジーである。 スタートアップのゴールは 「つくるべきもの」 (お客さんが欲しがり対価を払うもの) を できるだけ早く見つけること。
12.
② コアの概念 (2/10)
不明だからと闇雲に始める訳でも、想定されるお客さんの意見にただ流される 訳でもない。 最終的な目的地で且つ出発地点となるのはスタートアップ自らのビジョンである。 そのビジョンを達成するために、戦略(ビジネスモデル、ロードマップ、パートナーや 競合に関する視点、ユーザー/カスタマーの仮説などを含む)を策定・実行する。 製品はその戦略の最終結果である。 Vision Strategy Product
13.
② コアの概念 (3/10)
製品は実験におけるチューニング、最適化、の過程で常に変化するものである。 戦略の変更は多くはなく、これを変更することをピボットと呼ぶ。 ビジョン自体が変ることは稀である。 Vision Strategy Product Change Optimization Pivot
14.
② コアの概念 (4/10)
事後に正当化したり、失敗だったのを良く見せようとする時に、「学んだ」「良い経験 になった」と言われることが多い。 そのような学びと一線を隠すために、敢えて「有効な」とつけている。 Validated Learning (有効な学び)とは、実験に基づいたプロセスで、スタートアップ の現在及び将来のビジネスの見込みについて、真実を発見し実証すること。 ビジョン達成に向けて進めていく際の根幹となるのが Validated Learning (有効な学び)。 製品であれ、フィーチャーであれ、マーケティングキャンペーンであれ、 スタートアップがすることは全て、有効な学びを得るための実験であると心得よ。 そうでないものは無駄として排除すべし。
15.
② コアの概念 (5/10)
実験のプロセスを回すには、テストをする対象となる明確な仮説/想定がなければ 始まらない。 仮説・想定はビジョンを分解して考える。 スタートアップの成功の全てが依存するといっても過言ではない。 特に重要な仮説は、価値仮説と成長仮説。 明確な仮説設定 Value hypothesis (価値仮説) 製品・サービスがユーザー/カスタマーにどのような価値を提供するか Growth hypothesis (成長仮説) 新規のユーザー/カスタマーがどのように製品・サービスについて知るのか
16.
② コアの概念 (6/10) リーンスタートアップの核となるプロセス。PDCなど他の言葉で表現されるものと一見 大きな相違はないが、より具体的で実証的で、且つ、トータル時間を最小化することに 重きが置かれているのが異なる。 フィードバックループ(Build
→ Measure → Learn) ループを一周するのにかかる時間を最小化するのが鍵
17.
② コアの概念 (7/10) MVPは単なるプロトタイプ、デモ版ではない。
明確な仮説があって、それを検証するのに 必要なものだけを含み、有効な学びを得るためのもの。 製品のデザインや技術的なことだけを検証するのではなく、ビジネスの仮説をテストする のが目的。 MVP(Minimum Viable Product) 仮説検証の最初のフェーズ、Buildを素早く行うためのもの。 実験に必要な最低限のものだけを含む。仮説により形は様々。
18.
② コアの概念 (8/10) 「その製品を作るのに、どれだけ時間がかかったなんて 顧客は気にしない。顧客が気にするのは自分によって 良いか悪いか、それだけだ」 「事前の市場調査や戦略的計画で決めたものではなく、 今動いているモノに対するフィードバックが源泉」 -リーンスタートアップ-
より
19.
② コアの概念 (9/10)
ループのMeasureとLearnのフェーズに適用。 学びのマイルストーンは、製品やビジネスのマイルストーンとは大きく異なる。 チューニングは何度も繰り返され、理想値に近づいているかが注視される。 チューニング・最適化を最大限行った時点で、仮説が正しかったのか、正しくなければ どのように変更すべきかを判断する。 Innovation Accounting ~ 3つのLearning Milestone (学びのマイルストーン) ~ 1. 現時点のベースラインデータの取得 2. チューニング 3. 理想値との比較 →Pivotするかの決断
20.
② コアの概念 (10/10)
ピボットとは言葉通り、片足は動かさずに方向を変えること。全て投げ捨てて全く違う ことをするわけではない。 どんなにチューニングしても理想とかけ離れている場合は、戦略のどこかが正しくない はずなので、変更して新たな仮説を立てることになる。 無駄を排除したプロセスで決断が必要なことがわかっていても、精神的に簡単では ないので、予めこの判断をするMTGを計画しておくのも一考。 Pivot (or Persevere) ピボットするかこのまま頑張るか 有効な学びを軸に戦略を変更すること。 ループを一周した時点で判断。機械的なものではなく、あくまでも人間の判断。 学んだ結果により、様々なピボットの仕方がある。
21.
