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開発NGOに関する
適切な評価方法の模索
ー学生NGO PRENGOの事例を中心にー
APS3回生
成瀬優里奈 前嶋信哉
担当教員:清家久美
発表の流れ
《序章》 1−研究背景・問題意識、問題設定、
本研究の意義、方法論
《本章》 2−開発の潮流
3−評価の潮流
4ーJICA「プロジェクト評価の実践的手法」について
5ー先行研究調査
6ーPRENGO評価
《終章》 7ー結論
・参考文献
2
序章
1−研究背景・問題意識、問題設定、
本研究の意義、方法論
3
1-1 研究背景、問題意識
筆者らは1回生の頃からAPU公認団体 学生NGO PRENGOに
所属しており、支援地であるタイの貧困地域において教育支援活動
を行ってきた。
その活動の中で、学生NGOというメンバーの入れ替わりが激しい
団体だからこそ、活動をより効果的に、現地の方々に責任を持って
行うためには、過去の活動の反省、次の活動の改善のために評価
を行い、その結果を後輩に伝えて行くことが重要だと感じていた。そ
れを先輩から後輩へのいわゆる経験の「口伝え」ではなく、より明確
に客観的に評価を行い、結果を残していく必要があると考えた。
2015年から新しい地域での活動が始まるというPRENGOの転換
期であるこの時期に、PRENGOの評価体制を確立すべく、開発評
価の学生NGOへの適用を図る、この研究を開始した。
4
1-2 問題設定
学生NGOなど小規模ながらも、実際に支援地に影響を与える開発
行為を行っている団体の活動評価はどのようにあるべきなのだろうか。
特に一般に広まっている開発評価をそのような団体で行った場合、ど
のような問題点が存在し、それを克服するためにはどのような工夫が
必要なのだろうか。
本稿では、
開発の潮流とそれに伴う評価の歴史を辿った後に (2、3)
最も多く使用されている評価手法である、
JICA「プロジェクト評価の手引き」について内容をまとめ、(4)
それに対する批判を行っている先行研究を把握する。 (5)
その後事例研究としてAPU公認団体 学生NGO PRENGOの活動評価を行い、
学生NGOという立場から既存の開発評価の
問題点・改善点を考察する。 (6)
※ここで対象にする学生NGO等小規模な開発団体とは、
募金などの間接的支援ではなく、実際に団体が自ら支援地域に赴き活動を行う等、
支援地域の人々に直接的に影響を与える開発行為を行っている団体を指す。
5
1-3 本研究の意義
近年開発を行うアクターが多様化している中で、学生
NGOという視点から開発評価について考察し、その実施
結果を分析・考察している研究は今までになく、本研究が
その他学生NGOなど小規模ながら実際に支援対象者に
影響を与えている団体に果たす役割は大きい。具体的に
は、これまでの評価方法をまとめ、学生NGOとして実施し
てみた結果から分析を進めることは、その他学生NGOな
ど小規模な団体に対して、活動の質を高める評価の重要
性を促し、それら団体が評価を行う際の一助となることが
できる。
6
1-4 方法論
本研究では方法論として以下の2つを用いる。
(1)文献調査による先行研究把握
…文献から開発の潮流とそれに伴う評価方法の変化について把握する。
また日本において主流な評価手法であるJICA「プロジェクト評価の実践的手法」と、
それに対する批判を先行研究から把握する。
(2)学生NGO PRENGOの活動評価の実施・結果分析
…文献調査により得た評価の方法をもとに、
学生NGO PRENGOにおける評価方法を定め、評価を実施し、
その結果と評価過程の分析を行う。
7
本章
2−開発の潮流
3−評価の潮流
4ーJICA「プロジェクト評価の
実践的手法」について
5ー先行研究
6ーPRENGO評価
8
2 開発の潮流
ー「開発」の定義ー
「開発」とは「他者が意図的・計画的に働きかけることによって発展を
促そうとする行為」
佐藤寛 『開発援助の社会学』より
<開発の2つのパラダイム>
開発の歴史をたどっていくと、開発には2つのパラダイムがある
①モノ中心の開発 (1950〜1980)
②ヒト中心の開発 (1990~現代)
2 ①モノ中心の開発 1950〜70年 :開発の潮流
現代の開発援助は、第二次世界大戦後のヨーロッパに対して行われたアメリカ
のマーシャル・プラン(欧州復興計画・1948-52)によって始まったと言われている。
当時、世界は二度に渡る大戦を経験し、多くの課題を抱えており、その一つに「貧
困」があった。国連を始めとした先進国は貧困の原因を模索し、開発を行うことに
よって貧困の緩和と解決を試みた。「国連開発の十年」とされた1960年代、新た
な独立国を迎えた国際社会は、「援助する側」と「される側」の役割分担を明確に
しつつ、「援助」の体制を整え始める。その1960年代に急激な経済成長を開始し
た日本の姿は、新たな独立国家の開発戦略に大きな影響を与えたのみならず、
国際援助機関にも「経済成長による近代化」戦略の有効性を示すという意味で大
きな自信を与えた。日本の奇跡はまず、欠乏している経済的資源を援助すること
によって経済の「離陸」をはかり、それによって国の経済が活性化しパイが大きく
なることで、Trickle downによって国民生活が向上するという理論の成功例として
見なされたのである。このような効果が期待できるならば、経済成長さえすれば
人々の生活は良くなる、との想定に基づいて、マクロな経済発展を支援する「ビッ
グプッシュ戦略」が援助機関の主流戦略となったのである。しかしながら相当な額
の経済支援が行われたにもかかわらず、実際にはほとんどの途上国において、
期待された経済の「離陸」は起こらなかった。
2 ①モノ中心の開発 1970〜80年 :開発の潮流
第二次「国連開発の十年」となった1970年代は、「援助する側」と「される側」が
共に近代化という指向性を共有しながらも、その戦略について異なる意見を持ち
はじめる時期であった。ビッグプッシュ戦略は、多大なコストがかかるにもかかわ
らず、その結果がすぐに表れるわけではないため、マクロの経済成長も大事だが、
目に見える変化をもたらすミクロレベルでの生活の向上も目指すべきではないか
ということから、BHS(Basic Human Needs)戦略が提唱される。人間が生きてい
くために最低限必要なもの、例えば、食糧や、住居、保険サービス、教育サービス
に対して直接支援する開発援助が行われるようになるのである。
2 ①モノ中心の開発 1980〜90年 :開発の潮流
1980年代になるとBHN戦略のような直接支援をしようとしても、援助側の限られ
た資源がすべ貧困者に分け与えられるわけではないため、本来BHNを供与する
責任を負うべき途上国政府が自身の力で必要な資金をまかなえるように経済構
造の強化が必要だという考えが強まった。そこで国際通貨基金(IMF)、世界銀行、
そしてこれら両機関に影響力の大きいアメリカ合衆国のレーガン政権(1981-89)
の意向によって「構造調整」戦略が開始された。これは「貿易収支」「財政収支」の
赤字をできる限り、少なくすることを目指して大掛かりなマクロ経済改革を命じるも
のであった。
この構造調整によってもっとも大きな被害を受けるのが貧困者、子供などで
あることから、国際援助機関である国連児童基金(UNICEF)などはIMF/世銀
に対して社会的弱者の生存戦略に配慮した「人間の顔をした構造調整」の必
要性を訴え、貧困者に与えるショックを緩和するための「ソーシャル・セイフ
ティーネット」という考え方を導入する。さらにUNDPは、1990年から「人間開
発報告」を発刊し、経済成長ではカバーできない人間開発の側面があること
を訴え始め、「社会開発」への関心が高まり、開発プロジェクトにおける社会
