SlideShare a Scribd company logo
1 of 34
Download to read offline
ImageJを使った画像解析実習
ー起動・終了とファイルの入出力ー
第194回農林交流センターワークショップ
「 植物科学・作物育種におけるフェノーム解析
- はじめて画像解析を行う研究者のための入門実習 - 」
2015-9-17 15:30-16:15 (実習45分)
実習主担当 相阪 有理
エルピクセル(株)
はじめに
画像解析の流れ
生データ
コンピュータ/ImageJ
解析結果
加工済データ
心構え
• コンピュータやソフトウェアは
簡単には壊れない
• 電子データは一瞬で消え得る
– (が、解析結果は作り直せる)
生データを消してしまわないことにだけ
気をつけて、とにかく触って覚える
ImageJの起動と終了
ImageJの起動と終了
ダブルクリックで起動 ImageJ メインメニュー(Windows)
File > Quit で終了
演習: 起動→終了を繰返して
みましょう!
ImageJ の基本画面
(タバコBY-2 液胞膜)
← 画像ウインドウ
メニューバー
ツールバー
ステータスバー
まずはメニューバーの構成を学び、
解析したい画像を表示できるようにする
画像を開いて閉じる
メニューと画像解析までの流れ
大雑把な処理の流れ
生データ群
画像を開く
(形が知りたいので)
画像処理を施す
計測す
る
画像を開く
• ショートカットも少しずつ覚えていくと便利
• 実はドラッグ&ドロップでも開ける
• New 画像新規作成
(クリップボード経由で、他アプリから画像のペーストが
できる)
• Open… (画像)ファイルを開く
• Import
フォーマットを指定してファイルを開く
• Close 画像ウィンドウを閉じる
画像を保存する
※ 保存するまで、画像データを変更しても
ファイルは書き変わらない!
• Save (Ctrl-s) ファイル保存
画像ウインドウの内容をファイルに保存する
• Save as
(フォーマットを指定して)ファイルを保存
演習: ファイルを開いて元データを
上書きしないよう気をつけて、
別名で保存してみましょう。
ここまでのまとめ
• ImageJの起動と終了ができるようになった。
• 画像をImageJで開けるようになった。
• 画像を、元データを上書きすることなく、保存
できるようになった。
ImageJに慣れる
ImageJによる画像のinspection
http://rsb.info.nih.gov/ij/docs/tools.html
赤い三角形の付く
アイコンは右クリック
で機能切り替え可
赤い線: 頻用するもの
青い線: 領域(ROI, region of interest)選択 → 次のコマ
ImageJのツールバー
画像のズーム
+ キーで拡大
- キーで縮小
ツールバーの「虫めがね」アイコンを選択
+ 左クリック (拡大)
+ 右クリック (縮小)
あるいは…
←画像情報: 159x153 pixels; 8-bit; 24K
(3200%) : 拡大・縮小率
画像ウインドウ左上に青い枠が表示されている場合,
ウインドウに画像全域が収まっていない。
(青い四角は現在表示されている部分を示す。)
→ 「ハンドツール」で表示されている部分を動かすことができる
159
153
画素, pixel (picture element)
159x153 pixels; 8-bit; 24K
y
x
(x,y) = (0, 0)
輝度 35
(3, 0)
輝度30
(3, 2)
輝度 21
ImageJ では左上を原点(0, 0)とし,右に X 軸,下にY軸が伸びる.
各画素には輝度 (強度,intensity.明度 brightness とも言う)
が割り当てられている.
※ 「0 から数えること」「左上が原点であること」 に注意.
座標系と画素と輝度
輝度のタイプ
(0, 0)
輝度 35
(3, 0)
輝度30
(3, 2)
輝度 21
8-bit: 0~255 の整数(integer)
16-bit: 0~65535 の整数(integer)
32-bit: 浮動小数点数(float)
実数の近似値.±3.4*1038 の
範囲で7桁位の精度.
グレイスケール画像, 濃淡画像
輝度のデータ型.
ビット深度(bit depth), bits per pixel,
量子化ビット数等とも呼称.
カラー画像
≠白黒画像
8-bit Color: 使わない.
RGB Color: 赤緑青の3チャネルを
重ねることによるカラー表現.
各チャネルのデータ型は8-bit,
16-bit, 32-bit のいずれかで,
チャネル間では統一されている.
画像情報の修正 (ビット深度,スケール情報)
ビット深度: Image > Type
スケール情報: Analyze > Set Scale...
演習
• 画像サイズとピクセルタイプを調べてみましょう。
• 座標(x,y)=(200,300)にあるピクセルの輝度を調べて
みましょう。(ヒント: ズームイン)