Contents ① リーンスタートアップって何? ② コアの概念
– Overview ③ MVP とは? ④ ピボットとは?
22.
③ MVP とは?
(1/9) Lean Startupの重要な概念の一つで、有効な学びのプロセスに いち早く取り掛かり、Build-Measure-Learnのフィードバック ループを最も労力をかけず素早く一周するためのもの。 MVPとはMinimum Viable Productの略で、 実験を実行するのに最低限必要な製品 を意味する。
23.
③ MVP とは?
(2/9) 製品のデザインや技術的なことだけを検証するのではない点で、 プロトタイプやデモ版とは異なる。また、確かな目的を持ってつくる ものであり、出来の悪いベータ版では決してない。 明確なビジネスの仮説(価値仮説や成長仮説)に対して、 それを検証するのに必要なものだけを含む。
24.
③ MVP とは?
(3/9) 例えば、1ヵ月無料試用から始まるサービスXを提供するとする。 ビジネスモデルが成り立つためには、サイト訪問者の10%が無料トライアルにサインアップすると 仮定する。 その後の有料版へのコンバージョン等がこの数値に依存することを考えれば、まずこの仮説が 妥当かを検証する必要がある。 これを検証するのに、実際のサービスXをつくってローンチし結果を見るのは、時間と労力の無駄。 実際にXをつくらず、Xの概要・バリューをサイトで効果的に説明して、それに対して無料トライアル ボタンが押され登録が完了する割合を見ることで検証は可能。 この場合、そのようなサイトがMVPである。(スモークテストと呼ばれる) 具体的にはどういうことか? 仮説によりMVPの形態は様々
25.
③ MVP とは?
(4/9) 25 実験の対象はあくまでもアーリーアダプターである。 彼らは製品に欠けているところを想像力で補い、むしろそれを好む。 製品が洗練されていると、他の人よりも早いというアドバンテージが感じられない。 疑問: MVPの製品としての不完全さはマイナスの印象を与えるのでは?? 必要以上のフィーチャーや洗練度は 時間と労力の無駄遣い
26.
③ MVP とは?
(5/9) スタートアップの場合、そもそも注目を浴びることが難しいので、あまり心配する 必要はないが、異なるブランド名でMVPを出すことで容易に回避可能。 但し、この段階で大規模なPRなどのマーケティンローンチをすると、長期的に評判に 傷がつく可能性がある。 そのようなスケールを目指す活動は、仮説の検証を終えてからすべき。 疑問: MVPによってブランドに傷がつくのでは??
27.
③ MVP とは?
(6/9) 特に技術系の起業家にとっては、ビジョンとして描いているものは通常クオリティが高く メインストリーム向けの製品のため、MVPを出すことへの心理的なハードルは高い。 →達成しようとしていることへの近道だと認識し、乗り越える必要がある。 MVPへの躊躇 顧客自身は何を欲しているか分からないのだから、社内でとことん戦略を煮詰めたり、 製品やデザインについて議論してつくるのが重要だという考え少なくない。 →現実に直面するのを恐れているのと同じ。社内には所詮意見しかないことを心得よ。
28.
③ MVP とは?
(7/9) これまでに実践されたパターンはいくつかあり、参考になるが、 その都度、しっかりとした、人間の判断が必要 MVPの形態は検証すべきことに応じて様々であり、 どのくらい複雑であるべきかは機械的に決められない。
29.
③ MVP とは?
(8/9) #1: Groupon • Wordpress Blog にGrouponのスキンを適用し、アイテムを毎日ブログポストで伝えた。 • クーポンはFileMakerを使ってPDFにしメール配信。 • 仕組みをつくらずとも、サービスへの需要があることを効果的に検証。 #2: Dropbox • 技術的に大変複雑な製品開発をする前に、Dropboxが何をするものでどのような 使い心地かを説明する3分程の動画を作成。 • 結果のアクションとして「ベータ版ができたら知らせる」リストに登録させた。 • 技術的な問題が解決できればサービスへの需要が高いことを効果的に検証。 MVPの例
30.
③ MVP とは?
(9/9) #3: Food on the Table • (将来的にビルドする)サービス内容・料金を伝え、最初のカスタマーをサインアップ • ソフトウェアをつくらず、約束したサービスをCEOが対面で訪問提供した(コンシェルジュ MVPと呼ばれる)。 • カスタマーが増えるにつれて、自動化を徐々に推進。 • ニーズを詳細に学ぶことができ、機能しているものをシステム化していくことで効果的 な開発及びスコープ拡大が可能。 #4: Aardvark • 人がバーチャルアシスタント機能とどのようにインタラクトするかを検証するために、 異なる趣旨の簡単な機能をつんだ製品を複数つくり、エンゲージメントを計った。 • 良かったものを選び更にMVPのイテレーションをするが、できるだけバックエンドは人で 賄う(オズの魔法使いテストと呼ばれる)ことで無駄な技術開発を回避した。 MVPの例
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Contents ① リーンスタートアップって何? ② コアの概念
– Overview ③ MVP とは? ④ ピボットとは?