学者・人類学者の活用可能性についての議論も活発になる。
2 ②ヒト中心の開発 1980〜90年 :開発の潮流
2 ②ヒト中心の開発 1990年〜現代 :開発の潮流
2000年に開催された国連総会では、「ミレニアム開発目標(MDGs)」が合意され、貧困削
減が、21世紀初頭の開発援助の中心的なテーマに置かれるようになった。貧困削減のため
マクロ政策としては、大きく分けて、経済成長政策、分配政策の二つの取り組みがあり得る。
経済成長政策は従来型のトリクルダウンの効果に依存する方法である。
一方GDPが成長しなくても、例えば上位10%の人の取り分を減らしそれを貧困者に配分
すれば、貧困削減には繋がりうるというのが分配政策である。一方ミクロレベルの貧困削減
政策は、農村開発、教育支援、保険医療プロジェクトなどの形をとって実行される。
2 モノ中心:ヒト中心の開発の特徴対比 :開発の潮流
モノ中心(1950〜80年) ヒト中心(1980年〜現代)
・Trickle downに沿った開発(都市開発、
インフラストラクチャーの整備)
・直線的な開発観(西欧社会の産業革
命以降の経験をたどる前提の近代化と
工業化)
・上位下達(トップダウン)の考えを根底
とした活動(中央集権的な計画立案と政
府事業を通じた活動)
・貧困=資金不足という解釈
・学習過程を伴うボトムアップ型のアプ
ローチによる主体的参加の促進(計画/
活動において公平さを最優先事項とし
開発を受ける側が主体とする)
・人間のエンパワーメント重視(個人の
能力の成長)
・活動/効果の持続性(長期的視点に
立った政策・施策)
・地域単位での草の根的活動(地元住
民の需要を優先とし、NPO/NGO組織を
中心とした活動)
3-1求められる成果の変化評価の変遷:評価の潮流
<開発によって求められる成果の変化>
1960年代:国単位の経済成長
1970年代後半:人間の基本的ニーズ(食糧、住居、保険サービス、教育サービス)の保証
1980年代後半:人間開発による個々人の能力成長と人々のエンパワーメント
<評価の変遷>
▶︎国単位の経済成長
→GDP、GNPの数値(経済成長を達成したかどうか)による評価
量的データに基づく評価の必要性
▶︎人間の基本的ニーズ(食糧、住居、保険サービス、教育サービス)の保証
▶︎人間開発による個々人の能力成長と人々のエンパワーメント
→人間開発や、人々のエンパワーメントの達成を評価するためには、量的な側面からの評価と同
時に、質的な側面である人々の意識や行動変容、価値観の変化などを見ていくことが重要である。
(三好,2008,p42)
→対象地域の人々は「意図」をもった「主体」であり、時間の経過の中で多様な他者との相互作用に
より意識や行動が変容するとともに、自己の文脈の中で開発協力を解釈し、異化させ、取り込み、
自身の日常実践の中でそれらを活用している。(藤掛,2003)このような事象を量的なデータで測る
ことは困難である。
質的データに基づく評価の必要性
3-2その他の評価手法
評価5項目やJICA「プロジェクト評価の実践的手法」の他の評価手法を用いている
NGOもある。Action Aidが現地住民の視点を重視した形での評価手法として使用し
ているものがSpider Modelという手法である。
ーSpider Modelー
評価基準として
Group Dynamics・・・どれほど積極的に参加していたか
どれほどコミュニケーションがとられていたか
Management・・・記録がとられていたか、きちんと計画的に進められたか
Fund Mobilization・・・資金がどこから来ているのか、資金の使用用途は明確か
Coordination・・・グループ内及び他機関との連携がどれほどとられていたか
Participation・・・異なる宗教、民族、女性がどれほど参画していたか
の5つの基準が設けられている。各基準には4つの指標があり、その指標によって各
基準について4点から16点がつけられる。全体では合計点である20〜80点がつけ
られ、これが評価結果の点数となる。
この手法では、PJの結果を見るのではなく、対象グループの経過、状況、状態に注
目し、コミュニティーの変化を目的としている評価法だと言う事が出来る。
4-1 JICA「プロジェクト評価」の目的について :JICA評価の
説明
<JICAの事業評価の目的>
JICAが事業評価を行う目的としては以下の3つが挙げられている
1:事業運営管理の手段
2:より効果的な事業実施のための学習効果を高める手段
3:説明責任の確保
<評価の種類>
評価の種類は事業サイクルで捉えると
ープロジェクト・レベルの評価(事前、中間、終了時、事後評価)
ープログラム・レベルの評価 (事後評価が中心)
の2種類に分けらる。
本稿ではプロジェクトレベルの評価を考察対象とする。
18
4-1 JICA「プロジェクト評価」における見解 :JICA評価の説
明
19
援助行為がアウトプットを産み、アウトカムになり、社会的なインパクトという成果に結びつく
ためには、因果関係の連鎖がなければなりません。この因果関係を論理的に仮定し、実証し
ていくことが評価において重要になってきます。 (p.5)
日本の厳しい財政事情を背景に、透明性の高いより効果的・効率的な ODA の実施 に向け
て、評価が果たす役割がますます重要視される中、ODA の事業評価に対する関心は 以前
にもまして高まっています。また、中央省庁や地方自治体における行政評価の導入な ど、国
内での公的事業に対する評価の取り組みが活発化する中、評価そのものに対しても さまざ
まな角度から関心が寄せられています。 (p.9)このように、政府開発援助(ODA)をめぐる国
内外の動きや、国内での行政改革の動きに伴い、よ り効果的・効率的な事業の実施及び事
業における透明性と説明責任が、これまで以上に 強く求められています。こうした中、結果重
視の事業運営及び事業改善のための手段と して、また、事業の透明性を高め、説明責任を
果たしていくための手段として、評価の役割が以前にも増して重要視されています。 (p.7)
JICA がどのように評価を位置付け、どのような方法 で評価を行っているかについての情報
提供は、公的資金を用いた ODA の主要な実施機関で ある JICA の説明責任である(p.10)
『プロジェクト評価の手引き 改訂版 JICA 事業評価ガイドライン』 2004
出典:プロジェクト評価の実践的手法
<評価の種類>プログラムレベル
⇒事後評価中心
各プロジェクトの評価結果から
プロジェクト全体の評価を行う
プロジェクトレベル
①事前評価
活動を行う前に地域と計画との整合性や実
施の必要性を見当する。
この段階で設定したプロジェクトの評価指標
は、中間から事後までの各段階において協
力校かを測定する基準として活用する。
②中間評価
協力機関の中間時点で、プロジェクトの実
績と実施プロセスを把握し、妥当性、効率性
などの観点から評価し、必要性に応じて計画
の見直しを行う。
③終了時評価
プロジェクト目標の達成度、事業の効率性、
今後の自立発展性を計り、プロジェクトを終
了するかどうかを決定する指標とする。
④事後評価
協力終了後数年を経過したプロジェクトを
対象に、主にインパクトと自立発展性の検証
を行う。
20
4-2 評価主体について :JICA評価の説明
評価を行う主体については以下の3つに分けられる。各主体のメリットデメリットも記載する。
1ー外部第三者による評価(外部評価)
評価対象プロジェクトに関与していない、評価対象分野に関する高度な専門知識を持つ外部の有識者
や機関(大学・研究機関・学会・コンサルタントなど)に評価を委託する。
☆メリット…評価の質が高い(専門的である)、客観性を有する
☆デメリット…依頼するための費用が高い(通訳の人件費等含め)