• advanced ズームインした画像を保存して、再度開い
てみましょう。
サンプル画像をいくつか選び、
画像データの加工と表示の変化
ImageJで表示した画像の見た目が変わるのは、
• 単に表示方法が変更されただけである場合、と、
• 画像データが変更された結果である場合
の二つがある。
(気になる方向けの細かい注意)
例:
サイズ Image > Scale...
Image > Zoom > ...
明るさ Process > Enhance Contrast
Image > Adjust > Brightness & Contrast
(前者がメニュー「Image」にあって、後者がメニュー「Process」にまとまっていれば
分かりやすいが、実際はあまり首尾一貫していない。)
ImageJに慣れる (つづき)
ImageJによる画像のinspection
画像全体の情報を見る
• ここまでで、
– 画像のサイズ(640x480等)
– ピクセルタイプ (8bit gray scale、24bit RGB etc.)
– 各ピクセルの輝度
の調べ方を学んだ。
• 画像データにもう少し有効な情報として
は、
「輝度ヒストグラム」等がある。
輝度ヒストグラム ( h キー )
h
位置情報を無視した上で,全画素について
輝度の分布を可視化したもの.
輝度の基本的な統計量(最小,最大,平均,
標準偏差等)も表示されている.
RGB輝度ヒストグラム (h キー+RGBボタン)
RBGでサイクル
Brightness & Contrast による表示状態の変更 ( Shift + c キー)
スライドバーを動かすことによる調整は,表示上の"明るさ"を
変えているに過ぎない.→ 輝度は変化しない.
8-bit 画像の場合は Apply ボタンを押すことによって,その時の
表示範囲が0~255にスケールされる.→ 輝度が変化する.
真っ白
真っ黒
画像の一部の情報を見る
• 画像全体ではなく、画像の興味ある部分(ROI,
region of interest)の情報が知りたいことが良
くある。
• ROIの指定法は次の演習で詳しく行うが、ここ
では「線状ROI」を使った小技を紹介する。
輝度プロファイル (ROI + k キー)
線分上の輝度を「形 (プロファイル)」として可視化.
横軸が距離 or 位置,縦軸が輝度.
→多重蛍光標識像から局在関係を示す直観的手法として
利用可能
ドラッグして線を引いてから「kキー」を押下
RGB別 輝度プロファイル (ROI + kキー)
Plugins > Graphics > RGB Profile Plot
RGB 信号のうち主に Blue が果皮の位置により
変化していることがわかる.
その他のメニューバー項目
Edit メニュー: 画像の切り貼り,描画
Undo: 直前の作業の取消し.
1ステップ限定かつ
一部のみ対応.
Cut, Copy, Paste:
画像の切り貼り.
対象は画像全域かROI .
Copy to System:
他アプリへのコピー.
Clear, Fill, Draw: 単色描画.
Color Pickerで色は設定.
Selection: ROI の制御.
(Selection = ROI)
Add To Manager:
複数のROI を管理.
Image メニュー: 種別,色,スタック,変形,複製等,色々
Type: 輝度タイプの変換.
8-bit, 16-bit, 32-bit, RGB color...
Adjust: 表示上の明るさの調整や二値化等.
Color: グレイスケール画像とカラー画像の
変換等.
Stacks: 時系列画像(動画像),立体画像の
処理.輝度投影,スライス一覧(montage)
の作成等.
Crop: ROI 部分の切り出し.
Duplicate: 画像ウインドウの複製.
Rename: 画像ウインドウのタイトル変更.
Scale: 画像解像度の変更.つまり画像サイズ
の拡大・縮小.
※表示の拡大・縮小と混同しないよう注意.
Process メニュー: 基礎的な画像処理(フィルタ等)
Find Edges: 輪郭強調.
Binary: 2値画像(白黒画像)処理.
Math: 加減乗除等による
各画素の輝度変更.
Filters: ノイズ抑制等のフィルタ.
Image Calculator:
画像と画像の間
の演算.
加減乗除等.
Analyze メニュー: 測定やグラフ関係
Measure: ROI 部分の諸パラメタの測定.
Analyze Particles...: 粒子解析.
Set Measurements...: 'Measure' で測定する
パラメタの選択.
Set Scale...: 1画素が何 µm かを設定する.
Histogram: 輝度ヒストグラムの表示.
Plot Profile: 輝度プロファイルの表示.
他のメニュー
Plugins: プラグイン,マクロ,ショートカット
キー設定等.
Window: 画像ウインドウ,ログウインドウ等
の一覧や並び換え.
Help:ブラウザにウェブ上のマニュアルを
表示する等.