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④ ピボットとは? (1/9)
Lean Startupの重要な概念の一つで、Build-Measure-Learnのフィード バックループを一周した時点で判断する。 どんなにチューニングしても結果の指標が理想とかけ離れている場合は、 戦略のどこかが正しくないはずなので、製品、ビジネスモデル、成長の エンジンに関して新たな仮説を立て、再度検証する必要がある。 ピボットとはその軌道修正を意味する。 ピボットとは有効な学びを軸に軌道修正すること。
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④ ピボットとは? (2/9) *
そこそこ儲けるが十分な成長がなく、社員や投資家のリソース及びコミット メントを消耗するものの前進していない状態を意味する。 市場からのフィードバックをもとにピボットできない企業は 「The land of the living dead (生ける屍の地)*」 に はまって抜け出せなくなる。
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④ ピボットとは? (3/9) 成長過程にあるビジネスにとって不可欠なもので、一度やって終わりという 類のものではない。 どのように、またいつピボットするかの判断は機械的なものではなく、あくまでも 人間の判断。 ピボットは新たな戦略仮説であり、新たなMVPを使って検証 されるべきもの。 正しいピボットを(複数)行うことで、継続可能なビジネスへの 道筋を歩むことができる。
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④ ピボットとは? (4/9) *
スタートアップが何ヶ月生き延びられる猶予があるかの指標。 通常、口座にある現金を毎月の費用で割った値。 スタートアップは継続可能なビジネスへの道筋を探すことが使 命であるから、Runway*は単純な時間・コストベースよりもむ しろ、あと何回ピボットできるかという視点で考えるのが有用。 ループを如何に早く安く回すかを考えるのが鍵。
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④ ピボットとは? (5/9) こうした軌道修正の重要性は様々なビジネス理論で指摘 されるが具体性に欠けることが多い。 Lean
Startupでは根幹のプロセスとしてビルドインされている ため、具体的なフィードバックを基に間違いがあればそれを 正しく認識し方向修正できるのが肝。
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④ ピボットとは? (6/9) 1.
Zoom-in Pivot 当初製品内の一フィーチャーだと想定していたものを単体の製品とすること。 2. Zoom-out Pivot 当初単体の製品だと想定していたものをもっと大きな製品の1フィーチャーと すること。 3. Customer Segment Pivot 製品がリアルなカスタマーのリアルな問題を解決することは検証されたものの、 そのカスタマー層が想定していたものと異なる場合、カスタマー層を変更する こと。 ピボットのタイプ例 (1/4)
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④ ピボットとは? (7/9) 4.
Customer Need Pivot ターゲットカスタマーを良く理解するにつれ、当初想定していた問題とは別の 問題を解決する方が重要であり、既存のチームで解決できるとわかった場合、 そのように方製品を変更すること。 5. Platform Pivot 単体のアプリからプラットフォーム(ビジネス)へ、もしくはその逆へと変更するこ と。 ピボットのタイプ例 (2/4)
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④ ピボットとは? (8/9) 6.
Business Architecture Pivot ハイマージン・ローボリューム(主にB2B)からローマージン・ハイボリューム(主に B2C)へ、などと設計を変更すること。 7. Value Capture Pivot マネタイゼーションやレベニューモデルなどと言われることが多いが、そのした 自社が生み出す価値をどのように捉えるかという仕組みを変更すること。 8. Engine of Growth Pivot スタートアップにおいて成長のエンジンは主にバイラル、スティッキー、有料の3 つがあるが、その成長戦略を変更し、より早く収益の高い成長をめざすこと。 ピボットのタイプ例 (3/4)
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④ ピボットとは? (9/9) 9.
Channel Pivot 代理店販売から直販へなど、セールスやディストリビューションのチャネルを変 更すること。チャネルによって、製品の価格や競合環境が決まることが多いた め、製品を殆ど変えずにチャネルを変更することがより効果的な場合に行われ る。 10.Technology Pivot 同じソリューションを別の技術で(より安く或いはより高い性能で)達成すること ができると分かった場合にする変更。スタートアップよりも既存の大手企業で なされることが多い。 ピボットのタイプ例 (4/4)
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