2ーJICA主体による評価(内部評価)
対象プロジェクトを熟知しているJICA内部関係者が主体となって行う評価。JICAでは開発援助やJICA
時魚について見識を有する外部の有識者(学識経験者、ジャーナリスト、NGO等)に依頼して、内部の
評価結果について第三者の視点にやる検証を推進しており、透明性及び客観性を図っている。
☆メリット…費用が安い
☆デメリット…評価実施者が評価に必要な専門知識を有していない場合もある
客観性に欠ける(JICAの場合は第三者に依頼し、補完している)
3ー合同評価
被援助国の関係機関、あるいは他のドナーと合同で行う評価。被援助国の他アクターと合同で評価を
行うと、その過程で被援助国のアクターと評価結果の問題点の認識を共有できるとともに、評価の手
法を習得出来るという利点がある。また他の団体との合同評価は評価手法の相互学習や援助協調を
図る上で有効。
☆メリット…被援助国の文化社会的側面を理解しているアクターと評価を行うことができる。
評価における言語の問題がない。
☆デメリット…協力者が依頼者と同時期に評価を行う人員・時間を割くことができる必要がある。
21
4-3 評価結果のフィードバック :JICA評価の説
明評価結果は以下の2つの側面において使用される。
(1)事業へのフィードバック
①意思決定過程へのフィードバック
評価対象プロジェクトに関する判断に直接活かすものである。事前評価はプロジェクトを実
施するかどうかの判断材料に、中間時点はプロジェクト計画の見直しに、終了時評価はプロ
ジェクトを終了させるかどうかの判断基準となる。
②学習過程へのフィードバック
開発援助に関わる開発組織が評価情報や教訓を蓄積することにより類似のプロジェクトを
計画・実行する際に活用し、より良い活動をすることを目的とする。
(2)対外的なフィードバック
評価の目的の1つである、説明責任(アカウンタビリティー)を果たすために使用される。
説明責任(アカウンタビリティー)とは、単に評価結果を公表するだけではなく、事業委託者
(JICAでは納税者、一般市民)に対し受託者(JICA)が責任をもって事業を実施していることを
説明し、それに対し委託者側がその善し悪しを判断する仕組みである。また、協力プロジェク
ト(支援活動)は被援助国との共同作業であるため、被援助国に対しても評価結果を公表する
ことは重要である。
▶︎説明責任の要件(このような情報が公開されることが求められる)
事業目標が明確であること、組織の意思決定過程の透明性が確保されていること、
投入(使用した金額等)の効率的な活用や事業結果としての史恵かが明確に把握されている
こと
2
4-4 評価の枠組み :JICA評価の説明
評価は、ある現状に対し根拠を示しながら価値判断を行う作業である。また評価を
マネジメントツールとして活用するためには、プロジェクトの成功・失敗に影響を与
えている要因の分析を通し提言・教訓を導きだし、それを次の段階へフィードバック
することが非常に重要である。ただ単に目標が達成されたかどうか、評点付けを行
うような表面上の評価では不十分である。
それを可能にする包括的な評価を行うために、JICAでは以下を評価の枠組みとし
ている。
①プロジェクトの現状把握と検証
…実績、実施プロセス、因果関係を検証する
②評価5項目における価値判断
…妥当性、有効性、効率性、インパクト、自立発展性の観点から評
価を行う。
③提言の策定、教訓の抽出とフィードバック
…有用性のある提言の策定、教訓の抽出を行い、関係者へフィード
バックする。
23
4-4 評価の枠組み(続き) :JICA評価の説明
①PJの現状把握と検証 について
1:実績の検証…PJで何を達成したか、達成状況は良好か
中間評価以降では、そのPJで何が達成されたかを把握し、それが期待通りであるかの判断
を行う。具体的には目標の達成度(PJ目標や上位目標)、アウトプット(結果)の産出状況、
投入(PJにかける費用や人員時間など)を確認し、PJ計画時の目標値と比較する。
2:実施プロセスの検証…それらを達成する過程(プロセス)で何が起きているのか
それは達成にどんな影響を与えているのか
中間評価以降では、活動は計画どおりに行われているか、マネジメントは適切か、PJ内の
人間関係に問題はないか、受益者の認識はどのように変化したかを調査する。つまりPJを
実施する過程で何が起きているかを把握することが中心である。
☆これら実施プロセスの検証で得る情報は、PJの効率性や有効性を検証する際の根拠と
なる場合が多く、PJの阻害要因や貢献要因の見当に活用される。
3:因果関係の検証…達成されたことが本当にPJを実施したためであるかどうか
PJ目標や上位目標の達成度が本当にPJ実施によりもたらされたものであるかどうかを調査
する。PJは社会全体から見れば1つの「介入」に過ぎず、PJ以外の要因による影響は常に
ある。PJを実施した価値があるかどうかを結論づけるためには、効果とPJ実施との因果関
係を検証しなければならない。
<因果関係を検証するための比較方法と定性分析>
Before/After比較、With/Without比較と定性分析がある。後のスライドにて詳しく説明する。
24
4-4 評価の枠組み(続き) :JICA評価の説明
①PJの現状把握と検証 3:因果関係の検証の方法
因果関係の検証の方法は、(1)定量的手法(2)定性的手法 の2つに分けられる。
(1)定量的手法
before/after比較
PJの前と後では
どのように変化したか
with/without比較
PJを行った地域と、
行っていない地域では、
どのような違いが見られるか
(2)定性的手法
a 投入から活動、アウトプット、目標に至る実施プロセスの経緯を積みあげる
b プロジェクトの実施を効果のロジックの論理的な説明を試みる
c 技術の移転、普及過程を分析する
d プロジェクトから受益する地域や対象を限定し、より深くデータ分析を行う
PJ実施前の
対象地域のデータ
PJ実施後の
結果、数値
比較<before> <after>
・事前評価でデータを得る ・中間時評価、終了時評価
モニタリングでデータを得る
PJを
行っている地域
PJを
行っていない地域
<地域A> with PJ <地域B> without PJ
比較
・PJ実施中のモニタリング、
評価資料を用いる
・新たに調査を行う
その地域に詳しい人物が必要
25
4-4 評価の枠組み(続き) :JICA評価の説明
②評価5項目ごとの価値判断について
評価5項目とはJICAで採用されているPJ評価の基準である。評価5項目は1991年に経済
協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)で提唱された。
1ー妥当性
…PJの目指している効果(PJ目標や上位目標)が受益者のニーズに合致しているか、問題
や課題の解決策として適切か、PJの戦略・アプローチは妥当であるか等、PJの正当性・必
要性を問う視点。
2−有効性
…PJの実施により、本当に樹影者もしくは社会への便益がもたらされているか
3−効率性
…主にPJのコストと効果の関係に着目し、資源(資金や人員、時間_が有効に活用されて
いるかを問う視点。
4−インパクト
…PJ実施によりもたらされるより長期的、間接的効果や波及効果を見る視点。予期していな
かった正・負の効果・影響を含む。
5−自立発展性
…援助が終了しても、PJで発現した効果が持続しているか(あるいは持続の見込みがある
か、を問う視点。
26
4-4 評価の枠組み(続き) :JICA評価の説明
③提言の策定・教訓の抽出とフィードバック
提言や教訓を導きだすために、PJに影響を与えた阻害・貢献要因を具体的な根拠と共に特
定することが必要になる。
なぜ期待される結果が出ないのか?