More Related Content

What's hot

ImageJプラグインの作成:序論
ImageJプラグインの作成:序論ImageJプラグインの作成:序論
ImageJプラグインの作成:序論nmaro
 
ImageJのインストールとデータのダウンロード
ImageJのインストールとデータのダウンロードImageJのインストールとデータのダウンロード
ImageJのインストールとデータのダウンロードLPIXEL
 
画像キャプションの自動生成
画像キャプションの自動生成画像キャプションの自動生成
画像キャプションの自動生成Yoshitaka Ushiku
 
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )動画認識サーベイv1(メタサーベイ )
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )cvpaper. challenge
 
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)Masakazu Iwamura
 
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線Deep Learning による視覚×言語融合の最前線
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線Yoshitaka Ushiku
 
研究に使える便利なフリーソフト ImageJ
研究に使える便利なフリーソフト ImageJ研究に使える便利なフリーソフト ImageJ
研究に使える便利なフリーソフト ImageJYutaka KATAYAMA
 
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Yusuke Sekikawa
 
Image J を用いた組織像の定量解析
Image J を用いた組織像の定量解析Image J を用いた組織像の定量解析
Image J を用いた組織像の定量解析Atsuto ONODA
 
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...harmonylab
 
ドメイン適応の原理と応用
ドメイン適応の原理と応用ドメイン適応の原理と応用
ドメイン適応の原理と応用Yoshitaka Ushiku
 
Towards Total Recall in Industrial Anomaly Detection
Towards Total Recall in Industrial Anomaly DetectionTowards Total Recall in Industrial Anomaly Detection
Towards Total Recall in Industrial Anomaly Detectionharmonylab
 
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック 大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック 西岡 賢一郎
 
Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説tancoro
 
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)Deep Learning JP
 
CV分野におけるサーベイ方法
CV分野におけるサーベイ方法CV分野におけるサーベイ方法
CV分野におけるサーベイ方法Hirokatsu Kataoka
 
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由Yoshitaka Ushiku
 
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」Takashi J OZAKI
 
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争ディープラーニングのフレームワークと特許戦争
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争Yosuke Shinya
 

What's hot (20)

ImageJプラグインの作成:序論
ImageJプラグインの作成:序論ImageJプラグインの作成:序論
ImageJプラグインの作成:序論
 
ImageJのインストールとデータのダウンロード
ImageJのインストールとデータのダウンロードImageJのインストールとデータのダウンロード
ImageJのインストールとデータのダウンロード
 
画像キャプションの自動生成
画像キャプションの自動生成画像キャプションの自動生成
画像キャプションの自動生成
 
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )動画認識サーベイv1(メタサーベイ )
動画認識サーベイv1(メタサーベイ )
 
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)
ディープラーニングを用いた物体認識とその周辺 ~現状と課題~ (Revised on 18 July, 2018)
 
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線Deep Learning による視覚×言語融合の最前線
Deep Learning による視覚×言語融合の最前線
 
研究に使える便利なフリーソフト ImageJ
研究に使える便利なフリーソフト ImageJ研究に使える便利なフリーソフト ImageJ
研究に使える便利なフリーソフト ImageJ
 
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
Go-ICP: グローバル最適(Globally optimal) なICPの解説
 
Image J を用いた組織像の定量解析
Image J を用いた組織像の定量解析Image J を用いた組織像の定量解析
Image J を用いた組織像の定量解析
 
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...
SegFormer: Simple and Efficient Design for Semantic Segmentation with Transfo...
 
ドメイン適応の原理と応用
ドメイン適応の原理と応用ドメイン適応の原理と応用
ドメイン適応の原理と応用
 
Towards Total Recall in Industrial Anomaly Detection
Towards Total Recall in Industrial Anomaly DetectionTowards Total Recall in Industrial Anomaly Detection
Towards Total Recall in Industrial Anomaly Detection
 
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック 大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック
大域的探索から局所的探索へデータ拡張 (Data Augmentation)を用いた学習の探索テクニック
 
Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説
 
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)
【DL輪読会】Patches Are All You Need? (ConvMixer)
 
CV分野におけるサーベイ方法
CV分野におけるサーベイ方法CV分野におけるサーベイ方法
CV分野におけるサーベイ方法
 
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由
これからの Vision & Language ~ Acadexit した4つの理由
 
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」
Rによるやさしい統計学第20章「検定力分析によるサンプルサイズの決定」
 
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争ディープラーニングのフレームワークと特許戦争
ディープラーニングのフレームワークと特許戦争
 
主成分分析
主成分分析主成分分析
主成分分析
 

ImageJを使った画像解析実習〜起動・終了とファイルの入出力〜