PJのどんな要因や原因が影響を与えたのかを因果関係や実施プロセスの検証から考察
する。その考察の観点としては以下の2つが挙げられる。
▶︎Implementation Failure
PJの実施そのもの(投入、活動状況、体制、内部条件)などにPJの成否の原因を探るもの
であり、PJの運営体制を問う視点
▶︎Theory Failure
そもそもPJを実施したとしても、期待された効果は無理だったのではないか、ということを問
う視点。アウトプット(結果)が出たとしても、対象地域に影響がなかった場合など。そもそも
計画自体に問題がなかったかどうかが対象になる。
このように2つの視点に分ける理由は、PJの実施過程は援助側がマネジメントできるが、
その後対象グループがPJ目標を達成できるかどうかには、PJ以外の外部からの影響も避
けられない(外部要因)からである。
27
4-4 評価の枠組み(まとめ) :JICA評価の説明
①プロジェクトの現状把握と検証
1:実績…測定値と目標値の比較
2:実施プロセス…モニタリング結果の参照、新たな調査を行う(必要時のみ)
3:因果関係
(1)定量的手法ーbefore/after比較、with/without比較
(2)定性的手法ーa 実施プロセスの積み上げ、b 実施と効果の論理的説明
c 技術移転・普及過程分析
d 受益地域・対象限定のデータ分析
②評価5項目による価値判断
1:妥当性 2:有効性 3:効率性 4:インパクト 5:自立発展性
6:貢献・阻害要因、実施プロセス、因果関係
7:結論
③提言策定・教訓抽出
28
4-5 実際の評価の流れ :JICA評価の説明
出典:JICA「プロジェクトの実践的評価手法」
29
4-6 ログフレームの活用 :JICA評価の説
明<ログフレームとは>
ログフレームとは、ロジカルフレームワークの略であり、1960 年代後半に米国国際開発庁
(USAID)が開発したものである。その後1970年代後半以降、国連開発計画や国連児童基金
など多くの国際機関がこれを導入し、それぞれのPJの運営管理に生かしてきた。
<PCM手法とPDM>
ログフレームを使用した開発プロジェクトの計画内容を詰める手段が
プロジェクト・デザイン・マトリクス(PDM)と呼ばれ、国際的に使われている表である。
この表をプロジェクトの計画段階だけではなく、実施・評価の段階においても用いる手法が
プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)手法と呼ばれ、JICAのプロジェクトマネジメントの基
本ともなっている。
<PCM手法の流れ>
PJ立案=PDMの作成…対象とする問題を決定し、その要因を把握する
目標の設定(数値で設定される)、
PJ実施プロセスの確認=PDMとの比較によりPJの実施状況、問題点の検証、方向性の修正
PJ評価=PDM上の目標が達成されたか確認
FACID(2006)によると、参加型開発におけるPDMの使用の際は、
PDMの作成(=PJ立案)を現地住民と行うことが望ましいとされている。
しかし援助側のみでPDMを作成することも可能である(現地の状況との乖離に注意する必要)
30
4-6 ログフレームの活用(続き):JICA評価の説明
PJの要約 指標 入手手段 外部条件
上位目標
PJの目標達成後
何を目指すのか?
PJの達成度を
計る基準
指標を得るための
データソース
PJに重要だが、コン
トロールできず、満
たされるか否か不
確かな条件
PJ目標
PJは期間内に何を
達成すべきか?
アウトプット
PJ目標をどのよう
に達成するのか?
活動
アウトプットを実現
するために具体的
何をするのか?
投入
PJに必要な人材、資機材・施設、資金
前提条件
PJ開始前に満たさ
れるべき条件
<PDM(プロジェクト・デザイン・マトリックス)>
31
4-6 ログフレームの活用(例):JICA評価の説明
PJの要約 指標 入手手段 外部条件
上位目標
OTOP家庭、2家庭の教育費捻出
とMahad地域の教育環境の向上
パーゲンとパーウア(PJメン
バー)の家庭がOTOPから年間
27360B を給料として受け取る。
OTOPからの支
払い記録
(教育環境向上
のために使われ
たか)モニタリング
体調不良等の要因により
タイパンツが毎月送られて
こない
タイBのレートが上がる
PJ目標
現地の教育環境のニーズの把
握
とタイパンツの販売促進
現地の教育環境における問題
点を把握し、OTOP資金の使用
用途の候補が挙げられる
上半期でタイパンツを250枚売
り上げる。
現地住民との
MTGヒアリング、
調査
OTOPの売り上げ
の記録
タイの情勢に関係し渡航
へ行けない
体調不良、仕事の都合が
合わず、会えない
アウトプット(成果)
<国内活動>
タイパンツの購入者が増える
<国外活動>
日本人の好みにあうタイパンツを
把握している。
市場の数、出店日数が増加す
る
前年度より、タイパンツの売り上
げ枚数が増加
現地との連絡回数が月に1回以
上
活動
<国内>タイパンツの販売
<国外>現地住民とのMTG
投入
OTOPプロジェクトメンバー 6名
月に2、3回週末にフリーマーケットに参加するため
の出店料(約2000円/回) 前提条件
現地メンバーがタイパンツ
を製作できる
<PRENGOのOTOP PJ(伝統的なズボンタイパンツを売るPJ)のPDM >
32
5-1 JICAの手法に対する批判 :先行研究
これまで説明してきたJICA「プロジェクト評価の実践的手法」に対する批判の先
行研究として、3つに分類して述べる。
①評価主体と受益者目線の評価に対する意見 ーーー FACID (2009)
②ログフレームに対する批判 ーーー Gasper(2000)
③手法に対する批判 ーーー 鈴木紀(2008 )
33
5-2 批判①JICAの評価主体について・・・FACID(2009):先行研究
客観的評価を行うには、
・PJ実施者ではなく第三者によって行われるのが原則
・PJ地域について幅広い見識を持っている評価者が含まれる
ことが望ましい。特に下の受益者の視点から評価を行うことは重要である。
しかし、受益者の視点を取り入れるために現地住民を評価者へ加えると、
・PJの完全なる主体であるために、PJを客観的に評価することができない
・住民によって、価値観や立場が異なるために評価にまとまりがない
・評価についての知識や技量に限界がある
といった問題点が出てくることが予想される。
つまり評価では、外部者的な観点や客観性を確保しつつも、
PJ地域の実情、価値観にも精通することが重要になり、
評価者の視点のバランスを保つことが大切である。(FASID、2009)
34
5-2批判①受益者視点の評価の重要性・・・FACID(2009):先行研究
援助側が評価を行う際に関心を抱くのは援助PJ自体である。
そのため評価対象をPDMで表現し、このPDMと評価5項目を関連づけて、具体的な
調査項目を定めていき、評価の客観性を保ちつつ、包括的な調査を行う。
それに対し、PJ受益者が重要だと考えるのは援助PJ自体ではなく、自らが生活して
いるコミュニティーや地域社会であり、そのPJがどのように地域のニーズに応えて問
題を改善してきたかという点に集約される。つまり、現地の受益者から見れば評価
対象は必ずしもPJ自体ではなくより広い概念である。
<援助側> <受益者>
PJ-a
PJ-b
PJ-c
ー○○プログラムー
地
域
各PJの効果では
なく地域の問題を
援助団体が解決
できたかどうかに
関心を寄せる
各PJの評価を行
いPJ自体のマネジ
メントや結果に意
識が向きがち。プ
ログラムとしての
評価も事後的なも
のとなりやすい。
35
5-2批判①受益者視点の評価の重要性・・・FACID(2009):先行研究
受益者の視点に経った評価を行うために、FACID(2009)は、評価は以下の5つの
点が考慮されるべきだと述べている。
1:評価の目的が、PJ対象地域の住民・受益者の将来の生活の改善、コミュニティー
の問題解決を前提としたものとなっている
2:評価者として、地位域住民や彼らの視点に詳しい評価者、客観的に評価を行える
外部者など多種多様な評価者を入れる
3:評価手法として、受益者に対してできるだけ詳しく、的確なインタビューや観察を
行う
4:評価時期として、中間評価を含め、費用の許す範囲内で出来るだけ細かく、長期
間にわたって評価を行う
5:評価内容として、評価目的に基づき、出来るだけ多くの地域住民の視点、現状を
入れる
36
5-3 批判②ログフレームに対する批判・・・Gasper(2000):先行研究
ログフレームは、「意図された経路」による「意図された望ましい効果」(経路①)し
か重視されないとGasper(2000)は批判している。つまりプロジェクトの開始前に現
地の調査を行い、対象とする問題に因果関係を持つ原因にアプローチする手法を決
定してしまうと、その後プロジェクトを行った結果現れた「意図されていない経路」に
よる「意図されていない結果」(経路②③④)を見逃す可能性が高い
ログフレームに
記述あり
ログフレームに
記述なし
結果 A C
要因 B D
①
③
④②
37
5-4 批判③手法に対する批判…鈴木(2008) :先行研究
<批判1>
貢献・疎外要因の見当においては特別な調査を必要とない実施プロセスの検証が
優先され、手間のかかる因果関係の検証は後回しにされやすい。
実施プロセスの検証
事前評価 中間評価 終了時評価
PJ開始時 PJ終了時
PJ終了時には実施プロセス
の評価結果が蓄積されている
ため、新たな調査の必要がな
い。そのため検証が優先され
やすい。
因果関係の検証
(1)定量的手法:before/after比較、with/without比較
(2)定性的手法
どちらも実施プロセスの検証よりも手間がかかる、
または新たな調査が必要になることが多い。
その詳細について次スライド以降説明する。
38
5-4 批判③手法に対する批判…鈴木(2008) :先行研究
<批判2>もし因果関係が考察されたとしても、
倫理面・調査のコスト面で取りかかりやすいbefore/after比較が用いられる事が多い
before/after比較
PJの前と後では
どのように変化したか
with/without比較
PJを行った地域と、
行っていない地域では、
どのような違いが見られるか
PJ実施前の
対象地域のデータ
PJ実施後の
結果、数値
比較<before> <after>
・事前評価でデータを得る ・中間時評価、終了時評価
モニタリングでデータを得る
PJを
行っている地域
PJを
行っていない地域
<地域A> with PJ <地域B> without PJ
比較
・PJ実施中のモニタリング、
評価資料を用いる
・新たに調査を行う
その地域に詳しい人物が必要
(1)定量的手法
39
5-4 批判③手法に対する批判…鈴木(2008) :先行研究
<批判3>定性的評価の視点
因果関係検証において、ログフレームに記載されているPJ要約が
仮説として採用されやすい。
(1)投入から活動、アウトプット、目標に至る
実施プロセスの経緯を積み上げる
(2)プロジェクトの実施と効果のロジックの論理的な説明を試みる
(3)技術の移転、普及過程を分析する
(4)PJから受益する地域や対象を限定し、より深くデータ分析を行う→
ログフレームに
記述あり
ログフレームに
記述なし
結果 A C
要因 B D
①
②
③
④
①の経路を確認
しているに過ぎ
ない
②③④の経路の影響を
見つけることができるが、
地域に関する広範な知識と
詳細な調査が必要
40
5-5新しい評価法:民族誌的評価…鈴木(2008):先行研究
民族誌が得意とする定性分析によってPJの想定している因果関係を相対化する視
点は既存のPJ評価の弱点を補完する。プロジェクトとその外部社会の動態との相互
的関係をターゲットグループに焦点をあてて見て行く事で、評価の視野を拡張するこ
とが民族誌の貢献である。
一方民族誌がPJ評価に馴染まない可能性も予想される。
①民族誌は「部分的真実」を提示するものである。
…そのため異なる人類学者によっては民族誌が異なる場合があるが、それは異な
る見地から解釈を深めることに貢献する。
②民族誌は時間と手間を要する事である。
…調査対象者との信頼関係の構築、参与観察、オープンエンドな聞き取りなどの方
法論は、限られた時間の中で計画的に実施することは難しい。
そのため、
(1)民族誌に過度の客観性を期待することは無理である。
(2)民族誌を通常のPJ評価に無理に組み込む必要はない。
JICAのような既存のPJ評価+一部のPJを対象に民族誌を取り入れると、PJの質的
な向上につながる
41
6-1 学生NGOについて :PRENGO評価
この後対象にする学生NGO PRENGOは、立命館アジア太平洋大学の生徒のみで構成され
ている学生NGOである。これまで開発行為に対する評価手法を見てきたが、それらが対象とし
ている組織はJICAであったり、ある程度規模の大きいNGOである。そのため、事例研究として
PRENGOの評価を紹介する前に、学生NGOの特徴を述べ、その後学生NGOに適した評価
法を模索する。
学生NGOは学生のみで構成されいていることにより、一般のNGOと比べると以下のような特
徴を持つと言える。
長所 短所
勉強をすることにより様々な分野に対して支
援を行うことができる。
支援に対する知識・経験が不足している。
メンバーに賃金を払う必要がない。 賃金による拘束力がない反面、活動の規模
や継続性がメンバーのモチベーションに左
右されることもある。
その時のメンバーの意見や、現地の状況に
よって柔軟に活動内容を変化させることがで
きる。
学生であるためメンバーが卒業することで、
主体となるメンバーの入れ替わりが激しく、
活動や方向性の確実な引き継ぎが困難。
42
6-2 PRENGO概要 :PRENGO評価
今回実際に、APU公認団体 学生NGO PRENGOの活動評価を行ったため、
初めにPRENGOの概要を述べる。
団体名:PRENGO
代表:西岡航平(2014年9月現在)
所在地:立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)
設立:2003年4月
主な支援:教育支援を中心とした地域開発
部員数:国内学生54人、国際学生25人(2014年9現在)
立命館アジア太平洋大学公認団体 学生NGO PRENGOは、「アジア太平洋地域の発
展と相互協力」を理念に掲げ、教育支援を根底に置いて活動を行っている。
2004年からタイ王国Rayong県Mahad地域で「地域住民主体による教育機会の創出と教
育環境の向上」を活動方針とし、計11年間包括的に活動を行ってきた。しかし、支援地域の
教育環境の向上に伴い、2014年3月にMahad地域から撤退することを決定した。現在
Mahad地域で活動しているプロジェクトを順次終了し、PRENGO全体としては2018年3月に
Mahad地域での活動を終了する。
今後はMahad地域での活動終了に向けた活動を行いつつ、2015年夏から新支援地域で
の活動を開始する。
国内では夏と春の年に2回に行う渡航に向け、話し合いや勉強を重ね、現地での活動に
備えている。また、様々なイベント参加や写真展の開催、タイの伝統的なズボンであるタイ
パンツの販売なども行っている。
43
6-3 評価の経緯・目的 :PRENGO評価
<評価の目的>
12年間活動してきたMahad地域におけるPJの活動評価を行い、
教訓を抽出し、新支援地域での活動に活かす
<評価の経緯>
2013年秋、PRENGOメンバー全体の話し合いによりMahad地域における
PRENGOの活動終了が決定した。それに伴い、新支援地の調査が始まる中、わ
れわれは2014年春よりMahad評価チームを発足した。12年間支援を行ってきた
Mahad地域において、PRENGOの実施した活動がどのような成果を残したか、あ
るいは失敗をしたかを評価し、それによって得た教訓を、今後新しく活動が行われ
る新支援地で活かす必要があると考えたためである。
2014年春の総会で 、PRENGOの新支援地域での活動が2015年夏から開始
予定であることをうけ、 評価期間を1年間に設定した。また、期間と人員を考慮し、
2014年夏の渡航では、評価の対象を新支援地での活動の方向性のみの分野(教
育、地域開発など)に絞り評価を行うことを決定した。
44
6-4 学生NGOの評価における問題点 :PRENGO評価
これまで文献調査で先行研究や手法を把握し、望ましい評価とはについて考察
を深めてきたが、実際にそれをPRENGOで実施しようとすると様々な問題があり、
PRENGOでそれをそのまま適用し実施することはできなかった。その原因には、
PRENGOに原因があるものもあるが、多くは学生NGOとしての短所が原因となっ
て、望ましい評価を行うことが難しくなっていると考察する。そのため以下に
PRENGOの事例研究から抽出した、学生NGOが評価を行う際に問題となる可能
性がある事柄を列挙する。
(前提)学生である
学業が優先される(サークル活動である)
卒業等によるメンバーの入れ替わりが激しい
①現地住民と信頼関係を構築・継続していくことが困難
②現地に長期間滞在することができない
③活動や評価の経験・方向性が継承されにくい
45
6-4 学生NGOの評価における問題点 :PRENGO評価
①現地住民と信頼関係を
構築・継続していくことが困難
卒業等によるメンバーの入れ替わりのため、年々現地を訪れるメンバーが変化していく。
つまり現地住民は年々新しいメンバーの名前と顔を覚え、同じ活動を新しいメンバーと継続
していくことが求められてしまっている。時に新しいメンバーよりも現地住民の方が多くの情
報を知っているという状況も起きる。その中で、メンバーが現地住民と信頼関係を構築して
も、その良好な関係が後輩のメンバーとの間にも継続される保証はない。
<評価における問題点>
● 信頼関係がないと評価の可能性が狭まる
▶︎表面上の意見しか聞く事が出来ず、対象者の深い意見を収集できない
▶︎調査に応えてくれる人が少なく、PJを一側面からしか評価することができない
▶︎学生への不信感が増し協力関係が減ることでPJの結果が達成されない
46
6-4 学生NGOの評価における問題点 :PRENGO評価
②現地に長期間滞在することができない
学生であるため、現地に行く事ができる期間は、主に長期休暇に限られる。また現地へ
の渡航にかけることができる費用も限られている。PRENGOの場合は春・夏の長期休暇に
それぞれ2〜3週間ほど現地に滞在し活動を行っている。そのため現地におけるPJの進行
状況や現地の状況の変化を継続的にモニタリングすることは不可能であり(例外的に休学
等をしている学生が長期間滞在することもある)、現地で活動する長期休暇以外は電話や
メール、SNS等で定期的に連絡をとる。もちろんその間に現地の状況が変化したり、問題
が起き活動が中断されたり等するため、学生NGOの長期的な活動のマネジメントは一般
のNGOと比べ困難であると言える。
<評価における問題点>
● 現地に長期滞在し、継続的にモニタリング・評価をすることができない
▶︎長期休暇以外の時期のPJの実施プロセスの変化、現地の変化を把握できない
▶︎評価のための調査期間も限られ、インタビュー等も少数の地域住民にしかできない
今回のPRENGO調査では活動の要となった人物のみにしかインタビューを実施できて
いない(キー・インフォーマント・インタビュー)
▶︎民族誌的調査も行うことが難しく、ログフレーム以外のPJによって「予期されていない」
効果を明らかにすることが難しい
47
6-4 学生NGOの評価における問題点 :PRENGO評価
③活動や評価の経験・方向性が継承されにくい
学生NGOでは、卒業等によるメンバーの入れ替わりが激しいため、4年以上続く活動を
行う場合には、基本的にメンバーは活動の開始から終了まで一貫して見ることができない。
そのため、メンバーが変わることによって活動の方向性が変化しやすいという特徴があり、
注意しなければプロジェクトの目指す結果が出ないどころか、現地住民に迷惑がかかるこ
ともある(例:現地住民の収入に関わるPJなど)。また評価においても、評価の手法から、
評価の重要性まで後輩に全て継承することが望ましいが、継承されず継続的なモニタリン
グや評価のための資料が収集されない可能性がある。
<評価における問題点>
● 活動初期から継続的に評価資料が収集されていない、継続されなかった期間がある
▶︎実施プロセスの検証によるPJの正当性が検証できない
▶︎活動開始時と終了時を比較し因果関係の検証を行うbefore/after比較ができない
▶︎現地住民の記憶に頼る終了時評価・事後評価になってしまう
48
6-4 学生NGOの評価における問題点 :PRENGO評価
<+PRENGO独自の問題>
ここではPRENGOの活動の特性に伴った評価に対する問題点を把握する。主には、
PRENGOはタイのRayong県Mahad地域において活動を行っていることが挙げられる。
PRENGOはAPUのタイ人学生と協力して、Mahad地域ではタイ語で活動を行っている。つ
まり、日本人メンバーはタイ人メンバーと共に、英語/日本語を使って活動の準備をし、タイで
はタイ語/英語/日本語を用いてタイ人メンバーと活動を実施している。しかし、タイ人メン
バーも日本人メンバーと同じように入れ替わりが多く、過去のPRENGOの活動を全て把握
できないまま、タイ語を用いて活動を実施しなければならないため、現地住民と情報量が異
なったり、日本人メンバーとタイ人メンバーの間で活動内容に誤解が起きることもある。
<評価における問題点>
● タイ(非英語圏)で、日本人メンバーとタイ人メンバーが協力し活動している
▶︎半構造化インタビューを行う際に、日本人メンバーとタイ人メンバーの活動内容の共
通理解が充分でない場合、タイ人メンバーが話を深められない/期待された内容を聞
く事が出来ない
▶︎タイ語独特の言い回し等難しい単語を英語/日本語に翻訳する際、内容が正確に伝
わっているかどうか不安が残る
▶︎活動内容や評価結果を日本語で残すと共に、英語やタイ語でも残したいと考えても
翻訳作業が追いつかない場合がほとんどであり、日本語資料が主になってしまう
49
6-5 評価の方法、モデル化 :PRENGO評価
以上のような問題点をPRENGOの事例から把握した後に、モデル化を行い、現在の
PRENGOで実施することができる評価として、過去のPJの変遷から類推したMahad地域の
変化に伴うPJ実施プロセスの類推と、その結果からさらに詳しく聞きたい情報を質問に加え
た半構造化インタビューを行った。
<評価の主体>PRENGO 評価班(=内部評価)
<評価の流れ>
(準備)国内で過去の活動報告書から教育部の活動を中心に把握し、
インタビュー対象者別に質問項目を考えた。
(活動初期からいる教員なのか、どのPJに参加した教員なのか)
(調査)その質問と教員の情報をタイ人メンバーに把握してもらい、
インタビュー時はタイ人メンバー1、2人と日本人メンバー数人で、
タイ語で対象者にインタビューすると同時に、出来る限り英語/日本語で内
容の同時通訳を行い、日本人メンバーからの、さらに内容を深める質問を、
タイ人メンバーにその場で伝え、質問してもらった。
内容をよく理解しているタイ人メンバーも質問を追加していた。
(考察)インタビュー内容を全て録音し、タイ語の部分は翻訳してもらい、主に日本
語で(一部英語)全文文字起こしを行い、報告書に記載した。
その後インタビュー内容から教訓とできるものを評価班で抽出した。
50
6-5 評価の方法、モデル化 :PRENGO評価
51
<活動実施年数と主な教育部のPJ活動内容>
2004年 初めての支援:文房具等寄付
2005年 物質的支援の拡充
↓
2006年 日本の歌を教える、社会科見学
2007年 ハーブ栽培PJ、社会科見学
↓
2008年 基礎学力向上PJ(百マス計算の実施)
地域学習PJ、裁縫PJ、社会科見学
卒業アルバム製作PJ(以降毎年行う)
2009年 百マス計算、英語学習、社会科見学
↓
2010年 百マス計算、夢PJ(将来の夢を広げる進路学習)
2011年 百マス計算委託、夢PJ、チューター制度
(PRENGOメンバーが成績の悪い児童に勉強を教える)
2012年 自主学習制度(現地の中学生が小学生に宿題を教える)
夢PJ、Day Camp(算数、タイ語、英語のゲームをする)
スペシャルレクチャーPJ(理科の実験等)
2013年 夢PJ、スペシャルレクチャーPJ
学習できる環境が整い、
次に精神的援助の必要性を感じた
学校設備・教員と授業
の質が改善されたこと
から、カリキュラムでは
カバーしきれない特別
活動をPRENGOが提
供するようになった
児童が中学校に進学した時に授業につ
いていける程度の学力がついていない
ことが原因だと考えたために、基礎学
力向上を目標にした。
<活動の変化の理由/
現地の状況の変化の類推>
PJの変遷を把握することで、現地の状態の変化を類推した
6-6 評価の実施期間、対象者 :PRENGO評価
前スライドで得られなかった情報を中心に当時の様子を詳しく聞くための質問を考えた
<評価のための現地調査期間>
2014年8月24日〜9月4日(計11名)
<インタビュー対象者>計24名
〔タイでインタビュー実施〕
Pilai元校長・・・Mahad小学校の元校長(〜2014年まで)
Taweep元校長・・・Mahad小学校の元校長(〜2011年まで)
Ting教諭・・・小学校教諭の中で最も勤続年数が長く、小学校で権力を持つ。
Gus教諭・・・6年生の担任。とても教育熱心。PRENGOの活動を拒否することもあった。
Idd教諭・・・1年生の担任。PRENGOに協力的だった。
Boonthum教諭・・・小学校に併設する幼稚園の教諭。PRENGOにとても協力的。
Mahad小学校在校生・卒業生(5名)
Ratanaさん・・・PRENGOの活動に協力し、児童に英語を教えていたインド人の女性
Mahad地域住民(4名)・・・PRENGOの活動によく参加していた人たち。
〔国内でインタビュー実施〕
溝川史郎さん・・・4期(2007年)代表
菊地愛子さん・・・6期(2009年)代表
荒牧沙代さん・・・7期(2010年)代表
市丸玲奈さん、岡綾音さん、村山知隆さん・・・8期(2011年)教育部メンバー
Palm、Bank・・・現役タイ人メンバー、2回生
52
6-7 インタビューの様子 :PRENGO評価
写真を貼る
53
6-8 インタビュー例・報告書の形式 :PRENGO評価
日時:9/3 11:50〜12:15
インタビュアー:Bank、菅野朋之、
前嶋信哉、高橋和輝
※音声データあり。(ネット上・ハードディスクに保存)
———1番印象に残った活動はなんですか?
夢プロジェクトが印象に残っています。Mahadのような農村にいる子供たちは、多様にある職業について
の知識が乏しく、将来のイメージのないまま卒業するので、卒業後すぐに働き始める児童もいます。
PRENGOが行ったようにいろいろな職業について活動の中で実際に児童に宇宙飛行士なら宇宙飛行士
の衣装を着せたことで多くの児童が将来の職業についての実感がわいた のではないかと思います。
———PRENGOが活動で気をつけた方がいいことはありますか?
そうですね。PRENGOメンバーがMahad小学校の児童と仲良くなることはよいことだと思いますが、仲
良くなりすぎて、メンバーと児童との間に遠慮がなくなることはよくないと思います。PRENGOメンバーは
児童から見れば、十分大人です。そのように遠慮のない対応を続けてしまうと、児童が大人に対してのと
るべき態度に悪影響を及ぼします。また、児童一人でもそのような関係をとってしまうと、それが他の児童
にも伝染してしまいます。また、肩車など児童にとって危険な行為をすることは控えてほしいです。活動に
関しては、 活動する場所を自分たちの荷物を置いている場所以外で行ってほしいと思います。児童は好
奇心が強いために、PRENGOメンバーの財布や大事なものをとってしまうことがあります。そのようなこと
を防ぐために貴重品の管理はしっかりして、活動は別の場所でお願いしたいと思います。また、授業中の
活動は児童にとっては珍しい日本人に気が散ってしまい、授業に集中できなくなる児童がいました。
Gus教諭のインタビュー ・Mahad小学校に2011年
春から勤務。
・2014年現在は2年生
担任の先生である。
・自身の教育方針を持って
おり、児童の生活指導、し
つけ教育を行っている。
54
6-9 評価の結果・教訓抽出 :PRENGO評価
(1)学校のその時の状況、問題点を正確に把握し、それに適した活動をする。
(2)百マス計算等以前PRENGOが基礎学力を向上させるために行った活動に対し児童の
計算力の向上から教員も有効性を感じており、今後もMahad小学校で使用していく意
思が確認された。
(3)理科の実験などの知的好奇心を向上させる授業(Special Lectureプロジェクト)、将来
の進路を考えるようなキャリア教育の授業(夢プロジェクト)は、既存のタイのカリキュラ
ムではカバーしきれていないため、教員からの評価が高い。
(4)小学校で活動を行う際は、教員が準備している授業のスケジュールを崩すことがない
よ
うに、事前から詳しい活動内容と活動に必要な時間を、各教員に確実に伝える必要が
ある。
(5)各教員のことをよく知ることで、その教員が活動に参加しやすくなる、また教員に負担を
かけず活動を行うことができる。
(6)小学校で活動を行う際には、子供と接する教育者としての役割をしっかりと自覚し、規
律ある行動をとることが重要である。
(7)学校が抱える問題は、その地域が抱える問題と密接に関係していることが多いため、
地域の情報を詳しく調査し網羅的に把握する必要がある。
以下がインタビューの結果から抽出した教訓である。
今回の評価は、PRENGOの新支援地域での活動の教訓とするという目的のため、
内部用として、PRENGOの活動を把握している前提で記載している。
55
6-10 評価の振り返り・反省 :PRENGO評価
今回先行研究から主流となっているJICAのプロジェクト評価の方法を主軸に、それに対する先行研究
や新しい評価の可能性について把握した。その後実際にその手法を学生NGOであるPRENGOにその
まま適用することは、学生NGOが持つ様々な問題からできなかった。しかしそもそも評価の手法は用い
られる団体に合った形にデザインされる必要があるため、PRENGOに対しても評価のモデル化を試み
た。まずPRENGOが持つ特徴を把握し、評価のための資料は蓄積されていなかったとしても、活動の
内容は資料として保存されていたため、そのPJ内容の変遷から現地の状況の変化を類推した。その後
その考察だけでは知る事が出来なかった、PJが現地に与えた影響等を知るために質問を考え半構造
化インタビューを行った。その結果PRENGO内部向けでありながらも、新支援地域の活動に対する教
訓を抽出することができた。
また、今回の研究とPRENGOでの評価実施によって、どのように団体内に評価の体制が維持される
ことが望ましく、どのように継続的に評価が行われることが良いか、が明らかにされたため、新支援地域
の活動からPRENGOの評価体制を確立し、より明確で客観的な評価を行い、その結果を現地住民と
APU、社会に発信していくべきであると考えている。具体的な改善案については次のスライドに記載す
る。
最後に今回の研究から改めて学生NGOは評価が難しい対象であると認識されたが、各団体の特徴
に合わせ評価をデザインすることで評価を行うことは可能であるということが明らかになった。対して学
生NGOの自由に柔軟に活動を行っていくことができるという特性上、評価は反対にその学生NGOの利
点に対する足かせになってしまうのではないか、という疑問も浮上した。しかし、筆者は学生NGOであろ
うと、現地住民に少なからず直接的に影響を与える活動をしているのならば、最低限ログフレームと
PCM手法等を用い活動の軸が確立され、その軸に対しての評価が継続的に行われ、その結果によって
活動が改善されていくべきであると考える。なぜならそうでなければ学生という立場に甘え、現地住民に
迷惑や悪影響を与えてしまうと考えるためである。その自制の役割としても継続的な評価の体制は有効
であると考える。
56
6-11 今後のPRENGO評価の改善点 :PRENGO評価
<具体的なPRENGOの評価における改善点>
①今後のPRENGOの活動管理にPCM手法(ログフレームを用いたPJ管理と、評価)を
用い、後輩への誤解のない活動の継承を目指す
②しかし学生NGOの柔軟性を活かすためにも、現地の状態の変化などによってログフ
レームを書き換えることも可能とする。しかしその場合はその理由を明確に記した資料
を残す必要がある
③評価の重要性と手法について代々後輩に伝えていき、PRENGO内に評価組織を常設
する
④評価資料の保管を紙媒体・電子媒体で確実に伝えて行く
新支援地域ではPCM手法を用いながらPJ立案をするのと同時に、評価の視点から
PDM上における数量的指標と、PDMには記載されないが定性的指標を設定する。
それを基に毎回の渡航で評価の観点からの調査を行い、実施プロセス・実績を把握する。
<その他評価の質を高めるために行われるべきと考えること>
▶︎PRENGO全体の問題であるタイ人メンバーの活動への参加度合いを深め、
タイ人メンバーとの理解の差が出ないように務める
▶︎評価を担うメンバーが代を越えて交流でき、各代の現地の状態を比較できるような
卒業生と現役生の連絡手段を確立する(Facebookのグループなど)
▶︎地域全体の人々と信頼関係を保つ必要がある
(つまり卒業生がよく地域を訪れるなどの努力が必要)
57
終章
7ー結論
参考文献
58
7 結論
JICA「プロジェクト評価の実践的手法」を主軸に、開発行為に対する評価法について把握
し、事例研究として学生NGO PRENGOの活動評価を挙げながら、学生NGOの活動評価
への適用を試みた。その結果学生NGOであるからこその複数の特徴から、JICAの評価法
をそのまま適用することは困難であることがわかった。その後具体的に、学生NGOで評価
を実施する場合に考慮しなければならないと考える点を列挙した。特に学生NGOの特徴で
ある、卒業等によるメンバーの入れ替わりという問題を克服できるように、学生NGO内での
活動の情報や方向性、評価の手法をわかりやすく明確に記録し、後輩に伝えて行く事が重
要だと考える。しかし事例研究として行ったPRENGOの活動評価において、団体の特徴に
合わせ評価のモデル化を行い、教訓を抽出することに成功したことから、各学生NGOが持
つ特徴も考慮しながら、独自の評価体制を確立し、学生でありながらも定期的に結果を明
示することができると結論づけることができた。学生NGOの評価活動実施が増加すれば、
開発業界において学生NGOの活躍や実績が少しずつでありながらも認められるようにな
ると考える。今後は、学生NGOにとって質的な評価・量的な評価はどうあるべきなのか、そ
の可能性と手法をさらに深めて研究するとともに、実際に事例研究を続け、この団体に
合っており、現地住民の活動結果を明確に示せるような評価ができるよう評価活動を改善
していきたいと考える。
59
参考文献
独立行政法時国際協力機構「プロジェクト評価の実践的手法」2005年、国際協力出版界
三好皓一編「評価論を学ぶ人のために」2008年、世界思想社
国際開発高等教育機構「開発援助のためのプロジェクトサイクルマネジメントー参加型計画
編」「同ーモニタリング・評価編」2007年、国際開発高等教育機構出版
国際開発高等教育機構「平成20年度外務省委託 国際開発におえる評価の課題と展望Ⅲ」
2009年、国際開発高等教育機構出版
鈴木紀「プロジェクトからいかに学ぶかー民族誌的教訓抽出ー」2008年、国際開発研究第17
巻第2号
リオールノラン、関根久雄他訳「開発人類学 基本と実践」2007年、古今書院
佐藤寛 「開発援助の社会学」2005年、世界思想社
ロバートチェンバース著、野田直人、白鳥清志訳「参加型開発と国際協力ー変わるのはわた
したちー」 2000年 明石書店
斎藤文彦編「参加型開発ー貧しい人々が主役となる開発へ向けて」2002年 精光堂
60

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